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MAX渡辺が『Ma.K.』のファルケをスクラッチで製作! ファルケの底なしの魅力に迫る

2022.09.08

Ma.K. in SF3D 月刊ホビージャパン2022年10月号(8月25日発売)

Ma.K. 40周年 ロゴ

MAX渡辺、スクラッチ ファルケ完成!!

 今回はファルケ特集完結編!! 前回ファルケのスクラッチに挑んだMAX渡辺は、横山宏からオリジナルモデルを借り受け、工作が一気に加速! レベル1/32ライトニングや日東1/24トヨタS800などスクラッチ用に収集したキットとポリパテをメインとする工作でオリジナルモデルの雰囲気を色濃くまとったファルケを完成させた。
 オリジナルモデルで使用したキットは入手困難なものが多数存在するため、一部はハセガワ製ファルケのパーツを流用しているものの、連載13年目に突入した「Ma.K. in SF3D」の中でも非常に意義のある作例となったと言えるだろう。製作途中の写真も掲載するのでファルケをスクラッチする醍醐味を体感してほしい。
 また、借り受けたオリジナルモデルをじっくり研究し新たな境地にたどり着いて塗装したMAX渡辺のハセガワ製ファルケ最新作例も紹介! ファルケの底なしの魅力に浸っていただきたい。

Ma.K. ファルケ メイン画像

傭兵軍 反重力装甲戦闘機 ファルケ(スクラッチビルド) 製作/MAX渡辺

Ma.K. ファルケ 1
▲完成したスクラッチビルドのファルケ。黄色い部分はポリパテによる造形で、オリジナルモデルに指を這わせて形状を把握しながら削りぐあいを調整したという
Ma.K. ファルケ 2
▲反重力装置はオリジナル同様、直径約38mmの旧規格ピンポン球を使用。緑色のパーツはハセガワ製“Ma.K.40周年記念”ファルケから拝借した
Ma.K. ファルケ 3
Ma.K. ファルケ 4
Ma.K. ファルケ 5

▲︎流用元のマッチボックス1/32ドーントレスのパーツの中央が隆起しているため、オリジナルモデルのダイブブレーキ兼スタビライザーの端はわずかに捻じれている

Ma.K. ファルケ 6
▲見どころのひとつである武装周り。未塗装状態を完成形としたことで、どこまで既存のキットから流用したかがわかる
Ma.K. ファルケ 7
▲細かなモールドが密集する緊急用エンジンはハセガワ製ファルケから流用し、後端のみヤクルト容器を芯にした
Ma.K. ファルケ 8
▲︎ヤクルト容器上部にプラ板を規則的に貼る。噴射口はイタレリ1/35 IV号戦車から
Ma.K. ファルケ 9
▲オリジナルモデルと揃い踏み。バルカンの砲身の太さなど、あえてハセガワ製ファルケに寄せた箇所もある
Ma.K. ファルケ 10
▲MAX渡辺の未塗装のスクラッチ作例では、なだらかな表面に入れたスジ彫りが全体を引き締める効果的なアクセントになっている
Ma.K. ファルケ 11
▲︎ハッチを開閉可能にするため、ポリパテ製本体をヒートプレス。この後、トライ&エラーを繰り返す
Ma.K. ファルケ 12
▲スクラッチした本体の上部をくりぬき、ハッチがぴったり合うようにポリパテで微調整していく
Ma.K. ファルケ 13
▲真鍮線を貫通させ双胴部を本体に接着し底面に流用パーツやハセガワ製ファルケのパーツを貼り付ける
Ma.K. ファルケ 14
▲エアインテイクパーツの接着前にキットを見本にモールドを彫る
Ma.K. ファルケ 15
▲︎ハセガワ製ファルケのギミックを組み込み、ハッチは開閉可能に。また、重量バランスで傾かないよう双胴部先方に錘を入れた
Ma.K. ファルケ MAX渡辺 横山宏 KATOOO 
▲月刊ホビージャパン本社屋上でMAX渡辺、横山宏、KATOOOの3氏が記念撮影。横山氏は今回のファルケ特集について、「メチャほめてもらって少し照れるけど、おもしろい記事ありがとうございます。40年前に会った渡辺君が60歳のMAX氏になった時に自分のアドリブを解析してくれて再現してくれるのはスゴ~~~~く幸せを感じます」と感激のコメント

