『ゴジラxコング』新作でも登場が決定した東宝怪獣「モスラ」のガレージキットを塗装!【コモリプロジェクト】
2024.04.22 コモリプロジェクトHP
Youichi Komori Official Web(y-komori.net)
その人はモスラの縁を運んできてくれた
みなさん、こんにちは。コモリプロジェクト代表の小森です。いつもそうなんですが、東宝怪獣を作る時は肩に力が入ります。自分のなかのDNAがザワザワしている感じとでも言いましょうか。やっぱり特別なんでしょうね、存在自体が。今回、相対するのはモスラです。東宝怪獣のなかでもトップクラスの人気と実力を誇る存在であり、昭和から平成と何度も語り継がれ、ついにはハリウッド版でも鮮やかにスクリーンを飾りました。コルネパンのような形の幼虫、極彩色の羽を広げた成虫の姿は世代を越えて多くの人に愛されています。もちろん僕もモスラは好きですし、主役のものからゲスト出演したものまでさまざまな作品を観てきました。しかしながら、これまでガレージキットでモスラを作ったことは一度もありません。不思議なくらい縁がなかったんです。そんな僕にモスラの縁を運んできてくれたのが原型師のおぐらゆいさんでした。おぐらさんはどんなに忙しい時でも飛んで来て、展覧会やコモリプロジェクトの準備などを手伝ってくれます。本当に感謝しても足りないくらいです。どうにかして恩返し出来ないか、思い立ったのが作例を手がけることでした。これまで数十年、怪獣ガレージキットを作り続け、「造形家より造形本を出している」と言われる身(笑)、僕が塗ることで多少の宣伝になればと考えたワケです。第1弾は『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』からモスラの幼虫、第2弾は『モスラ3 キングギドラ襲来』からレインボーモスラの登場です。双子の幼虫(おぐらさん曰く、太郎と花子)はシンプルだからこその配色に難儀しましたが、レインボーモスラに比べればなんのこともありません。
とにかく、レインボーモスラの羽には難儀しました。もっとも苦しんだのは、これまで培ったスキルとは真反対のアプローチを求められたから。怪獣ってだいたいくすんだ色だし、汚してやれば雰囲気は引き立ちます。でも、レインボーモスラの場合、それは一番やってはいけないこと。羽はどこまでも美しく、優雅でなければなりません。もう、マスキング作業は延々と続くかと思いました……。ひたすら地味で根気が求められます。でも、この作業を貫徹しない限り、鮮やかな虹色は手に入りません。心折れそうになった時、ハッとさせられたのが毛の表現です。顔の周り、身体や足、羽の付け根など、びっしりと生えた毛を眺めていると、おぐらさんの造型に向き合うひたむきな気持ちが感じられました。最後まで気持ちを切らさずやり通せたのはまさにそのおかげです。完成したモスラの幼虫、レインボーモスラはワンフェスで展示され、お客さんからの評判も良く、おぐらさんも大層喜んでくれました。良かったぁ~ これで少しは恩返しが出来たかな。果たして第3弾はあるのか、あるとすればどんなキャクラクターなのか、ドキドキする日々のなかでこの記事を書いています。
最後に、アートディレクター土井眞一氏の手がけたパトレイバー・イングラムの作例もよろしくお願いいたします。
文/小森陽一
構成・撮影/土井眞一
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小森陽一(コモリヨウイチ)
●1967年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映に入社。その後、コラムや小説、漫画原作や映画の原作脚本を手がける。大阪芸術大学映像学科客員教授。『海猿』『トッキュー!!』『S-最後の警官-』『BORDER66』『ジャイガンティス』など著作多数。