今回からレジンキットの製作について2回に分けてお届けする。立体物の原型をシリコーンで型取り、「ウレタン樹脂」を注型した複製品を組み立てるのがレジン(キャスト)キット。比較的低コストで量産できるため、小規模生産でマイナーなアイテムが立体化されていたりもする。キット自体は造形イベントで入手できる個人製作から専門メーカー製まで製品は多様だ。その組み立てを「カラーレジン」キットの製作で紹介していく。
製作・解説/野本憲一
キットの内容
題材は無塗装でも見映えがいい「カラー成型」のキットを選択。組み立ての基本的な作業工程は単色キットでも同様だ。
▲題材のキットはボークス製カラーレジンキット「1/35 熱砂の皇帝(トロピカル サルタン)」21780円(税込)。『装甲騎兵ボトムズ外伝 青の騎士ベルゼルガ物語』に登場する機体。マイナーなアイテムでもこうして立体物が製品化されるのがレジンキットならではなところ。パーツは関節部とボディ明暗の3色で、無塗装でもご覧のような姿に。固定ポーズで部品数は抑えられ、成型もいいので取り組みやすい
パーツのチェック
レジンキットはバラバラの部品がまとめて袋詰めされていることが多く、万が一パーツが足りなくてもすぐには気付きにくい。組み立ての前にまず説明書のパーツリストなどと照らし合わせて確認しておこう
レジンパーツと複製
組み立て前の基礎知識として、素材や型取りについて補足しておこう。
この後の工程
このあとの組み立てで行うのは以下の項目
・パーツの洗浄
・ゲートやパーティングラインの整形
・歪みの修正
・軸打ち
・気泡埋め
順番は必ずしもこの通りでなくてもよく、キットの構成やパーツの状態に応じて進めればいい。ゲートカットや主な整形を済ませたほうが洗いやすい場合もあるし、細かなパーツは繋がったままのほうが扱いやすく、持ち手に残す場合もある。
パーツの洗浄
レジンパーツの表面に離型剤(油分)が残っていると接着や塗装の妨げになる。それを取り除くための洗浄。
心配なところはヤスる
塗装の食い付きがわるくて、マスキングをはがした際に塗膜ごと剥がれるというのは避けたい。心配な箇所は#600〜800程度でパーツ表面をペーパー掛けしておくのも有効だ
食い付きのテスト
無洗浄と洗浄したレジンのランナーそれぞれにサーフェイサーを吹き、テープを貼っ剥がすテストをしてみた。結果、いずれもサフは剥がれなかった。引っ掻けば剥がれるが、最近のキットでは離型剤の影響が少ないという一例になった
ゲートやパーティングラインの整形
ゲート(樹脂の流れ口)、パーティングライン(型の合わせ目)の跡を整える。
歪みの修正
パーツ形状を整え、フィッティングを高めて確実な組み付けを助ける段階。パーツが合わないかな? と思っても簡単に直せることもある。
パーツ表面のヒケ
レジンパーツは元の形状に対して若干の収縮があり、表面にわずかなヒケが生じる。そのためしっかり面出しするときはそこを意識。貼り合わせるところは少しヤスっておきたい
軸打ち
パーツの位置決めや補強のために“軸”を通す作業。どこまでやるかはキットの内容次第。骨格になる部分やポロリが心配な箇所には施しておきたい。
軸がズレたら……
左は軸を通したことでパーツがズレた状態。パーツ同士が合うことが第一なので、片方の穴を広げてそこに接着剤またはパテを入れて、軸を固定。再びパーツを分けても、位置はあった状態になる
カラーレジンでの気泡埋め
型の中で空気が抜けきらずに泡状に残ったのが“気泡”。パーツ表面に現れたら埋めて整える。せっかくのカラーレジンなので、色を合わせて埋めてみよう。
気泡が多い場合は?
古めのレジンキットで多数の気泡があるパーツ。これだと表面を仕上げ直すつもりで取りかかることになる。次回はこんなパーツの処理も取り上げる
©サンライズ 協力:伸童舎