■この月刊ホビージャパン2022年10月号が出る頃、僕は…
 野尻湖トライアスロンを終え、2022年8月末の丸沼スイムラン、そして1週間後(!!)の佐渡トライアスロンに向けてトレーニングを重ねているトライアスリート模型芸人MAX渡辺です! 丸沼スイムランは湖を泳ぎ、山を駆け、を繰り返して総計8kmスイム、20kmトレイルランするサバイバルレース。コレだけでも相応のダメージを喰らいそうなのにその次週、国内レース最難関とウワサされる佐渡トライアスロンストロングマンレースに出るんですよ。このスケジュールはマヂ過酷……。不安な面が多過ぎてむしろ感覚が麻痺、ただただ黙々と泳力、持久力を高めるべく汗を流しております。フィジカル的には60年の全人生で最高に高いハードル、どうか無事を祈っててくださいね。

■やっぱりファルケは凄かった。
 双胴船のように2本の腕が前方に伸び、センターにコクピット、後方に補助動力のエンジンを積む構成。ココに『Ma.K.』をSFたらしめる「反重力装置」が3基ユニットされた他に類を見ない異様(威容)の戦闘機ファルケ。そしてコレらの構成要素がヌメッと滑らかな3次曲面で繋がれたフォルム。何から何まで40年前に産み出されたとはとても思えないオーパーツだと再認識しました。造形作家横山宏の造形行為を追体験すべく企画した今回のスクラッチビルドでその想いをより強くした次第です。「ブレードランナーのポリススピナーから着想したのよぉ~」と先生は言うとりましたが、イヤイヤイヤイヤ、ふたつのバルジが前に伸びてるとこは確かにそうだけど、そこからファルケを作れちゃったのは宇宙にただひとりアナタだけですから。

■オリジナルモデルを見ながらコピー工作出来る幸せったら
 ソリャもう役得というかスペシャル過ぎてゴメンなさいとしか言えないです。今回実際に再現造形を試みて驚いたのは、元となったキットパーツをそのまま十全と活かす部位は、全体の4割ほどと想像していたより少なかったという事実。各ブロックを繋ぐ曲面はポリパテで造形されていますし、コクピットに至ってはほぼフルスクラッチ造形なのです。しかもココは外形の造形に留まらずコクピットハッチをバキュームフォームして操縦席まで……恐るべき熱量ですよ。オリジナルの表面に幾度となく指を這わさせていただき、氏の「こういうカタチにしたい、こうじゃなきゃダメ!」という思いがヒシヒシ伝わってきてホント得難い経験でした。出来上がったそのカタチは無骨とも流麗とも断言、形容できない複雑な魅力を醸していますね。何処か可愛らしい、そしてエロティックなんです。その柔らかさと硬さに近似したモノは何だろうとしばし思案しましたが、ソレは男性器かなと。「そうですそうです、チ○コですよぉ」と横山センセは言い切りそうですが、コレを掲載するかどうかは検討の余地アリ、ですよね。
 KATOOOさんの全面的かつ献身的協力のもと進めて来ましたが、入手困難なパーツも多数ありましたので、そこはハセガワ製ファルケから流用補填しました。完全再現とまではいけませんでしたが大満足です♪♪ パーツ構成を見せるためにも敢えてサーフェィサーも吹かずにこの状態で完成とさせていただきます。

1/20スケール スクラッチビルド

傭兵軍 反重力装甲戦闘機 ファルケ

製作・文/MAX渡辺
協力/鈴木孝、仁平哲也

反重力装甲戦闘機 Pkf.85 ファルケ “Ma.K.40周年記念”
●発売元/ハセガワ●7040円、発売中●1/20、約28cm●プラキット●限定生産版のため、現在店頭在庫のみ


