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イングラム、デッキアップ!! 「98式特型指揮車&99式特型レイバーキャリア」をディテールアップと丁寧な工作で仕上げる

2023.03.23

98式特型指揮車&99式特型レイバーキャリア【グッドスマイルカンパニー 1/60】 月刊ホビージャパン2023年4月号(2月25日発売)

 クラブマンハイレッグの製品化など、2023年の展開も見逃せないMODEROIDのパトレイバーシリーズ。今回はそのなかでも、2022年パトレイバーファン待望のキット化として話題を呼んだ、特車二課の活躍を支える特殊車両、98式特型指揮車と99式特型レイバーキャリアを竹内陽亮が製作。ポイントを押さえたディテールアップと丁寧な工作でギミック満載のアイテムを仕上げた。

▲別売のMODEROID 98式AV イングラムを搭載したレイバーキャリア。牽引車と多目的キャリアで構成されており、完成すると全長は約29cmとなる。今回は各部の塗装に加え、巨大感を演出するために軽めのウェザリングを施して仕上げている
▲牽引車の窓は厚みを抑えるため、塩ビ板を切り出したものに交換した

▲98式特型指揮車はライトをクリアーパーツに交換。二本のアンテナも金属線に置き換えている

▲8基あるアウトリガーは展開が可能

▲多目的キャリアの足場は前に引き出すことができる
▲イングラムのデッキアップアクションを差し替え無しで再現可能。なお、レイバーキャリアにはAV-98 イングラム(別売)だけでなく、AV-0 ピースメーカー(別売)、AV-2 ヴァリアント(別売)を搭載することも可能だ
▲運転席には、1/72スケールのフィギュアを改造して特車二課風クルーを追加。ただし見た目重視のため、アニメより車内の人数は多めである
▲クレーンはプラ材を使用して伸縮ギミックを追加した
▲多目的キャリアの各部にあるライトでモールドのみの再現となっているものもクリアーパーツに交換している

▲別売のAV-98 イングラム1号機は、以前月刊ホビージャパン掲載用に中安俊二氏が製作したもの。ただし、冒頭の特撮カットでのヒザ立ちポーズがとりやすいよう、太モモ付け根の軸と足首を延長したほか、ウェザリングの追加を竹内氏が(こっそり)行っている

MODEROID AV-98イングラム

●発売元/グッドスマイルカンパニー●3800円、発売中●1/60、約13.5cm●プラキット

■考察
 レイバー犯罪の現場に急行するために、安全にパトレイバーを運ぶのがレイバーキャリアの役目。そして、ただ運ぶだけでなく、現地到着後もパトレイバーの状態管理や、現場周辺の状況把握をレイバー指揮車と連携して、行動をサポートするものと考えられます。事件解決までに時間がかかるようであれば、燃料の補給や不具合の修繕など、さまざまな場面を想定した装備も満載してありますので、当然ながら絶対必要なサポートマシンと言えましょう。

■キットについて
 とても意欲的な構成のキットで、組み立て説明書も丁寧で大変美しく、楽しく製作を進めることが出来ます。基本的に各パーツは色分けしてあり、一部は彩色済みなので、無塗装でも見映えのよい仕上がりとなりますね。また、メカの性格上、可動ギミックが多いので、完成後の扱いにはある程度の理解が必要となりますが、イングラムを搭載したディスプレイは、とてもカッコいい臨場感が楽しめます。

■キャビンの製作
 構成上はとても優れた内容なので、今回は細部ディテールを中心に改修を行って仕上げます。まずはトレーラーヘッドである、車体前方のキャビンをしっかりと接着して組み立てます。そしてキャビン内側からクリアーパーツのウィンドウ類をはめ込むのですが、キットパーツはやや厚みが目立つため、これらは0.5mm塩ビ板に置き換えました。また内部には数名が座れるシートが並びますが、ドライバーフィギュア等は付属しません。やや寂しく感じたので、近いスケールのフィギュアを用意し、特車二課隊員風の塗装をして、数名並ぶように配置しておきました。

■多目的キャリアの製作
 次に車体後半のキャリア部分の製作ですが、ここは大型のパーツで構成されており、組み立ては歪みに注意が必要です。仮組みをしっかりと行って確認した上で、塗装を進めながら組み立てるのが理想的な工程ですね。下部の車体フレームと、立ち上がるように可動するコンテナとの接続部は特に注意が必要で、作例ではしっかり固定出来るように、穴開け加工等、多少のサポートも行っています。また、方向指示灯や上部から照らす照明等は市販のクリアーパーツに置き換えたほか、上部クレーンのアームを延長出来るように加工しました。また劇中では落下防止のネット等が表現されているシーンが確認出来たため、両サイドに金属メッシュを追加しています。このパートは可動部分が多くあるので、スムーズに可動するように確認しながら組み立てることも重要であります。

■塗装
 基本的にMr.カラーを使用するのですが、今回は黒い部分のみ、実車用塗料である99工房ボデーペン「トヨタ用202ブラック」を使用しました。警察車両ということで、より深みのある黒としています。缶スプレーから必要な量の塗料を取り出し、Mr.カラー用のうすめ液で調整して使用しました。白い部分はGX1クールホワイトで塗装しています。また各所のマーキングは重機的なデカールを選んで追加しています。完成後のサイズ感としては1/18カーモデル程度なのですが、スケールは1/60ということなので過度な光沢仕上げは避け、ツヤを調整した半光沢クリアーで光沢を調整しています。その後エナメル塗料で軽く水垢汚れを表現して仕上げています。



■レイバー指揮車
 嬉しいオマケとして、同スケールのレイバー指揮車が付属します。こちらはライトをクリアーパーツに置き換えたほか、後部から延びるアンテナをインセクトピンに変更しています。

■イングラム
 友人であり月刊ホビージャパンモデラーでもある、中安俊二氏製作のイングラムを借り受けて設置確認や調整をします。その際に足首関節を延長したのと股関節をやや張り出してヒザ立ちが容易となるように調整しました(勝手に…)。ついでにキャリアと合わせるように、ごく軽くウェザリングも施してしまいました(バレへんやろ)。

■あとがき
 2015年のことですが、私の住む兵庫県姫路市にイングラムがやって来ました。実写映画でも使われた物ですね。その日は運よく近くにいたので、デッキアップの時間に合わせて見に行きました。世界遺産である姫路城をバックに立ち上がったイングラムは想像以上に高さもあり、間近で見ると、とても迫力があります。しかし一番印象に残ったのが機体各所に施されたウェザリング。このあたり、どうしてもモデラー目線で見てしまいますねえ(笑)。

グッドスマイルカンパニー 1/60スケール プラスチックキット “MODEROID”

98式特型指揮車&99式特型レイバーキャリア

作・文/竹内陽亮

MODEROID 98式特型指揮車&99式特型レイバーキャリア
●発売元/グッドスマイルカンパニー●8500円、発売中●1/60、約5.5cm(指揮車)、約29cm(キャリア)●プラキット

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ⒸHEADGEAR

竹内陽亮(タケウチヨウスケ)

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