ゲート処理! シャープ化! 面出し! スジ彫り! 合わせ目消し! 模型製作のキホンを「ENTRY GRADEラーガンダム」で解説!!【ガンダムビルドメタバース】
2023.11.04
ラーガンダム【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2023年12月号(10月25日発売)
基本に沿って丁寧に仕上げる
『ガンダムビルドメタバース』ガンプラ第1弾として発売となったENTRY GRADEラーガンダム。キットはEG RX-78-2 ガンダムをベースに、「日本の心」をイメージしてカスタムされた形状を新規パーツで再現したもので、ベースキットの素性のよさも相俟って、形状および可動を高い完成度で立体化している。本アイテムのキットレビュー作例は哀川和彦が担当。ENTRY GRADEキットということで、成型色を活かした製作法をテーマに、基本に沿って丁寧に完成させている。
使用するツール・マテリアル
▲匠TOOLS 極薄刃ニッパー(グッドスマイルカンパニー)、神ヤス!各種(ゴッドハンド)、3Mスポンジ研磨材各種(スリーエム)、タミヤ調色スティックにフィニッシングペーパーを貼り付けた自作ツール、フィルムスティックやすり各種(ピットロード)
▲BMCタガネ各種(スジボリ堂)、L-2ピンバイス(ミネシマ)、Mr.ラインチゼル用替刃 廻し彫り用(GSIクレオス)+精密ピンバイスD(タミヤ)、ハイパーカットソー0.1 PRO-SS(シモムラアレック)、Mr.セメントSP(GSIクレオス)
▲プロコンBOY WAプラチナ0.3 Ver.2 ダブルアクション(GSIクレオス)、Mr.カラー各種(GSIクレオス)、マスキングテープ(タミヤ)、円形マスキングシール(ハイキューパーツ)
▲エナメル系溶剤(ガイアノーツ)、エナメル塗料各種(タミヤ)、クラフト綿棒各種(タミヤ)、タミヤ モデリングブラシHG面相筆 超極細(タミヤ)
①パーツの切り出し
▲タッチゲート方式はニッパーで切り出す場合、切り代がわずかなのでランナーを少し残して切り出してから根元で切り出す「二度切り」をしていきます
②ゲート処理
▲パーツを切り出したらゲート跡を紙ヤスリの600番→800番→1000番でヤスリがけしていきます。このときヤスリがけした箇所は少しツヤ感が変わるので、最後のトップコートで全体のツヤ感を整えます
③アンテナのシャープ化
▲アンテナは安全基準で先端にフラッグがあるので、これを取り除いてシャープ化していきます
▲ニッパーでフラッグを切り落としますが、根元からカットすると切り過ぎたり破損してしまうこともあるので、フラッグを少し残してカットしたらアンテナの下に指を置き、残りはヤスリがけで整えていきます
▲フラッグを取り除いたことですっきりしました。この状態でもよいのですが、今回はさらにアンテナ先端部を尖らせていきます。赤く塗った部分を削り落としていくイメージです
▲まず左右側面のバランスを見ながら削り込んでいきます。注意したいのが先端にいくほど強度が弱くなるので、破損しないように必ずアンテナの下に指を置き、ヤスリを下から上に向かって尖らせることを意識してヤスリがけしていきます
▲横から見ると少し厚みが気になるので、裏面から先ほどと同じようにヤスリがけして厚みを取り除いていきます
▲先端を削り込んだことで設定画の形状になりました。今回アンテナは成型色仕上げなので削り込みましたが、塗装するのであればプラ板や瞬間接着パテなどを足してシャープ化するといった方法もあるので自分に合ったやり方を見つけてみましょう
④腰部フロントアーマーの独立可動
▲フロントアーマーは左右一体になっているので一緒に動いてしまいます。そこでパーツ中央をエッチングノコでカットし独立可動できるようにします
▲エッチングノコの刃が斜めにならないよう刃を垂直に当ててカットしていきます
▲左右別パーツ化したことでアクションポーズもより自然にきまるようになります
⑤面出し
▲ラーガンダムの特徴である肩と腰部フロントアーマーは無意識に目がいく箇所です。見た目は平らに見えますが、パーツを重ね合わせているため若干の段差があります。ここをヤスリがけして面を平滑にしていきます
▲ヤスリがけのポイントは面に対してヤスリを平行に当てることです。ヤスリが斜めになっていると、エッジを削り落としてしまうので注意しましょう
▲ヤスリがけによってヒケ(プラの収縮による凹み)が現れました。浅いヒケなので消えるまで削り込み、同様に側面もヤスリがけを行います
▲面出しが終わった状態です。段差も消え面が平滑になりシャキッとしました。特定の箇所を処理するだけでも全体の印象は変わってくるので、気になるところは面出ししてみましょう
