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懐かしの「1/144 量産型ザク」をお手軽部分塗装!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

2022.04.15

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編 月刊ホビージャパン2022年5月号(3月25日発売)

懐かしの「1/144 量産型ザク」をお手軽部分塗装!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

 休日の空いた時間、誰でもできる簡単なテクニックで、お手軽にカッコいいガンプラを楽しんで作ってみよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。懐かしのキット編第2回のテーマは「お手軽部分塗装」。1/144量産型ザクを題材に、缶スプレーや水性ホビーカラーの筆塗りなどを駆使して、成型色を活かしつつもっとも基本的な部分塗装の方法を解説します。

講師/林哲平


当時ものキットにスミ入れしよう

▲ディテールが一部あやふやになっている、この時代のキットのスミ入れは頭を悩ませるポイントですよね。お手軽に成型色仕上げでスミ入れするときはガンダムマーカースミ入れ/極細タイプが便利です。まずはスジ彫り部分に描き込んでいきましょう。第一次ガンプラブーム当時の雰囲気を強調するならば、完成見本のようにブラックでくっきりとスミ入れするといいですよ
▲作業をしているとどうしてもはみ出してしまうもの。こんなときはデザインナイフの刃先ではみ出した塗料を削り落としましょう。成型色を活かした仕上げならではのテクニックですが、少しのはみ出しぐらいなら溶剤で拭き取るよりもキレイに仕上がります。なお、塗装したパーツにガンダムマーカースミ入れ/極細タイプを使ってはみ出すとリカバリーが難しいので、基本的に成型色パーツに使うのがオススメです
▲スミ入れした状態。当時ものキット、特にザク系の動力パイプなどは段差でディテールがズレている部分がたまにあります。ガンダムマーカースミ入れ/極細タイプで描き込めば、加工なしでディテールを繋ぎ、お手軽にメリハリをつけて仕上げることができるのです
▲足首が固定でスネと一体になっています。ここもガンダムマーカースミ入れ/極細タイプで作業してしてみましょう。足首との境界をくっきりと描き込んでいきます
▲スミ入れした状態。まるで分割されたパーツのように可動しそうな印象になりました。なお、今回はキットの完成見本に準じて動力パイプ以外でスミ入れしたのはここだけです。無理にすべてのディテールをスミ入れしようとすると作業が大変ですし、クドくなりすぎたりするのでほどよく引いて作ったほうが当時の雰囲気を体感することができますよ

缶スプレーを使ってみよう

▲ザクなど、ジオン系MSの胴体は手足と色が違うことが多いのですが、旧1/144シリーズで色分けされていることはあまりありません。面積が広く、筆で塗るのはちょっと大変です。ここはガンダムカラースプレーのGグリーン1を使ってみましょう。缶スプレーを使うときは塗料を撹拌させるため100回くらい振っておくと安心です

▲塗装用の持ち手に保持してパーツを塗装していきます。缶スプレーは大量の塗料が出るため、プシュ~と一気に吹きつけて塗ろうとすると表面がボテボテになってしまいます。ここは写真のように手首のスナップを効かせながらシュッ! シュッ! と少しずつ吹いていきましょう。2回目を吹くときに下の塗料が乾いていないと塗料が垂れたり、ディテールに流れ込んでしまうので少しずつ乾燥を繰り返しながら、気長に塗装するのがコツとなります

▲おおっと! うっかり塗装中に持ち手からパーツが外れて、塗料が乾いていない部分にゴミやホコリがついてしまいました…。でも、大丈夫です。まずは塗料が乾燥するまで待ってください。焦って次の作業に進んだり、上から塗装してしまいがちですがここはグッと我慢です
▲塗料が乾燥したら600番紙ヤスリでホコリやゴミを削り落とします。塗料が乾燥していないと、塗膜がグニュッとなり余計に汚くなってしまうので注意してください
▲ホコリを落としたらもう一度塗装し直せばリカバリー完了です。パーツを落とさなくても、塗装中にホコリがつくことはよくあります。ですが、このように修正するのはすごく簡単です。ディテールが少なく、多少吹きすぎて表面がボテッとなっても今のガンプラほど目立ちません。「とりあえず色がつけばOK」ぐらいの気軽な気持ちで作業してみてください

水性ホビーカラーで筆塗りしてみよう

▲ザクは胸やヒザ、ソールなどがブラックで塗り分けられています。ここは扱いやすい水性ホビーカラーのつや消しブラックを使って塗り分けてみましょう。ツヤ消し塗料は光沢塗料に比べ筆ムラが目立ちにくく初心者にオススメなのです。まずは塗りやすいシールド裏で筆塗りの感覚を掴んでみましょう
▲瓶そのままの塗料を平筆でドバっと塗ってみましょう。シールド裏は目立つ部分ではないので、筆ムラが出来たり、塗料でダボダボになっても全然OKです。上手く塗ろう、などと全然思わなくていいので、どんどん作業してください。水性ホビーカラーは塗料が乾く前は水洗いできますが、乾いて塗料が落ちにくくなったときはマジックリンを使うとキレイに洗浄できますよ
▲筆塗りをしていると塗料がはみ出すのは当たり前です。水性ホビーカラーのようなアクリル系塗料はキッチンマジックリンを染み込ませた綿棒で拭き取れば、簡単にキレイに落とすことができます
▲シールド裏を塗装した状態。この部分の塗装には一切テクニック不要で、筆を動かすだけの簡単作業です。ここで「筆塗りってこんな感じなんだ」と覚えたら、次の部分を塗装していきましょう

