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発売まで待ちきれない「1/35ファルケ」先行公開! MAX渡辺×横山宏対談や横山宏ディテールアップガイド、ファルケ ドーリーの解説も【Ma.K. in SF3D】

2023.12.12

Ma.K. in SF3D/1/35ファルケ先行公開 月刊ホビージャパン2024年1月号(11月25日発売)

ファルケ イメージカット

ファルケ

●発売元/マックスファクトリー●価格未定、2024年7月予定●1/35、約18cm●プラキット


発売まで待ちきれない!

マックスファクトリー1/35ファルケ先行公開MAX渡辺×横山宏スペシャルトーク

 マックスファクトリー初の『Ma.K.』プラキットとして2023年5月に発売が発表され、大きな話題となった1/35ファルケ。開発は進み、横山宏、MAX渡辺の現時点で最新のテストショットによる作例が完成。プロポーション、ディテールも秀逸な1/35ファルケは比較写真がなければ1/20スケールと見間違えるほどの高い完成度を誇るキットとなっている。発売予定は来年夏とまだ時間はあるが、この超目玉キットを先行公開しMAX渡辺と横山宏による熱いトークをお届けしよう。

テーブルに置かれたファルケ、ランナー、書籍、ボイスレコーダー
▲トーク中に並べたファルケ6機。2023年5月の静岡ホビーショーで展示された2機に横山宏、MAX渡辺による完成品2機、素組みの機体と横山氏がスジ彫りのパネルラインに伸ばしランナーを埋めて凸モールドに変えた未塗装機が持ち込まれた
ファルケ 正面
▲テストショットを完成させたMAX渡辺の新規作例。キットはパネルラインを凹モールドで表現している。ボディのなまめかしい曲面も魅力的だ
ファルケとMAX渡辺
▲マックスファクトリー初の『Ma.K.』プラキットとなる1/35ファルケ。MAX渡辺はその完成度に自信をのぞかせた
ファルケと横山氏
▲ファルケ初掲載のホビージャパン1983年3月号の上に1/35ファルケの未塗装機を置き40年の感慨にふける横山氏

■みんなが1/35ファルケの進捗状況を心配してると思って先行公開しました
MAX渡辺(以下MAX):今回はマックスファクトリー1/35ファルケの特集なんですが、これ、2024年の夏発売の予定で動いてるんですけど。
横山宏(以下横山):そうだっけ?
MAX:ええ(汗)。だから「特集はまだ早いんじゃないですか?」って横山さんに言ったら「いや、やりましょう」とキッパリ言われて「エーッ!?」って。
横山:製品化を発表してテストショットの完成見本を公開したのが2023年年5月の静岡ホビーショーだったでしょ。それで23年10月の全日本模型ホビーショーでこの1/35ファルケの展示がなかったから、企画がなくなったんじゃないかとみんな心配してるんじゃないか? と思ったんです。せっかくだからこの連載で見せてあげましょうって経緯なんですよ。
MAX:そういうことだったんですね。
横山:そう。親心なの。
MAX:いくらなんでもちょっと早すぎじゃないかって思ったんですけど、横山さんたっての希望ということで先行公開特集となりました。
横山:みんな心配してたに違いない(笑)。アクアマリンの1/35ファルケみたいに企画が途中でなくなったんですかって30人くらいに聞かれたもん。みんなが夜も眠れないと困るから安心させようと思って。安心させるついでにめちゃくちゃ手を入れちゃったんですけど(笑)。
MAX:発売前のキットをゴリゴリに改造する原作者ってどういうことなんですかっていう(笑)。
横山:これ1/35に見えないでしょ。1/35サイズで1/20にひけをとらないカッコイイキットになってるんで。公開せずにはいられなかったんです。こんな嬉しいことはないですよ。版権元としては。
MAX:ありがとうございます。しかし、今回の横山さんのファルケ(下で紹介する写真手前のAのファルケ)、キットのスジ彫りを伸ばしランナーで埋めて凸モールドに変えてここまで塗り込んでいて、ここ数年の中で横山さんの最高傑作じゃないですか? ああ、この人は絵描きなんだなと思いました。この完成作例は圧倒的に“絵”なんですよ。
横山:うん。絵のように模型に描いてるんだよね。
MAX:本当にいいタッチがガンガン入ってるんで、スゴいんですよ、このファルケ。
横山:ジジイになってどんどん模型が楽しくなってます。こういういいキットが出た嬉しさは最初に1/20でファルケをキット化してもらった時の喜びと変わらず嬉しいし、今は豊富なマテリアルで「こんなこともできるんだ」って思えるから、当時の嬉しさがさらに爆発した感じなんです。脳にダメージ与えるくらいの嬉しさですよ(笑)。
MAX:ダメージ与えちゃダメだし(笑)。

