傷を“描く”裏技テクニック!? 歴戦の機体を演出する塗装法をHGグフカスタムで実践!【キャラクターモデルの“神レシピ”】
2023.11.04
スケールモデルの“神レシピ” 時短で魅せるテクニック/MS-07B-3 グフ・カスタム【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2023年12月号(10月25日発売)
水性塗料でかっこいい“傷”を描いて、一味違う成型色仕上げを楽しもう!
これを読めばあなたもかっこいい傷が描けます。
スケールモデルの映えるポイントやお手軽テクニックをお届けしてきた「神レシピ」のコーナーが、皆様からの反響を受けてキャラクターモデルにも進出です! これからはキャラクターモデル、ガールズプラモ、スケールモデルなど、全ジャンルを対象に展開していきます。今回はガンプラから、傑作キットである「HGUC グフカスタム」を題材に、かっこいい傷を描いた成型色仕上げをお届けします。使用する塗料はすべて水性塗料なので、週末のリビングモデルにも最適。
この方法はほとんどのガンプラに活用できるので、ぜひマスターしてください。さらに、水性ウェザリングペイントを活用した汚しや、ドライブラシによる武器の重厚感ある仕上げも合わせてご紹介します。それでは、いってみましょう!!
POINT
1/傷の色を考えよう
2/筆の使い分けで傷表現に変化を出そう
3/色の使い分けで、傷の立体感をマスターしよう
立体映えする“メリハリある傷”を目指す!!
▲キットの素組みに400番から800番までヤスリをかけて整形したもの(左)と、成型色を活かして傷を描いてウェザリングした作例(右)。1/144スケールということを意識しすぎると筆が止まってしまうので、ここではガンプラとして立体映えするダメージ表現を優先して傷を描いています。全体のバランスを見ながら傷を描いているので、ボロボロなモビルスーツという印象ではなく、歴戦な雰囲気にしっかりと仕上がっています
傷を描くのは難しくない! とっても楽しいのだ!!
全パーツ磨いてみたよ
▲成型色仕上げでも、合わせ目の処理や、全パーツを整形することでよりシャープにかっこいいガンプラに仕上がります。シャープにしたい箇所だけヤスリをかけるという選択も、もちろんOK
筆は数種類用意
▲傷の大きさをコントロールするために、細い筆や中太のものなどを用意しておくと良いです
黒や茶色という発想はいったん捨てましょう
▲大きな傷は塗面まで剥がれて黒っぽくなりますが(車などを見てみよう)、ダメージの浅い傷は基本塗装より一段明るくなります。そこで濃い青の傷は水性ホビーカラーの「すみれ色」、水色の傷は「ホワイトグリーン」で描きます
気軽にプラモに塗ってみよう
▲傷がつきそうな箇所に、筆先でちょんちょんと少量の塗料をまずは塗ってみましょう! 成型色仕上げなので修正も簡単。水性ホビーカラーは住宅用合成洗剤を含ませた綿棒で拭き取れば、きれいに消せます
ディテール部分は傷が映えます
▲装甲どうしが合わさっているようなスジ彫りの縁は、傷が似合う場所。細かい点々を描くように塗っていきます
ダメージが大きそうな足元は傷も大きめに
▲脚は土や砂などが当たってより大きなダメージを受けていると想定。そこで傷も少し大きめに描いています。こういったメリハリを各所で考えて描くのが、とっても楽しいのです
すみれ色が傷になる?
▲濃い青の部分に傷を描いていきます。淡い青紫のようなすみれ色も、濃い青の成型色の上にちょんちょんと塗ると、しっかりと傷の色になります。成型色の色味より明るい同系色は、見事な傷色になるのです
ハイライト的役割も担います
▲シールドの頂点にすみれ色で傷を描きます。その上から水色の上に塗ったホワイトグリーンをさっとひと塗りすると、エッジハイライトのような効果も現れます
使い古した筆でランダムな傷を描く
ランダムな毛先を活かします
▲使い古して毛先がバラバラになった筆は、傷や汚し塗装に活用できます
少量の塗料を含ませます
▲すみれ色を、筆先に少量含ませます。パーツに塗る前に、一度ティッシュの上などに筆先をちょんとバウンドさせて、塗料の量を調整すると良いです
パーツの角を狙います
▲角にちょんちょんと筆先で軽く叩くように塗ります。そうすると細かくてランダムな傷が、お手軽に表現できます
ホワイトグリーンも同様の方法で塗ります
▲水色のパーツも、パーツのエッジ部分に細かな傷を描いていきましょう
ニュートラルグレーを使用
▲ヒザや胸の黒に近いグレーパーツには、ニュートラルグレーを使用して傷を表現
足元は細かい傷を多めに入れます
▲ハードなダメージを受けるであろうソール部分は、細かな傷を無数に入れてみます
レッドブラウンで傷に深さを出してみよう!
