HOME記事キャラクターモデルARTPLAイングラム1号機 細密な固定ポーズキットの魅力を重厚な塗装で存分に引き出した作例!

ARTPLAイングラム1号機 細密な固定ポーズキットの魅力を重厚な塗装で存分に引き出した作例!

2024.04.12

AV-98 イングラム リアクティブアーマー1号機【海洋堂】 月刊ホビージャパン2024年5月号(3月25日発売)

 海洋堂のプラキットブランド「ARTPLA SCULPTURE WORKS」より、映画『機動警察パトレイバー2 the Movie』に登場したイングラム1号機がプラキット化。製品はリアクティブアーマーを着込んだ1号機の姿を固定ポーズで表現。立像なのでしっかり自立、パーツの合わせ目を目立たない位置に設けるなど徹底したモデラー目線で設計されており、接着剤とニッパーがあれば細密な彫刻をサクサクと組み立てることができる。同ブランドからは今後も2号機、3号機の発売が予定されており、3体を並べられる日もそう遠くはないだろう。そんな注目の新製品を、月刊ホビージャパン連載「コモリプロジェクト」のディレクター、土井眞一が塗装。海洋堂キット開発者の塩入氏にこだわりポイントを伺いつつ、重厚な塗装で造形の魅力を最大限に引き出してみた。

▲キットは1/35スケール、全長約23cmと手頃なサイズ感で造形されている。スタチューキットといえど大味なパーツ分割ではなく、カラーリングごとに細かく分かれているため塗装派にも優しい仕様となっている。作例はラッカー塗料で基本塗装後、油絵具や色鉛筆で細部を仕上げていった

▲歴代イングラムキットの中でも、屈指のリアルな“皺”を彫まれている本キット。固定ポーズ立像ならではの見事な造形だ。胴体のリアクティブアーマーはMr.カラー ダークグリーンで基本塗装。その上からハイライトとなる出っ張り部と、引っ込んでいる影の部分に明暗に振った緑色をそれぞれ吹いていくことで立体感が強調できる

▲シールドの留め具類は筆塗りで対処。基本色塗装後に一部の面にマスキングテープを貼っておき、暗めの色を吹いた後でテープを剥がし、シーリング材に表情(素材の劣化や継ぎの跡等)のアクセントをつけてみた
▲ナンバープレートや肩の「1」マークなどは水転写デカールが用意されている。ゴーグルや腰のライトはクリアーパーツ製
▲首周りの油圧シリンダー部は金属線に置換。ベルト類は細切りにしたマスキングテープを素材として貼り付け、たわんだベルトを表現している
▲リアクティブアーマーに使用した色はMr.カラーの70番ダークグリーンと14番ネイビーブルー。白い部分はGX1番クールホワイトを使用。基本色に白と黒を少量調合して明暗の色を作り、エアブラシで細吹きしながら色に深みを持たせていった
▲塗り分けのマスキングにはホルベインの水彩画用マスキング液「マスキングインク」を使用。サラサラしていて塗りやすい
▲油絵具や色鉛筆も適宜使っている
▲基本塗装を終えたパーツ類。写真のような色のまとまりごとにパーツを接着、整形しておくと塗装しやすい
▲新提案。上半身だけでもちょっとした台座を作って(写真はカメラのジャンクレンズに乗せている)飾るのもアリ!?
▲海洋堂に打ち合わせに行った際に見せてもらった、キットの合金金型の写真(企業秘密?)
▲開発スタッフの塩入翼氏(写真右側)と私(写真左)とで、ヒミツの作戦会議(2号機と3号機の試作が!)。これからのARTPLAの展開が楽しみですね〜(ドイ)

 こんにちは。コモリプロジェクトのアートディレクター土井眞一です。
 いつもは怪獣と小森陽一先生を相手に構成・撮影を担当しているのですが、今回は趣向を変えてプラキットの作例に挑みます(今回のコモリプロジェクト モスラ編もよろしく)。
 このARTPLAイングラムですが、開発のきっかけは、2023年2月の「ワンダーフェスティバル2023[冬]」において、『機動警察パトレイバー』関連イベントとして催された「第1回幕張国際レイバーショウ」。このとき、モデラーによる造形コンテストが行われ、吉良かずや氏が本キットのベースモデルを出品。会場で高い注目を集め、見事伊藤和典賞を受賞し、海洋堂からARTPLA SCULPTURE WORKSとして商品化されることが決定したそうなんですね。吉良氏は海洋堂から複数の商品形態で立体化されている「エヴァンゲリオン2号機獣化第2形態ザ・ビースト“ジオフロント血戦”」の原型を担当した新進気鋭の造形作家。なるほど受賞も頷けます。
 さて今回のイングラムは、一口で言うとメカモデルとミリタリー兵キットを同時に楽しめるようなキットです。『機動警察パトレイバー2 the Movie』で披露した、リアクティブアーマーを装着した姿を精悍に立体化しています。
 このアーマーがなんともかっこよく、現実の兵士たちが敵弾から身を守る個人防護装備みたいな感じで情報量満載。キットの金型も、従来の鋼材ではなく合金を使っているそうでシーリング材の表現力が凄まじい。この布材部分だけでも何時間でも塗装の楽しさを堪能できてしまいます。
 作例で行った改造としては、ボディにジャケットを取り付けるベルトのベルクロ部にリアルさを持たせるため、マスキングテープを貼ってベルトに変化をつけていきました。ですが、正直やらなくても大丈夫。全体の造形力が素晴らしいので、そんな些細なことにこだわらず、ストレートに組んだほうが楽しめると思います。
 露出しているイングラムの本体部分は設定上はFRP材でできています。映画では本来の役割を終え、データ収集のための実験機として保管されていました。樹脂の劣化とまではいかないでしょうが、ちょっと痛んだ感じを出すために、表面のホワイトの下地には白に近いアイボリーをごく少量入れています。ほんの少し掠れた感じの、日焼けなのか擦れなのかのイメージを表現してみました。でもほとんど見えてませんね。

海洋堂 ノンスケール プラスチックキット“ARTPLA SCULPTURE WORKS”

AV-98 イングラム リアクティブアーマー1号機

製作・文/土井眞一

ARTPLA SCULPTURE WORKS イングラム リアクティブアーマー1号機
●発売元/海洋堂●8800円、4月中旬予定●1/35、約23cm●プラキット

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ⓒ HEADGEAR

土井眞一(ドイシンイチ)

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