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「宇宙艦船・サラミス」をお手軽に仕上げる! 合わせ目消しや製作のコツも一気にマスター!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

2022.11.18

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編 月刊ホビージャパン2022年12月号(10月25日発売)

「宇宙艦船・サラミス」をお手軽に仕上げる! 合わせ目消しや製作のコツも一気にマスター!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

 休日の空いた時間、誰でもできる簡単なテクニックで、お手軽にカッコいいガンプラを楽しんで作ってみよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。懐かしのキット編第9回は「宇宙艦船模型の作り方」。サラミスを題材に、宇宙艦船模型を気軽に作ってみましょう。

講師/林哲平


塗装前提のパーツ処理を覚えよう

▲宇宙艦船模型は小さなパーツが多いのが特徴です。ゲートを少し残してニッパーでパーツを切り出しましょう。ポロっとどこかに飛んでいってなくなってしまうことが多いのでパーツの保管には特別注意してください
▲デザインナイフでゲートカットします。ナイフで平面近くまであらかじめ削っておくと、ヤスリがけが楽になり、そのぶん手早くキレイにしあがりますよ
▲ナイフで処理したゲートを紙ヤスリで削り落とします。ちょっと面倒かもしれませんが、400番でゲートを消し、600番で表面を整えるというように番手を上げてヤスリがけするほうが削るスピードが上がり、効率的に作業できますよ
▲砲身や機銃のような、より小さなパーツはランナーにつけたまま作業しましょう。指で持つと作業しにくいですし、うっかりスポっと抜けてなくなることが多いです。まずは薄刃でない丈夫なニッパーでゲート部分をカットして持ちやすくします
▲砲口のパーティングラインは段差状になっているので、金属ヤスリでならして平らにしておきましょう。紙ヤスリよりも簡単に処理することができます。砲口は目立つ部分なので、ここがシャープだと艦船模型らしくシャープな仕上がりになりますよ
▲パーティングラインはキサゲのカンナがけで削り落とします。この作業はデザインナイフでもOKですが、キサゲはカンナがけに特化した工具で、ナイフとは違い刃こぼれによりパーツが傷つくことがありません。作業効率が格段に上がるので、当時ものキットを製作するならぜひ持っておいてください
▲パーティングラインをカンナがけしていると、どうしても表面が荒れてしまうことがあります。そんなときは紙ヤスリで表面を削ってキレイに整えましょう。小さいパーツだと見えにくいので、気にならなければそのままでもOKです
▲砲身を処理した状態。サラミスのような宇宙艦船模型は細かいパーツが多いですが、ランナーを持ち手にして作業すれば全然問題なく作業することができます
▲機銃の砲身など、細すぎる部分はヤスリがけするのが難しいもの。表面が荒れた部分は流し込み接着剤を塗り、溶かして処理すればOKです
▲船体の側面フィレットには目立つパーティングラインがあるので、紙ヤスリで処理します。その付近のスジ彫りが消えるので、気になる人はデザインナイフで再生しておきましょう。ちなみに私は今回やっていません(笑)! 全塗装は工程が多いので、ちょっとでも「面倒だな」と感じたら省いてしまうぐらいが健康的で完成率も上がりますよ

