【ROAD to RALLY JAPAN】introduction 4
フォード フィエスタ RS
2021.07.01
「ROAD to RALLY JAPAN」は、2021年秋開催予定で10年振りの復活となる『Rally Japan 2021』応援連載企画。ラリーディオラマの連載進行中の小池徹弥が、それと絡めて開催時期まで毎回連載にしてしまおうとスタート。とはいえ、さすがに毎回ひとりで作り続けるのは無理なので、私小池が月刊ホビージャパンカーモデラーに適材適所依頼。ラリーやラリードライバーの多彩さを模型を通して紹介して行きたいと思います。
また、加藤雅彦による「Commentary on the RALLY」ではラリーのことをわかりやすく解説していくので合わせてご覧ください。(小池徹弥)
Ford Fiesta RS WRC 2011
Monza Rally Show Valetino Rossi/Carlo Cassina
前回のWRCの王者セバスチャン・ローブに続いては、他ジャンルより2輪(ライダー)のキング、ヴァレンティーノ・ロッシの登場です。2輪での活躍、人気はご存知の通り、しかしラリー活動も長年続けています。モンツァラリーを中心にWRCにも出場しています。
月刊ホビージャパンGP取材担当、一ノ戸晃治の作例をお楽しみください。
ラリー連載企画、今回はバレンティーノ・ロッシが2011年にモンツァラリーショーに出場した際のフォード・フィエスタRSを製作しております。
モンツァラリーショーは、例年11月にモンツァサーキットで行われているオールターマックのラリーイベントで、ロッシは現役のラリードライバーに混じってこれまでに7回優勝を果たしています。フォーカスとフィエスタで出走していて、サードパーティーのデカールがスポットで販売されていたんだけど、今は探すのが難しくて、今回はたまたま見つけることができた2011年仕様で製作しています。ベルキットのフィエスタもいくつか仕様違いがあるのでお買い上げの際は注意してください。
今回は2011年のADAC仕様をベースにしています。製作はほぼインスト通りですが、塞がっているグリルを抜いたり、クォーターウインドウを外嵌めにするために窓枠を一段掘り下げたりしています。デカールは海外のブルースタッフというメーカーで、シルクで貼りやすいものでした。
今回はさらに初のツヤ消し仕上げ。普通にクリアーコートしてタミヤの3000番のスポンジやすりで表面を均してツヤ消しクリア(クリア1:フラットベースなめらかスムース0.3:溶剤1.5)で躊躇なく一気にコーティング。研ぎ出すより簡単でしたよ。
ロッシは1979年生まれで今年42歳。デビューは1996年だからかれこれ25年もの間走り続けていることになるよね。その間9度の年間タイトル、235回の表彰台を獲得しているんだけど、2002年に通算100戦目で勝利した時はちょうど46勝目で、ゼッケンの横に(%)って貼り付けてたっけ。勝率46%ですよ。ん? 1996年てことはデビュー3戦目のロッシを生で見てたんだなあ。
ロッシは2021年からヤマハのファクトリーを離れてサテライトチームのペトロナスで走っているんだけど、いろいろと苦労しているようでなかなかいい結果を残せていない。「引退」の噂もちらほらと聞こえてきてたりするんだけど、2021年はもてぎに来てほしいよね。東京オリンピックもやるみたいだし、大丈夫と信じたい!
