メカと生物的イメージを「筆塗り」で融合させる!!
海洋堂渾身の「スレイプニール」を染め塗りで楽しむ
プラモを筆塗りでガンガン楽しんでいるナイスなパイセンたちの作品とテクニックをみんなで読んで、テンションアゲアゲでどんどん筆塗りを楽しんでいこうという連載「筆塗りTRIBE」。
お久しぶりとなる今回は、海洋堂ARTPLAの最新作「ARTPLA スレイプニール」を、筆塗りならではの仕上げでお届けします! こちらは現在多岐にわたって活躍するクリエイター・出渕裕氏によるコミック作品『機神幻想ルーンマスカー』に登場するキャラクター。本作は1988年、出渕裕氏と海洋堂がタッグを組み、立体とイラストのふたつの表現で展開する完全オリジナル作品として「月刊ドラゴンマガジン」創刊とともにスタートし、多くのファンを獲得しました。そんな作品の象徴とも言える「スレイプニール」が令和の世に“プラモ”として登場したのです!!
塗装を手がけたボーメ(BOME)氏による完成見本は、硬質感と神々しさを表現した滑らかな仕上がりが特徴。作例ではその対抗として、スレイプニールが持つメカと生物的イメージを筆塗りのタッチで強調する方向で、「染め塗り」という、明るい下地の上にシャバシャバの塗料で模型を染めていく技法をメインにチャレンジしました! 主に使用した塗料は、染め塗り専用塗料の「シタデルコントラスト」。さぁ、最高の造形を染め上げていこうぜ!!
(構成・文/フミテシ)
美術館の彫刻のような美しさ
5枚+ベースで楽しむ究極の立体物
関節部の緻密なディテール表現
箱側面の分割イラストに注目!!!
商品ページはこちら
今回のパイセン
武蔵/オリジナルガレージキットブランド『craftsperson』の原型、製造、彩色を担当。ホビージャパンの塗装How to系単行本で多数の筆塗り記事を担当し、今回初めて月刊ホビージャパンに登場となりました。元ホビーショップスタッフの経験を活かして、筆塗りの実演も行っています。
「たてがみ」を染めてみよう!
下地は、黒サフを吹いてから、
さらに白サフを吹く!
2色使用します
コントラストがより滑らかになる
魔法の液体
濃度違いで2種の紫を準備
縦方向に染めていきます
同じ箇所を何度もいじらないように!
冷風で乾かして時短!
根本を濃く染める
コントラストメディウムで薄めた紫の出番です
中間から毛先にかけて染めていきます
キレイなグラデーションに染め上がりました!
体表の染め塗りとドライブラシ
コントラストで薄めた紫で染めます
ストロークは短く、細かいタッチで
コントラストは乾くとしっかり発色します!
ドライブラシでハイライトを追加!
ドライブラシ専用筆は1本あると便利!
余計な塗料をペーパータオルで拭います
まずはパーツの角を狙います
優しく、毛先でパーツを擦る!
筆で叩いてみよう!
染めムラとドライブラシは相思相愛
たてがみにもハイライトを!
しっかりと塗料を拭き取ります
毛先や凸部分を狙います
たった3色でこの表現ができます
つるんとした曲面パーツの染め塗り
薄めたパープルを塗ります
あえてムラにする!
ドライブラシ開始!
所々、筆を叩いて
テクスチャー感を出します
ムラと仲良くなろう!
メタリック塗装&目の塗装
銀と金で装甲にアクセントをつけます
慌てず数回に分けて塗ろう
はみ出ても大丈夫!
縁を金で塗り分けます
目の塗装
黒で染めます
瞳にシルバー
コントラストメディウムで薄すめて塗る
メタリック塗装を引き締める! シェイド塗り
スミ入れする感覚で塗ります
重厚感が出ました!
岩場を溶岩にアレンジ
溶岩を描く!?
線の中央に白を塗る
線以外は黒で塗りつぶします
マグマを再度染めて完成!
ゲームズワークショップスタッフ時代に受けたレクチャーがすべての始まり
──武蔵さんの筆塗りとの出会いを教えてください。
武蔵(以下武):最初はポスカとかペンでペタペタ塗って楽しんでいたんです。若い時に絵を描くために、ホルベインのエアブラシと出会ってしまい、そこからはエアブラシ一辺倒だったんですよ。筆塗りと出会うのは、実は大人になってからなんです。
──そのきっかけは何だったんですか?
武:ホビーショップに勤めたことと、その後ゲームズワークショップに勤めたことです。ホビーショップで、シタデルカラーやアクリル塗料の存在を知り、その後ゲームズワークショップのスタッフとなって、そこで初めてスタッフとしての筆塗りレクチャーを受けました。このレクチャーが私と筆塗りの本格的な出会いだったんです。「筆でそんなキレイに塗れるの?」と、半信半疑でシタデルカラーをさっと塗ってみた時の衝撃は、今でも忘れません。またここで受けた基本は、今でも大事にしていて、筆塗りを楽しむスタンスとなっています。ですので、もしお近くにウォーハンマーストアがある人は、ぜひ店頭に行ってスタッフに質問してみてください。僕と同じように筆塗りが楽しくなる基本を教えてもらえますよ。
元から筆塗りというわけではなく、エアブラシ→筆塗りという順番で塗装を通ってきました。だから今でもどちらも大好きでガンガン併用します。どちらの塗り方も、エアブラシだからこそできる塗り、筆塗りだからこそできる塗りというのがあって、その面白さにはまって塗装を楽しむ毎日を送っています。
海洋堂 ノンスケール プラスチックキット“ARTPLA”
スレイプニール
製作・文/武蔵
ARTPLA スレイプニール
●発売元/海洋堂●9790円、発売中●約22cm●プラキット●原型/谷明
商品ページはこちら
Ⓒ出渕裕/徳間書店