モデラーのロマン“全指可動ハンドパーツ”を自作する! 往年の読者の心を奪った「鎌田指」とはどんなものだったのか、モデラー・けんたろうが検証!
2024.11.06全指可動ハンドの自作に挑戦!
すべての指が関節ごとに動く「可動ハンドパーツ」への飽くなき欲求。かつて月刊ホビージャパンでも精緻な工作技術をもって読者の崇敬を集めた者たちがいた。“原田指”あるいは“鎌田指”…モデラーの名前で呼ばれた可動ハンドパーツとはどんなものだったのか。けんたろうが往年の技術再現に挑む。
原田指? 鎌田指?
可動の概念を考える
単純に作れるけれど…
線でつなぐなら?
アルミ線で試してみる
ボールジョイント接続は?
座りて学ぶもの〜座学〜
いよいよ可動指再現にトライ!
リューターよありがとう
すでに地獄の様相
エナメル線でつなぐ
少しずつ肉付け
親指は個別に整形
4本の指もディテールを作る
手のひらも自作
完成は近い!
手の甲も作ります
遂に完成!
■手の話なんだっ手?
──ようこそ、編集部こと「鎌田指を作らないと出られない部屋」へ。完成するまで一緒に頑張ろうね!
けんたろう(以下け) …カマタ? なにそれ? あと突然呼んでおいて監禁はイヤすぎる!
──まあまあ。だいぶ昔に流行った、自作ハンドパーツを作ってもらおうと思って。
け ああ。いまでもホットな部分ではありますもんね、ハンドパーツって。ガンプラでそこ語ったらなかなかの歴史があるし…。
──でしょ。その紡がれてきた歴史に僕らもチャレンジしてみよう。
■可動指はじめて物語
け 可動指って昔から盛んですけど、作ったことなかったなあ。いまだとプラ材がいっぱい種類があるから、中空の部材に軸を横から打つのが簡単なのでは。
──ウェーブのプラ=材料ね。断面が角形、丸形どちらもあるから使えるかもね。でもそういうのじゃないんだ。これを読んでみて、『MAX渡辺のプラモ大好き! 上級編』。
け うわ、懐かしい! 自分は初級編いっぱい読んだけど、上級編まではたどり着いてなかったなあ。なるほどね、コの字のプラを使ってつなぐのか…って、これ原田指って書いてありますけど。
──あれ?
■とにかく作ってみよう
け よくわからないけど、ひとまずアルミ線とプラ板でマネしてみる。リード線はどんなの使ってたんだろう。
──アルミ線もだいぶ硬いし、曲げを繰り返したらすぐ金属疲労で折れそう。
け 小さいサイズは大変だなあ。芯材がむき出しなのはメンテナンス性がいいかも。折れたら交換。
■座りて学ぶ者のターン
──ということでバックナンバーを調べにきました。これかな。月刊ホビージャパン1988年2月号。
け おお、サザビーの手が…! これちゃんと節の部分も再現してあって、リード線も見えにくくなってる。あぁ、鎌田さんも原田指の改良版として作ったものを鎌田指と言ってるんですね。
──なるほどね。当時を知る方々に話を聞いていても、原田指と鎌田指が混在してて紛らわしかったんだよね。
け 頼んでおいて、いい加減すぎるでしょ!
──まあ、わかってよかったじゃないの。それじゃあ徹夜で作ろうね。
■チュンチュン、チチチ…
け よ、ようやくできた……(げっそり)。
──ほんとに徹夜で作ったね。よく頑張りました。
け いやこれびっくりですよ。昔これ平然とやってたの。模型筋力ムキムキすぎでしょ。
──何がそんな難しかったの?
け 品質。指の節ひとつとっても同じカタチにするのが難しくて。直線部分もあとからドリルで穴を開けるんだけど、リューターで熱を持ってすぐに横から穴が空いちゃう。
──これサイズは1/100ぐらいだけど、もっと小さくできなかったの?
け 無理無理! ほんと昔の人はすごかった。こうして同じことをやってみるとよくわかる。人差し指~小指までの長さが微妙に違うでしょ? 恥ずかしながらこれは自分が精度を出せなかった結果。みんな長さが同じ指だったら手の甲側で長さを変えることで対応しようと思って…。全部がアドリブで、結果それっぽくなっただけ。
──なるほどね。ご苦労さまでした。で、左手はいつできるの?
け ギェー!(椅子から転がり落ちて床に倒れる)
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