ハセガワの「ヤマハ RZ250(4L3)(1980)」をキットレビュー!細部に手を加えることでクオリティアップを図る
2023.02.20「2ストのヤマハ」が見せた本気
排ガス規制により4ストへ風向きが移りつつあった70年代中期、ヤマハがこれが「最後の2ストローク」になるという覚悟で開発に臨んだのがRZ250だ。同社の市販レーサー・TZ250と同様の水冷2ストローク並列2気筒エンジンと精悍なスタイリングには当時の2ストマシンの魅力のすべてが凝縮されたと言っても過言ではなく、瞬く間に人気を確立。80年代の2ストレプリカブーム再燃のきっかけとなったのだ。
そのRZ250のキットが満を持してハセガワからリリース。当時熱狂を呼んだ姿を最新技術で再現している。作例を担当するのはたのしがりや。素性の高い最新キットをリスペクトしつつ、細かい点に手を加えてクオリティアップを行っている。
今回は、ハセガワのRZ250の製作を担当させていただきました。まずキットを確認してスゴイなと思ったのは再現度の高さで、キャブレーターにチョークノブが付いていたり、取り付けネジを隠すナットのモールドも部位ごとに違いがあったり、シート裏やタンク裏、サイドカバー内側の補器類などもきっちり再現してあります。早速組み立てに入ると、調整が必要な部分は無くアライメントも問題なく決まるので製作がスムーズに進みました。
■塗装
塗装ですが、実車が元々ボディカラー以外はほぼ黒一色なので、質感や素材の違いを表現するためにシートは濃いめのツヤありブラックを吹いたり、ラジエーターシュラウドなどの樹脂部品はブラックではなくほぼブラックのグレーを使ったりしました。ワンポイントとして、ラジエーターホース表面の格子状の凹凸をメッシュ状の布を使った塗装で再現したり、サイドカバー内側の冷却水とオイルをクリアーカラーで塗装後、クリアーホワイトでコート、最後にエッジ部にホワイトを塗り、タンクの厚みを表現してみました。組立説明書の塗装指示も細かく記載されているので、説明書通りに根気よく塗り分ければ充分リアルに仕上がりますが、少し手間をかけるとより自分だけの作品になってくれます。
■その他仕上げ
塗装が完了したらデカール貼りです。貼る量は少ないのですが、ライン状のデカールが多いので、デカールのりなどで滑りを良くしてゆっくり落ち着いて貼ることをおすすめします。今回はストレート組みでとのことだったのですが、キットの再現度が素晴らしく、バイク乗りモデラーとしては嬉しくなってしまい、少々ディテールアップもしました。あくまでも元のディテールを活かしたものですが、各ワイヤーやホース類の太さを変えるだけでも随分雰囲気が変わると思います。とても作りやすく、そのまま作って良し、余力をディテールアップやカスタムに使うも良し、今後350㏄などのバリエーションも期待できるのでまた作りたくなる良キットでした。
ハセガワ 1/12スケール プラスチックキット
ヤマハ RZ250(4L3)(1980)
製作・文/たのしがりや
ヤマハ RZ250(4L3)(1980)
●発売元/ハセガワ●3740円、発売中●1/12、約17.4cm●プラキット
たのしがりや
創意工夫のディテールアップ工作と塗装法で実写を思わせる空気感を有した作例を手掛けるバイク・カーモデラー。