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一流モデラー直伝!! 初心者でも戦車模型をカッコよく作れる裏技を紹介!

2022.06.05

一流モデラー直伝!! 初心者モデラーでもかっこよく戦車模型を作れる裏技!! 月刊ホビージャパン2022年7月号(5月25日発売)

初心者が模型製作で感じる疑問を初心者目線でピックアップし、一流モデラーがそれに具体的に応えていくという内容で構成される新刊「プロモデラー直伝! 戦車模型上達の近道」の発売前に記事をピックアップ。模型初心者でも月刊ホビージャパンに掲載されているプロモデラー作品のように戦車模型を気軽にかっこよく仕上げるコツを紹介します


モデラープロフィール

初心者モデラー代表
メア

●一年前にガンプラ製作で模型に目覚める。『ガルパン』の影響で戦車模型に初挑戦! 

ミリタリーモデラーの最高峰
土居雅博

●ミリタリーモデル一筋40年以上! 日本を代表する生粋のプロミリタリーモデラー

土居雅博の一番弟子モデラー
齋藤仁孝

●土居雅博氏の元でミリタリーモデルを学び、模型雑誌で定期的に作品を発表

●約一年前になんとなく組み立てたガンプラで模型製作の楽しみに目覚めた私が、今興味をもっているのが戦車模型。でも無塗装でも楽しめるガンプラとは違って塗装仕上げは必須だし、組み立て方も違うため尻込みしてしまいました。モデラー歴の長い知人から「初めての戦車模型ならタミヤ製品を買っておけば大丈夫」とアドバイスを受けたので、とりあえず好きなIV号戦車の最新キットを買って説明書どおりに組み立ててみました。タミヤの戦車模型は評判どおりで初心者の私でも完成させることができましたが、「いかにも初心者が作りました」感が否めません。これは私の技術力の問題なのです。初心者モデラーは修行する心づもりで少しずつ精進し上手くなるまで戦車模型を純粋に楽しむのを我慢するしかないのでしょうか?(メア) 
●初心者だから我慢が必要なんてナンセンスです。初心者でもベテランでも楽しめるのが模型なのです。その極意をここで少し紹介しましょう。(土居雅博)

ドイツIV号戦車G型 初期生産車

●発売元/タミヤ●4620円、発売中●1/35、約18.7cm●プラキット

工作ポイントを絞って“脱・初心者”仕様で仕上げる

上の写真は説明書通りに組み立てたIV号戦車G型です。初心者でも組み立てることができましたが、この時点でベテランモデラーが作ったものとは何かが足りないように感じます。プロモデラーに近づくためにはどのような技術を習得したらよいでしょうか?

タミヤの製品は戦車模型初心者はもちろん、ベテランモデラーでも充分満足のいく高い品質が特徴なので、このアイテムをチョイスしたのはとても良いですね。初心者感が高いとのことでしたが、その要因はオリジナリティが足りないことでしょう。それを補うのは高い技術ではなく、工作の種類、知識です。それを知れば、初心者でも戦車模型製作の醍醐味を体感できると思います。

プラスチック加工で簡単ディテールアップ

模型の醍醐味といえば、キットにオリジナルの要素が加味できるディテールアップ工作が挙げられます。「そんなのベテランモデラーだけの特殊な技術なんじゃないの? 初心者は素直にキットの説明書どおりに作るのが良いのでは?」。そんなことはありません。初心者にだってディテールアップ工作を楽しむことができるのです!

プラスチックパーツにひと手間加えてみよう

ディテールアップってエッチングパーツとかを使う……と、何かの本で読んだのですが、私みたいな初心者でも扱えますか?

ディテールアップは楽しいのでオススメですが、ディテールアップ=エッチングパーツって考えはナンセンスですね。小難しいテクニックを凝縮した本にはそういったテクニックも載っているけど、ディテールアップというのは本来は本人が工作を楽しむため“だけ”の手法といっても過言ではないので、エッチングパーツのような扱いづらいパーツを使用して苦しむくらいなら、扱いやすいプラスチック加工のほうが断然オススメです

他の車両でも応用が効くぞ!!

