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「サーフェイサー」までそろった「水性ホビーカラー」塗装をおさらい 【月刊工具】

2022.02.10

月刊工具 模型の入り口はいつの時代も工具から。 月刊ホビージャパン2022年3月号(1月25日発売)

「サーフェイサー」までそろった「水性ホビーカラー」塗装をおさらい 【月刊工具】

サーフェイサーまでそろった水性ホビーカラー塗装をおさらい

水性ホビーカラー メイン画像

 毎回工具&マテリアルをピックアップしてお届けする好評連載「月刊工具」。今回は、過去にもご紹介したGSIクレオスの「水性ホビーカラー」を改めてご紹介。リニューアルにより塗料自体の性能向上や、「水性サーフェイサー」の登場による下地塗装の選択肢の拡大などをこれまでに紹介しましたが、さらに新色が加わった「水性ホビーカラー」、「水性サーフェイサー」のレビューも含め「水性ホビーカラー」シリーズを総ざらい。下地塗装から本塗装までこなせる水性塗料シリーズの実力を要チェック!

073 Product_name Aqueous color
解説/けんたろう、月刊工具スタッフ


リニューアルで性能が向上している「水性ホビーカラー」

Impression

水性ホビーカラー 商品画像

水性ホビーカラー

●発売元/GSIクレオス●発売中●各198円、10ml

水性ホビーカラーうすめ液 商品画像

水性ホビーカラーうすめ液

●発売元/GSIクレオス●発売中●275円(110ml)、660円(400ml

塗料の希釈をしエアブラシで塗装している様子の画像
▲ 塗料の希釈には「水性ホビーカラーうすめ液」を使用します。水で扱うこともできますが基本は専用のうすめ液で希釈・洗浄するのがおすすめ。塗料、うすめ液と臭いは少ないですが、使用する際はしっかりと換気しておきましょう
エアブラシで塗装したものの比較画像
▲ ブルーを1回吹き(左)、2回吹き(右)とエアブラシで塗装したもの。基本は2回重ねて吹くことでしっかりと発色します。乾燥が早く10分程度で重ね塗りが可能になるため、作業効率が上がっています。塗料の希釈は塗料:うすめ液で1:1~0.8ぐらいが最適でこれ以上に塗料を薄め過ぎるとパーツへの定着が一気に弱くなるので注意(ブルー(紺))
筆塗りで塗装したものの比較画像
▲ 筆塗りではビンに入っている濃度そのままが最適になっています。ブルーを1回(左)、2回(右)と塗装したもの。こちらも発色は2回重ね塗りしたほうが良く、筆塗りでも乾燥が早いことを活かして、1回目は薄く塗り広げて下地を作り、重ね塗りでしっかり発色するよう塗るのがよいでしょう
爪で塗布した部分をひっかいている様子の画像
▲ 乾燥時の塗料の定着はとても強力で、爪で引っかいて少し跡が残る程度です。乾燥時間は薄めに塗って30分、厚めに塗っても1時間程度で指で触っても大丈夫になります。組み立て等で力がかかる作業をする際には1日程度おいてしっかり乾燥させておくとよいでしょう

「水性サーフェイサー」で下地も水性塗装

「水性サーフェイサー」の登場は、これまでラッカー系サーフェイサーしか選択肢がなかった下地の塗装作業を、「水性ホビーカラー」と同様に“臭いを抑えたい環境下”でも行えるようになりました。新たに加わった水性ブラックサーフェイサーと粗目の水性サーフェイサー500(グレー)もレビューしつつ、「水性サーフェイサー」の性能を復習していきます。

水性サーフェイサー缶スプレーの商品画像

水性サーフェイサー 缶スプレー

●発売元/GSIクレオス●発売中 ●990円 、170ml

水性サーフェイサービンの商品画像

水性サーフェイサー ビン

●発売元/GSIクレオス●発売中 ●495円、40ml

新色が加わったサーフェイサー全4種をチェック

サーフェイサー4種をプラ板にふきかけた比較画像
▲ 色はグレー、ブラック、ホワイトの3色、仕上がりは1000番相当でしっとりとした表面に仕上がります。グレーの500は1000に比べて目が粗く、若干ザラっとした表面になります(色も1000に比べ少し明る印象)

キズ埋め性能をチェック

ヤスリがけしたプラ板6種の比較画像
▲ 120~1000番でヤスりがけしたプラ板にグレー1000を塗布してキズ埋め性能を確認。120、240番ではくっきりとキズが見えているが、400番だと傷は見えるものの上塗りしてツヤ消し仕上げにすれば問題ないレベル。600、800番になると目では傷が見えなくなります。サーフェイサーが1000番とあるように800番程度までヤスリがけすれば光沢仕上げが可能ななめらかな下地になるでしょう

グレー1000とグレー500での違い

グレー1000とグレー500の比較画像
▲ 240番でヤスリがけをしたプラ板にグレーの1000と500を塗装、1000に比べ500のほうが溝を多く埋めて傷を見えなくしています。表面は若干荒くなるため仕上げというよりは作業途中でのパーツの傷のチェック等に向いています