小池氏秘蔵のバレンティーノ・ロッシグッズ
文/小池徹弥
扉絵で使用したロッシグッズは、前回紹介したローブの軌跡を表現した作例のロッシ版を製作しようと集めたもの。それらを使ってロッシの華やかさを表現してみました。ま、ただ単に小池がロッシファンなんですケドw。
BELKITS 1/24スケール プラスチックキット Ford フィエスタ RS WRC 2011 ADAC Rally使用
Ford フィエスタ RS WRC 2011 Monza Rally Show Valetino Rossi/Carlo Cassina
製作・文/一ノ戸晃治
フォード フィエスタ RS WRC
●発売元/BELKITS、販売元/青島文化教材社●6820円、発売中●1/24、約20cm●プラキット
Commentary on the RALLY
Vol. 004
文/加藤雅彦
実はラリーに参加している著名人たちの話
WRCはその名のとおり世界選手権ですので、トップドライバーたちやワークスチームが主役ではありますが、出走しているのはそのメンバーだけではありません。簡単に出られるわけではありませんが、ライセンスなど条件を満たせば誰でも参戦することが可能です。例えば2021年のラリー・モンテカルロのスタートリストを見てみると79台のラリーカーが出走していて、そのうちトップカテゴリーであるWRカーは10台に過ぎません。
ここで簡単に現在FIA(国際自動車連盟)が定めるラリーカーのクラス分けをおさらいしておきましょう。まずは最高峰の「RC1」、WRカーはこのクラスになります。次が「RC2」、グループRally2、グループRally2キットカーのクラスです。グループRally2は2019年まで「R5」と呼ばれていたクルマたちで、シュコダ ファビア、シトロエン C3、ヒュンダイ i20、Ford フィエスタ、プジョー 208、フォルクスワーゲン ポロなどがベースとなっています。WRCの各イベントでもこのグループRally2のマシンでのエントリーが多くなりました。ひと昔前までは、三菱 ランサー・エボリューションやスバル インプレッサが担っていたポジションだったわけですが、こうして見るとあらためて時代の移り変わりを実感しますね。あと10年したらこのグループも全く違う車両に代わっていくことでしょう。市販車がガソリン燃料ではなくなるわけですから、ラリーのレギュレーションも大きく変わるに違いありません。そう考えると2021年のラリー・ジャパンに何台参戦してくれるのか現時点ではわかりませんが、しっかり見ておきたいクルマたちだと思います。
以下、RC3、RC4、RC5とクラス分けされ数字が大きいクラスほどマシンの戦闘力が低くなっています。他に「RGT」というクラスもあり、こちらはポルシェ 997やアルピーヌ A110といったいわゆるGTカーがラリーに参加するための規定です。
安全装備以外ほぼ無改造のエントリーマシンであるグループRally5から、時にはWRカーにも匹敵する速さを見せるグループRally2のマシンまで、ヨーロッパではしっかり参戦してくるチームやドライバーたちがいるところにラリーの人気の高さを感じます。
ドライバー、コ・ドライバーに目を向けるとジュニア世界ラリー選手権に参戦する若手もいるし、いつワークス・チームのWRカーに乗ってもおかしくない実力派ドライバーもいて、こちらも層が厚いです。そう考えるともうちょっとWRカーを走らせるワークス・チームが増えてほしいですね。
また他のカテゴリーで活躍する選手や著名人にもWRCやラリーに興味を示し、もちろん実際に参戦する方も多いです。現役MotoGPライダーでロードレース世界選手権9度のチャンピオンに輝くバレンティーノ・ロッシのラリー好きは有名でしょう。イタリアで行われるラリー・イベント、モンツァ・ラリーショーでの活躍や3度のWRC参戦をご存知の方も多いはず。ハセガワからはロッシが駆ったマシンが2種類キット化されましたし、別売のデカールやミニカーなど模型の世界でも注目されていますしね。年齢的なこともありMotoGPからの引退も囁かれだしているのは残念ではありますが、WRCはともかくとしてラリーを心置きなく楽しんでくれる日が来たらいいですね。
F1の現役ドライバーにもWRC参戦経験者がいます。2007年のワールドチャンピオンで現在アルファロメオに所属するキミ・ライコネンです。2010年はシトロエン・ジュニアチームから、2011年は自身のチーム、アイス1レーシングからWRCに本格参戦、しっかりポイントも獲得しています。WRCとF1の両方でドライバーズポイントを獲得したことがあるのは、今のところライコネンとカルロス・ロイテマン、それにロバート・クビサだけですかね。
ロバート・クビサは2011年、F1のシーズンオフに参戦していたラリー中に大クラッシュを喫しドライバー生命も危ぶまれましたが、2013年にはWRCの下位カテゴリーであるWRC2でチャンピオンを獲得。2014年、2015年はWRCで苦戦しつつも入賞を果たしました。チームマネージャーとしても活躍したジェラール・ラルースもWRCとF1に参戦経験ありです。また日本でもお馴染みの元F1ドライバー、エリック・コマスもグループNの三菱 ランサー・エボリューションVIで2000年のWRCラリー・オーストラリアにスポット参戦しています。
2008年のラリー・ジャパンには俳優の哀川翔さんもフォード・フィエスタSTで参戦されていました。その後も全日本ラリー選手権など現在でもラリー参戦を継続されているのは嬉しい限りです。
イングランドのロックバンド、ピンクフロイドの創設メンバーでもあるニック・メイスンさんもル・マン24時間レースに参戦、完走するほどのクルマ好きとして知られますが、ヒストリック・ラリーに参戦していたりもするんですよね。ヨーロッパのヒストリック・ラリーには本当にたくさんの方が参戦されていて歴史を実感します。日本でもそういうイベントが増えて、ラリーももっと一般的になってほしいものです。
一ノ戸晃治(イチノヘコウジ)
月刊ホビージャパンで長年バイク・カーモデルを担当。レースシーンの取材も行う。実直で破綻の無い安定した仕上げがウリである。