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簡単に作れる台座でカッコいいガンプラディオラマを楽しもう!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのディオラマ編】

2023.05.20

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのディオラマ編 月刊ホビージャパン2023年6月号(4月25日発売)

簡単に作れる台座でカッコいいガンプラディオラマを楽しもう!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのディオラマ編】

 休日の空いた時間、誰でもできる簡単なテクニックで、お手軽にカッコいいガンプラを楽しんで作ってみよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。今回から1年間は、難しいと思われながらも、多くのモデラーの心を捉えてきた「ディオラマ」がテーマ。懐かしの当時ものキットを使いながら、あのとき作りたかったディオラマを今、その手で作ってみませんか? 今回は「プレイベースの製作法」。ディオラマの基本となるベースと地面、植物の作り方を解説していきます。

講師/林哲平


ベース製作の基本を学ぶ

プレイベースの基礎となるベース
▲まずはプレイベースの基礎となるベースを用意しましょう。板状のものなら基本なんでもOKですが、今回は軽くて扱いやすく、入手しやすい100円ショップで販売されていた木製トレイを選びました
プレイベースにMr.フィニッシングサーフェイサー1500ブラックで塗装
▲プレイベースはあくまで撮影や上に乗せて遊ぶ用の土台です。極端な話そのまま上に地面を作ってもいいのですが、さすがにそれではちょっと見映えが悪いので、全体をMr.フィニッシングサーフェイサー1500ブラックで塗装しておきましょう。これで台のフチが黒くなり、ただの板が高級感のある「ベース」へ変化します
マスキングテープでフチを保護
▲そのまま地面を作るとせっかく黒く塗装したフチが汚れてしまい、仕上がりの印象が悪くなってしまうのでマスキングテープでフチを保護しておきましょう。ベースのマスキングはディオラマ製作において基本かつ、必須のテクニックです

採取した砂を使ってみよう

バケツの中に入っている砂とスコップ
▲昔ながらのディオラマ製作では、地面の凹凸は砂によって表現されるのが基本でした。現在は専用のものも販売されていますが、今回は子供の頃の気持ちに戻って自然の砂を使ってみましょう。バケツとスコップを用意して、自宅の庭などで砂を採取してきましょう
水を入れたバケツ
▲自然の砂には細かい草の葉や枝などが混入しており、これがそのままだとディオラマに剥き出しになり見映えが悪くなってしまいます。バケツに水を入れ、植物系の堆積物を浮かせて流す、を何度か繰り返して不純物をある程度取り除いておきましょう
フライパンで砂を熱している所
水気が抜けた砂

▲自然の砂の中には植物の種が混入しています。そのままディオラマに使ってしまうと、完成後しばらく経つとニョキニョキ草が生えてくることがあるんですよね…。ここはフライパンでしっかりと熱して、種の発芽能力を除去しておきましょう。水気が抜け、砂の色が白っぽくなればだいたいOKです。なお、フライパンは使い古して不要になったものを使ってください。家族が使う料理用のものを勝手に使うと大問題に発展しますので(笑)

column

トレイと作業台を活用しよう!

トレイの上に置かれた台
▲ディオラマで地面を作っていると、表現の特性的に砂やパステルなどの粉末系素材や塗料を多様するため、周りがとにかく汚れやすいのが難点です。このようにトレイの上で作業すると、素材汚れをその空間内部に限定することができるので、ディオラマを美しく仕上げつつ、片づけも楽になります。なお、今回のプレイベースのような平べったいディオラマを作るときは、下に台を置き一段高くセッティングしておきましょう。手や視点の高さがちょうどよくなり、作業が格段に楽になりますよ