ファルケ2機
▲手前が横山氏の新規作例。パネルラインの凹モールドに伸ばしランナーを埋めて凸モールドに変換。描き込まれた絵画のような塗装に唸らされる。平田英明氏原型の開発中のフィギュアを乗せている。奥はMAX渡辺による新規作例
ファルケ 製作途中写真
▲横山氏のファルケの製作途中写真。経年劣化したような本体の塗装表現が見る者を魅了してやまない
緊急用エンジン アップ
▲緊急用エンジンの細かいディテールもみどころ。なるべく一体化された少ないパーツで構成されている
伸ばしランナーを埋めた横山氏の未塗装状態の機体
▲︎伸ばしランナーを埋めた横山氏の未塗装機。画一ではない伸ばしランナーを埋め込むことで絵画的な造形となっている

■1/20が先に出たから今1/35が出せる
横山:2008年にハセガワが1/35で出したいって言ってきたんですけど、このサイズだったらいいものはきっとできないってその当時思っていて、オリジナルと同じ1/20にしてくれって頼んだのは正解だったと思ってます。1/35のファルケは今でこそできるものなんですよね。
MAX:その場(静岡ホビーショー)にいたので1/20ファルケ発売前の本当の話をしますね。横山さんは「1/35でもいい」って言ったんですよ。僕は長谷川勝人さん(現代表取締役)と横山さんのいる前で「冗談じゃない。1/20じゃないとダメだ」と若干キレて「1/20で絶対やってください」って懇願したんです。そんな立場でもないのに申し訳ないなと思いつつ。だから本当に1/20で出してくれて嬉しくて。そして今、MAXで1/35を出させてもらえるなんて。こんなに嬉しいことはないですよ。
横山:そうそう。その時ハセガワから1/35で出てたら、今ここにあるマックスファクトリーのファルケはないわけですから。その時に欲しいものをなんとか努力、工夫してゴネてまで作ることはすごく大事なんだね。
MAX:そうですね。2009年当時、1/35で出ていたら、このレベルにはなってなかったでしょうね。
横山:おそらくなってないと思う。ところでMAXさん。ハセガワのファルケは何機作ったんだっけ?
MAX:僕はたしか、21機ですね。
横山:ひょえーっ! 世界で一番ファルケ作った人だわ(笑)。
MAX:スクラッチを入れたら22機ですか。
横山:そんなにたくさん作った社長の会社が「ファルケの模型をうちも作るわ」って1/35を作ったからこんなにいいものができたんですよ。だから発売まであと8ヵ月と言われても、テストショットをもらったら作らずにはいられないわけなんですよ。
MAX:でもゴリゴリ改造してるし、どういうことなんですかって話ですよ(笑)。
横山:さらにカッコよくしなさいって言ってるようなもんなんですよ、このキットは。
MAX:なるほど。しっかしいいわぁ、このファルケ。

