ウェザリング用塗料
通常塗料の進化も凄まじいですが、ここ数年の模型シーンで革命的に進化したのが汚し塗装ができるウェザリング用塗料です。なんだか難しそうと思われていたウェザリング(汚し塗装のことを言います)が、塗るだけでいい感じにできてしまうことで、多くの人がウェザリングを楽しめるようになりました。ここではその代表格をじっくりと見ていきましょう。
最強であり常に側にいてくれるウェザリング塗料
GSIクレオス Mr.ウェザリングカラー
●発売元/GSIクレオス●各418円
この塗料を知るだけで、あなたの模型表現の幅が一気に広がります。汚し塗装に使えば素晴らしい深みが出ますし、汚さずディテールにスミ入れしただけでも豊富な色味によってモールドに色気や表情を加えることができます。そしてどこでも買いやすいという最高のアドバンテージを持っています。最強のウェザリング塗料であり成型色仕上げ派にとっても最高の友と言える存在です。
GSIクレオス Mr.ウェザリングカラーの特徴
塗料のベースは油彩。プラを侵しにくいです。非常に伸びが良く、いつまでも汚しのタッチを調整できます。そのぶん乾燥はゆっくりめ。汚しメインのカラーと、薄い塗料の膜を一枚かぶせて、グラデーションのばらつきや深い影色などを足すことができる技法「フィルタリング」を可能とする、フィルタ・リキッドという塗料もラインナップされています。
塗って拭うがウェザリングの基本です
▲このように全体にさっとウェザリングカラーを塗ります。ビシャビシャにし過ぎると後での調整が大変なので、写真のようにうっすらと塗ります
▲後は綿棒でそのまま拭ったり、専用のウェザリングカラーうすめ液を含ませた綿棒でよりしっかり拭き取ったりします。この拭き取り後にうっすら残った感じが、汚しになるのです
Mr.ウェザリングカラー全色レビュー!!
上の写真でやったように、実際に塗り広げた状態と、綿棒で拭ってウェザリングした状態を見てみましょう。
WC01 マルチブラック
▲影やススをイメージしたブラック。きっちりくっきり残るので、メリハリを付けたい場所に有効
WC02 グランドブラウン
▲ウェザリングカラーの最優秀選手。これを塗るだけで汚しは失敗しないんじゃないかというナイスな色味。土汚れからサビ表現まで幅広く使えます
WC03 ステインブラウン
▲油汚れ、赤茶けたサビをイメージした明度の高い茶色。赤味の主張がしっかりしているのが特徴です
WC04 サンディウォッシュ
▲塗ればまさに砂埃!! 砂の色味の他に、塗った周囲が白くなり彩度ががくんと落ちるのも特徴です
WC05 マルチホワイト
▲冬季迷彩だけでなく、装甲の退色表現にも便利。靴の色味に注目してください!!
WC06 マルチグレー
▲スミ入れから埃表現まで幅広く使えます。他の色よりも主張が少ない控えめなカラー。微妙な色変化を加えたい時に便利
WC07 グレイッシュブラウン
▲湿り気のある土や泥を踏みしめてきた雰囲気の色。こういう色が調色なしで一発で塗れるので便利です
WC08 ラストオレンジ
▲赤サビがくっきりと浮かび上がった雰囲気になります。下地が暗めの色でもサビの主張がしっかりと表現できます
WC14 ホワイトダスト
▲中東やアフリカなど白味のある砂埃を再現する色。明るい色に塗っても砂色がしっかりと発色。サンディウォッシュのように塗った周囲が白っぽくなりすぎないのもポイントです
WC15 ライトグレイッシュ
▲少し赤味を帯びた明るいグレーの土の色を再現したもの。土汚れの表現を広げてくれる1本
WC16 オーカーソイル
▲世界各国で見られる黄色味が強めの土色をイメージ。緑色の戦車やロボットに塗ると、とてもかっこよくなりますよ
WC17 マットアンバー
▲明度を低めにした土色。単体で使っても良いですし、各土色の色味を調整したい時のつなぎにも便利
WC18 シェイドブラウン
▲ガンプラのスミ入れで暗めのブラウンを流したいなら、このシェイドブラウンがオススメです!! 明色にも合わせやすくクドみを感じさせません
Mr.ウェザリングカラー専用うすめ液(大)がオススメです
Mr.ウェザリングカラーを薄めたり、拭き取ったりするのに必須なのがこの専用のうすめ液。かなり使うので「大」を買っておくことをおススメします。
Mr.ウェザリングカラー専用うすめ液(大)
●発売元/GSIクレオス●990円
汚しとは違う色変化を楽しむ塗料!!
