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AFVクラブ「M728戦闘工兵車」を主役にベトナム戦争下における救出劇をディオラマで再現!

2022.11.14

Mud 泥水【AFVクラブ 1/35】 月刊ホビージャパン2022年12月号(10月25日発売)

 今回のスケールモデルコーナーは、AFVモデラーの嘉瀬翔による見ごたえたっぷりのディオラマからご覧いただこう。2021年2月に亡くなった台湾のホビーメーカー、AFVクラブの曾敏鴻社長への哀悼の意味も込めて製作したという本作の主役はAFVクラブ製のM728戦闘工兵車。激しい砲撃によってできた水田の巨大な水たまりで行動不能となったM48の救出シーンを、AFVクラブ製M728と往年のタミヤ製M48A3の共演で再現している。※記事中の解説も作者による。

今回使用した主なキット

●M728戦闘工兵車 AFVクラブ
●M48A3 タミヤ35120
●M151A1 タミヤ35334
●M151A1ディテールセット レジェンドLF1277
●U.S.G.I.s JERRYCANS BRAVO-6 B6-35061
●U.S.TANKERS BRAVO-6 B6-35067
●U.S.TANK CREW BRAVO-6 B6-35308

▲迫撃砲の攻撃を避けて右往左往と逃げ回った挙げ句、砲撃でできた田んぼの大きな窪みにはまってM48はスタック。M728とM151A1が救出に来たというシチュエーション。ベースサイズは縦37cm×横58cm×高さ20cm
▲1981年生まれのタミヤM48と2019年(たぶん)生まれのAFVクラブM728の共演。重量物を吊すワイヤーのピンと張ったテンションが大切
▲雨の多いベトナムでは汚れがこのような筋になっている。これはタミヤアクリルカラーを水で薄め、俗に言うオツユ描きで再現した。水性アクリルだからの利点
▲︎手前の農道に生えている植生は紙をグリーンに塗り、細く切って1本ずつ接着。水田の倒れた稲も同様。この田植えに10日ほどかかって、久々の腱鞘炎
▲水面は紙粘土で適度な凹凸を付け泥水色に着色。乾燥後、タミヤカラーのクリヤーを流し込んで再現。この面積で大体10本は使用した
▲M728戦闘工兵車は砲塔後部にウィンチ(10tほどの巻き上げ能力)を装備、Aフレームは約8tの吊り上げができるので、装輪車くらいの吊り上げが限界であろう
▲︎泥水の中で奮闘している黒人兵を冷ややかな目で見ている三人はBRAVO-6の傑作US戦車兵フィギュア。後の165mm M135破砕砲は掩蔽壕に威力を発揮した
▲戦車がこれ以上沈み込まないようにAフレームクレーンで吊り上げている。砲塔脇の動滑車を使ったほうが良かったかなと今頃になって気付いた
▲M728はサーチライト、前照灯を点灯させた。かっこいい!! 友人平山さん、高見さんのご協力で実現した。感謝!
▲激しい轍は多種の泥絵具にトミックスのシーナリープラスターなどを混ぜ、10倍ほど希釈した木工用ボンドを少量加えてできた土塊で再現。少なめの水加減がポイント
▲M728は水田にドーザーで土砂を埋め立て、M48に近づき救出作業中。軟弱地で戦車の半分が埋まってできた激しい轍、履帯に付いた泥と草に注目
▲M48A3のサーチライトはAFVクラブのキットから流用。カバーを付けてタミヤのM48に付いていたプレイボーイバニーのデカールを貼った。ベトナム戦争のイメージ、バッチリ!
▲戦車長キューポラにブローニングM2重機関銃を取り付けた状態に。ブローニングM2重機関銃はタミヤM18の最新の物と交換した
▲「このワイヤーの輪っかをシャックルに引っ掛けてこい」と戦車兵。「この泥水の中じゃ見えないよ」と黒人兵。「Do it!」「チッ、俺たちばっかり」
▲見えにくいがライトは透明プラ板に100円ショップで買った紫外線硬化樹脂を滴下して曲面に仕上げた。アンテナマウントはアドラーズネスト製。アンテナは伸ばしランナー
▲レジェンドのM151アクセサリーセットのシート、無線機、排気管カバー等を追加。タミヤのM60機関銃は照星とハンドル、グレードル、アモホルダーに手を加えた
▲砲塔後部のバスケットには弾箱、装備品やアイスボックスなどを満載。フェンダーに置いていた木箱が転げ落ちて浮かんでいる
▲M48A3、M728、M151A1の3両、BRAVO-6のベトナム兵(砲塔のひとりが写っていない)+2体のフィギュアがワンカットに収まるベストショット