■パネルラインを伸ばしランナーで埋めてみる
横山:静岡ホビーショーに展示したNの迷彩ファルケが1機目で、Aの機体が今回作った2機目です。パネルラインってどんなメカにもあって、車にもドアやボンネットのラインがあるでしょ。パネルラインの深さはミニカーだったら生命線になるほど大事な要素なんだよね。でも模型では、全体のカタチがあってそこにどういうスジ彫りが入っているかというように、スジ彫りは2番目みたいなところがあるでしょ。でもスジ彫りがどんな状態かはそのキットの運命を変えるくらいのものなんです。今はきれいなラインで彫った凹彫りが主流だけど、せっかくだからそれをもっと意地汚く楽しみたくてスジ彫りのパネルラインを伸ばしランナーで埋めました。
MAX:見飽きないですねえ。このファルケ。
横山:すごくカッコイイのができたので見せたくて見せたくて。伸ばしランナーでスジ彫りを埋めるのは、埋めないパネルラインをどれくらい残すか、どのくらいの細さのランナーで埋めるか。時の運みたいな作業なんです。バーナーで炙ってキットのランナーを何本も伸ばしては、パネルラインに当ててみて、どれくらい飛び出したのがいいか選んだり、出過ぎたものは削って平らにしたりしました。
MAX:均一ではない伸ばしランナーで作ったパネルラインの凸モールドが“表現”になっていて、そういう造形も絵を描いているような感じですね。
横山:この作業はとても楽しかったよ。伸ばしランナー作る時のコツは家を燃やさないことですね。
MAX:コツじゃないでしょ(笑)。
横山:オキテだね。みなさんも火の気に充分注意してくださいよ。あとドーリーに使うランナーを使ったりしないように先にドーリー作っておいたほうがいいよ。わしはドーリーのランナーを切り離して泣く泣く修復しました(笑)。
MAX:キットとして凸モールドを再現しようとするにしても、継ぎ目を消す作業時に凸モールドが消えちゃいます。なので、メーカーが出すキットとしてはこういう凸モールドはあまりやるべきではないことなんです。でもディテールアップとしての伸ばしランナー追加工作はぜひマネしたいし流行らせたいですね。
横山:1/35キットにはないちっちゃいディテールも考察してモールドを追加しました。老眼のジジイがやらずにいられないくらい楽しい。
MAX:パーツ化できなくて省略した小さなモールドも実際に追加工作すると「あったほうがいいな」となりますよね♪♪

キットのランナー
▲キットのランナー全容。比較的少ないパーツで構成されており、組みやすさ、“組み味”も楽しめるキットとなっている
ファルケのドーリー
▲キットのランナーも利用して組む仕様になっているファルケのドーリー
ファルケのドーリーを組んだ状態
▲反重力装置やエンジンが支点となり本体を維持
ランナー
▲︎1枚のランナーからドーリーを組み立てられる。赤い部分がフレーム、緑がジョイント、青は車軸となる
ファルケ本体と異なる成型色のランナー
▲テストショットなのでカラーを検討するためにファルケ本体と異なる成型色も存在する。バルカン砲や本体底面のパーツも精緻で組みやすい構成だ

■シャブシャブに薄めた塗料を尖った筆で塗る
MAX:横山さんのファルケ、パネルごとにきったない色をまず塗っておいて、そこからドラブをランダムに塗るんですか?
横山:MAXさんが前に 塗ったパーシングのあの色とたぶん同じだと思いますよ。
MAX:いやいや違います。パーシング塗ったの俺だっつーの(笑)。本体色より明るいほうのタッチは薄い塗料で塗ってるんですか?
横山:明るいほうはシャブシャブに薄めた塗料を先の尖った文盛堂の筆で塗ってます。このキットは本当に楽しみだね。発売は来年の夏だよね?
MAX:はい。2024年夏発売を予定しています。ファルケ本体は最終テスト近くまで来ていて、フィギュアの金型も進行中です。
横山:フィギュアは1体じゃないんでしょ?
MAX:そうです。このキットの大事な要素でもあるフィギュアも複数付きます。24年1月~2月にはキットの受注をスタートする予定ですね。
横山:今回の作例を直で見られるのはいつかな?
MAX:24年2月のワンフェスで並べます。今回、先出しし過ぎて本当に申し訳ないんですけれど、みなさん、待っててください。
横山:無理やりお願いして、わしが今回の記事にねじ込んだんですよ。
MAX:あ、ねじ込んだって言った(笑)。
横山:ダダこねてやってもらってよかったわぁ。

MAX渡辺。横山宏、KATOOO
▲ファルケが複数集結し気分が高揚する連載メンバー
マックスファクトリー社内におけるミーティング風景
▲マックスファクトリー社内におけるミーティング風景。ファルケ原型担当のせど氏、フィギュア原型担当の平田英明氏も列席した