フィルタ・リキッド
青や紫、黄色などの薄い塗料を一枚纏わせて、絶妙な色変化を模型に与えることができるのがフィルタ・リキッド。グラデーションのチグハグ感や、影色の強調、スミ入れとさまざまな表現が可能です。
WC09 シェードブルー
▲鮮やかな青のレイヤーを纏わせることができます。硬質感をプラスしたり、装甲裏の影を強調したりできます
WC10 スポットイエロー
▲明るい黄色を纏わせることができます。色変化させたい所にピンポイントでチョンチョンと塗ってあげると、絶妙に明るい黄色によって塗った所にハイライトが入ったような表情になります
WC11 レイヤーバイオレット
▲グレーのものから青いもの、赤いものなどの色味に深みを与えてくれるとっても便利なレイヤーバイオレット
WC12 フェイスグリーン
▲がっちりとビリジアンなグリーンに染まるフェイスグリーン。ザクなどの装甲の影色にぴったりです
WC13 グレーズレッド
▲これは明るい赤を纏わせることができます。シャア専用ザクや、ガンキャノンなどの装甲に塗ると、明るい赤によって塗った場所が退色しているように見えます
油彩はウェザリング表現を広げてくれます
Mr.ウェザリングカラーは油彩ベースでしたが、それならそのまま油彩も使えるのでは……その通りです。油彩でスミ入れやウェザリングをしているモデラーはとても多いです。
油彩の特徴
油彩は模型店だけでなく画材店で主に購入可能です。色数がとっても豊富。1本買えば長期間使えるコスパの良さも魅力です。とっても伸びるので、模型のウェザリング表現には最適な塗料のひとつです。単品だけでなくセットで一気に揃えるのもありです。
▲こちらのパーツを、油彩の伸びの良さを活かしたウェザリング技法で汚してみます
▲白や赤、青、茶色、黄色と使う色をパレットに出します
▲これを模型の表面にランダムに点を打つように塗っていきます
▲点を打ち終わった状態。この状態で、筆にリンシードオイル(うすめ液みたいなものです。ウェザリングカラー専用うすめ液でも代用できます)を含ませて、これらの点を一気に伸ばしていきます
▲汚れが落ちそうな方向を意識して、筆を一気に動かしていきましょう! パーツ表面でさまざまな色が混ざり合い、複雑な汚れが生まれます!!
▲スジ彫り部分には茶色のような汚れが残り、表面はうっすらと茶色な雰囲気に。ひとつの面にさまざまな色が混ざり合って乗るので豊かな表情になります。色が付いているパーツに白や黄色などを伸ばしてみると、このように退色した雰囲気の汚れが表現できます
タミヤ スミ入れ塗料
●発売元/タミヤ●396円(新価格440円※)
タミヤがスミ入れ用に色味と濃度を調整して販売しているエナメル塗料。フタに極細面相筆が付いているのが特徴で、中の塗料を攪拌したらそのままスミ入れが楽しめちゃいます。また模型全体に薄く塗って汚しを纏わせるウォッシングにも最適で、ウェザリング塗料としても一級品です。フィギュアの影色用の色味もラインナップされています。全種揃えれば、スミ入れからウェザリングまで幅広く対応できます。
※2022年9月1日以降のメーカー出荷分より新価格になります。
スミ入れもウェザリングのひとつ!
ディテールをはっきりさせるイメージが強いスミ入れ。でもこれもれっきとしたウェザリングのひとつ。パネルラインに流したスミを拭き取った時に、周囲の色も影響を受けてぼんやりと変化します。この変化が模型に良い雰囲気を与えてくれるんですね。海外ではこれを「ピンウォッシュ」と呼んでおり、ウェザリングの中でも仕上げの作業として重要視されています。
「タミヤ スミ入れ塗料」全色レビュー!!
