ステゴサウルスの好敵手「アロサウルス」を復元!!「プラノサウルス ギガノトサウルス」を改造して最新版骨格を再現!【プラノサウルス復元プロジェクト】
2026.05.22
プラノサウルス復元プロジェクト/アロサウルス【BANDAI SPIRITS】●ウラベヒロト(アーミック)、G.Masukawa(GET AWAY TRIKE!) 月刊ホビージャパン2026年6月号(4月24日発売)
前ページに戻る
■改造
アロサウルスの化石が最初に発見されたのは1860年代のことである。最初の復元骨格(AMNH 5753に基づく)が組み立てられたのは1908年になってからだが、これは世界で初めて完成した大型肉食恐竜の復元骨格でもあった。ティラノサウルスの復元骨格が完成するまでの数年間、アロサウルスはブロントサウルスに続くアメリカ自然史博物館の目玉展示として君臨することになったのである。
1960年代になるとアメリカ・ユタ州のクリーヴランド=ロイド・クオリー(ジュラ紀国定公園)で数十体に及ぶアロサウルスの化石が発掘され、それに基づく復元骨格が世界各地で展示されるようになった。1964年に小川勇吉氏によって国立科学博物館に寄贈された「日本初の恐竜の復元骨格」もそのひとつである。
保存状態のよい化石が古くから知られていること、ティラノサウルスほど特殊化した形態ではないことから、アロサウルスは大型肉食恐竜の「標準形」として扱われることが多い。しかし1990年代に入るまで1体分の完全な骨格が発見されなかったこともあり、その姿は意外なほど不明瞭だ。
今回はギガノトサウルスをベースに、近年発見された新標本の情報を盛り込んでアロサウルスの骨格を製作する。
▲改造の手数ができるだけ少なくて済むよう、ギガノトサウルスの骨格ビルドとアロサウルスの骨格図のサイズをすり合わせる。棘突起の高さ・椎体の長さで合わせておくと後が楽だ。キットパーツを要所で切り分け、胴椎を2つ取り除いて数を合わせる
▲棘突起の形状を整え、切り分けた胴椎を再接着する。胴周りの参考にした標本AMNH 5753は大型個体のためか、アロサウルスのなかでも腰周りの棘突起が高めだ。骨盤は腸骨・恥骨・座骨に切り分け、実際の化石や論文の図版を参考に形状を整える。恥骨は短く切り詰めておこう
▲骨盤の各部にエポパテを盛り、腸骨の形状や座骨各部の突起を再現する。肋骨はキットのものを1本ずつ切り分け、胴椎に接着。そのままだと強度が足りないため、パテで補強がてら胴椎の横突起を造形する。肩甲骨はキットをもうひとつ用意し、そこから切り出した
▲ギガノトサウルスの頸椎(下)はアロサウルスのベースにするには悪くない長さだが、棘突起を含めてもう少し高さが欲しいところ。頸椎ひとつひとつのサイズ感がちょうどよいスピノサウルスの頸椎(上)をベースに改造することにした
▲スピノサウルスの頸椎を要所で切り分け、アロサウルスの骨格図を参考に接着する。このとき、棘突起の高さや傾きが合うように椎体の順番を入れ替えておこう。胴椎ブロックとの接続部にはギガノトサウルスのボールジョイント受けを組み込み、そのまま接続できるようにする
▲棘突起の形状を整え、スピノサウルスの骨格ビルドから頸肋骨を1本ずつ切り出して頸椎に接着する。アロサウルスの首は大型肉食恐竜としては特に長く、よく目立つ。実際の頸肋骨の繊細なイメージをできるだけ損なわないよう注意しよう
▲アロサウルスは大型獣脚類としては小顔であり、案の定ギガノトサウルスの骨格ビルドではサイズがまったく合わない。とはいえ、眼窩や側頭窓(眼窩の後方にある「窓」)のサイズ感はちょうどよさそうだ。吻を切り詰め、骨格図のサイズに近づけていこう
▲キットのままでは吻が左右に広すぎるため、口蓋の部分を削り込んで左右幅を縮める。さらに前眼窩窓(眼窩の前方にある「窓」)で切り詰め、吻を短縮する。下アゴも長さを合わせておこう。頸椎との接続部はスピノサウルスのボールジョイント受けに交換しておく
▲エポパテを盛って各部の形状を追い込んでいく。アロサウルスの面立ちは種や個体によってかなり異なるが、今回はアロサウルス・フラギリスの大型個体DINO 2560を参考とした。歯はエッチングソーで1本ずつ切り分けて整形し、軸椎(第2頸椎)の大きな棘突起はエポパテで造形する
