【『境界戦機』特集】HG YM-02 ケンブをしっかりと作り込む!【木村直貴】
2021.10.26“工業デザイン”視点をさらに追求して仕上げる/YM-02 ケンブ【BANDAI SPIRITS 1/72】 月刊ホビージャパン2021年12月号(10月25日発売)
“工業デザイン”視点をさらに追求して仕上げる
主人公、椎葉アモウが操縦するMAILeS(メイレス)「YM-02 ケンブ」。哀川和彦による簡単フィニッシュ作例に続いては、木村直貴によるキットレビューをお届けしよう。10m大のロボットであることを意識しつつ、“工業デザイン”視点というコンセプトをさらに突き詰めて各所にディテールやマーキングを追加。キャラクターキットにミリタリー要素を加えることを得意としているだけあり、キット仕様を活かしつつさらにその延長上にあるような仕上がりとなった。
■ジャパ〜ン!
話題沸騰中の新作ロボットアニメ『境界戦機』から主人公機メイレスケンブの登場です! 近未来の日本が舞台の物語で(外国の分割統治下なんて悲しい設定ですが)、ともあれ登場するメカが工業デザイナーによる合理的機能美を備えたデザインとのことであり、大注目のシリーズであります! 主役機ケンブは紅白の日本的カラーリングでなぜか愛着を覚えます。それにシンプルなスタイリングながら、味わい深いカッコよさがありますよね。肉食獣のようにしなやかで力強い「下半身」、一見不安定ながらデザインの合理さに思わずうなずく「腕」、耕運機のボディのように無骨に張り出した「胸」、精悍でどこか爬虫類的な「頭」などなど、リアルロボットの新スタンダードになりそうな風格を備えております!
さて、このキットはHGシリーズですが割と大きめでしっかりした存在感があります。頭部の細かなパーツ分割や胸のシリンダー連動ギミックなど「RGクラスじゃないか?」と思える箇所も多数あり、実に気合いの入ったキットであります! 今回は工業デザインにマッチしたディテールの追加をメイン課題として、さらに10m級のメカとしてのスケール感も表現しようという作戦で進めます。
■マイ・ディテールは工業的?
まずはケンブのメカニックデザイナーの意向を最大限尊重すべく、初期設定画稿にはあるけど決定稿で抜け落ちたディテールを復活させました。肩プレートの穴や、胸まわりなどの中大型のラッチ類がそれです。あとはそのフォーマットに従って小ラッチの角溝などオリジナルで追加していき、さらには埋め込みボルトの丸穴やエッジの斜め切り欠きなど、いつものディテールを施して情報量を上げ、大型メカとしてのスケール感を表現していきました。なお、白とグレーのパーツは粘りのあるKPS製なのでディテールを彫るのにあまり適していません。ずれると厄介なので、できるだけ一発で決めるよう慎重に刃を入れましょう。
■紅白のマシン
今回は主役機! ということで清潔感を重視した仕上げにしています。基本色はGSIクレオスを使用。
白=白サフ(1500)+グレーサフ
赤=キャラクターレッド+RLM23レッド
黄=キャラクターイエロー+黄橙色+白
グレー〜黒類はガイアカラーの色サフの混色です。あとはいつも通りエナメル塗料の黒&グレーでスミ入れを施し、小振りなコーションマークを貼ってからグレートーンで軽くグラデーションをかけ、ツヤを少し残したフラットクリアーで整えて完成です。
なお、このサイズではすごく小さいですが、関節部の作動ランプが印象的なので、シルバーテープにクリアーグリーンフィニッシュを重ね貼りしたものを細く切り出し、貼り付けて再現しています。
BANDAI SPIRITS 1/72スケール プラスチックキット “ハイグレード”メイレスケンブ 使用
YM-02 ケンブ
製作・文/木村直貴
HG 1/72 メイレスケンブ
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●2640円、発売中●1/72、約14cm●プラキット
©2021 SUNRISE BEYOND INC.
木村直貴(キムラナオキ)
工作&塗装ともにミリタリー表現を取り入れたディテールアップを得意とするエースモデラー。和歌山在住の大正琴師範代。