キネティックのプカラを製作!【山田昌行】
2021.08.29ラテンアメリカに舞ったアルゼンチン軽攻撃機
アルゼンチンのFMAが開発、1975年に就役したIA-58プカラ(インカ帝国時代の「城塞」の意)は、近接航空支援、対地攻撃などを主任務とするCOIN機(内乱などの低強度紛争向けの軽攻撃機)にカテゴライズされ、1982年のフォークランド紛争にも投入されている。前回のAV-8Aハリアーなど1970年代機を得意とするキネティックが、この南米随一の軍用機を1/48スケールで初インジェクションキット化。独特の魅力的なスタイリングを見事に再現。作例では2016年まで運用が続けられていたウルグアイ空軍機として製作!
■マイナーCOIN機がキット化!
キネティックの新製品、1/48のプカラを作ります。プカラはアルゼンチン空軍が開発運用した機体で、一般的には「COIN(コイン)機」と呼ばれる範ちゅうのものです。このような超マイナーな機体が、しかも1/48キットとしてリリースされたことを素直に喜んでいます。
キットはオーソドックスな分割ながら、パーツの合いはすこぶる良好で、パテのお世話にはなりませんでした。コクピットも脚庫も非常によく再現されているので塗装や汚しもやり甲斐がありますね。シートにはエッチング製のベルトが付属しますが、メーターパネルにデカールがないのが残念です。
このキットを作る上で一番の問題点は、資料がほとんど見つからないということでしょう。それでもネットにかなりの画像を見付けることができますので、最大限利用しましょう。
■組み立て
組み立てはコクピットからになります。前述したようにメーターパネルにデカールがないので、ストックしているデカールの中から適当なものを探し、それらしく仕上げました。またシートに付くフェイスカーテンハンドルなどの黄色と黒の縞模様は、パーツを黄色に塗った後、ハセガワの0.3mm幅マスキングテープを巻いて再現しました。付属のエッチング製シートベルトを取り付けてシートを完成させます。
組み上げたコクピットに前脚庫を取り付け、胴体を組み上げます。この機体は極端なテールヘビーなのでオモリが必要です。なるべく前方に入れたほうが量が少なくて済みますが、機首にはスペースがありません。幸いコクピットの床下にスペースがあるのでそこに入れます。ホームセンターで入手できる板鉛が最適ですが、それでも35~40g必要です。また脚庫横の機銃口パーツを忘れずに取り付けます。また必要に応じ機体および翼パーツに穴を開けるのを忘れずに。
次に翼関係です。主翼に主脚庫を組み主翼上下およびエンジンナセルを取り付け。水平尾翼もピッタリ決まります。胴体にオモリを入れたのを確認して胴体に翼を取り付ければ、ほぼ形ができ上がります。
プロペラ、エンジンナセル前部、脚柱、タイヤなどは別途組み立て塗装しておき、本体の塗装終了後に取り付けます。付属品は大小の増槽のみで武装類がないのは機体の性格上ちょっと物足りないですね。
■マーキングと塗装
この機体を作るのであれば、本来ならアルゼンチン空軍の機体にすべきでしょうが、迫力ある塗装とおもしろいマーキングでウルグアイ空軍の機体としました。
塗料はGSIクレオスのMr.カラーを使用。機体色はいろいろ検証した結果、下面ライトグレーC311、上面はダークグレーC305とダークグリーンC309としました。近似色で良いと思いますが、上面のグレーはもう少し明るいほうが良かったかもしれません。まず全体をガイアノーツのサーフェイサーエヴォ ブラックで下塗り。下面のグレーから塗装し、上下の境を波型にマスキングして上面を塗装します。
その後タミヤのスミ入れ塗料(ブラック)でスミ入れ、ウォッシングをし、デカールを貼り、乾燥後、3/4ツヤ消しのクリアーでオーバーコートします。脚、プロペラ、アンテナ類を取り付けて完成です。
■最後に
このキット本当によくできていますが、細かい部分の塗装指示が不明瞭なのと、説明書にデカールの番号が指示されているのに、デカールの台紙に番号がふられていないというミスがあるのが残念です。
キットのプロペラは固定式なので、次に作るチャンスがあればプロペラは回転するように改造してみたいですね。ネットで検索するといろいろおもしろいマーキングがあるので、別売デカールが発売されるとよいですね!
キネティック 1/48スケール プラスチックキット
IA 58 プカラ
製作・文/山田昌行
IA 58 プカラ
●発売元/キネティック、販売元/ビーバーコーポレーション●7150円、発売中●1/48、約29.7cm●プラキット
山田昌行(ヤマダマサユキ)
先日、不注意から左腕を骨折してしまい治療中製作が進みませんでしたが回復してきたので頑張ります。