これがエントリーグレード!? 徹底的なスジ彫りでハイディテールな「ガンバレルストライク」を製作【HJ Web人気記事Pick up】
2022.12.143.徹底的なスジ彫りモールドでハイエンド化/GAT-X105+AQM/E-X04 ガンバレルストライクガンダム【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2022年9月号(7月25日発売)
工作解説/コボパンダ
模型を1ランクアップデートさせる表現方法のひとつとして「スジ彫り追加によるディテールアップ」があります。元のキットに入っているパネルラインや段差などのモールドを彫り込むことでディテールをくっきりさせたり、フラットな面にスジ彫りを追加することで情報量を増やしたりなど、立体物としてメカ的な説得力を高めることができます。1/144スケールパート、3つ目のテーマは「スジ彫りモールドによるハイエンド化」ということで、“スジ彫り職人”コボパンダがディテールアップ工作の題材としてはうってつけのフラットなキット「ENTRY GRADE ストライクガンダム」を使用して、スジ彫りモールドや一体成型パーツの別パーツ化、プラ板貼り足しによる凸モールドの追加など、各種テクニックを駆使して徹底的なハイエンド化を行っていきます。また、サブテーマとしてHG105ダガー+ガンバレルからストライカーパックをコンバートしてガンバレルストラクガンダムとして完成させています。
●プロモデラーQ&A
Q 今回の作例製作に欠かせないツールorマテリアルを1点教えてください。
A BMCタガネの3mm幅です! 彫刻刀のように使ったり、広い段差を彫るときやV字型に彫り込みを入れるときなどにとても重宝します。
Q 作例製作時に意識していることは?
A ディテールを彫ることがとても大好きなのですが、それをやる前に自分が「カッコいい!」と思うバランスにするまで基礎的な工作を徹底するようにしています。延長工作や削り込みで全体のバランスを整え、そのあと可動部の隙間やプラの厚みなど意識しながら作業しています。ほぼ作業の大半がヤスリがけと整形になります。立ち姿がカッコよければ全部OK! という謎の理念があって、多少なら可動部分を犠牲にしてでも理想のプロポーションを形にするように意識しています。ディテールはそこまで頑張った自分に、ご褒美としての作業という感じです。ディテールが彫りたいがために全部の工作を頑張る、という言い方もできます。ディテールは現用戦闘機や戦車、設定を掘り下げた本やイラストなどの資料から想像を膨らませて彫っています。知り合いのモデラーがカッコいいディテールを入れていたりすると「やられた~」と思いつつメモしたり、ジャンクパーツに彫ってみて練習して、作例に落とし込むようにしています。
Q ついついやってしまうこだわりポイントを教えてください。
A メンテナンスハッチがとても好きなので、よく入れがちです。丸ディテールよりも長方形型のいわゆる「スイッチ」を多用するのが好みで、ついつい入れすぎて塗装前にパテで埋めて数を減らすこともあります。メンテナンスハッチがあるなら注意書きもあるでしょ~と、コーションデカールを貼って完成させることが多いです。幸せなことにかなり自由に作らせていただくことが多いので、「デカールもディテールの内」というこだわりで、デカールを貼る位置も含めてディテールを彫っています。
❶合わせ目位置の変更
❷スジ彫りと段落ちモールドを追加
❸腰部アーマーのエッジ出しと別パーツ化
❹太モモの延長とスネの別パーツ化
❺ディテール変更
❻肉抜き埋め
❼そのほか工作
❽完成
■バキバキにディテールアップ
エントリーグレードのストライクガンダムをバッキバキにディテールアップするという依頼を受け、大喜びで食いついたコボパンダです。ディテールを入れることが大前提なのですが、せっかく改修するんだから何かコンセプトを入れたいと思い、パッと思い浮かんだのが、「エントリーグレードらしさを消す」でした。プロポーション、関節、パーツ分割による印象の変化、そしてディテールの総合タッグで製作開始です。
■プロポーション変更
太モモを装甲と軸それぞれで2mmプラ板で延長しました。装甲パーツは上部にプラ板を貼った後、リューターで関節パーツが入る隙間を確保します。軸は真鍮線で補強しつつプラ棒で延長しました。腹部は可動による隙間を埋めつつ腹部下面にプラ板を1mm貼り付けています。軸は延長していないので腹部~腰まで縦のプロポーションは変わらないですが、腹部パーツの印象が変わったことで全体的に細身に見えるようにしています。首パーツはプラ板で0.5mm延長。上腕も0.5mm延長して、脚部を延長したぶんの帳尻を合わせています。
■関節とパーツ分割
関節パーツはヒジ部分はモールドを削り取り、0.3mmプラ板を貼って新しくディテールを彫り込んでいます。ヒザ関節も一部のモールドを瞬間接着パテで埋めました。ヒザ関節後ろ側は可動粋確保のための隙間がやや目立つので、プラ板を貼って隙間を隠しています。前腕はエッチングソーで分割して、MGストライクガンダム Ver.RMのようなディテールにしています。胸部の首元のパーツも切り欠いてディテールパーツを自作しました。スネ後ろ側も合わせ目を消すために分割し、ディテールアップをかねて塗り分けしやすいようにしています。
■ディテール
ディテールはMGとPGを参考にしつつ、段落ちモールドとスジ彫りで凹凸を出しています。塗装はRGを参考にガイアノーツのニュートラルグレー各種を混色して色分けしています。マスキングがとても大変ですが、効果はあったと自己満足で片づけています。
■塗装
赤=ブライトレッド
青=コバルトブルー
白=アルティメットホワイト+ニュートラルグレーI
白2=ニュートラルグレーI+ニュートラルグレーII
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット “エントリーグレード”ストライクガンダム+“ハイグレード”105ダガー+ガンバレル 使用
GAT-X105+AQM/E-X04 ガンバレルストライクガンダム
製作・文/コボパンダ
ENTRY GRADE ストライクガンダム
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●770円、2022年1月発売●1/144、約13cm●プラキット
ⓒ創通・サンライズ
コボパンダ
スジ彫りやプラ板工作の精度が高く、塗装テクニックも幅広く持っており、キットレビューからHow toなど多岐にわたって活躍。