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初心者でも戦車模型がここまでできる! フィギュアとディオラマをカッコよく作る裏技!

2022.07.05

一流モデラー直伝!! 初心者モデラーでもかっこよく戦車模型を作れる裏技!! 月刊ホビージャパン2022年8月号(6月24日発売)

初心者が模型製作で感じる疑問を初心者目線でピックアップし、一流モデラーがそれを答えていくという内容で構成される新刊『プロモデラー直伝!戦車模型上達の近道』。前回の「一流モデラー直伝!! 初心者でも戦車模型をカッコよく作れる裏技を紹介!」に続き、発売前に本書の内容を少しだけご紹介!

モデラープロフィール


初心者モデラー代表
メア

●ガンプラ製作歴1年目にして戦車模型に興味を持ちはじめた好奇心旺盛の初心者モデラー


ミリタリーモデラー
上原直之

●戦車単体からフィギュア、ディオラマまでを高度に仕上げるマルチミリタリーモデラー

レジェンド・ディオラマアーチスト
奥川泰弘

●20数年前のミリタリーモデルブーム全盛期から、ハイレベルな作品を発表しているレジェンド

 前回一流プロモデラーの方々に伝授していただいたポイントを抑えた製作方法によって、全くテクニックの無い戦車模型ド素人の私でも、かなり見映えの良いIV号戦車G型を完成させることができました。戦車自体は我ながらとても高い完成度に仕上がったと自負しているのですが、うーん、何かもの足りない…。ミリタリーモデルを作っている方々からよく聞く「ミリタリーモデルの醍醐味はフィギュアとディオラマだ!」。そう戦車単体もまともに仕上げられなかった私ですが、いざそれなりに作れるとなった瞬間に感じたもの足りなさはまさにフィギュア、そしてディオラマだったのです。人間とはなんと欲深いのでしょう…。でも「リアルなミリタリーフィギュアの仕上げ方」みたいな模型専門書を読むと、使用する塗料から筆まで専門のものを推奨されていて戦車以上に敷居が高いと感じました。またディオラマも「自由に作って良いんだよ」と書かれていますが、レイアウトの原則が…とか建物とかの自作方法とかが紹介されるばかりで、素人お断りな雰囲気しか感じません。やはりもっともっと修行を積んで、それなりのレベルに達さないとフィギュアやディオラマ製作に手を出すというのは愚行なのでしょうか?(メア)

ドイツIV号戦車G型 初期生産車

●発売元/タミヤ●4620円、発売中●1/35、約18.7cm●プラキット

フィギュア製作やディオラマ仕上げはベテランモデラーの専売特許ではない!

そんなわけで戦車模型初心者の私がフィギュアを添えてディオラマ仕立てで仕上げたい衝動に駆られているのですが、もっと模型修行を積んでから挑むべきなのでしょうか? 修行するにしても、そもそもどこからどうやって始めたらよいでしょうか?(メア)

●フィギュアの仕上げ方は際限なくこだわることができ、最終的には美術の絵画のような手法を用いたりする人もいます。模型専門書ではそのような手法がピックアップされがちなのでとても敷居が高いように見えますが、本来は戦車模型同様に気軽に楽しめます(上原)
●ディオラマ製作は自由度が高いのが魅力ですが、最初は市販品などを多用して気軽に楽しみましょう(奥川)


要点を抑えてフィギュアを簡単に仕上げる裏技

今までフィギュアなんて塗ったことがない初心者モデラーでも、ひとつひとつ工程を進めていけばそれなりに雰囲気のあるフィギュアが作れると教えてくれたのは講師の上原直之さん。私でもフィギュアを仕上げることが可能ってまだ半信半疑ですが、その技を伺っていきましょう!

パーツ整形は最小限の工作で問題なし!