流し込み接着剤で合わせ目を消そう

▲サラミスの胴体は中心で真っ二つの竹割り式。この合わせ目をできる限り楽に消してみましょう。まずは速乾タイプの流し込み接着剤を合わせ目にたっぷりと流し込みます。ピッタリと合わせた状態ではなく、ほんの少し隙間を開けておくと流し込みやすいですよ
▲接着剤を流し込んだら、ギュッ~っと指ではさんで接着します。このとき、溶けたプラをはみ出させるのがポイント。これが合わせ目同士を埋めるパテの役割を果たしてくれるのです
▲サラミスの船体のような、細長いパーツは反りやすく、そのままだと接着中合わせ目に隙間が空いてしまうことがよくあります。ここは輪ゴムを巻いてズレないようにしっかりと固定しておきましょう。宇宙艦船模型には欠かせないテクニックです
▲速乾タイプの流し込み接着剤は乾燥が早いのが特徴ですが、念のため1日ぐらい待っておきましょう。完成後に接着剤がヒケることによる経年変化を減らすことができます。はみ出た接着剤はパーティングラインと同様に、キサゲでカンナがけして処理します
▲キサゲで荒れた部分を400→600番の順番に紙ヤスリで表面を整えます。いきなり紙ヤスリだけで合わせ目を消すのは大変ですが、カンナがけでだいたいの合わせ目を処理しておけば作業がグンと楽になりますよ
▲速乾タイプのスチロール用流し込み接着剤は乾燥が早すぎるため、合わせ目を消しきれず、カンナがけ、ヤスリがけしてもわずかに合わせ目が残ることがよくあります。こんなときは瞬間接着剤の出番。まずはウェーブの速乾タイプの瞬間接着剤をこのように適量出します
▲瞬間接着剤を爪楊枝ですくい取り、消しきれなかった合わせ目に刷り込んでから改めてヤスリがけします。これで残った隙間も簡単に消すことができます。ノズルから直接瞬間接着剤をつけると、うっかり出すぎて余計なところに流れ込んでしまうことがあるので、ワンクッション空けると安心ですよ
▲サラミスは船体の先端のこの部分(赤く着色した箇所)に大きなヒケがあり、真正面なのでそのままだと完成後もかなり目立ちます。消しきれなかった合わせ目を消すついでに、瞬間接着剤を流し込んで凹みを埋め、ヤスリで表面を整えて消しておきましょう
▲船体の合わせ目を消した状態。流し込み接着剤と瞬間接着剤、キサゲを使えば合わせ目消しはあっという間に終わります。面倒ならば、完成後ほとんど見えない裏側はそのままでもOKです。ささっと楽しく作業を進めていきましょう
▲合わせ目消しで悩むのが入り組んだ部分の作業。ここもキサゲがあればグ~ンと楽になります。まずは先端を隙間に入れ、細かく前後にカンナがけして接着剤のはみ出しを削り落としましょう
▲このような奥まった部分は紙ヤスリを折りたたみ、差し込んで荒れた部分を整えましょう。今回はお手軽に出来ることを重視してすべて手作業ですが、ピンセットで紙ヤスリをつまんで作業するとより削りやすいですよ

▲サラミスで一番頭を悩ませるのはデッキの合わせ目。流し込み接着剤だけで消すのは難しいので、瞬間接着剤をパテ代わりに爪楊枝で隙間に刷り込み、紙ヤスリで整えましょう。瞬間接着剤は経年変化してもヒケず、すぐに硬化するので、手早く使えるパテとしてすごく便利なんです。どうしても面倒なときは、この合わせ目はディテールとして処理し、見なかったことにするでも全然OKです

▲船体を塗装前まで進めた状態。ヤスリがけは合わせ目付近とゲート、パーティングラインのみ。全体をヤスリがけすると大変な時間がかかりますが、そこは部品数の少ない当時ものキット。部分的な処理なら部品数の多い最新キットをパチパチ組み立てるよりずっと早くここまで作業を進めることができるんです
▲宇宙艦船模型製作のポイントとして、機銃やレーダーなどの細かいパーツは基本塗装の段階では船体に接着せず、ランナーにつけたままにしておきましょう。このまま塗ったほうがずっと楽ですし、一番怖いパーツの紛失を防ぎやすいです

缶スプレーで全塗装してみよう

▲宇宙艦船は入り組んでおり、筆で全部塗るのは大変なので缶スプレーで一気に塗装します。使用するのはMr.カラースプレーのMSパープルとあずき色のふたつだけ。劇中だとドムに近い紫色なので、当時のアニメイメージを重視して色を選んでいます
▲お尻のスラスターを接着する穴に割り箸を差し込んで固定します。入り組んだ宇宙艦船を缶スプレーで塗るとき、このような「串焼き」スタイルならば、影になったり見落とす部分を減らしつつ、まんべんなく全体を塗装することができます

水性塗料で細部を塗り分けよう!

