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ジャングルのディオラマ製作に挑戦!ガンプラに施す迷彩塗装や糸ハンダの動力パイプ製作法も合わせて紹介!【週末でつくるガンプラ凄技テクニック】

2023.10.12

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのディオラマ編 月刊ホビージャパン2023年11月号(9月25日発売)

ジャングルのディオラマ製作に挑戦!ガンプラに施す迷彩塗装や糸ハンダの動力パイプ製作法も合わせて紹介!【週末でつくるガンプラ凄技テクニック】

ジャングルをつくるテクニック(前編)

 休日のゆったりとした時間に、じっくりとプラモデルを作る楽しみを体感しよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。雪原の次のテーマはジャングル! 前後2回の前編となる今回は、ディオラマの主役であるジムとザクの製作を中心に、糸ハンダ動力パイプや迷彩塗装、ラッカーとアクリルを使い分けるリカバリー重視の地球連邦軍系MS塗装法について解説します。

講師/林哲平


レイアウトを考えよう

1/144ザク、1/144ゾゴック
▲ジャングルと言えばジャブロー、というわけで1/144ザク、そしてアニメでは登場しなかった1/144ゾゴックを使ってディオラマにチャレンジしていきましょう。ゾゴック使ってみたかったんですよね。でも、ザクと比べると大きい! ゾックほどではないですが、ちょっと別スケールに感じるレベルです
1/144ザク、1/144ゾゴック ポージング画像1
▲レイアウト案を考えます。まずは「HOW TO BUILD GUNDAM2」掲載の小田雅弘氏による「侵攻!特殊部隊!」のようなジャブローの密林を進むシチュエーション。武器セットからそれぞれ武器を持たせ、ザクにはバズーカ。ゾゴックにはヒート・サーベルを持たせて、樹木を切り払いながら侵攻するイメージです。が、ゾゴックの主張があまりにも大きすぎる気が…

1/144ザク、1/144ゾゴック ポージング画像2
▲レイアウト案をさらに考えます「HOW TO BUILD GUNDAM」掲載の川口克己氏による「湿地帯ディオラマ」風に半分を沼地にし、ぬかるみに足を取られたザクをゾゴックが引っ張って起こしているシチュエーションです。これは結構良さげなのですが、ページ物量的にジャングルと沼、両方を解説するとどちらも中途半端になってしまいそうです

▲ジオン同士のMSが並ぶシチュエーションだと限界がありそうなので、ジャブローには欠かせないMSであるジムを投入してみます。ザクはあえて外し、怪物的なゾゴックが密林でジムをちぎっては投げ、怪獣映画ばりの大迫力の決戦を繰り広げる! これは行けそうな気がしてきました!
ジム、ゾゴック ポージング画像
▲ジムを投げ飛ばすゾゴック、のシチュエーションを台座に置いてイメージします。なんか、大決戦どころか空から落ちてくるジムを受け止めて運命の出会いを果たすゾゴックみたいに見えてきました。「ジャブローは本当にあるんだ!」という台詞が頭をよぎったので、ちょっとこの方向は合わなさそうです
ジム、ザク ポージング画像1
▲なんとかしてゾゴックを使いたい…と思いつつ、ジャブロー戦はジオンは負けているので、なんとなくジムとザクを並べ、残党狩りのイメージでホールドアップさせてみると…。めちゃくちゃビジュアル的に分かりやすい! 今回は「ジャブロー攻略失敗」をテーマに、この方向性で行ってみます!
ジム、ザク ポージング画像2
▲立たせたままでもいいのですが、ここはさらにザクを座らせてディオラマに起伏をつけ、立体感に変化をつけてレイアウト決定です。「ザク<ジム」「ジオン<連邦」の力関係もわかりやすく表現できますし。いや~でもゾゴックも使いたかったですね…

コクピットハッチを開ける

ピンバイスとデザインナイフでザクのコクピット部分を開口
▲手を上げろ! だけではちょっと面白みに欠ける気がしたので、コクピットハッチを開け、ジオン兵が中から出てきてザクと同じポーズで手を上げているシチュエーションにしてみようと思います。まずはピンバイスとデザインナイフでザクのコクピット部分を開口します
コクピットの内部制作
外側から見たコックピット

▲今回、コクピットの中身はフィギュアで隠れるためほぼ見えず、ぶっちゃけ中身を黒く塗るだけでいいのですが、前回のグフ同様にコクピット内部を作ります。100円ショップのミニカーのシートを加工してコクピットシートを追加し、壁はプラ板を現物合わせで適当に接着しています。目を惹く部分ですし、もしちょっと見えたら! と思うと気になってしまいまして。楽はしつつも、魂的な部分はこだわりたくなるのがプラモデルですよ
前回の記事はこちらから

