HOME記事フィギュア「UA Monsters スペースゴジラ」をスーツ造形に携わった伊藤成昭氏が製作!当時のスーツを目指し「ホンモノ」に近づける【ゴジラVSスペースゴジラ】

「UA Monsters スペースゴジラ」をスーツ造形に携わった伊藤成昭氏が製作!当時のスーツを目指し「ホンモノ」に近づける【ゴジラVSスペースゴジラ】

2025.03.08

UA Monsters スペースゴジラ【メガハウス】 月刊ホビージャパン2025年4月号(2月25日発売)

スーツ造形担当が自ら作例に挑む、ホンモノのスペースゴジラ

 1994年公開『ゴジラVSスペースゴジラ』より、G(ゴジラ)細胞から生まれた宇宙怪獣スペースゴジラが、メガハウスのUA Monstersシリーズに登場した。シリーズ恒例の発光&音声ギミックはもちろん、こだわり抜いた造形は、まさに“破壊神”にふさわしい仕上がりとなっている。この究極の破壊神を、当時モンスターズの一員として造形に携わった伊藤成昭氏が製作。ポージングの微調整に加え、ディテールも調整。発光ギミックを盛り込んだ結晶体を新造し、造形に華を添えている。

UA Monsters スペースゴジラ
●発売元/メガハウス●44900円、受注終了●約36cm●プレミアムバンダイ、あみあみ、でじたみん、ボークス、イエローサブマリン(一部店舗を除く) 限定アイテム

▲︎爪と牙は、乳白色だったのをブルーグレーに塗ってます。これは納品した時に川北紘一特技監督に言われて変えた部分です。納品前に完成した時の写真だと、爪と牙はゴジラと同じような色なんです。監督的には顔の造形はゴジラだけど、全体の印象はちょっとゴジラから遠ざけたかったんじゃないですかね(伊藤)

▲︎結晶体は大雑把に削ったサンペルカの上にポリを塗って、ツルンとさせたものから型を取っている。型に透明樹脂をうっすら塗った上からゲルポリ(自己粘着性フィルム)を塗り、一層目の透明な部分と二層目の白っぽい部分でマダラにしている

▲腹部は血管が少ないと感じたため、パテで1本だけ足している

▲首の角度を変えたのに合わせ、耳の位置も変えてエポパテで新造。エポパテはすぐ乾いてしまうため、荒く彫刻したあとに彫刻刀やヤスリで整えながら馴染ませている

▲目は外側に1枚透明のカバーをはめて、瞳が描いてある別パーツを裏からはめている

▲︎王冠は、基のものを型取りしてレジンで複製。それにモールドを足して原型とした。透明樹脂に少しだけオレンジを入れたもので成型している。カーブをかけたあとに根元だけクリアーレッドを足している
▲写真で色が白くなっている箇所が改造した部分。目は切り取って、レンズごと変えている。眉間のラインも微調整した
▲︎台座のスイッチを押すと「ON1」では咆哮音2種とともに目、ツノ、肩の結晶体が発光。「ON2」では咆哮音とともに目とツノが発光。その後、ツノと口内、肩の結晶体がオレンジ色に強く光り、背びれがランダムに発光、劇中通りのコロナ・ビーム放射シークエンスが楽しめる

▲︎光源が見えない工夫として、中をくりぬいて内側にカップ状のものを入れ、光源の位置を下げている。周りをプリズムシートで囲って、光が淡く広がるようにした

▲︎ヒザと手のひらはモールドが少なくてツルンとして見えたので、ポリパテを溶いたものをブラシで叩いて、ザラザラした質感を演出している

 スペースゴジラはモンスターズ的にも初めてのタイトル怪獣の造形でしたし、プレッシャーよりも嬉しかったですね。撮影現場にも付きっ切りだったので思い出深い怪獣です。今回のアイテムは手の形や首の向きなど、実際にはこうならないものをうまく立体化してくれていますが、せっかくなので少し当時のスーツに近づけてみようと思いました。

■ 首
 基が結構上を向いていたので、少し首を切って角度を下げました。正面のゴジラを見ているようなイメージですね。角度を変えてできた隙間は、プラ板を内側にグルっと付けて、その上にエポパテを盛り、つながりと馴染むように体表を彫刻していきました。

■ 目
 目は電飾を入れなくても見映えがするようにしっかりと色が塗ってあって、赤いLEDが内蔵されていました。スーツの目は電飾が入るのでFRPは中空、レンズ部分は透明ポリで、色はオレンジでした。なので作例ではLED自体を白に変え、キットの目を切り取り透明の0.3mm塩ビを8mmの球体で熱押ししたものをはめ、カバーにして白塩ビを6mm球で熱押ししたものに瞳を付けて、塗装したものをカバーの内側に入れました。電飾を付けたらスーツの雰囲気になるようにするための色と角度が難しく、ここが一番手間取りました。

■ 結晶体
 結晶体は白にパール銀みたいなものが吹いてあって、がっつり色が塗ってあったのでそこもスーツの印象とは違うかなと。最初は実際のスーツと同じように、型を取ってFRPに置き換えてみたんですが、光の透過があまりうまくいかなかった。色を落としたら下は透明のソフビだったんで、中の光源が見えないように内側からソフビ用の塗料のツヤ消しを軽く吹いて曇らせています。

■ 塗装
 塗装はマスコミ発表会の時の色合いをイメージしました。当時は、緑のラテックスで成型したこともあって、なかなかきれいな青にならなかったんです。使った塗料もあまり発色がよくなかったので、画面では照明や土埃なんかも加わって黒っぽく見えますね。
 この作例に関しては群青に少し黒と赤を入れてます。1回サフを吹いて、GSIクレオスのラッカー塗料で調色して塗りました。撮影時も川北紘一特技監督の指示で赤っぽい色を叩いたような気がします。
 胸から腹部の赤い部分は、明るめの色から赤紫みたいな色をかけていって、色を落としていきました。腹部の球体は周りより一段赤が強くなっています。これも当時のスーツの通りですね。結晶体の生え際はアンダーな色で馴染ませていたのですが、監督から「もっと血みたいな派手な赤を足して、血管みたいのも付けて」と言われて、現場でタミヤアクリルの赤で描きました。なので作例でも派手めの赤で塗ってます。他にも川北監督から「なんか金粉とかないの?」って言われて塗ったので、今回の仕上げで首、胸、肩あたりにラメで金粉を表現しました。
 上半身をもっと派手にしてほしいってことと、あとは宇宙っぽさなんでしょうね。美術の高橋(勲)さんが『ゴジラVSモスラ』で使ったグリッターを持ってきてくれて、「こんな大きいラメでいいの……?」と思ったんですが、青い体表の上だとそれほど目立たないので、アップショットやスチールでわかる程度でちょうどよかったですね。塗るとマダラに残ってくれるリキテックスの金ラメで、その雰囲気が出せていればと思います。

メガハウス ノンスケール PVC&ABSモデル

UA Monsters スペースゴジラ

製作・文/伊藤成昭

UA Monsters スペースゴジラ
●発売元/メガハウス●44900円、受注終了●約36cm●プレミアムバンダイ、あみあみ、でじたみん、ボークス、イエローサブマリン(一部店舗を除く) 限定アイテム


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