水性エマルジョン系塗料
シタデルカラーやファレホ、アクリジョンと言った「水だけで塗装が楽しめる」塗料。これが水性エマルジョン系塗料です。希釈、筆の掃除などに必要なものが水だけ(専用のうすめ液もあり)で、ほぼ無臭。筆塗りからエアブラシ塗装まで楽しめる性能も有しています。
シタデルカラー
●発売元/ゲームズワークショップ●600円〜
イギリスのゲームズワークショップが販売するシタデルカラー。塗料が色だけでなく役割分担がしっかり分けられているのが特徴です! この用途を知れば、一気に塗装が楽しくなります。シタデルカラーの容器には色名の他に、ベースやレイヤー、シェイドなどの文字が書いてあります。これは塗料の種類を指しています。種類ごとに用途と特性があるので、しっかりと覚えていきましょう!!
●良い点
塗料の伸びと隠蔽力の凄さだけでなく、乾燥がとても速いです。エマルジョン系の中でも乾燥の速さはダントツ。筆塗りした部分が2分ほどで乾燥します。
●留意したい点
色名が『ウォーハンマー』の世界観を反映した名前(ガンダムカラーで言うティターンズブルー)なので、パッと色味が思い浮かばないのと、色名が覚えにくいです。
ベース
▲ベースは名前の通り、シタデルカラーの基本で、下地としても使えるカラーです。隠蔽力と発色が強く、一撃で発色します。暗めの色が多く揃っているのも特徴です。もっとも使い勝手のいい種類で、ミニチュアだけでなくさまざまな模型ジャンルにおいて、ちょっとした部分に色を入れたいときに重宝されています。赤いラベルが目印
レイヤー
▲レイヤーは透過性のある塗料で、主にベースの上から使い、下地を活かした塗装ができます。ベースよりも明るめの色が多くラインナップされ、ミニチュアの塗装においてはハイライトやグラデーションに用いられます。ポッドのラベルは青
シェイド
▲他のカラーよりも薄い色で、流動性が高くスミ入れなどディテールの陰影を強調することができます。この塗料を塗ると、筆ムラも目立たなくなります。ラベルは緑色
ドライ
▲ドライブラシという技法に使われる専用の塗料で、他の色に比べてもっとも高濃度。プルプルとした状態で容器の中に入っています。レイヤーよりも明るい色が多く、模型の凸部分に色を入れてハイライトを表現するのにピッタリです。ラベルは薄い茶色
コントラスト
▲シェイドをカラフルにしたような塗料で、キットのモールドに沿って凸部分は薄い色、凹部分には濃い色が溜まり、グラデーションが自動で塗れる塗料です。希釈せずに使うか、専用の「コントラスト・メディウム」と混ぜて使いましょう。背の高いポッドとコントラストの文字が目印
テクニカル
▲シタデルカラーを滑らかに希釈できるラーミアン・メディウムや、塗るだけで地面が完成するテクスチャー系塗料が揃っています。テクニカルという名の通り、他の塗料ではできないスペシャルな効果に特化しています
シタデルエアー
▲エアブラシ塗装に適した濃度に希釈された状態で売っているカラー。通常カラーと同じ色名は、色味も一緒になっています
まずはベースカラーを使ってみて!!
▲黒い下地に赤が一撃で発色するように、驚異的な隠蔽力はぜひ体感してほしいです。これによって、細部の塗装が一気に怖くなくなります
アクリジョン
●発売元/GSIクレオス●198円〜
水性ホビーカラーとともに販売されている、GSIクレオスの水性塗料「アクリジョン」。水性ホビーカラーよりも匂いが少ないので、快適さは抜群。
近年このアクリジョンを塗りやすくするための塗料「アクリジョンベースカラー」や専用のリターダーも登場し、アクリジョンにおける周辺環境も変化しました。
●良い点
超低臭。水だけでコントロールできる。下地無しでレジンにも密着し、ABSも侵しません。日本の多くの模型量販店で購入可能。
●留意したい点
そのままだと粘度が高く、希釈に癖があるので慣れが必要。
アクリジョンの特徴!