手を挙げているザクとフィギュア
▲ビルダーズパーツHDのMSフィギュアセット01、1/144スケールより両手を開いているフィギュアをジオン兵としてチョイス。背中のバックパックがザクと干渉するので削り取っています

糸ハンダで動力パイプを作る

糸ハンダ
▲今回は第一次ガンプラブームの中でも特徴的なテクニックである、糸ハンダを使った動力パイプにチャレンジしてみましょう。使用するのは電気工作用の糸ハンダ。ホームセンターやネットショッピングで簡単に入手可能です。頭部用には0.8mm、脚・胴用には1mmのものを使用しています
アルミ線
▲中心線はアルミ線のようなより強度の高い金属線を使ったほうがいいのですが、私はどうも用意するのが面倒で、糸ハンダに糸ハンダを巻きつけています。最初のとっかかりがちょっと面倒ですが、糸ハンダは安く、いっぱい入っているので多少失敗してもすぐやり直せるのがいいところです
グルグルと糸ハンダを中心線に巻きつける
▲グルグルと糸ハンダを中心線に巻きつけていきます。少し巻けてくれば、そこを基準にグルグルと巻き続けていくだけ。柔らかいので、中心線にフィットさせるのは全然難しくありません。なお、巻きつけるほうの糸ハンダは中心線の3倍以上の長さを用意しておかないと、途中で足りなくなるので余裕をもっておきましょう
糸ハンダを巻いた状態
▲糸ハンダを巻いた状態。糸ハンダ動力パイプの直径は中心線+ハンダ×2となります。今回、頭部は2.4mm、脚・胴は3mmとなり、1/144のザクやグフであればこれぐらいの太さが合わせやすい太さとなります。巻いたあとに「細すぎる!」「太すぎる!」とならないように、あらかじめ計算しておくと楽ですよ
接続したい位置に穴を開ける
▲それでは糸ハンダ動力パイプをザクに接続してみましょう。もちろん、あくまで仮止めであり、本格的な接着は塗装後になります。まずは接続したい位置に、中心線と同じ径の穴を開けます
開口した穴に中心線を通す
▲開口した穴に中心線を通します。この方法の利点は、中心線で接続できるため、同径の穴を開けられないような狭い場所でも接続可能なことです。もし、ザクの口に2.4mmの穴を開けようとするとプラの厚みギリギリになり、破損の確立が高くなってしまうのです
糸ハンダ動力パイプを接続した状態
▲糸ハンダ動力パイプを接続した状態。これでグ~ン! とHOW TO BUILD感が高まりました! 実際、パーティングラインで大きくズレているキットの動力パイプのディテールを頑張って調整するよりも、糸ハンダを巻くほうがはるかに楽なので、ぜひやってみてくださいね

ザクの改造ポイント

フットミサイルを装着した脚部
▲ジャブローへと進軍するザク、と言えば川口克己氏による「湿地帯ディオラマ」に登場する迷彩ザクのイメージが私は非常に強いので、脚部には武器セットよりフットミサイルを装着しています。負けた状態なので、ミサイルは入れず、すべて撃ち尽くした状態としました
両手を上げたザク
▲“手を上げろ!”のホールドアップ状態では何も持っていないことを表すため、手は開くのが世界標準です。ここは1/144の旧型ザクより平手を持ってきました。まったくの無改造でも1/144ザクにピッタリと収まります。「平手は旧ザクから流用」の伝統の工作は今でもまったく色褪せませんね♪
腕部パーツ
▲作業工程が前後しますが、シールドは戦闘中に紛失した、という設定としています。これは激戦をイメージさせつつ、シールドを作る手間を省くためです(笑)。シールド取りつけ部分はキットの軸を切り取り、使用しなかったザクの肩軸部分の中心にデザインナイフでマイナスモールド風に切り込みを入れたものを接着しています
ザクの工作終了状態
ザクのパーツ各種

▲ザクの工作終了状態。脚を前に突き出して開いて座った状態とするため、スカートの前側を切り取り、脚を突き出しやすく加工。腕は真上に上げる必要があるため、肩はハの字にはせず、キットそのままとしています。胴体や脚部も頭部同様に糸ハンダ巻き動力パイプに変更。関節部をアルミ線やパテで繋いでポーズ変更する工作は月刊ホビージャパン2023年7月号のザクと同じなので、詳しくはそちらを参考にしてください
月刊ホビージャパン2023年7月号の記事はコチラ

