週末2日で

アルカディア号をつくる

1/1500 宇宙海賊戦艦 アルカディア

　『劇場版銀河鉄道999』に登場するアルカディア号は、上映当時から現在に至るまで、日本を代表する宇宙艦船だ。その船体、特に艦首はディテールの少ない曲面で構成されており、その大きな面積を塗装でいかに表現していくのか？

　OVERVIEW　

●巨大な艦のスケール感をテクスチャーで表現する
●パネルシェーディングにより船体の陰影を付ける
●補色によるウォッシングで全体を際立たせる

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SPACE PIRATE BATTLESHIP

ARCADIA

いつかまた星の海のどこかで会おう──

　50歳前後の日本男児の、心の奥底に深く刻み込まれた艦、アルカディア号。『劇場版 銀河鉄道999』ラスト近くの、ダメージを受けたアルカディア号の深みある緑を、複数の色を使い分けながら表現している。

塗装により情報の密度を上げ
星の海をゆく海賊船を表現する

　下地のマホガニー、シャドーのブラック、基本色のダークグリーン、加えてテクスチャー塗装のハイライト・スモークグレー。さらにパネルシェードによる陰影…。何層にも塗り重ねることで、複雑で深みのある質感を表現している

　松本アニメにおいて宇宙は“海”であり、海賊船は“舟”である——。アルカディア号を作るにあたり、これは絶対条件であり、国内外のSF作品と一線を画す重要ポイントです。今回、塗装のイメージソースとしたのは『劇場版 銀河鉄道999』のエンディング近く、999と並走し鉄郎に別れを告げるアルカディア号側面の美術ボード。その船体表面は幾多の冒険と戦いを乗り越えたがごとく、ダメージや退色が加えられた深みのあるグリーンで描かれています。僕にとってのアルカディア号の質感は、まさにあの深みのあるグリーンでした。それは40年経った今でも変わらない。エアブラシは本来、淡いボケアシとマスキングによる極端なトーン変化を組み合わせることで最大の効果を発揮します。今回はこれらの複合技法で少年時代から思い描いていたアルカディア号を再現してみました。そして最後に、子供の頃から鉄の信念を持つ理想の男像としてあこがれ続けたハーロック…。その声を担当した井上真樹夫氏、その生みの親でもある松本零士氏も宇宙に旅立ってしまいました。いつか…遠く時の輪の接する処で、またお逢いできることを信じて、ゴーラム！

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Ⓒ松本零士・東映アニメーション