サーフェイサーまでそろった水性ホビーカラー塗装をおさらい
毎回工具&マテリアルをピックアップしてお届けする好評連載「月刊工具」。今回は、過去にもご紹介したGSIクレオスの「水性ホビーカラー」を改めてご紹介。リニューアルにより塗料自体の性能向上や、「水性サーフェイサー」の登場による下地塗装の選択肢の拡大などをこれまでに紹介しましたが、さらに新色が加わった「水性ホビーカラー」、「水性サーフェイサー」のレビューも含め「水性ホビーカラー」シリーズを総ざらい。下地塗装から本塗装までこなせる水性塗料シリーズの実力を要チェック!
073 Product_name Aqueous color
解説/けんたろう、月刊工具スタッフ
リニューアルで性能が向上している「水性ホビーカラー」
Impression
水性ホビーカラー
●発売元/GSIクレオス●発売中●各198円、10ml
水性ホビーカラーうすめ液
●発売元/GSIクレオス●発売中●275円(110ml)、660円(400ml)
▲ 塗料の希釈には「水性ホビーカラーうすめ液」を使用します。水で扱うこともできますが基本は専用のうすめ液で希釈・洗浄するのがおすすめ。塗料、うすめ液と臭いは少ないですが、使用する際はしっかりと換気しておきましょう
▲ ブルーを1回吹き(左)、2回吹き(右)とエアブラシで塗装したもの。基本は2回重ねて吹くことでしっかりと発色します。乾燥が早く10分程度で重ね塗りが可能になるため、作業効率が上がっています。塗料の希釈は塗料:うすめ液で1:1~0.8ぐらいが最適でこれ以上に塗料を薄め過ぎるとパーツへの定着が一気に弱くなるので注意(ブルー(紺))
▲ 筆塗りではビンに入っている濃度そのままが最適になっています。ブルーを1回(左)、2回(右)と塗装したもの。こちらも発色は2回重ね塗りしたほうが良く、筆塗りでも乾燥が早いことを活かして、1回目は薄く塗り広げて下地を作り、重ね塗りでしっかり発色するよう塗るのがよいでしょう
▲ 乾燥時の塗料の定着はとても強力で、爪で引っかいて少し跡が残る程度です。乾燥時間は薄めに塗って30分、厚めに塗っても1時間程度で指で触っても大丈夫になります。組み立て等で力がかかる作業をする際には1日程度おいてしっかり乾燥させておくとよいでしょう
「水性サーフェイサー」で下地も水性塗装
「水性サーフェイサー」の登場は、これまでラッカー系サーフェイサーしか選択肢がなかった下地の塗装作業を、「水性ホビーカラー」と同様に“臭いを抑えたい環境下”でも行えるようになりました。新たに加わった水性ブラックサーフェイサーと粗目の水性サーフェイサー500(グレー)もレビューしつつ、「水性サーフェイサー」の性能を復習していきます。
新色が加わったサーフェイサー全4種をチェック
▲ 色はグレー、ブラック、ホワイトの3色、仕上がりは1000番相当でしっとりとした表面に仕上がります。グレーの500は1000に比べて目が粗く、若干ザラっとした表面になります(色も1000に比べ少し明る印象)
キズ埋め性能をチェック
▲ 120~1000番でヤスりがけしたプラ板にグレー1000を塗布してキズ埋め性能を確認。120、240番ではくっきりとキズが見えているが、400番だと傷は見えるものの上塗りしてツヤ消し仕上げにすれば問題ないレベル。600、800番になると目では傷が見えなくなります。サーフェイサーが1000番とあるように800番程度までヤスリがけすれば光沢仕上げが可能ななめらかな下地になるでしょう
グレー1000とグレー500での違い
▲ 240番でヤスリがけをしたプラ板にグレーの1000と500を塗装、1000に比べ500のほうが溝を多く埋めて傷を見えなくしています。表面は若干荒くなるため仕上げというよりは作業途中でのパーツの傷のチェック等に向いています
サーフェイサーに上塗りできる塗料をチェック
▲ 水性サーフェイサー1000(グレー)の上に水性ホビーカラーのすみれ色を塗布。溶剤で下地が溶けだすことはなく、1回でしっかりと発色しています。サーフェイサーで表面が微細な凹凸になっているため上に塗る塗料が表面にしっかり乗ってくれるのもいいところ
▲ ラッカー系溶剤を含むMr.カラーも同条件で上塗り。ラッカー溶剤でサーフェイサーの下地が溶けることはなく、水性ホビーカラー同様に塗装できます。面を満遍なく塗っていく分には問題がないようです