傭兵軍 反重力装甲戦闘機 ファルケ(プラスチックキット) 製作/MAX渡辺

▲硬質感のあるグリーングレーにツヤのコントロールやウェザリングが味わいをさらに深めている

▲オリジナル(左)との比較。似て非なる絶妙な色に仕上がった

▲着座姿勢のパイロットを大胆に切り刻んで直立状態にした

▲︎キット付属フィギュアを芯にポリパテで加工したパイロット

■そしていまさらのように噛み締める「プラモデルが在るシアワセ」
 コピースクラッチビルドと併行し、原点に触れるべくオリジナルモデルのカラーリングをやってみようと。せっかく現物をお借りしているし、もうソックリのレプリカに塗ってやろうと意気込んで臨んだのですが……ある意味失敗しました。ともに歩んだ13年の連載経験を経て、僕MAX渡辺なりの横山宏的色感覚を手にした今、40年前のモデル再現に留まることはできなかったのです。調色して塗り始め、絵の具を微調整して塗り進めるうちに、「この色、オリジナルとはかなり違うけど凄くイイ!!️ きっと横山さんもコッチが良いって言うに違いない!!️」と強く思ったのでした。言い訳めいて聞こえてしまうかもしれませんが事実です。そしてコレだけ塗り続けたから出せた色だよなぁとしみじみ思うのでした。継続はチカラ、そして与えられた場と与えてくれた方々(もちろん読者の方々含む)に感謝しかありません。
 スクラッチビルドは想像したより数倍大変でした。キットがなかったらコレを作れる人はホント少ないだろうと思います。ハセガワさんに改めて大感謝です。
 横山宏体験、面白過ぎました。『Ma.K.』原理主義者たちの気持ちが少し分かりましたよww

ハセガワ 1/20スケール プラスチックキット

傭兵軍 反重力装甲戦闘機 ファルケ

製作・文/MAX渡辺
協力/鈴木孝、仁平哲也


これまでのファルケスクラッチ

文/KATOOO(レインボウエッグ)

 初掲載の月刊ホビージャパン1983年3月号の詳細な製作記事を読み、多くのモデラーが挑んだ1/20ファルケのスクラッチ。月刊モデルグラフィックス2000年1月号の誌上コンテストには完成度の高いサイトウヒールさんの1/20ファルケが掲載されます。ファルケをはじめとするヒールさんの掲載作品は横山先生の目にとまり、ヒールさんと横山先生の交流がスタートします。
 ワンダーフェスティバルでは国内外からさまざまな1/20ファルケのレジンキットが発売されました。レインボウエッグが2003年にワンフェスで販売したファルケを2008年に横山先生がリペイントし、ハセガワ製プラキット発売前にドイツ・ニュルンベルクで展示されました。

▲ヒール氏のファルケ。塗装を落とし20数年経った現在も手を加えている
▲レインボウエッグ製ファルケ(塗装・横山宏)

アーカイブ本第4弾鋭意進行中!!

 収録回数が従来の2冊分となる「Ma.K. in SF3D ARCHIVE」第4弾は現在再編集作業中。誌面の都合で小さいスペースとなっていた写真はなるべく大きく、未公開写真も掲載した内容となる。MAX渡辺×横山宏スペシャル対談も収録。両氏のコメントも紹介しよう。

▲左が第4弾の印刷前の見本。右の前巻と比べると厚さの違いは一目瞭然
▲左が連載時(2013年8月号)、右が「-ARCHIVE」vol.4での再編集後

『Ma.K.』ファンにぜひとも2冊買ってもらって1冊はボロボロになるまで読んでほしいです!(MAX渡辺)

『Ma.K.』40周年の2022年に連載のまとめ本が2倍のボリュームで出ます。30回分で内容も濃いよ(横山宏)

Ma.K. in SF3D ARCHIVE Special 2013.7-2015.12 vol.4

●発行元/ホビージャパン●7700円、9月22日予定●A4判


WF2022[夏]『Ma.K.』アイテムレポート

 2022年7月24日に千葉・幕張メッセで「ワンダーフェスティバル2022[夏]が開催された。ここでは一般企業ディーラーや当日版権ディーラーの中から『Ma.K.』アイテムの一部を紹介しよう。

▲核誠治造1/16クレーテの塗装済み完成品が会場で発表された
▲ポゴナ造形はS.A.F.S.のレトロソフビ完成品を特大~小の各サイズで販売
▲キュスター用パーツやパックレーテの長砲身、短砲身も付属し内部構造も再現

「キチジョージ・モケイ展」レポート

 2022年7月30、31日に東京・吉祥寺の「ギャラリー永谷」で「キチジョージ・モケイ展3」が開催された。横山氏の作品をはじめバラエティ豊かな展示品に会場は賑わった。

▲横山氏は「横山 宏のマシーネンクリーガー展」後の作品を多数展示。ケース越しでなく直に作品が見られるとあってファンは歓喜した
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© Kow Yokoyama 2022

MAX渡辺/横山宏/KATOOO(レインボウエッグ)

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