【勇気爆発バーンブレイバーン】敵の量産兵器「ゾルダートテラー」をアニメ用のCGモデルを活用してスクラッチで立体化!
2024.06.24ゾルダートテラー【スクラッチビルド】●六笠勝弘 月刊ホビージャパン2024年7月号(5月24日発売)
円盤状の量産型敵兵器をスクラッチで製作
『勇気爆発バーンブレイバーン』に登場する敵の量産兵器、ゾルダートテラーを公式外伝「未来戦士ルル」のフォトストーリー用にスクラッチで立体化。CygamesPicturesの協力の下アニメ用のCGモデルを活用した六笠勝弘による本作例では、円盤のような飛行形態と人型形態の2体を製作。アニメ特有の、輪郭線が太い絵のイメージを崩さずに高い精度で立体化している。
アニメ用のCGを出力用のデータに変換
3Dデータの穴を地道に埋める
塗装レシピ
下地:プライマーサーフェイサー(ライトグレイ)
シャドウ:MSファントムグレー+オレンジ少々
グレー:ニュートラルグレーⅢ+ニュートラルグレーⅣ
白:Ex-ホワイト 赤:GXメタルピーチ
トップコート:Ex-クリアー+Mr.クリスタルカラー ルビーレッド
■ はじめに
『勇気爆発バーンブレイバーン』素晴らしい展開で最高に面白かったです! 今回はデスドライヴズの「ゾルダートテラー」の製作です。CygamesPictures様から提供いただいた映像用データを基に3Dツールで調整したものをプリンターで出力しました。
■ 3Dデータの調整
映像用やゲーム用の3Dデータには、3Dプリンターで出力する時には必要のない、見た目を調整するハイライト表示用のモデルや、CGを動かすための骨組みのようなモデルが内包されていることがあります。まずは、提供いただいたデータを3Dツールで読み込み、必要なデータだけを残して不要なモデルは削除していきます。今回は曲面が多いモチーフなので、ハイメッシュ化というコマンドを使い、PCで表示できる限界まで造形物を滑らかにしていきます。
次はモデルの穴をふさぐ作業です。映像用やゲーム用のモデルは、描画しない部分は削除してあることが多く、プリンターで出力できないことがあります。このあたりは地道に3Dツールの「穴埋め」コマンドでふさいでいきます。
■ 出力
製作したハイメッシュモデルを「.objファイル」で書き出し、印刷用のデータを作ります。そのあと接着面や目立たない面に注意しながらスライサーソフトでモデルを配置していきます。複雑な形状のものはある程度分割してから配置するときれいに出力できます。
出力したものはなるべく早めに洗浄、2次硬化時間も1分や2分など小刻みに分ると歪みが少ないです。
■整形・塗装
サポートを切り離し、出力したものを2次硬化し終わったら整形作業です。パーツ数は少ないですが2体分なのでけっこうな物量でした。整形が終わったパーツから缶サフを吹いていきます。缶サフはプライマー成分が強く、定着が良いので出力物には最適です。
下地が終わりシャドウ吹き後は、今回の一番大変なマスキングです。細かく切ったマスキングテープを根気よく貼っていきます。時間がかかりますが、丁寧にピッタリ貼らないと修正が大変になります。とにかくこの作業が一番大変な作業だと思います。
■製作がおわって
今回、実は4Kのプリンターを使って印刷しています。外注さんに頼めば12Kでの出力もできたのですが、連載開始まで時間もなかったので超ハイメッシュ化したモデルを出力してみました。CygamesPictures様のデータの出来が非常に良かったのでハイメッシュ化もやりやすかったです。積層痕も目立たず、曲面の丸みも問題なさそうですね。
ノンスケール スクラッチビルド
ゾルダートテラー
製作・文/六笠勝弘
協力/CygamesPictures
メカニカルデザイナー/寺岡賢司
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©「勇気爆発バーンブレイバーン」製作委員会
六笠勝弘(ムカサカツヒロ)
ミキシングや3D造形技術を駆使してスクラッチ、大型ディオラマなどハードな作品を作り上げるベテランモデラー。