戦車のキットに付属しているフィギュアを仕上げたいです。フィギュア用に特別な工具などは何を揃えたら良いですか?(メア)

戦車を製作した際に使った工具だけで製作できます。タミヤのIV号戦車G型のように最新キットに付属しているフィギュアはとても出来がよいので、ディテールアップする必要もなく、成型時にできるパーティングラインなどを処理するだけでリアルに仕上がります(上原)

▲パーティングライン(赤線)とゲート跡(青い丸)といったパーツ成型時に生じる箇所をきれいに処理しましょう。また接着時接着ライン(黄色線)がきれいになるように注意します
▲パーティングラインやゲート跡はデザインナイフの刃を立ててカンナ掛けのように削ります
▲削り終えたらスポンジヤスリでならします
▲パーツの接着はトロトロタイプの接着剤を使用します
▲接着剤が乾く前に車両に仮置きして自然にフィットするよう調整します

特別なテクニックが無くても、塗料を使いわければフィギュア塗装は簡単に仕上がる!

スゴ腕モデラーさんの作例を目にしているせいか、やはりフィギュアの塗装には怖気づいてしまいます。よく聞く油絵の具を使わずとも、フィギュアの塗装ってできますか?(メア)

フィギュアを絵画のように仕上げたい一部の人は油彩を使いますが、そのような情報が断片的に広まったため敷居が高く感じるかもしれません。実際は模型用塗料だけで塗装可能です(上原)

▲最初にサーフェイサーを吹きます。ここでは戦車の車体で使用して余ったオキサイトレッドを使用していますが、色味に重要性はなくグレーでももちろんOKです
▲肌部分には筆目などを付けないほうがキットのモールドを活かせるので、エアブラシを使用してラッカー塗料の肌色を吹きつけます
▲服の色はアクリルカラーを筆に取って塗ります。タミヤアクリルカラーは筆塗りがとてもやりやすいので筆目がほとんど目立ちません
▲階級章などのディテールはこの時点で描き込みます。きれいに描く自信が無い場合は別売りされているデカールを使用すると良いでしょう(私は全く自信がなかったので「ドイツ兵階級章デカールセット(アフリカ軍団・武装親衛隊)」を使用しました
▲エナメルカラーのフラットブラック、フラットブラウンを混色した濃い茶色でウォッシングを行います。今回はヘタにこだわらず服に使用したのと同じ塗料で顔などの肌部分にも施していますが、ちょっと馴れてきたら肌部分と服の部分で色味を変えても良いかもしれないとのことです
▲ウォッシング塗料が乾いたらエナメル溶剤を含ませた筆で拭き取ります。その後平筆で全体的にドライブラシを施します

▲こちらは完成した状態。簡単な仕上げ方ですが雰囲気はバッチリです


既製品を使って本格ディオラマ作りに挑戦

戦車とフィギュアが完成したら、次に挑戦してみたいのがディオラマ製作! ディオラマに挑戦したことがない人でも簡単に挑戦できるキットや、小物を使えば戦場を表現することができると教えてくれたのは、ディオラマアーチストでレジェンドの奥川泰弘さん。一からディオラマ製作を学んでいきます。

建物などのストラクチャーは多彩な市販のキットを使うべし!

初心者ですが、無謀にもディオラマに挑戦したいです。身の丈の技術に合ったディオラマ製作の第一歩を踏み出し、なおかつそれなりに満足のいく作品に仕上げるという、そんな都合の良い方法ってありますか…?(メア)

最近はディオラマ用に作られたストラクチャー(建物など)やアクセサリー(小物)などのキットも多いので、まずはそれらを使用して挑戦してみましょう。ミニアートからはいろんな種類のストラクチャーが発売されています。組み立てにはプラモデルとは異なるちょっとしたコツが要りますが、自作するよりは遙かに楽なのでオススメですよ(奥川)