⑥形状にメリハリ
▲パーツによっては一体成型のパーツやモールドが施されている箇所があります。これらを追い彫りすることで形状をはっきりさせていきます
▲アンクルアーマーのモールド付け根にスジ彫りを入れて別パーツ感を出していきます。曲線はいきなり彫り込むと滑りやすいので、まず先端に適度な丸みのあるエングレーバーなどでアタリをつけていきます
▲曲線はタガネだと彫りづらいので、ケガキ針でアタリに沿って軽く少しずつ彫っていきます
▲モールドの付け根に溝ができ視覚的にも別パーツ感が出ました。この溝にスミ入れするとさらにメリハリも出ます
▲首元の黄色パーツはほぼ直線なのでタガネで彫り直しました。同じ作業でも状況によって工具を使い分けるようにします。地味な作業ですが完成度が大きく変わってくるのでぜひともマスターしましょう
⑦武器持ち手を握り拳に
▲ハンドパーツは武器持ち手のみなので、武器を持たないときに自然な状態に見えるようグリップ部分に差し込むパーツを作っていきます
▲使用するのはハンドパーツが付いていたランナータグです。ランナータグを切り出したら表面にある印字をヤスリで削り落とします。このあと貼り合わせていくので表面は粗めの仕上げでOKです
▲ランナータグを切り出して流し込み接着剤で積層していきます。接着剤が乾いたら少しずつ中に入るサイズに微調整をしながら削り込んでいきます
▲付け外しができるパーツが出来上がりました。色も同じなので違和感もありません。ランナーも使い方次第でパーツにすることができるので、自作モールドなどにチャレンジするのもよいでしょう
⑧合わせ目消し
▲スネは左右に分割されているので中央に合わせ目があります。流し込み接着剤を使って合わせ目を消していきます
▲パーツの合わせ目に0.1mmくらい隙間を開けて接着剤を3回ほど流し込んだらパーツをギュッとはめます。盛り上がったプラ樹脂が固まったら(2~3日)曲面に追従してくれるスポンジヤスリで整形していきます
▲合わせ目を消すことができました。今回は成型色活かしなので溶剤系接着剤を使用しましたが、塗装するのであれば瞬間接着剤ですぐに硬化させることもできるので使い分けるとよいでしょう
⑨ビームライフル加工
▲ライフルの銃口は開口されていないのでピンバイスで開口していきます。いきなりドリルを使用すると滑ったり中心がずれてしまうので、まずケガキ針で中心にアタリをつけます
▲最初から大きな穴を開けようとするとパーツに掛かる負荷が大きいので、まず小さい0.5mm径で角度が斜めにならないよう穴を開けて、次に目的のサイズの0.8mm径で穴を広げました
▲開口した状態です。穴の開いていない状態とは見映えが違いますね。ピンバイスは模型製作において何かと役に立つアイテムなので0.5~3.0mm径くらいを揃えておくとよいでしょう
⑩ビーム刃をシャープ化
▲刃の先端の丸みと断面にはパーティングラインがあるので整形していきます。粘り気のある素材なので、最初は粗目のスポンジヤスリで形を出していきます。最初は表面が白く曇ってしまいますが、番手を上げていくことで曇りは消えていきます
▲形が出てきたらヤスリの番手を徐々に上げて2000番まで磨き込んでいきます。先端がシャープになり透明感も戻りました。また同様に柄の後部もシャープ化しています
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット“エントリーグレード”
ラーガンダム
製作・解説/哀川和彦
ENTRY GRADE ラーガンダム
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●1100円、発売中●1/144、約12cm●プラキット
前編はここまで!
中編では、成型色を活かした。部分塗装とスミ入れで設定画のイメージに近づけます。また、後編では完成した「ENTRY GRADEラーガンダム」を、キット素組みの比較や各武装とともにご紹介。お楽しみに!
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公開は明日(2023年11月5日)の17時から!
©︎創通・サンライズ
哀川和彦(アイカワカズヒコ)
細部まで行き届いた丁寧な工作と製作スピードの速さで、主に最新キットのレビューなどを担当する中堅モデラー。
オススメの書籍
ガンダムウェポンズ ガンダムビルドファイターズ GMの逆襲&バトローグ編
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