1/35ファルケ横山宏ディテールアップガイド

発売前のキットなのにカッコよくするために行った禁断?の改造作例を横山氏撮影の写真で本人が解説。

[エアスクープ]

エアスクープ
基部になるプレートを薄手のプラ板で作り貼り付け
取り入れ口の突起を伸ばしランナーを紡錘状に伸ばして作る
ヤスリで整えた伸ばしランナーを切り離して接着
完成状態

「❶オリジナルのレベルのP─38やそれを再現したハセガワ製1/20ファルケの機首前方にはエアスクープ(空気取り入れ口)があります。かといって小さいスケールになると省略したほうがモールド的にはまとまりがいいんだけどね。❷そこを再現する人が絶対いると思うので先に改造しちゃいましょう。ハセガワ1/20キットをお手本に基部になるプレートを薄手のプラ板で作る。❸取り入れ口の突起は伸ばしランナーを紡錘状に伸ばして作る。ガスバーナーで上から炙ってテーパーのあるランナー形状にしておこう。❹縦に半分に切ったらヤスリで整えた伸ばしランナーを切り離して接着します」(横山宏)

[筆で絵を描くようにファルケを塗る]

 MAX渡辺氏が以前製作したアメリカ戦車パーシングを見てまねして塗装したという横山氏。「梅皿に塗料を出し、先の尖った細い筆でいつもの絵を描くように塗っていきました」

梅皿
ファルケ 側面

[アンテナ基部の追加]

「1/35キットでは当然アンテナ自体が省略されているので再現することに。取り付け位置は1/20キットを参考に半球状の基部を製作。市販のリベット状パーツを使用しました」

アンテナ基部の追加

[真鍮パイプで筒状のディテールを追加]

「外径0.8mm、内径0.6mmの真鍮パイプを使用。塗装後に真鍮が見えないように先に黒染め液を塗布しておきます。切断は小さめの高級目立てヤスリ(笑)をノコのように削っておいて軽く衝撃を与えるときれいに切り離せます」

真鍮パイプを切断
ファルケ ディテール部 アップ

[メインハッチは2種付属]

「開閉機構は省略されてますが、メインハッチは閉じた状態と開いた状態の2種が付属するので接着しなければ開閉どちらの状態も楽しめます」

メインハッチ2種

[Ma.K.in SF3D]EXPLANATIONS Vol.121

ファルケドーリー

文/KATOOO(レインボウエッグ)

 今回はファルケのドーリーについて解説します。
 傭兵軍の最新鋭戦闘機ファルケは反重力装置によって浮遊し飛行するため、地上で移動するための車輪がついていません。このためパイロットが搭乗していない整備時の移動ではドーリー(台車)が必要になります。ファルケは間接視認システムと反重力装置を搭載した2885年の最新鋭機という設定ですが、初出時の月刊ホビージャパン1983年3月号では、牽引車に繋がれたドーリーにファルケが載せられた特撮カットが掲載されていました。ドーリーは永大グリップ製1/8マクラーレンM23のボディ、牽引車はクラウン1/20コンテッサSを流用しているため現代感があり、1980年代に実在している車両の組み合わせに未来の反重力戦闘機が載っているシチュエーションが当時12歳だった私の心を躍らせたのをよく覚えています。
 2009年、ハセガワ製1/20ファルケのプラキットリリース後に「マシーネンクリーガー・プロファイル1:ファルケ」(大日本絵画刊)が発売。トランぺッター製1/35 上陸用舟艇LCMを基にした新たなデザインのドーリーが掲載され詳しいスクラッチの手順も載りました。
 そして月刊ホビージャパン2024年1月号に掲載されているマックスファクトリー製1/35ファルケには最新のドーリーが付属。キットのランナーを活用して作れる仕様になっています。ファルケを運ぶ“縁の下の力持ち”がランナーに潜んでいて一見しただけではわからない仕掛けはアイデア賞もののサプライズです。今回の特集は1/35ファルケが欲しくてたまらなくなりますね。

ファルケ1
ファルケ2

© Kow Yokoyama 2023

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MAX渡辺/横山宏/KATOOO

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