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電動ツールで素早く、きれいに、効率的に!GSIクレオス「Mr.ポリッシャー PROⅢ」&「Mr.コードレスルーター PROX」【月刊工具】

2021.05.10

月刊工具 模型の入り口はいつの時代も工具から。 月刊ホビージャパン2021年6月号(4月24日発売)

電動ツールで素早く、きれいに、効率的に!GSIクレオス「Mr.ポリッシャー PROⅢ」&「Mr.コードレスルーター PROX」【月刊工具】

電動ツールで素早く、きれいに、効率的に!

 「月刊ホビージャパン」で毎回工具&マテリアルをピックアップしてお届けしている好評連載「月刊工具」。今回はGSIクレオスから発売されている電動ツール「Mr.ポリッシャー PROⅢ」と新商品の「Mr.コードレスルーターPROX」2種をご紹介。模型の製作記事でたびたび登場する電動ツール、気になる使い方や、使うことの利点はどこにあるのか、GSIクレオスのハイエンドモデル2種を使用してたっぷりチェックしていきましょう。

64.Product_name Mr.Polisher pro-Ⅲ&Mr.Cordless router pro-x
解説/けんたろう、月刊工具スタッフ

実際に使用している動画もチェック!

「Mr. ポリッシャーPROⅢ」の構造と役割

 「Mr.ポリッシャーPROⅢ」は先端のアーバーと呼ばれるパーツが振動することでヤスリがけを行うことができる工具です。複数のパーツや大きなパーツをヤスリがけするとき、その大量の作業をパワフルかつ素早く行うことができ、面の仕上がりも一定になる、といった作業を効率化してくれるツールです。

Mr.ポリッシャーPROⅢ

●発売元/GSIクレオス●10780円、発売中

Impression

▲「Mr.ポリッシャーPROⅢ」は本体の他に、先端に取り付けるアーバーが8種と180番、240番、400番、600番のヤスリシート各1枚がセットになっています。各アーバー(ストレートタイプ4種セット、角度付きタイプ4種セット)と各番手のヤスリ(各3枚入り)はそれぞれ別売(各660円)でも入手可能
( ストレートタイプ4種セット) ( 角度付きタイプ4種セット) (各番手のヤスリ(各3枚入り) )
▲ヤスリシートは接着ノリ付きで各アーバーの形状に切り込みが入れられているので、シールのように剥がして貼りつけることができます

▲本体先端の黒いチャック部を90度回しアーバーを差し込み、チャック部を閉めるとしっかり固定されます

▲電源を入れると先端が左右方向に振動します。振動したヤスリ面をパーツに当てることで表面を素早く削ることができます。かなりパワフルなので、力を入れて押し付ける要はありません。パーツを持った指や爪などには当たらないよう注意しましょう
▲ポリッシャーに限らず電動の切削工具では、作業時に削りカスが多く出るので、マスク着用はもちろん、集塵機や作業ボックスを用意しておくのが理想です。少しの作業であればトレーに湿らせたテッシュを敷いておいたりするだけでも、削りカスが舞うのを防いでくれて効果的です
▲どんどんヤスリがけをしてくれるのでヤスリ自体の目詰まりや消耗も早めです。メラミンスポンジなどでこまめにヤスリ面の削りカスを取ってあげましょう。さすがに削り具合が落ちてきたなと思ったらシートを交換します

パーツのヒケ処理、整面作業がお手軽に

▲ヤスリ面を当てるだけでヤスリがけを行ってくれるので、プラパーツのパーティングライン除去やパーツの整面作業にとても強いです。ヤスリの番手が高くても、パーツ表面のちょっとしたヒケならあっという間に均してくれます。面積が狭く細い場所はヤスリ面に触れる程度にそっと当てることで一気に削れ過ぎず、失敗も少なくなります
▲元のパーツ(右)と400番で処理したパーツ(左)。作業した面はきれいに平らになるので面が際立ちます。ヤスリを当てる際は慎重になりますが、ぴったりヤスリ面が当たれば仕上がりは均一になるので、手作業より断然早く作業できます。修正作業をするとしても、素早く行えるので、電動工具の力を実感できるでしょう

段差のある場所のヤスリがけはおまかせ

▲整面作業も得意ですが、合わせ目消し作業でもその力を発揮します。合わせ目を接着した際、段差ができてしまっても240番を当てればあっという間に均されていきます
▲ちょっとしたアールがついた曲面でも、追従するように角度を変えつつ作業すれば平らになってしまうこともありません。段差が消え、大部分を削ったら手作業で軽くヤスリを当てて整えてあげるとさらにきれいに仕上がります。瞬間接着剤で充填した合わせ目があっという間にきれいになりました
▲基本的には角度付のアーバーがパーツに当てるヤスリ面の角度調整がしやすく使いやすいです。合わせ目や広い面等の単純かつ、削る量の多い箇所には押し付けやすいストレートタイプもいいかもしれません