ジムの改造ポイント

足首の内側をデザインナイフで削る
▲ジムのポーズはキットの可動部で充分なのですが、足首の内側を削り、設置性を高めています。これでジャングルの凹凸な地面でも、しっかりと地面を踏みしめることができます
ジムの工作終了状態
ジムおのパーツ各種

▲ジムの工作終了状態。わずかに足首に角度をつけた以外は、ほぼキットのまま活かしています。ジムはジャブローが初登場で、パイロットも慣れてはいないでしょうから、それほどダイナミックなポーズはつけず、あえてのぎこちなさを意識しました。頭部、手足は塗装しやすいように、ザク同様にエポパテとアルミ線を使い、塗装後に組み立てるように加工しています

工作が終わったザクとジムをレイアウト
▲工作が終わったザクとジムをレイアウトして、塗装前の最終確認をします。これまではベースと同時進行で最後に塗装していましたが、今回は本体を見ながら木や下草を植えていく必要があるので、ベースより前に本体を塗装して完成させていきましょう

ザクを迷彩で塗装する

ザクの胴体パーツ
▲ジャングル、そしてジャブローといえばザクは迷彩ですよね! 「機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション(1)ザク編(講談社刊)」を参考に、Jタイプの迷彩塗装にチャレンジしてみましょう。まずはラッカー塗料である、Mr.カラースプレーのタンで全体を塗装します。これは基本色である「サンド」に相当します
シタデルカラー1
▲迷彩Jタイプはサンド、オリーブ、ライム、ダークグリーン、ブラック、ワームグレーに分かれています。細かい塗り分けは水性かつ筆塗りしやすい、シタデルカラーを使って再現してみましょう。オリーブはエリシアン・グリーン、ライムはスカースニック・グリーン、ダークグリーンはオーガフレッシュを使用します
シタデルカラー2
▲今回、ワームグレーはイメージ通りの色が見つからなかったので、手持ちのシタデルカラーを混色して作りました。今回は川口克己氏の「湿地帯ディオラマ」に寄せて、色は焦げ茶寄りに調色しています
オリーブ部分塗装1
オリーブ部分塗装2

▲まずはオリーブ部分から塗装します。いきなりベタッと塗るのではなく、最初に輪郭部分を描き、内側を塗りつぶすように塗っていくと迷彩パターンもコントロールしやすいのです

オリーブを塗装した状態
▲オリーブを塗装した状態。このような複雑で入り組んだ迷彩を塗るときは、下地となる基本色の次に大きい面積→その次に大きい面積…と大きい面積から小さい面積へと、順番に塗っていくのが楽ですよ
ライムとワームグレーを塗った胴体の完成状態
▲ライムとワームグレーを塗った胴体の完成状態。下地にラッカー系、迷彩を水性エマルジョン塗料と分けることにより、失敗しても強アルカリ系洗剤で拭き取って修正できるので、複雑な迷彩でもいくらでもやり直しができます
プレミアムトップコートつや消しで整える
▲迷彩塗装が終わったら、プレミアムトップコートつや消しで全体のツヤを消して表面を整えます。シタデルカラーは水性エマルジョン塗料であり、ラッカー系のスプレーを使うと塗膜が荒れることがあるので、表面に影響の出ない水性のツヤ消しスプレーを使ってくださいね
水性液体ゴムとリキテックスのマースブラック
▲当時の作例だと、糸ハンダ動力パイプはラテックスにリキテックスの黒を混ぜて再現されたものが多いので、これを再現してみましょう。ラテックスは保存性が悪く、また現在入手が難しいため、ユタカの水性液体ゴムとリキテックスのマースブラックを1:1で混ぜて使います
化粧用スポンジ
▲水性とはいえ、どんなに洗っても液体ゴムは筆を一発でダメにしてしまいます。ここで便利なのが100円ショップの化粧用スポンジ。安いので使い捨てできる上、ほどよく塗料を吸い込み、面が広いためムラなく均一に塗装することができるのです
穴に爪楊枝でエポキシ系接着剤を少量つける
▲糸ハンダ動力パイプは先に開けた穴にエポキシ系接着剤を少量つけ、中心線を差し込んで接着します。液体ゴム塗装は当時感は抜群ですが、塗膜がそれほど強いわけではないので、接着のとき触ると色がハゲることも。そんなときはしっかりと接着剤で固定されたあとにレタッチすればOKです。私も何ヵ所かレタッチして仕上げています
迷彩ザクの完成状態 正面
迷彩ザクの完成状態 背面