プラスチックパーツを加工して行うディテールアップって、他の車両でもできるものですか?

もちろん。例を紹介しますが、2022年6月30日発売の「プロモデラー直伝! 戦車模型上達の近道」により詳しく載せています(宣伝)。

JS-2スターリン

●戦場記録写真などで見かけるフェンダーがベコベコになっている状態のJS-2を再現。JS-2のフェンダーなどは車体に比べて極端に貧弱で、どこも壊れていない状態のほうが珍しいので効果的な表現である

キングタイガー

●故意にフェンダーが取りはずされている状態を再現したキングタイガーのフェンダー加工。ソ連戦車よりも若干頑丈なので、泥詰まりや乗り降りの際の足場の確保のためにこうなっている車両が多い

パンター中戦車

●これは敵弾を受けて砲塔が破損したバトルダメージ表現。パンターの装甲は硬質のため、著しく強い攻撃を受けた場合、装甲板が割れてしまう状態を再現した。プラスチック加工ならではの表現である

実践!! IV号戦車のフェンダーに表情をつけてオリジナリティを出す!

▲フェンダーを上げた状態を再現します。まずは模型用の薄いノコギリでフェンダー部分を切り離します
▲断面部分はプラスチックの厚みが露出するので、デザインナイフでエッジ部分を削り、薄く見えるようにします
▲切り取った側のフェンダーの断面部分も、車体側同様にデザインナイフで削って薄くします
▲フェンダーを上げた位置で接着します。バネパーツは少し長さが足りなくなったのでプラ材で追加してから接着しました

塗料の種類と最適な作業の順番

ことミリタリーモデルの製作ではラッカー系、アクリル系、エナメル系の塗料を使いわけて使用される実例が多く、それが初心者モデラーの障壁となる場合が多い。そこでここでは各塗料の特性を簡単に理解した上で、実際に一流モデラーが多種の塗料を使いわける理由と具体的な例を紹介しましょう。塗装編の講師は齋藤仁孝氏が担当。

塗料の基本的な特性

模型の塗料っていろんな種類があるけど、どの塗料をどのように使うのが良いか? が正確に理解できていません…。

塗料にはそれぞれに特性があって用途に合わせる事でさまざまな表現ができるようになるので、まずは基本を学びましょう。

ラッカー系

●ラッカー系塗料は模型用塗料の中でも塗膜が強いことが特徴です。またアクリル系塗料、エナメル系塗料を塗り重ねても影響が少ないことから基本色塗装に最適の塗料です

アクリル系

●ラッカー系塗料に比べると塗膜の強さこそ劣りますが、下の色を隠す“隠蔽力”が高く、また有機溶剤を含まないため匂いが少ないので長い時間の作業がしやすいことが特徴です

エナメル系

●塗料の伸びが良いため筆塗りに適しています。塗膜は弱いのですがラッカー系やアクリル系塗料の塗面を侵しにくい特徴があり、仕上げのウェザリングに向いている塗料です

塗り重ねの法則を理解する

●それぞれの塗料の特性を理解して、互いの塗面への影響を理解しましょう。まずラッカー系塗料はアクリル、エナメル系の影響を一切受けません。そのため下地や基本塗装に用いられます。アクリル塗料の塗面はエナメル塗料に侵されませんが、ラッカー系塗料の影響は受けます。エナメル系塗料は塗膜がアクリル系塗料より繊細なため、上塗りなどに多用されます。これら塗膜の強い順に塗る事を把握すると、上塗りした際にせっかく塗った下地塗装が溶けて台なしになってしまう……というような事態を回避することができます。

塗り重ねの詳細が知りたいのと、塗り重ねの法則には絶対的に従わないと駄目ってことでよろしいですか?