深い傷の色として使用します
▲これまで描いてきた傷の中央に、レッドブラウンをちょんちょんと塗るだけで、傷に深さを表現できます
塗装が剥がれた感じになります
▲深いダメージによって塗装がはげている部分がレッドブラウン、周囲の浅いダメージが明るい傷となり、騙し絵のように描いた傷に立体感が出ます
水色パーツは控えめに
▲水色のパーツはレッドブラウンと色の差が激しいので、控えめに施しても充分効果があります。塗りすぎるとボロボロになってしまうので注意
立ち止まってバランスを見よう
▲傷を描いていくのはとても楽しいので、バンバン描いていきがち。ある程度描いたら、いったん離して全体の傷のバランスを見るようにしましょう
仕上げはスポンジチッピング!
▲家庭用のスポンジをちぎったものに、塗料を含ませてポンポンとパーツにスタンプしていきます。これでさらに細かな傷が入ります
パーツの縁により細かな傷を
▲スパイク・アーマーの縁などにスタンプして、細かな傷を入れました。これにて傷はフィニッシュ! 次工程からウェザリングで、傷を馴染ませ、より歴戦のかっこよさを演出してみます
描いた傷のかっこよさをウェザリングでさらに引き出す!
▲パネルラインを中心に、水性ホビーカラー専用うすめ液でシャバシャバに希釈した「デイトナグリーン」を塗っていきます。これによって成型色に深みが出ます
▲スミ入れする感覚で、塗料をパネルラインに流していきます
▲脚など、くっきりとしたモールドにも流します。デイトナグリーンによってより自然な影が落ちている雰囲気になり、グラデーション塗装のような効果を発揮するのです
▲仕上げは水性ウェザリングペイントで、角部のスミ入れと汚しを行っていきます。専用のうすめ液を準備します
▲紙パレットの他に、適当なお皿を準備。お皿にうすめ液を入れておきます
▲シャバシャバになるまで、塗料をうすめ液で薄めてください。しっかりと塗料とうすめ液を混ぜてくださいね
▲スジ彫りやパネルラインにはウォッシュアンバーがオススメ。先ほどのデイトナグリーンとの相性も良く、自然な影色になります
▲足元はミディアムマッド。こちらもうすめ液でシャバシャバに薄めます
▲足の裏や、ソールの地面側など泥が付着しそうな箇所を中心に塗っていきます
▲スネや甲などにはファインダストを使用します
▲薄めたファインダストを塗って、うすめ液で余計な塗料を拭き取ることで、埃をまとったような雰囲気になります。周囲の傷も色のトーンが落ちてより馴染みます
▲モノアイを塗装で光らせます。白を塗った上から、モノアイの下部を、薄めたピンクで三日月状に塗ります
▲モノアイの光で装甲が照らされている表現を施します。シャバシャバに薄めた紫とピンクを混ぜます
▲さっと染めるように、写真の箇所を塗ります。うっすらと染まるくらいの塗料濃度で塗るのがポイントです
▲こちらが完成した状態。モノアイの光の照り返しがアクセントになっていますね
▲ガトリングは、成型色の上からシルバーをドライブラシ。下のグレーを完全に塗り潰さないようにすることで、色味がまばらになり重厚感が出ます
▲シャバシャバに薄めたクリアーオレンジを、銃口周辺にひと塗り。こうすることで赤焼けした雰囲気になります
▲クリアーブルーを塗れば青焼けに。クリアーカラーの透け感を活かすことで、シルバー部分にさまざまな色味を追加できます
▲最後に再度シルバーをドライブラシして、色味のバランスを調整します
▲成型色からシルバーのドライブラシ+クリアーカラーでここまでかっこよくなります。とってもオススメのテクニックですよ
神レシピリクエスト募集!!
こんな神レシピが見たい。うまく塗れなくて困っているというあなた! ぜひアンケートハガキやウェブアンケートでドシドシ送ってください。キャラクターモデルやガールズプラモ、なんでもOKです!!
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット“ハイグレードユニバーサルセンチュリー”
MS-07B-3 グフ・カスタム
製作・文/ぷらシバ
Ⓒ創通・サンライズ
ぷらシバ
月刊ホビージャパンを代表する筆塗りミニチュアペインター。メカからガールズプラモ、ウォーハンマーまで彼の手にかかれば筆一本でなんでも映えます!!