▲ 塗面はラッカー溶剤を含ませた筆などで強めに擦ってみてようやく溶け出してきます。よほど無理やりに作業をしなければ上塗り時に下地が溶け出すといったことはありません
▲ スミ入れ用のエナメル塗料でもチェック。スジ彫りしたプラ板を水性サーフェイサーで塗り、エナメル塗料を流し込んだ後、エナメル溶剤を含んだ綿棒で拭き取ります。エナメル溶剤でも塗面が侵されることなく、サーフェイサーとしてラッカー系に劣らない性能を持っています
水性塗料◎
「水性ホビーカラーうすめ液」で希釈した塗料の筆塗りでもOK。乾燥していれば下地が溶け出す心配もありません。
ラッカー塗料△
サーフェイサーが乾燥していれば瓶そのままの「Mr.カラー」の上塗りは問題なし。ラッカー溶剤の割合が多くなると下地が溶け出す可能性あり。
エナメル塗料○
エナメル溶剤でのふき取りも問題なし。上に塗るであろう水性ホビーカラーの性質を考えると、プラスチックに影響のない油彩系のフィルタ・リキッドやウェザリングカラーを使うのがよいでしょう。
塗装その①ミリタリーモデルを塗装
ドラゴンの「ソビエト軍T-34」(8580円、発売中)を塗装してみます。カラーは水性ホビーカラーのラインナップ96色に新たに追加されたソビエトとドイツの戦車向けのカラー5色(511~515)の中から「511 ロシアングリーン“4BO”」を使用します。
How to use
▲水性ブラックサーフェイサーで全体に下地塗装をします。スプレーで広い範囲を塗装する際は換気機能のある塗装ブースを使ったほうがよいでしょう。履帯のゴム部分にはこのサーフェイサーの絶妙なツヤ消し感はぴったりなので、そのまま黒色として使います
▲塗料とうすめ液を1:0.8程度の割合でうすめてエアブラシで吹ける濃度にし、各パーツの面の中央を狙うように吹いていきます。面の縁や影になる部分に黒を若干残すように吹き、下地の黒色を活用します
▲ハイライトとして一段階明るくしたロシアングリーンを重ねて吹きます。塗料は色が明るくなるようホワイトを数滴加えます。細く吹くようにして、面の中心やパーツの出っ張り部分を狙って吹いていきます
▲ サーフェイサー、ロシアングリーン、調色した明るいロシアングリーンでグラデーションがしっかり出せました。黒ベースなら上塗り塗料を重ねる回数でも色調が変わっていくので、1色だけでも濃淡がよく出ます。また白を足すと隠蔽力も上がるので、こうしたグラデーションのハイライトでは最適です。乾燥後、塗膜の耐久力もあるので、このあとのウェザリング作業もしっかり行うことができます
塗装その②バイクモデルを塗装
次にアオシマの「AC16 エイプ ’06」(2420円、発売中)を塗装します。最終的な色が黒やメタリックなどになるパーツには水性ブラックサーフェイサー、赤くするボディ系のパーツにはグレーの水性サーフェイサー1000を吹いています。ボディもそうですが、ツヤをしっかり出す場合はヤスリのこまかい傷を消して表面をキレイに整えるサーフェイサーが必要不可欠です。
▲カウルは下地塗装の上にホワイトを薄く塗布して整えてから、レッドを塗ります。塗料を多めに塗り重ねることでツヤを出すことができる分、塗装後はしっかりと乾燥させましょう
▲ホイールはゴールドで塗装。シャンパンゴールドにも近い明るい色調なので、実車のホイールの色にぴったりです
▲あとは説明書通りに組み立てて完成。カーモデルやバイクモデルといった光沢塗装したパーツは組み立て時の力で指紋等がつかないよう必要以上に乾燥させてから作業しましょう
▲ 最後に中央のサスペンションのスプリングはブラックを筆塗り。筆で塗っただけでもツヤ感がしっかりと出てスプリングっぽくなります。水性ホビーカラーは筆でもエアブラシでもツヤを出しやすいので、ツヤの欲しい場面での活躍が見込めます
まとめ
新しくなった水性ホビーカラーは、性能がぐんとアップしていて、隠蔽力や乾燥までの時間も早くなっています。また水性タイプのサーフェイサーが登場し、塗装をすべて水性塗料で行うことができるようになっています。換気自体は必要ですが室内でも臭いが少なく、より手軽に塗装をできるようになっているので、ぜひ試してみてください。