塗り重ねの法則と言いながら、その特性を知った上で、敢えてラッカー系を上塗りしたりすることもあります。

齋藤仁孝の定番的な塗り重ねの順番

●敢えて塗膜の強いラッカー系を上塗りに使用することで、下地をコートすることができます。アクリル系やエナメル系の下地に塗り重ねるラッカー系塗料は主にクリアースプレーです。過度に吹きつけなければ問題はありません

下地作り
(サーフェイサー)

基本塗装
(アクリル)

チッピング
(エナメル)

ツヤ有りクリアー
(ラッカー)


デカール貼り

細部塗装
(エナメル)

ツヤ消しクリアー
(ラッカー)

ウオッシング&ドライブラシ
(エナメル)

ツヤ消しクリアー
(ラッカー)

実践!! IV号戦車G型の車体を塗装する

●まずは塗料が食いつきやすくするためタミヤのサーフェイサー(オキサイトレッド)を吹きつけます
●ちぎったスポンジにエナメル系塗料のジャーマングレイを付けてエッジ部分に付けてキズを再現します(チッピング)
●チッピングが終わったらクリアースプレーでコートします。これによりエナメル塗料系の弱い塗膜がガードされます
●ラッカーコートしたことで、アクリルやエナメルの塗膜がラッカー並になったので、さらなる上塗りが容易になります

戦車模型の足周りを気軽に仕上げる!

戦車模型の製作過程で最大の醍醐味でもあり、初心者が尻込みするのが足周りの塗装仕上げ。リアルさを追求したり、こだわろうと思えばいくらでもこだわれる箇所ですが、最初からハードな仕上げ方法に挑戦するのは無謀というもの。そんなプレッシャーに立ち向かわなくても簡単かつ雰囲気もバッチリ! という方法を紹介しましょう。

足周りを塗装する際のポイントは「むずかしく考えない!」

足周りの塗装って履帯の塗りわけとかウェザリングとかやることがいっぱいで、どう塗装していいのかわかりません…。

塗りわけるとかリアルなウェザリングを施さなきゃいけないとか、まずはそういう考えを捨てるところから始めよう。

●初心者モデラーの多くは履帯の組み立て順番とか塗装の順番に難儀していると聞きます。また模型専門書などでは特殊なマテリアルを用いた超絶リアル仕上げを行う手順が大々的に紹介されがちで、初心者モデラーが足踏みしてしまいがちであるようです。しかし難しく考えることはありません。組み立ては何も考えずに、説明書どおりにバシバシ組み立ててしまいましょう。戦車模型はすべて組み立て終わったあとに塗装できるのです!(齋藤)

オススメの履帯塗装チャート

●まずは履帯を含めて足周りをすべて組み立て接着します。その後車体の基本色の塗装が終わったら、アクリル塗料のダークアースをエアブラシで塗装します(❶)。薄く車体色が透けている程度が目安です。次にアクリル塗料のフラットブラックで転輪のゴムリムを筆で塗りわけましょう(❷)。その後フラットブラック、レッドブラウンを混色してアクリル溶剤で希釈した薄めのダークブラウンを足周り全体に塗ります(❸)。乾燥後にエナメル塗料のバフを全体に、タミヤペイントマーカーのシルバーを筆に付けた塗料を履帯表面にドライブラシを行います(❹)

実践!! 戦車の足周りの塗装仕上げ

●そんなこんなで完成です。ガンプラは素組み(+α)のみ、戦車模型は完全初心者という実績の私がすべての実作業を行いましたが、テクニック的には全然難しくなかったです。月刊ホビージャパン2022年8月号ではもうちょっと細部の工程にクローズアップした記事を紹介しようと思います

さらに内容が充実のムックが発売中!!

●今回土居さんや齋藤さんに教わった作業内容は実はもっとたくさんありまして、今回ここで紹介したのはほんの一部です。今回初心者の私がここまで仕上げることができるようになった極意は、すべてこのムックに掲載されています。プロから技を聞き、私と一緒に実践していきましょう!(メア)

プロモデラー直伝! 戦車模型上達の近道
定価:1,980円(本体:1,800円+税10%)
発行元/ホビージャパン

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メア

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