▲シュッ! シュッ! と手首のスナップを効かせながら缶スプレーで塗装していきます。宇宙艦船は形状が入り組んでいるぶん、細かい部分に塗料が回らず、つい吹きすぎてしまいがちなのでMSを塗るときよりも注意してください
▲スリットなどの凹ディテールは水性ホビーカラーで塗り分けます。まずはツヤ消しブラックを先端をナイフで細く削った爪楊枝ですくい、はみ出しは気にしなくてOKです
▲はみ出した部分は台所用中性洗剤を染み込ませた綿棒で拭き取ります。最初からキレイに塗り分けるより、拭き取り前提で塗ったほうがむしろシャープに仕上がりますよ

ランナーにつけたまま塗装しよう

▲小さい機銃はランナーについたままで塗ります。持ち手でランナーを掴んでおけば保持力が高いのでピン! と飛んでいくこともありませんし、一気に塗装できるので手早く効率的に作業できるのです
▲宇宙艦船模型を作っていて、多くの人が一番悩むのは砲口の処理。中心に穴をピンバイスで穴を空けるのは難しいですし、筆で塗るとはみ出しが多く、修正が大変。そこで便利なのが水性マーカーのプロッキーです
▲プロッキーの太いほうの穂先を使い、砲口を塗ります。穂先が丸まっているため、ちょんとつけるだけで砲口部分をキレイに塗り分けができます! 水性塗料なので、はみ出したら台所用中性洗剤で拭き取れば簡単に修正できます

▲ランナー塗装したパーツを切り出すと、ゲート跡は成型色が剥き出しになります。ここは紙コップに缶スプレーの塗料をふき出してから、爪楊枝でリタッチしましょう
▲リタッチした状態。機銃のゲート跡は後ろの目立たない部分に配置されているので、リタッチすればほどんど目立ちません。細かいパーツはとにかく失くしやすいので、作業工程を減らせばそれだけ紛失のリスクを減らすことができます
▲おおっと! 砲身を砲塔に差し込んだら、干渉して色ハゲしてしまいました…。でも、大丈夫です。ここもリタッチすれば問題ありません。宇宙艦船模型は繊細で破損しやすいので、可動はあえて封印し、砲身も最初から接着して塗装したほうが安心です
▲レーダーのためだけに缶スプレーを買うのはちょっともったいないので、安価で使いやすいアクリジョンで筆塗りしてみましょう。成型色のブルーの上にそのままイエローを塗ると透けてしまうので、ベースカラーホワイトを塗って下地を作りますす
▲下地を作ったらイエローを上掛けします。アクリジョンのような水性エマルジョン系塗料は他のプラモデル用塗料と違い、上塗りしても下地が溶け出して汚くなることがありません。少しずつ塗り重ねていけば、失敗せずに確実に発色させることができるのです
▲艦橋の窓もイエローですが、どうしてもはみ出しやすい部分でもあります。ここははみ出したらすぐに台所用中性洗剤で拭き取りましょう。一度乾くとアクリル塗料よりも時間はかかりますが、ゆっくり何度も擦れば充分落とすことができます

作業台を使おう

▲塗装したらスチロール用接着剤で組み立てていきますが、宇宙艦船模型は机の上にそのままおいた状態だと非常に作業しにくいです。ここは缶スプレーに両面テープで貼りつけてみましょう。こうすると手で持つことができ、高さがあるぶん船体の下にも手を通すことができ、抜群に作業しやすくなります。最後の最後で失敗しがちな人はぜひやってみてください

サラミス

 当時ものキットにはホワイトベースやムサイ、マゼランなどガンダムに登場する宇宙艦船模型が数多くラインナップされています。小さいパーツが多いなど、いまいち作り方がよくわからず、敬遠されているモデラーさんも多いのではないでしょうか? 実は、宇宙艦船模型は通常のMSより製作が簡単なのです。特に、合わせ目を消して塗装するという、本格的な全塗装仕上げの入門用としてこれほど向いているキットはありません。1ブロックの塗装でOKですし、手足を曲げたときに塗膜が剥がれる心配もありません。缶スプレーでさっと塗れば2日もあれば完成してしまいます。船を作る、というのが難しく感じる人は「デッカいビーム・ライフルを塗る」ぐらいに思ってください。そう考えると、すごく簡単そうに見えてきませんか? まだ作ったことがない人は、この記事でぜひ宇宙艦船模型デビューしてくださいね♪

BANDAI SPIRITS 1/1200ケール プラスチックキット

サラミス

製作・文/林哲平

© 創通・サンライズ

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林哲平(ハヤシテッペイ)

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