●乾燥後は耐水性になり、耐溶剤性のある塗膜を形成します。超低臭な模型用塗料。
●これまでの水系エマルジョン塗料では難しかった光沢塗料もラインナップ。
●低溶剤なので、溶剤で破損がしやすい薄い成型のABS製パーツを浸食しにくくなっています。
●プラ樹脂を溶解して食いつく溶剤系塗料と異なり、塗料自身の食いつき力で定着します。耐溶剤性の強いウレタンレジン樹脂などにも、プライマーなしで塗装することが可能です。ポリカーボネートにも塗装が可能です。ただし、食いつきに関してはプライマーを含めた下地処理を行ったほうが性能が向上します。
アクリジョンリターダー
●発売元/GSIクレオス●198円
▲アクリジョンを筆塗りで使用する際に、乾燥速度を落とし、筆さばきを滑らかにしてくれます。ほんの1滴で充分なので、入れ過ぎには注意しましょう
アクリジョン専用ツールクリーナー
●発売元/GSIクレオス●440円(110ml)、770円(250ml)
▲乾燥した塗膜は強固になります。このツールクリーナーがあれば、使用後の道具のメンテナンスも快適に行えます
アクリジョンの特徴のグロス感
▲エマルジョン系の塗料多くはツヤ消し塗料で、後からクリアーコートをして光沢にすることが多いです。アクリジョンは光沢がラインナップされていて、エアブラシで吹いてみると、キレイなツヤを楽しめることが分かります
アクリジョンベースカラー
●発売元/GSIクレオス●330円
▲アクリジョンベースカラーは、アクリジョンの塗装前の下地作りに最適な塗料。隠蔽力を高めた成分設計で、下地として最初に塗っておくことで、アクリジョン通常色の発色が格段に向上します。成膜後は耐溶剤性が強いので、Mr.カラーと水性ホビーカラーのカラーサーフェイサーにも使用できます。
ベースブルー
ベースイエロー
ベースレッド
ベースグレー
エアブラシ塗装時は「アクリジョン専用エアブラシ用うすめ液 改」で!!
▲アクリジョンはエアブラシ塗装も可能。エアブラシ塗装の時は水で希釈するとコントロールが難しいのですが、専用の「エアブラシ専用うすめ液 改」をアクリジョン1に対し、うすめ液を0.3で入れてみるととっても快適に塗装ができます
ボークスが輸入・販売するスペイン生まれの水性塗料「ファレホ」は、色数がとにかく豊富です。1000を超える種類があり、さらに用途ごとに細かくシリーズに分かれているので、慣れない人は膨大な選択肢に圧倒されてしまいます。
主成分の約60%が水と同じ成分であり、希釈に水(精製水)が使えるというところも安全なので、家のリビングでも気軽に塗装が行えます。全国のボークスショールーム、秋葉原ホビー天国2、ホビースクエア、ホビー天国ウェブ、全国の特約店にて購入可能です。
●良い点
色数が豊富で全模型ジャンルに対応可能。目薬ボトルで塗料を1滴ずつ手を汚すことなく出せるので快適。
●留意したい点
色数が多すぎて慣れないうちは色選びに苦労するかも。
▲塗料を出すのが超快適。蓋はスクリューキャップで、開けると細いノズルが出てきます
▲押すだけで塗料を出すことができます。手を汚すことなく、適量を快適に出すことができます
筆塗りは水だけで楽しめます
▲ファレホはキレイに水に溶けます。お水とパレットさえあれば、すぐに塗装をスタートさせることができます
モデルカラー
▲ファレホのもっともスタンダードな種類です。ボトルに入った状態で、筆塗りに適正な濃度になっています。希釈は水でOKなお手軽さ。薄めてエアブラシでも使うことができる汎用性の高さもあります。もちろん色数も豊富なので、キャラクタープラモから、ミニチュア、スケールモデルなどの塗装も行えます
メカカラー
▲ファレホを試してみたいけど、色数や種類が多すぎてどこから手をつけようか分からない……なんて方にオススメなのが「メカカラー」シリーズ。キャラクターメカに対応した色がラインナップされ、基本色だけでも42色、その他にメタリックやウェザリングも用意され、ロボットを塗装するのにうってつけのシリーズとなっています
▲こちらはレッド。メカキャラクタープラモにぴったりのカラーに調整されているので、混色なしですぐに塗れます
モデルエアー
▲モデルエアーはエアブラシ用として発売されており、キャラクターからスケールキットまでカバー可能な200色ほどの基本色がラインナップされています。エアブラシ用と言っても、筆塗りにもすごく便利! 薄い塗料を数回重ねて滑らかに仕上げたい場合は強い味方になってくれます
モデルカラー
モデルエアー
▲モデルカラーとモデルエアーを比較すると、その濃度は一目瞭然。ボトルから塗料皿に出して傾けると、モデルエアーの流動性の高さが良く分かります
ファレホと一緒におススメのマテリアル
▲左からホビー精製水、ブラシレストアラー、エアブラシシンナー。精製水は不純物が無いので塗料がよりきれいに希釈できます。ブラシレストアラーは筆の頑固な汚れをキレイにしながら、リンス成分もあるので筆が長持ちします。エアブラシシンナーは筆塗りにも効果的。希釈しながら、乾燥を早める効果もあります