筆塗りの基本を覚えよう

▲ここからはもう少しキレイに筆塗りする方法を学んでいきましょう。塗料瓶からそのまま取り出した状態で塗ると、濃すぎてどうしても表面がボテッと分厚くなりがちなんですね。まずは専用溶剤である水性ホビーカラーうすめ液を少し足して塗料を薄めましょう。筆塗りはモデラーさんにより塗りやすい濃度に個人差があるので、試し塗りして様子を見ながら自分の塗りやすい具合に調整してください
▲ザクの胴体でもっとも目立つ部分であるコクピット周りを塗り分けてみましょう。全体ではなく、部分を塗り分けるときは最初に細筆で境目を塗り分けていくのが鉄則です。はみ出したらマジックリンを染み込ませた綿棒で拭き取りましょう。缶スプレーは塗膜の強いラッカー系塗料で、アクリル系塗料やマジックリンで塗膜が侵されることがないので、ノーリスクでキレイに拭き取ることができるのです

▲境目を塗り分けたら、内側を平筆で塗りつぶしていきます。キレイにムラなく塗るのであれば何度かに分けて塗りましょう。まずは縦方向に塗って乾燥させ、2回目は横方向に塗ってまた乾燥、3回目のフィニッシュでもう一度縦方向…というように乾燥を繰り返しながら、方向を縦、横と薄めた塗料を交互に塗っていくと広い面積でも筆ムラを抑えつつ、キレイに仕上がります。ツヤ消しの黒色なら筆ムラが目立ちにくいので、面倒であれば細かい仕上がりは気にせず一気に塗りつぶしても全然OKですよ

頭部を塗り分けよう

▲モノアイはラッカー系塗料であるMr.カラーのピンクを爪楊枝で瓶そのままの状態ですくい、塗料を載せていきます。ちょっと多めに塗料を載せ、表面張力で少し塗膜が丸まくなり、塗料がモノアイから垂れる直前ぐらいがベスト。本来ピンクは塗膜が薄く、透けやすいのですがこれぐらい載せれば一発で発色します。ですが、塗料が多すぎて額の合わせ目の隙間にピンクが流れ込んでしまいました…

▲こういう場合は一度パーツを外してからリカバリーします。前回のシャアザクの頭部組み立てで解説した部分的に接着する「点づけ」ぐらいであれば、合わせ目にデザインナイフを差し込み、接着されている部分をカットしながらグイッ! と横に刃を捻ればパキッと外れます。一度外してから、合わせ目に流れ込んだピンクをナイフの刃先で削り落とせばOKです。接着剤を使用しているのでリカバリー不能に思われがちですが、ガッチリと接着して合わせ目を消しているならともかく、流し込み接着剤での接着ぐらいならこれで外れることも多いので失敗しても諦めないでくださいね

▲モノアイレールを水性ホビーカラーのつや消しブラックで塗っていきます。細筆の先に塗料をつけ、少しずつ塗っていけばそう簡単にはみ出しはしないと思っていたら、モノアイの上に思い切り塗料がはみ出してしまいました…。でも、全然大丈夫なのはここまで読んできたみなさんならばもうお分かりですよね?

▲モノアイはラッカー系塗料で、モノアイレールは水性ホビーカラーで塗装しています。つまり、マジックリンで拭き取ればモノアイの塗膜をまったく損なうことなく、キレイにリカバリーできるのですね
▲塗装した頭部。モノアイとモノアイレール、それぞれラッカー系とアクリルと違う塗料で塗れば、拭き取りにより簡単に塗装することが可能です。「ここは塗り分けが難しそう」と感じたら拭き取り前提で工夫すればすごく楽に塗れるようになりますよ
▲ザク・マシンガンはMr.カラースプレーのニュートラルグレーで塗装してから、水性ホビーカラーのピンクでスコープを塗り分けます。ここもはみ出したらマジックリンで拭き取りましょう。モノアイとは塗料の組み合わせが逆になっていますが、塗料を統一するより塗りやすさを優先したほうがずっと楽にキレイに仕上がるのです