砂を接着しよう

ベース全体に工用ボンドを塗る画像
▲地面の製作法にはいろいろありますが、今回は入門編なのでシンプルに砂だけを使った方法を学んでみましょう。まず、ベース全体に砂を接着するための木工用ボンドを塗ります
木工用ボンドを割りばしで塗り拡げた画像
▲木工用ボンドを塗り拡げます。ボンドの層が薄いと乾燥後に砂がポロポロと外れてしまうので、写真のようにしっかりと全体が真っ白になるぐらい塗っておくと安心です
砂を上からふりかけている画像
▲砂を上からパラパラとふりかけ、地面を作っていきます。この段階では、無理に上から押しつけたりする必要はありません。あくまでふわっと、重力の赴くままに自然でOKです
水で溶いた木工用ボンドの画像
▲砂をパラパラふりかけただけでは、まだまだ砂の密着力に不安があります。ここはより砂を強く接着してみましょう。まずは木工用ボンドを水で溶きます。水とボンドの比率は割と適当でもOKですが、ボンドが少なすぎると固着力が下がるので気になる人は1:1ぐらいで希釈してください
水溶きボンドを筆で上から塗っている画像
▲全体に水溶きボンドを塗り、砂を固着させていきます。最初に塗った木工用ボンドが固着していないと砂がグラグラ動くので、下地がしっかりと乾いてから塗ってくださいね
ドライヤーでボンドを温めている画像
▲水溶きボンドは水が入っているぶん、乾くのに時間がかかるので、急ぐときはドライヤーを使いましょう。手早く作業を進めることができますよ

地面を作ろう

水性ホビーカラーのサンディブラウンで地面を塗装
▲水性ホビーカラーのサンディブラウンで地面を塗装します。ディオラマベースの台座部分をラッカー系塗料で塗装しているので、アクリル系塗料で地面を塗っておけば、いざマスキングテープの下に塗料が染み込んだときでも、強アルカリ系塗料で簡単に拭き取ってリカバリーできます
地面を塗装した状態
▲地面を塗装した状態。プレイベースであれば、地面はだいたい土っぽい色で自分のイメージに合う色であれば何でもOKです。今回は月刊ホビージャパン1981年3月号掲載のストリームベースによるディオラマ「ジェットストリームアタック」を参考に、当時のディオラマによく見られる明るめの配色としています
Mr.ウェザリングカラーのグレイッシュブラウンを専用溶剤で薄めた
▲地面はただ塗料で単色塗装しただけだと、非常にのっぺりとした状態であまりリアルには見えません。ここはいろんな技法で地面に表情をつけていきます。まずはMr.ウェザリングカラーのグレイッシュブラウンを専用溶剤で薄めます

筆で塗っている画像
▲筆で塗り、全体をウォッシングしていきます。明るめの地面を作るときはあまり濃い色をウォッシングすると陰影がキツくなりすぎて暗い地面になってしまいます。使う塗料は明るめ、かつ溶剤は多めに入れて薄めに塗料を溶いておくとよいでしょう
ベースに、Mr.プレミアムトップコートつや消しを吹いている画像
▲下地に使う塗料によっては、ウォッシングの後でも表面にツヤが出てしまうことがあります。地面にツヤがあると不自然な仕上がりとなってしまうので、Mr.プレミアムトップコートつや消しを吹いて全体のツヤを消しておきましょう

平筆に先に含ませた水性ホビーカラーをティッシュで拭き取っている画像
▲砂による凹凸を強調するため、地面にドライブラシを施していきましょう。タミヤアクリルカラーのフラットホワイトに水性ホビーカラーのサンディブラウンをほんの少し混ぜ、平筆に先に少し含ませて、ティッシュで塗料を拭き取ります
ドライブラシを手に試し塗りしている画像
▲ドライブラシでポイントになるのが、筆先への塗料の残り具合です。地面に施す場合、ガンプラ本体に施すときよりはすこし多めのほうがやりやすい印象があります。私の場合だと手の甲に筆先を擦りつけ、肌の角質にひっかかる具合で塗料の残り具合をチェックしています
ドライブラシでベースを塗装している画像
▲地面に筆先を擦りつけ、ドライブラシを施していきます。やりすぎると地面が真っ白になってしまうので、砂の角に少し白が乗る、ぐらいの、ほどほど感を意識しながら作業するのがコツです
ウォッシング、ドライブラシを施した状態の地面
▲ウォッシング、ドライブラシを施した状態の地面。塗料塗りっぱなしのときと比べて格段に陰影がつき、地面らしくなりました。ディオラマ製作において、地面を製作することを「グランドワーク」と言います。いかに単調にならず、そのシチェーションに合った生き生きとした地面を作っていくか? をぜひ意識してみてください