サーフェイサーに上塗りできる塗料をチェック

 すみれ色の水性ホビーカラーを筆で塗布している画像
▲ 水性サーフェイサー1000(グレー)の上に水性ホビーカラーのすみれ色を塗布。溶剤で下地が溶けだすことはなく、1回でしっかりと発色しています。サーフェイサーで表面が微細な凹凸になっているため上に塗る塗料が表面にしっかり乗ってくれるのもいいところ
Mr.カラー外舷22号色を筆で上塗りしている画像
▲ ラッカー系溶剤を含むMr.カラーも同条件で上塗り。ラッカー溶剤でサーフェイサーの下地が溶けることはなく、水性ホビーカラー同様に塗装できます。面を満遍なく塗っていく分には問題がないようです
ラッカー溶剤を含ませた筆で擦った画像
▲ 塗面はラッカー溶剤を含ませた筆などで強めに擦ってみてようやく溶け出してきます。よほど無理やりに作業をしなければ上塗り時に下地が溶け出すといったことはありません
▲ スミ入れ用のエナメル塗料でもチェック。スジ彫りしたプラ板を水性サーフェイサーで塗り、エナメル塗料を流し込んだ後、エナメル溶剤を含んだ綿棒で拭き取ります。エナメル溶剤でも塗面が侵されることなく、サーフェイサーとしてラッカー系に劣らない性能を持っています

水性塗料◎
「水性ホビーカラーうすめ液」で希釈した塗料の筆塗りでもOK。乾燥していれば下地が溶け出す心配もありません。

ラッカー塗料△
サーフェイサーが乾燥していれば瓶そのままの「Mr.カラー」の上塗りは問題なし。ラッカー溶剤の割合が多くなると下地が溶け出す可能性あり。

エナメル塗料○
エナメル溶剤でのふき取りも問題なし。上に塗るであろう水性ホビーカラーの性質を考えると、プラスチックに影響のない油彩系のフィルタ・リキッドやウェザリングカラーを使うのがよいでしょう。

塗装その①ミリタリーモデルを塗装

ドラゴンの「ソビエト軍T-34」(8580円、発売中)を塗装してみます。カラーは水性ホビーカラーのラインナップ96色に新たに追加されたソビエトとドイツの戦車向けのカラー5色(511~515)の中から「511 ロシアングリーン“4BO”」を使用します。

How to use

戦車全体に水性ブラックサーフェイサーで下地塗装している画像
▲水性ブラックサーフェイサーで全体に下地塗装をします。スプレーで広い範囲を塗装する際は換気機能のある塗装ブースを使ったほうがよいでしょう。履帯のゴム部分にはこのサーフェイサーの絶妙なツヤ消し感はぴったりなので、そのまま黒色として使います
戦車にエアブラシで塗布している画像
▲塗料とうすめ液を1:0.8程度の割合でうすめてエアブラシで吹ける濃度にし、各パーツの面の中央を狙うように吹いていきます。面の縁や影になる部分に黒を若干残すように吹き、下地の黒色を活用します
戦車にエアブラシでハイライトを塗布している画像
▲ハイライトとして一段階明るくしたロシアングリーンを重ねて吹きます。塗料は色が明るくなるようホワイトを数滴加えます。細く吹くようにして、面の中心やパーツの出っ張り部分を狙って吹いていきます
塗装をおえた戦車の画像
▲ サーフェイサー、ロシアングリーン、調色した明るいロシアングリーンでグラデーションがしっかり出せました。黒ベースなら上塗り塗料を重ねる回数でも色調が変わっていくので、1色だけでも濃淡がよく出ます。また白を足すと隠蔽力も上がるので、こうしたグラデーションのハイライトでは最適です。乾燥後、塗膜の耐久力もあるので、このあとのウェザリング作業もしっかり行うことができます

下地、履帯水性ブラックサーフェイサー
本体ロシアングリーン→ロシアングリーン+ホワイト
車載工具や排気管などミッドナイトブルー

塗装その②バイクモデルを塗装

次にアオシマの「AC16 エイプ ’06」(2420円、発売中)を塗装します。最終的な色が黒やメタリックなどになるパーツには水性ブラックサーフェイサー、赤くするボディ系のパーツにはグレーの水性サーフェイサー1000を吹いています。ボディもそうですが、ツヤをしっかり出す場合はヤスリのこまかい傷を消して表面をキレイに整えるサーフェイサーが必要不可欠です。

カウルパーツをエアブラシでレッドに塗装している画像
▲カウルは下地塗装の上にホワイトを薄く塗布して整えてから、レッドを塗ります。塗料を多めに塗り重ねることでツヤを出すことができる分、塗装後はしっかりと乾燥させましょう
ホイールパーツをエアブラシでゴールドに塗装している画像
▲ホイールはゴールドで塗装。シャンパンゴールドにも近い明るい色調なので、実車のホイールの色にぴったりです
バイクを組み立てている画像
▲あとは説明書通りに組み立てて完成。カーモデルやバイクモデルといった光沢塗装したパーツは組み立て時の力で指紋等がつかないよう必要以上に乾燥させてから作業しましょう
塗装と組み立てをおえたバイクの画像
▲ 最後に中央のサスペンションのスプリングはブラックを筆塗り。筆で塗っただけでもツヤ感がしっかりと出てスプリングっぽくなります。水性ホビーカラーは筆でもエアブラシでもツヤを出しやすいので、ツヤの欲しい場面での活躍が見込めます

下地水性ブラックサーフェイサー水性サーフェイサー1000
カウルホワイトレッド
エンジン、メカ部分シルバー
ホイールゴールド
黒部分ブラック

まとめ

 新しくなった水性ホビーカラーは、性能がぐんとアップしていて、隠蔽力や乾燥までの時間も早くなっています。また水性タイプのサーフェイサーが登場し、塗装をすべて水性塗料で行うことができるようになっています。換気自体は必要ですが室内でも臭いが少なく、より手軽に塗装をできるようになっているので、ぜひ試してみてください。

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