現在9色ラインナップされているタミヤ スミ入れ塗料。実際にガンダムの顔に流して色を見ていきましょう! 白いパーツに流しているので本来の色が見やすいと思います。
ブラック
▲スジ彫りやディテールがとっても際立つほどの色味が特徴のブラック。他の色に混ぜることで、トーンを一段階落とすこともできるので便利な色です
ブラウン
▲赤味がはっきりしているブラウン。ブラウンは他にダークブラウンという暗めの色があるので、それと差別化がされています。サビ表現や土汚れをイメージしたウェザリングなどにぴったりです
グレイ
▲ガンダムの白にとっても似合うのがこのグレイ。ガンダムのような白や、明るめのパーツにスミ入れする時はブラックよりもグレイのほうがオススメです
ダークブラウン
▲スミ入れの他に、このダークブラウンでウォッシングすると大体の模型がかっこよい汚れを纏うことができるスーパーな色。絶対に1本は持っておいてほしい塗料です
ライトグレイ
▲グレイよりもさらに明るいライトグレイ。装甲の退色表現や、スミ入れでうっすらと影色を入れたい時に使用します。あえてメリハリを抑えたい時は、このライトグレイで攻めてみましょう
ダークグレイ
▲グレイが少し赤味のある色味に対して、こちら黒に近いグレー。ブラックとグレイの中間色になります。使い勝手はとても良く、青や赤などの濃い成型色の上に流してもしっかりと発色します
ピンクブラウン
▲フィギュアのフレッシュの上から流したり、ウォッシングしたりすると、いい感じの影色が表現できます
オレンジブラウン
▲ピンクブラウンよりも暗めの肌の影を表現できるオレンジブラウン。肌だけじゃなく、メカのサビの色にも使用できます
ディープブラウン
▲ダークブラウンよりは赤味の強い茶色がこのディープブラウン。戦車や飛行機のモールドに流すと絶妙なサビ色になります。フィギュアではほとんど影になるような箇所や日焼けしている人の表現などに良いです
ガイアエナメルカラー ウォッシング用カラー
●発売元/ガイアノーツ●各385円
ガイアノーツのエナメル塗料の中で、ウェザリングに特化したのがこの「ウォッシング用カラー」。塗料名も赤サビ、黄サビなどウェザリングを思わせる直球のネーミングになっています。ここでは、スポンジに含ませてパーツにポンポンしたもので各色味を見ていきましょう。
ガイアエナメルカラー ウォッシング用カラーの特徴
ガイアノーツのエナメルカラーはとにかく乾くのが早いです。このウォッシングカラーもその性能を引き継いでいるので、テンポよくウェザリングを楽しめます。またオイル以外にはウッドチップが混入されており、テクスチャー感ある汚しが塗るだけで味わえます。
ガイアエナメルカラー ウォッシング用カラー全色レビュー
ウッドチップが混入!!
▲塗料をアップで見ると小さなざらつきが確認できます、これがウッドチップ。このチップによってざらっとした粒子感あるウェザリングが楽しめるのです
オイルはトロリ
▲オイルにはチップが入っていません。濃度がトロッとしていて、ひと塗りでオイル染みや油汚れなどを表現できます
赤サビ
▲模型が一撃でエイジングするほど強烈な色味! 乾くとウッドチップのおかげでよりサビが浮いた表情になります。ツヤ消し塗料なので、乾燥するとマットなサビに変身します
黄サビ
▲赤サビよりもかなり明るいサビ色。赤サビと一緒に使えば模型にサビのグラデーションを生み出すことができます。こちらもツヤ消し
煤(すす)
▲排気管からのスス汚れや、バーニア付近の汚れなどにぴったりの色。中のチップによる細かな粒子感で、かなりリアルなスス汚れになります
オイル
▲トロンとした濃度の半透明塗料。塗ると光沢になり、オイルで汚れた雰囲気になります。こちらにはチップは混入されていません
埃(ほこり)
▲パネルラインに詰まった埃や、メカや車体の奥まった所にたまったホコリ汚れなどを表現するのにぴったりな塗料。またスポンジでポンポンすると、泥や土がはねて付着したものが乾燥したような雰囲気にもなります
ファレホ モデルウォッシュ
●発売元/ファレホ、販売元/ボークス●各605円
ファレホのスミ入れ塗料がこの「モデルウォッシュ」。スミ入れだけでなく、全体に塗ってウォッシングするのにも適しています。容量も35mlと多く、1本買えば長い間使用できます。今回はオススメの4本をピックアップ!
ファレホ モデルウォッシュの特徴
グレーやブラウンなどの基本色の他に「ヨーロピアンダスト」のような欧州特有のホコリが表現できたり、ダークグリーンやホワイトのちょっと変わった色味もラインナップされています。水性塗料なので匂いもほぼありません。
オススメはこの4色!!
ブラウン
▲とっても汎用性の高いブラウン。サビダレや雨ダレのストレーキング、装甲表面にうっすら浮いたサビを表現するのにとっても便利
ダークブラウン
▲こちらは全体に薄く塗ると、ちょっと濃いめの汚れを纏うことができて、模型に重みが出ます。明るい塗料を使用したウェザリングで模型全体が明るくなってしまった時にはこのダークブラウンでスミ入れして調整しましょう
グレイ
▲メカのスジ彫りに自然なスミを流したい時はこのグレイがオススメ。関節部やメカパーツのスミ入れにも良いです
ダークグレイ
▲よりメリハリあるスジ彫りにしたい場合は、こちらのダークグレイを使用しましょう
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