ARTPLAイングラム1号機 細密な固定ポーズキットの魅力を重厚な塗装で存分に引き出した作例!
2024.04.12AV-98 イングラム リアクティブアーマー1号機【海洋堂】 月刊ホビージャパン2024年5月号(3月25日発売)
海洋堂のプラキットブランド「ARTPLA SCULPTURE WORKS」より、映画『機動警察パトレイバー2 the Movie』に登場したイングラム1号機がプラキット化。製品はリアクティブアーマーを着込んだ1号機の姿を固定ポーズで表現。立像なのでしっかり自立、パーツの合わせ目を目立たない位置に設けるなど徹底したモデラー目線で設計されており、接着剤とニッパーがあれば細密な彫刻をサクサクと組み立てることができる。同ブランドからは今後も2号機、3号機の発売が予定されており、3体を並べられる日もそう遠くはないだろう。そんな注目の新製品を、月刊ホビージャパン連載「コモリプロジェクト」のディレクター、土井眞一が塗装。海洋堂キット開発者の塩入氏にこだわりポイントを伺いつつ、重厚な塗装で造形の魅力を最大限に引き出してみた。
こんにちは。コモリプロジェクトのアートディレクター土井眞一です。
いつもは怪獣と小森陽一先生を相手に構成・撮影を担当しているのですが、今回は趣向を変えてプラキットの作例に挑みます(今回のコモリプロジェクト モスラ編もよろしく)。
このARTPLAイングラムですが、開発のきっかけは、2023年2月の「ワンダーフェスティバル2023[冬]」において、『機動警察パトレイバー』関連イベントとして催された「第1回幕張国際レイバーショウ」。このとき、モデラーによる造形コンテストが行われ、吉良かずや氏が本キットのベースモデルを出品。会場で高い注目を集め、見事伊藤和典賞を受賞し、海洋堂からARTPLA SCULPTURE WORKSとして商品化されることが決定したそうなんですね。吉良氏は海洋堂から複数の商品形態で立体化されている「エヴァンゲリオン2号機獣化第2形態ザ・ビースト“ジオフロント血戦”」の原型を担当した新進気鋭の造形作家。なるほど受賞も頷けます。
さて今回のイングラムは、一口で言うとメカモデルとミリタリー兵キットを同時に楽しめるようなキットです。『機動警察パトレイバー2 the Movie』で披露した、リアクティブアーマーを装着した姿を精悍に立体化しています。
このアーマーがなんともかっこよく、現実の兵士たちが敵弾から身を守る個人防護装備みたいな感じで情報量満載。キットの金型も、従来の鋼材ではなく合金を使っているそうでシーリング材の表現力が凄まじい。この布材部分だけでも何時間でも塗装の楽しさを堪能できてしまいます。
作例で行った改造としては、ボディにジャケットを取り付けるベルトのベルクロ部にリアルさを持たせるため、マスキングテープを貼ってベルトに変化をつけていきました。ですが、正直やらなくても大丈夫。全体の造形力が素晴らしいので、そんな些細なことにこだわらず、ストレートに組んだほうが楽しめると思います。
露出しているイングラムの本体部分は設定上はFRP材でできています。映画では本来の役割を終え、データ収集のための実験機として保管されていました。樹脂の劣化とまではいかないでしょうが、ちょっと痛んだ感じを出すために、表面のホワイトの下地には白に近いアイボリーをごく少量入れています。ほんの少し掠れた感じの、日焼けなのか擦れなのかのイメージを表現してみました。でもほとんど見えてませんね。
海洋堂 ノンスケール プラスチックキット“ARTPLA SCULPTURE WORKS”
AV-98 イングラム リアクティブアーマー1号機
製作・文/土井眞一
ARTPLA SCULPTURE WORKS イングラム リアクティブアーマー1号機
●発売元/海洋堂●8800円、4月中旬予定●1/35、約23cm●プラキット
ⓒ HEADGEAR
土井眞一(ドイシンイチ)
CM、映画の特殊造形会社代表。月刊ホビージャパン連載のコモリプロジェクトでは構成、撮影などを担当。海洋堂ARTPLA製品では「マシーネンクリーガー」パッケージ特撮の制作、撮影を手掛けている。