エアブラシ「キャンディ塗装」をマイスターが教える!おすすめ塗料と塗装方法。メタリックな「サイバスター」を仕上げる【マイスター関田】
2023.04.17キャンディ塗装マイスター/マイスター関田(サイバスター【BANDAI SPIRITS】) 月刊ホビージャパン2021年8月号(6月24日発売)
月刊ホビージャパン2023年5月号 好評発売中! エアブラシ特集に合わせてHJ Web掲載のエアブラシ記事をピックアップ。特集号と一緒にチェックしよう!
CANDY PAINTING Meister
キャンディ塗装マイスター
マイスター関田
模型店スタッフ兼モデラーとして工具や塗料の知識を培い、中でもパール・メタリック塗料には一家言を持つマイスター関田。最新HGアイテムのサイバスターを題材に、メタリック色の上にクリアーカラーを乗せる「キャンディ塗装」を解説してもらおう。
キャンディ塗装のポイント
●表面処理と下地
下地塗装の時点で顔が映るほどの光沢を出すと美しい反射層が得られます。表面処理を入念に行い、傷や作業の痕跡を確実に消しておくことがきれいな下地への近道です。また、下地の色調も表現したいイメージによって変えましょう。黒下地は有効な選択肢だが唯一の正解ではありません。
●反射層の選択
仕上がった作品を、実物を鑑賞して楽しみたいのか、撮影して画像で楽しみたいのか。その要求を満たすために、メタリックとパールどちらを使うのか、粒子の大きさはどれくらいの塗料を選ぶのか。それぞれの特性を知ったうえで選択して組み合わせます。
●試し吹き
下地・反射層・着色コートの組み合わせがイメージ通りの仕上がりになるかは実際に塗ってみないとわかりません。ぶっつけ本番はあまりにもリスキーなため、事前に試し吹きを行い「すでに勝っている状態」で本番に臨むべきです。
キャンディ塗装に役立つおススメ塗料
メインカラーの塗装
サイバスターの色は銀のような白のような不思議な色合いです。今回はゲーム『スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神F COFFIN OF THE END』版を意識しつつも、CGで表現されている大理石のようなムラやコントラストを抑えながら、グラデーションをかけました。
関節部の塗装
作例の重厚感を上げつつ装甲色との対比を強めてメリハリをつけるため、『第2次スーパーロボット大戦OG』ゲーム内のCGを意識しながら彩度を上げつつ暗くしています。
完成!
風の魔装機神を塗装で魅せる!
前半で解説した塗装により仕上げられたサイバスター。ファンタジー要素が非常に強い本機のモデルは、やはり塗装にこだわりたいところ。キャンディ塗装に限らず、パール・メタリック塗料の塗装法は知識と経験がものを言う。作例に使用したHGキットは非常にシャープな造形で塗装に注力しやすく、今回のような塗装表現の練習にも打ってつけと言えるだろう。本記事を参考に、美麗なキャンディ塗装にレッツトライ!
ドーモ、マイスター関田でございます。
今回は1991年の初登場から30年目にしてBANDAI SPIRITSよりキット化となりましたサイバスターを製作させていただきました。HGということで組みやすく、メリハリの付いたプロポーションも魅力的ということで大改造はせず、端々の気になる部分を抑えつつ、イメージ通りの塗装で仕上げていくというのが大まかな製作方針です。
■各部の工作
装甲パーツは各先端部が鋭く尖った状態で成型されており、これに合わせて縁を削り込んで輪郭をシャープに整えることでさらに見映えを良くしていきます。特に腰部装甲は輪郭に沿ってモールドされている段差を彫り込み、積層装甲のイメージで加工しています。その他は各部のスジ彫りや段差を彫りこみ精密感を増しつつ肉抜き穴を埋めていきました。
■塗装に関して
サイバスターは各媒体によって微妙に色調や質感が異なりますが、今回は自分の中での好みをいいとこ取りする形で色調を選択しています。私の塗装は重厚感を目指して下地に暗めの色を置くことが多いのですが、サイバスターの本体色のように淡い色調の場合は注意が必要です。下地を暗くすることで最終的な段階でイメージとは違った濁りが発生してしまうというのは避けたいところ。あくまで明暗の陰影ではなく、極端に彩度の高いシェイド色から彩度を低くしつつ明るく白に近づけていくイメージでグラデーションをかけています。紫の関節色もまた各媒体で微妙に色調が異なり迷うところですが、今回は淡白なメインの色との対比を狙って彩度を極端に高めた色調を選択しています。この2色のバランスが作品の全体像を大きく左右するので、自分のイメージする色が出せるようキチンと試し吹きをして実際の仕上がりで確認しておきたいところです。
■作り終えて
他のHGシリーズ同様シンプルな構成のキットで作りやすく、また自分の出したい方向性が出しやすいと感じました。俄然、他の機体も欲しくなってしまいますね! 今後の展開に期待です!
■その他の塗装レシピ
金色の部分
1層目=ブラウン→2層目=スターブライトシルバー→3層目=スーパークリアーIII→4層目=ゴールド
赤の部分
1層目=ブラウン+ブラック→2層目=クールホワイトでハイライトグラデーション→3層目=自作クリアーレッド(色ノ源マゼンタ+色ノ源イエロー+スーパークリアーIII)
グリーンの部分(宝玉部分)
1層目=ウイノーブラック→2層目=クールホワイトでハイライトグラデーション→3層目=蛍光イエローグリーン+純色シアン
蛍光グリーン(目、胸部三角形)
1層目=クールホワイト→2層目=蛍光グリーン+色ノ源シアン+クールホワイト
BANDAI SPIRITS ノンスケール プラスチックキット
“ハイグレード”
サイバスター
製作・文/マイスター関田
HG サイバスター
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●4400円、発売中●約17cm●プラキット
Ⓒ東映アニメーション ⒸSRWOG PROJECT
マイスター関田 (マイスターセキタ)
THE GUNDAM BASE TOKYOのガンプラマイスターとして活躍するプロモデラー。同店のビルダーズゾーンやYouTubeチャンネル、講習会などを通じて、数多くの模型ファンに製作法を伝授する「伝えるプロ」。自身の特技として“変態的”なパール塗装を挙げる。