廃墟の家

●発売元/ミニアート●店頭在庫のみ●1/35●プラキット

事務机 & アクセサリー

●発売元/ミニアート●2592円、発売中●プラキット

▲ミニアートのストラクチャーキットの内容はこんな感じ。大部分はプラ板にプレスされたような感じで、プラモデルとは異なる組み立てかたになりそうです
▲まずはディテールのある部分を切り出します。デザインナイフでパーツの境目をなぞるようにしてキズを少しずつ入れます
▲ある程度ナイフで切れ込みを入れたらエナメル溶剤を流します。するときれいに切れ込みからパーツが外れます
▲平らな場所に置いた荒目の紙ヤスリの上からパーツの切断面を削って均等にならします
▲パーツの貼り合わせ部分はプラ板を裏から貼って流し込み接着剤で強引に接着します
▲小物類は通常のプラモデルと同じ組み立て手順です

達人の特選ディオラマ用品

●ディオラマを製作するためのマテリアルは模型屋のほか、ホームセンターで購入することができます。ここでは今回のディオラマ製作で使用したマテリアル類を紹介します

●モーリー製 瓦礫類

モーリーからは他にもさまざまなディオラマ用品が発売されています

●タミヤウェザリングマスター

建物や地面への微妙な埃汚れ表現に最適です。模型屋で購入可能

●スタイロフォーム

切削性が良くディオラマの地形作り等で使用されます。ホームセンターで購入可能

●木材

特定の推奨メーカーはないのですが、画材屋で購入できます。木の破片作りに最適です

●定着材

ばらまいた瓦礫などをディオラマベースに固定するのに使用。木工用ボンドでも代用可能です

●Mr.ウェザリングカラー

油彩があらかじめ希釈されており、建物や地面のウォッシングに気軽に使用できます

●ウェザリングパステルセット

土埃などのウェザリングが手軽に行えるパステル粉のセット

ディオラマの達人直伝 瓦礫にまみれた街の製作法

戦場を表現したディオラマにさまざまな瓦礫や小物を配置すると臨場感がグッと増します。「ただばら撒くだけでいいの?」「リアルな感じってどうやって出せばいいの?」そんな疑問を、製作の順番を辿りながら解説してもらい実践します。今回はドイツの街並みを表現しています。

市販品を効果的に使えば初心者でも手軽にリアルなディオラマが作れる!

建物などを配置してみましたが、イマイチ臨場感が足りない気がします。もっと戦場の雰囲気を出したいのですが…(メア)

戦場らしさを表現するために瓦礫や小物をばらまきましょう。じつはとても簡単で、なおかつ効果的な作業なんです(奥川)

▲瓦礫を積む場所にかさ上げのためのスタイロフォームで土台を作ります。瓦礫の隙間からスタイロフォームが見えないよう、アクリル塗料のブラックで塗ります
▲石膏で作った瓦礫とレンガを積みあげてます。レンガは少しペンチで破壊すると良いでしょう
▲家から出た樽や机などの小物を配置します
▲上から定着剤を垂らし小物を固定していきます。
▲ウェザリング液で瓦礫にウォッシングをし、影をつけていきます
▲タミヤのウェザリングマスターを小物や瓦礫の角につけて埃汚れを表現していきます

実際に街のディオラマを作ってみました。家の壁が戦車によって破壊された感じが表現できて、こんなに簡単にディオラマができちゃうなんて感激しています! でも、この街並みドイツの建物なんですよね、私の作ったIV号戦車はアフリカ仕様だそうで、街並みに合わない……ということで、前回の講師の齋藤仁孝さんが作ったキングタイガーをのせてみました! 街並みと戦車がマッチして本当に戦場が目の前にあるみたいです。こんなに簡単にできてしまうんですね! この超かっこいいキングタイガーの三色迷彩の簡単な塗装法も、『プロモデラー直伝! 戦車模型上達の近道』で解説されているので必見です!

さらに内容が充実のムックが発売中!!

プロモデラー直伝! 
戦車模型上達の近道

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定価:1980円(本体:1800円+税10%)
発行元/ホビージャパン

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