植物を植えよう

地面が完成したプレイベース
▲地面が完成したプレイベース。もちろん、このままで完成としてしまってもいいのですが…。このままだと学校のグラウンドみたいで、ちょっと寂しいですよね! ここは植物を追加して表情をつけてみましょう
パレットに木工用ボンドを出している画像
▲ディオラマに植物を植えるときにも必須になるのが木工用ボンドです。ただ、いきなりドバッとベースに直出しすると大量に出すぎることがあるので、まずは紙でもプラ板でもなんでもいいのでパレットになるものに少し出しましょう
爪楊枝で木工用ボンドを塗っている画像
▲パレットに出した木工用ボンドを爪楊枝でディオラマに塗っていきます。これもいきなり大面積を塗るのではなく、ちょっとずつ様子を見ながら塗っていくのがコツです
鉄道模型用の草用素材を接着
▲鉄道模型用の草用素材(スポンジやターフなど)を上から押しつけて接着します。あまりぎゅ~っと押しつけるとせっかくのふわふわ植物感が失われてしまうので、軽く押さえるぐらいで大丈夫です
植物を植えた状態 角アップ
▲植物を植えた状態。ディオラマ用のスポンジやターフは結構ポロポロ落ちますが、かといって上から木工用ボンドで固めてしまうとせっかくの植物感が失われてしまいます。外れるのは仕様だと思うことにして、取れたら再びくっつけるぐらいのほうが楽です
植物を植えた状態 ベース全体画像
▲植物を植えた状態。これで殺風景なグラウンドから、立派な地面になりました。なにもない砂漠を作るのでもない限り、地面には少しでいいので植物を植えておくと、グ~ンとディオラマに生き生きとした趣が加わりますよ

はみ出した塗料のリカバリー

ベース部分を保護していたマスキングテープを剥がしている画像
▲地面が完成したので、黒く塗ったベース部分を保護していたマスキングテープを剥がしていきましょう。所々マスキングテープが地面に使った木工用ボンドと接着されてしまっている部分もあると思いますが、そこはデザインナイフでカットし、地面色でリタッチしておけばOKです
はみ出した塗料を強アルカリ系塗料をしみこませた綿棒で吹いている画像
▲おおっと! マスキングテープに地面色が染み込んでいました。これは非常によくあるミスですが、心配無用です。下地をラッカー系塗料で塗装し、地面をアクリル系塗料で塗装しているため、強アルカリ系塗料で拭き取れば下地を侵すことなくキレイに拭き取って美しくリカバリーすることができるのです

ベース

「ディオラマ製作」というと、多くのモデラーさんが気にされているのが「難しそう!」というイメージを持たれていることです。普通にガンプラを作るのとは違う技術や、特別な素材も必要なのでは…? と。でも、向かう方向性が少し違うだけで、方法さえ知ればまったく難しいものではありません。今回はもっとも基本である地面の作り方を、プレイベースを用いて解説しています。プレイベースであれば、上にもう完成したガンプラを置くだけでいいので、作るのはベースだけ! 昔、家にあった適当な板の上に地面を作り、ガンプラを並べて遊んだのと同じです。ぜひ、プレイベースでディオラマの入り口をくぐってみてくださいね♪

ベースの上に載っているドムとザクI 1
ベースの上に載っているドムとザクI 2
▲プレイベースは概ね1/144スケールに合わせて製作しており、過去の林哲平作例も載せて遊んでみた!

スクラッチビルド

プレイベース

製作・文/林哲平

© 創通・サンライズ

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林哲平

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