▲迷彩ザクの完成状態。フットミサイルはMr.カラースプレーのグリーンで塗装。全体のツヤ消し後、Mr.ウェザリングカラーのグランドブラウンで軽くウォッシングして迷彩を馴染ませつつウェザリングし、ホワイトを混ぜて輝度を落としたMr.カラーのシルバーでハゲチョロ塗装を施して仕上げています。パイロットは外に出ている、というシチュエーションであるので、モノアイは入れず、消灯状態としています。背面の迷彩パターンは設定画がないため、正面を参考にそれっぽく。設定でも迷彩は作戦地域により異なり、一定のものはないと書かれているので、自由に描き込むで全然OKだと思います

ジムを塗装する

Mr.フィニッシングサーフェイサー1500ホワイトを脚部に吹きかけ
▲ジムは塗るのがちょっと大変なキットです。今回はできる限り、リカバリー重視で楽に塗ってみましょう。まずは白の発色をよくするため、Mr.フィニッシングサーフェイサー1500ホワイトで下地を作ります。そのあとMr.カラーホワイトにグリーンを少量足し、さらにごくわずかのブルーを混ぜた本体カラーをイージーペインターで全体に塗装します
胴体パーツにマスキング
▲胸のレッドは大変強い色なので、マスキングがはみ出すと修正は大変です。ここは水性ホビーカラーを使ってリカバリー重視で塗装してみましょう。まずはレッドで塗る以外の部分をマスキングします。うっかり撮影し忘れてしまったのですが、胸の黄色はラッカー系塗料の筆塗りで塗装してからマスキングしておきます
水性ホビーカラーのレッドをイージーペインターで塗装
強アルカリ系洗剤を染み込ませた綿棒で拭き取りリカバリー

▲水性ホビーカラーのレッドをイージーペインターで塗装します。ホワイトの上にレッドがはみ出した場合、下地の赤が透けるので修正は非常に困難なのですが、下地ラッカー、上がアクリルなので、強アルカリ系洗剤を染み込ませた綿棒で拭き取るだけで簡単にリカバリーできます。塗料を使い分けることで、複雑な塗り分けが必要な連邦系MSの塗装がグ〜ンと楽になるんです

ジムの胴体を塗装した状態
▲ジムの胴体を塗装した状態。今回はジャブローのジムですので、「機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション(3)連邦軍編(講談社刊)」に掲載されている、ジャブローで生産されたという前期型に合わせてエリを赤く塗り、イラストに準じたマーキングをラッカー系塗料の手描きで施しています
メインカメラ塗装
▲1/144ジムで悩むポイントがメインカメラ。ガンダムのツインアイと違い、面積が広いのでベタ塗りだとどうしても単調に見えてしまい、相方のザクの情報量と釣り合わなくなってしまいます。ここはシタデルカラーの筆塗りでグラデーション塗装を施してみましょう。まずはアルトドロフガード・ブルーを下地として塗ります
メインカメラ塗装後
▲フチの部分に下地を残しながら、内側をテンプルガード・ブルーを塗装。最後に中心部分にホワイト・スカーで軽くハイライトを描き込めば、ボワッと光るグラデーションつきメインカメラの完成です。塗料がはみ出しても強アルカリ系洗剤で拭き取ればいいので、塗料がはみ出してもすぐリカバリー可能です
頭部の完成状態
▲頭部の完成状態。バルカン砲部分も塗り分けが難しい部分ですが、水性塗料であればはみ出しをスミ入れの拭き取り感覚で仕上げられるので非常に楽です。ジオン系に比べると難しい、当時ものキット連邦系MSの塗装ですが、方法さえ知っていればかなり楽に塗れるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね
ジムの完成状態
▲ジムの完成状態。ザク同様にプレミアムトップコートつや消しでツヤを消し、新鋭機かつ汚れが目立ちやすい白下地なので、Mr.ウェザリングカラーでウォッシングし、控えめに汚しを追加。ホワイト・スカーでドライブラシを加えてエッジを目立たせ、箱型のデザインが特徴である連邦系MSらしさを強調したフィニッシュとしました
ザクとジムが完成
▲ザクとジムが完成しました! ベースに置いて、改めてレイアウトを確認します。まだジャングルは影も形もありませんが、とりあえずMSができたので先には進んでいる…はず! 改めて過去のホビージャパンやアマゾンのジャングルの写真を見て、しっかりと構想を煮詰めていきます

今回はここまで!

 次回の後編ではジャングルの製作法となります。多様な植物が生える地面や、倒木、樹木、ツタ、そして密林には欠かせないヤシの木の作り方などを徹底解説する予定です。引き続き、次回も「ガンプラ凄技テクニック 懐かしのディオラマ編」をよろしくお願いします♪

© 創通・サンライズ

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林哲平

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