使いたいヤスリ、欲しい番手は加工して取り付けてしまおうしサンプル

▲両面テープなどを用いて異なるタイプのヤスリを貼り付けて使用することも可能です。セットのヤスリシートにないもっと粗い番手や、面に追従して作業を行えるようスポンジヤスリを貼り付けて使うのも良いでしょう
▲磨きに使用する高番手のヤスリをつけると、クリアーパーツなどの磨き作業もできます。磨き作業ではパーツを傷つけないように注意したいので、スポンジタイプがオススメ

「Mr.コードレスルータ-PRO X」の構造と役割

 昔からあると便利とオススメされる工具がルーターです。先端のコレットチャックにビットを取り付けることのできる電動ツールで、ビットを交換することで多彩な切削作業ができるのが特徴です。今回の「Mr.コードレスルーターPRO X」は、その名の通り使用時にケーブルは必要ありません。USBでの充電式で取り回ししやすく、かつパワフルな削りを実現したこちらのルーターを使って、このツールの実力を見ていきましょう。

Mr. コードレスルータ- PRO X

●発売元/GSIクレオス●15400円、発売中

Impression

▲ハイスドリル、強力ヤスリ(丸、四角)
▲精密ヤスリ
▲ダイヤ砥石

交換用のビットはドリル(1.6mm径)が1種、削りに使用できる各形状のヤスリが8種の計9本付属。ヤスリは大きく2種にわかれており、刃の付いたプラを削り取るタイプと表面に工業用ダイヤモンド粒子が施されたタイプがそれぞれ用意されています

▲ビット軸は2.35mm径。GSIクレオスより別売りされているルーター用ビットはもちろん、標準的な交換用ビットにもおおむね対応しています。装着方法は簡単で本体先端のピンを押しながらチャックを回すだけです
▲交換時も同様で、締めすぎて取れなくなった際に助かるレンチも付属しています
本体はUSB方式の充電式でフル充電は最大3時間かかります。いざ使うときに電池がなくならないように付属のUSBケーブルでしっかり充電しておきましょう。使用時のパワーにもよりますが、連続使用では20分程度、全体では1時間ほど使用することができます

▲電源スイッチは後部にあります。回すと起動し段階的に回転が早くなっていきます。プラスチック相手の場合、早すぎるとビットの力ではなく摩擦でプラが溶けてしまうので、低い回転数から調整していきます。ルーターの性能のひとつとして、この回転数が低いときに軸がぶれずにどれだけ強く削れるか、というところがポイントになるのですが、このコードレスルーターは低回転でも強く削ってくれます

実際に使用して性能を検証!

▲手早く複数の穴をあけることが簡単にできます。バイクキットのブレーキパッドのような、大量に穴をあけたいパーツなどでとても便利です。また細いドリルでしっかりと奥まで穴を開けたい場合、ルーターのパワーで刃がぐらつかずより正確な穴を開けることができます
▲黒色の強力ヤスリ(丸)は軽く当てるだ
けでもクレーターのようなえぐれができます。

▲さらに削り続けると穴を開けることもできます。このどんどん削れるパワーこそ電動ツールならではの
利点でしょう
▲パーツの内側など指が届かない場所にもヤスリが届き、なおかつ手作業以上に素早く削り取ることができるのでプラパーツ加工がとても楽になります

▲作業時はポリッシャーと同様に削りカスが大量に出るので、しっかり対策しましょう。先端についた削りカスもブラシ等で定期的に払ってあげると良いでしょう

細かなパーツもきれいに削り出し

▲電動では力のかけ始めによる手のブレが出にくいため、狙った位置に穴をあけやすいです。特に小さなパーツやプラ棒に穴あけをする際は、位置や角度を間違えてパーツをえぐってしまうといった失敗がなくなるでしょう。
▲排気管のようなパイプのフチをもう少し薄くしたいという際も役に立ってくれます
▲ほかにもパーツの内側のピンや厚みをキレイに削り取ることも簡単に行うことができます。スナップフィット用のピンを削り、内側にポリキャップを仕込みたい、あるいはアーマーのような被せるパーツにするため内側にフィットさせるように削りたい、そんな加工作業の強いお供になります

ディテール製作にも役立てよう

▲パーツの内側の作業のほかにも、ビットの形状を活かしたディテールの追加など、見える部分の加工にも使用できます。穴を開けたところにダイヤ砥石の球体を軽く押し当てて半球に削ります。すると表面は半休に窪み、その後に穴が空いた2 段階のディテールとして処理することができます

ルーターでの削られ方をダメージ表現に活用

▲ダイレクトにキズを作る、というのもルーターならではの作業かもしれません。パーツ表面に回転ヤスリで当てる角度を変えながらランダムにキズをつけます
▲傷つけた部分を黒ずんだ色に塗装すると、いい具合のダメージ表現になります。直感的にできるのでぜひ一度試してほしい作業です

まとめ

 やはり電動での切削作業は、手での作業の数倍のスピードで行えるので、時短という点で圧倒的なメリットがあります。今回のポリッシャーやルーターの作業は、手でもできることではあります。しかしながら、機械はやはり効率的で、大量に処理することができます。まずは単純な作業を楽にすることからはじめて、より高度な切削作業に挑戦していくと良いでしょう。扱い方が分かると加工作業では手放せないツールになります。ぜひ電動工具の強みを体験してみてください。

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けんたろう

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