ソールを塗り分けよう

▲ザクやグフなど、旧1/144シリーズのジオン系MS最大の難関がソールの塗り分けです。後ろにいくほどエッジが緩やかになり、カカトまでくると消えてしまうため、塗り分けラインがわからなくなってしまうのです。でも、安心してください。方法さえ知っていれば、簡単に塗り分け可能なのです
▲まずは細切りしたマスキングテープをラインがあやふやになっている後ろ側に貼ります。前のエッジに合わせて、ソールのラインが後ろに繋がるようにしてください。これが塗り分けのガイドとなります
▲マスキングテープに沿って細筆を使い、胸同様に水性ホビーカラーのつや消しブラックでラインに沿って塗っていきます。この状態でキレイに塗り分ければ後の作業は楽になりますが、うっかりパーツやマスキングテープにはみ出しても修正可能なので気にせず作業を続けてください
▲ソール部分を塗りつぶしていきます。今回は作例なので一応塗っていますが、足裏はほぼ見えないので面倒ならば省いてしまって大丈夫です。見えない部分に時間をかけるより、作業をどんどん進めるほうが気持ちも楽になりますよ
▲塗料が乾いたらマスキングテープを剥がします。あやふやな塗り分け部分もテープのガイドがあるのでこの通り。マスキングというとエアブラシや缶スプレー塗装でしかしないものと思われがちですが、筆塗りでも活用すれば塗りにくい部分を簡単に仕上げることができるのです
▲はみ出した部分はマジックリンを染み込ませた綿棒で拭き取りましょう。足の前部分はエッジが立っているので、上手く塗り分けるのが難しい人はむしろ拭き取ったほうがキレイなラインに仕上がりやすいです。拭き取りすぎたときは再度塗装すればOKです
▲ソールを塗り分けた状態。塗り分けラインが不明瞭な部分も多いですが、少し工夫すれば簡単に塗装できます。「塗り分けがないから難しい!」ではなく「ここはこうやって攻略する!」のように、ぜひ塗り分けを楽しんで作ってみてください

塗装パーツを組み立てよう

▲塗装したパーツ一覧。ヒジやヒザのパッドも水性ホビーカラーのつや消しブラックで塗り分けています。ランドセルは本来別の色なのですが、第一次ガンプラブームの時代の作品を見ると、胴体と同色で塗られたものが多いので当時の雰囲気、および作業の手軽さを優先してGグリーン1で塗装しています
▲胴体に脚部、頭部を挟み込んで接着します。胴体は缶スプレーですべての部分が塗装されているため、接着剤がはみ出ると塗料が溶けて汚くなってしまいます。ここは前回のシャアザクで紹介したタミヤセメントのボトルに流し込み接着剤のフタをつけたハイブリッドボトルを使いましょう。ピンポイントで接着剤を塗れるので、はみ出しを最小限に抑えることができます

▲それでも接着剤がはみ出して、塗膜が溶けて下地が見えてしまうことはよくあります。私もしょっちゅうやります。そんなときは缶スプレーの塗料を紙コップに出して、細筆ではみ出した部分をリタッチしましょう。胴体の合わせ目は正面からはほぼ見えませんし、腕に隠れるのでこれだけでほとんどわからなくなります。最初から完璧にキレイに作ろうとするより「はみ出たらリタッチすればいい」ぐらいに思っておいて全然大丈夫ですよ

 column 

関節がユルくなってしまったら?

▲ザク・マシンガンを持たせたところ、手首関節が緩く、重量でグルッと回ってしまい上手く保持できません。関節がシンプルなキットにはよくあることですが、接着剤を流し込むと完全に固定されてしまいます。この場合はどうすればいいのでしょうか?
▲こんなときは木工用ボンドを爪楊枝で関節に刷り込み、軽く動かして馴染ませます。木工用ボンドは水溶性のため、プラを溶かすことなく関節を少しだけキツくすることができます。乾燥すると透明になるため目立ちませんし、動かすとすぐ剥がれますが、飾るときの位置決めなどにはピッタリで何度でもやり直しが効きます。関節がカクカクしてきたら、ぜひやってみてください
量産型ザク 素組み 比較
▲素組み(左)との比較。当たり前のことだが、色がついたことで完成度が抜群に高くなった
量産型ザク 正面
量産型ザク 背面

 当時ものキットを組み立てるのに慣れてくると、どうしても「色が足りない!」ことが気になるモデラーさんも多いのではないでしょうか? 旧1/144シリーズは単色成型で、組み立てるだけで設定の彩色が再現される最新のガンプラに比べるとシンプルに感じることもあるかもしれません。ですが、ちょっと塗装するだけで、抜群に印象が変わってきます。接着剤同様、第一次ガンプラブームの時代より塗料の種類も増え、使い分けることで初心者で高度な技術がなくても、簡単に塗装することが可能となりました。逆に言ってしまえば、部分塗装が最新のガンプラよりもずっと効果的で映えるので、作るたびに塗装への自信が深まります。合わせ目は消さず、成型色を活かした簡単フィニッシュなら1日で仕上げることも難しくありません。色分けがシンプルなジオン系MSは部分塗装の練習に最適なので、ぜひどんどん量産してくださいね♪

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット

量産型ザク

製作・文/林哲平

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林哲平(ハヤシテッペイ)

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