▲アロサウルスの前肢は大型肉食恐竜としてはかなり長く、ギガノトサウルスと比べると手もずっと大きい。ギガノトサウルスの骨格ビルドでは全体的にボリュームが足りないため、他のキットと組み合わせてそれらしくしていこう
▲上腕骨はギガノトサウルスのものを削り込んで使用。肘から先はスピノサウルスの四足歩行バージョンのものを使用する。エッチングソーで指の間を切り離し、デザインナイフで各部を整形する。上腕骨とは金属線で接続し、ある程度ポージングが取れるようにする
▲後ろ脚は大腿骨・脛・趾(足の指)それぞれで切り詰め、骨格図のプロポーションに合わせる。実際の化石や論文の図版を参考にパテを盛り、各部のボリュームや形状を詰めていこう。趾は一度切り離したのち金属線で中足骨(足の甲の骨)と接続し、接地性を高める
▲アロサウルスの尾は太く長く復元されがちだが、「ビッグアル2」の愛称で知られる標本の示す通り、実際にはほどほどの長さで、遠位部(先端側)はかなり細い。ギガノトサウルスの尾(上)の後半部とティラノサウルスの尾(下)の前半部をそのまま組み合わせると、長さ・ボリューム感ともよい雰囲気になる。血道弓は成型の都合もあってボリューム過多なので、実際の化石や骨格図を参考にデザインナイフで削り込んでおく
▲一通りの加工が終わったら各部を組み上げ、バランスを確認する。全身のプロポーションを基のキットから大きく変えているため、骨格図と比較しながら調整しよう。問題がなければ塗装に移る
■塗装
▲前回のステゴサウルスと同様、実際の化石標本らしいカラーリングで仕上げていく。頭骨の参考としたDINO 2560をモチーフに、やや黄色みがあるグレーを調色し、全体を塗装する
web記事はコチラ
▲エナメル系のブラックでスミ入れする。ウォッシングすると全体の色調が暗くなりすぎるため、全体に塗料が回らないよう注意しながら行う
▲パウダー系のウェザリング材を使い、ドライブラシの要領でエッジ部分に色を乗せていく。一通りの作業が終わったら、ツヤ消しクリアーを吹いて表面を保護してやろう
▲これで完成! 日本でも古くから親しまれてきた大型肉食恐竜の流麗な骨格を、卓上サイズで復元することができた。世界各地で展示されているアロサウルスの復元骨格だが、現代的な復元のものは意外なほど少ない。アロサウルスの「最新復元」に、ぜひ挑戦してほしい
▲アロサウルス・フラギリスが命名されたのは1877年のことである。しかしアロサウルスの尾椎は1873年に命名されたアントロデムス・ヴァレンスと区別がつかず、その後長らく混乱が生じることとなった。現在ではアントロデムスの名は用いられておらず、アロサウルス・フラギリスもホロタイプが不完全すぎることから、同じ場所から産出した尾以外ほぼ完全な骨格がネオタイプ(新模式標本)に指定されている。この標本USNM 4734は、ステゴサウルス・ステノプスのホロタイプのすぐ隣から産出したものでもある。
今日、アロサウルス属はアロサウルス・フラギリスの他に、頭骨の細部が異なるアロサウルス・ジムマドセニ、全長11mに達する大型種のアロサウルス・アナクス(かつてサウロファガナクスと呼ばれていたもの)が知られている。アロサウルス・フラギリスと思しき化石はポルトガルでもいくつか知られており、アロサウルスが北米からヨーロッパにかけて広く分布していたことを示している。
Allosaurus fragilis
アロサウルス・フラギリス
●獣脚類 アロサウルス科●全長約9m●ジュラ紀後期(キンメリッジアン)約1億5400万年前頃?~約1億5000万年前頃?●アメリカ中西部・ポルトガル
BANDAI SPIRITS プラスチックキット “プラノサウルス”ギガノトサウルス使用
アロサウルス
製作/ウラベヒロト(アーミック)
骨格図・解説/G. Masukawa(GET AWAY TRIKE!)
プラノサウルス ギガノトサウルス
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●1595円、発売中●約24cm●プラキット
\この記事が気に入った方はこちらもチェック!!/
\オススメブック!!/
ホビージャパンエクストラ vol.30
●発行元/ホビージャパン●1540円、発売中
詳細はこちら
粘土で作る! いきもの造形 恐竜編
●発行元/ホビージャパン●3080円、発売中
詳細はこちら
© BANDAI SPIRITS