対空・対艦の二刀流! 航空自衛隊 F-2A戦闘機をそれぞれの仕様で2機作り比べてみた
2022.11.24対空・対艦の二刀流をこなす“平成の零戦”
F-1支援戦闘機に続く国産戦闘機として、2000(平成12)年に航空自衛隊への導入が開始されたF-2戦闘機。さまざまな戦術的任務に対応できる“マルチロール・ファイター”であるが、特に対艦ミサイル4発を搭載しての対艦攻撃ミッションはF-2の最大の特徴といえる。時代を問わず「日本の戦闘機」をモデル化するファインモールドから、2022年の春に発売された1/72スケールの航空自衛隊 F-2A戦闘機は作りやすく精密な内容で、その後発売された複座型F-2Bとともに大好評をもって迎えられているが、今回の作例では一挙に2機を製作、対艦ミッションと空対空ミッションの兵装で作り比べてみた!
■繊細で緻密なモールド
複合材で一体成型された主翼下面と主翼上面を繋ぎ合わせているネジ頭(ファスナー)でしょうか? 主翼上面にビッシリとマイナス状のモールドが刻まれています。一般的な〇モールドで刻まなかったメーカーの意気込みが感じられる特徴的な部分です。さらに驚いたのがキャノピー中央の分割線。これまで多くのクリアーパーツ分割線は、目の細かなペーパーで削った後、コンパウンドで磨いて仕上げる手間が必要でしたが、このキットのキャノピーは素地のままで分割線がまったく目立ちません。金型表面をレーザーで研磨する技術があると工業系の資料で読んだことがありますが、「もしかしたら新しい技術が使われているのか?」とワクワクできる繊細な仕上がりです。
■組み立ての工夫と注意点
複座のB型も見すえて、翼部分と胴体が別パーツになっています。垂直尾翼は安定板と基部のドラッグシュート収納庫が別パーツで構成されています。ていねいに工作を進めれば問題はありませんが、精度を過信し迂闊な工作をすると、胴体と翼の接合部に隙間が生じてしまい、せっかくのモールドがだいなしになります。そこで、各パーツの縁の部分を刃を立てたカッターで擦るように削ると、接着剤も流し込みやすくなり、表面のモールドを汚すリスクも避けられます。垂直尾翼(パーツA35)下部分に設けられた丸いモールドも切除することで、安定板とドラッグシュート収納庫間の隙間発生も防げます。
このキットの見せ場のひとつが、精密モールドの塊と化した脚収納庫。美しく仕上げたいですが……収納庫を左右に分ける隔壁の下に来る脚収納庫カバー(パーツA31)がエアインテーク外装(パーツD10&11)に対し、若干浮き気味になるようです。そこで脚収納庫カバーのホゾと端面を少し削り、インテークと面一になるよう調整しています。
■塗装について
他に類を見ない航空機の洋上迷彩、今回は汚し方の方向性で悩みました。基本の2色「シャロウオーシャンブルー」(以下「薄青」)と「ディープオーシャンブルー」(以下「濃青」)はできるだけコントラストをはっきりと付けたいので、シリコーン系マスキング材(パンツァーパテ)で土手を作って、「濃青」を強調させています。
さらにAAM-4を4発搭載した完全空対空戦仕様機は、基本色塗装の後、スジ彫りにエナメル系で黒色スミ入れを行っただけのオーソドックスな「黒い汚し」仕様としました。
一方、ASM-2対艦誘導弾を搭載した洋上攻撃仕様機は、基本色塗装の後に「濃青」を軽くオーバースプレーした後、エナメル系溶剤に浸した綿棒でパネルラインを強調する感じでゴシゴシと擦り、余分な「濃青」した塗料が若干残るように仕上げています。この「濃青汚し」のほうが、実機の補修塗装っぽい雰囲気が比較的容易に再現できそうなので、これから工夫を続けたいと思います。
■おわりに
平成初期頃、ニュースや新聞各社が連日伝え続けたFS-X騒動のおかげで、「しょせんF-16の改造機」というネガティブなイメージが拭い切れなかったF-2戦闘機。今回はF-2Aと同時に、他社製F-16Cと突き合わせながら組み立てを行いましたが、F-16に比べ魅力的な部分も多く、「似ているだけでまったくの別物」だったのだと認識が深まり、楽しい製作となりました。
ファインモールド 1/72スケール プラスチックキット
航空自衛隊 F-2A戦闘機
製作・文/ヨンケイ
航空自衛隊 F-2A戦闘機
●発売元/ファインモールド●3740円、発売中●1/72、約21.6cm●プラキット
ヨンケイ(ヨンケイ)
四国にツーリング行きました。四国カルストの雄大な風景に感動した後、紫電改展示館と海洋堂ミュージアムにも立ち寄りました。共に製作意欲を掻き立て素晴らしい場所でした。