 今回は久々にベトナム戦を製作。
 ちょっと前のお話ですが、AFVクラブの曾敏鴻社長が2021年2月に亡くなりました。静岡のホビーショーで社長に会うたび、笑顔で親指を立てて“GOOD JOB!”。いい人でした。王さんに次いで台湾の模型仲間が亡くなり、寂しくなりました。で、彼の創り出したAFVクラブの商品を使っての追悼作品を製作しました。

■M728とM48
 AFVクラブの製品群から選んだのが1967年にベトナム戦線に本格投入されたM728戦闘工兵車。よくぞこんなマイナーな車両を出してくれました。クレーン好きにはたまりません。M728はストレート組み。M60シリーズを工兵向けに改造した車両で、ドーザー、大型Aフレーム、ウィンチ、粘着榴弾を925mもぶっ放す頼もしい単砲身を備えていました。1990年の湾岸戦争に導入されましたが、主力戦車のM1エイブラムスに比べ能力不足と判断され順次、後継M1CMVと交代されました。
 タミヤM48A3は時間の都合で友人平山さんに製作依頼。発売から時間がたったキットなのでディテールが甘いサーチライトをAFVクラブM728から流用。さらに平山さんがLED点灯。前照灯は高見さんから提供していただいた米粒半分くらいのLEDを小さなスペースに収めました。戦車長キューポラは視野が狭く不評だったので機関銃は破棄し、キューポラの機銃防盾にマウントを溶接して新たにブローニングM2重機関銃を装備されていたのでこれを再現。機銃は最新キットから流用。砲塔後部のラックには当時の写真によく見られるボフォースの砲弾ケース(AFVクラブ製)を並べています。M48には使えない砲弾なのに、このケースは余程密閉性がいいのか? 好んで使われていました。

■三種類のOD
 ベトナム戦争当時、車両塗装に使用されていたOD(オリーブドラブ)は黒っぽい茶緑からタミヤのODまでさまざまな色が確認できる。3台を濃淡異るODをこだわって塗装したものの、最後の泥ヨゴシでほとんど差異が分からなくなってしまいました。ホコリまみれの砲塔に雨が当たり筋になった状態は、タミヤアクリルを水で薄め、細筆で何度も筋を塗り重ねています。
 泥水につかった黒人兵は1体をタミヤ6ポンド砲のフィギュア、もう一方がミニアートの半裸のドイツ軍戦車兵を使用。ホーネット製アフリカ系ヘッドセットと交換し黒人兵に。濡れた感じを出すために光沢を付けて塗装。黒人兵に汚い仕事を押しつけ、行軍では危険な先頭を歩かされ、黒人兵の死亡率が高かった。まだ人種差別が厳しかった頃のこと。他の戦車兵はすべてBRAVO-6製。ラフな服装、ポージングが秀悦でお気に入りのフィギュアです。
 タミヤM151A1、これも古いキットなのでレジェンドのレジンキットでディテールアップ。ストックからヘルメットや個人装備品などをセットしてニギヤカにしました。

■ベースについて
 ベースは100円ショップの紙粘土で。水面や農道の激しい轍を再現。砲撃でできた丸い穴は大体の形を紙粘土で造り、そこに泥絵具やシーナリープラスターや砂を混ぜた物に木工用ボンドを希釈した溶液を少し加え、ダマになった状態の土塊を転着していきました。爆風で倒れた周りの稲は着色したコピー紙をハサミで切って1本1本植えています。農道の草はクラフト紙に着色したものをカットして植えました。田植えが終わったらタミヤカラーのクリヤーを薄めず流し込みます。流し込みは時間をおいて3回くらい、継ぎ目ができないように1面ずつ行いました。途中、水に浸った兵士の周りに生じる波をAK Water GELで追加しました。
 曾社長のご冥福をお祈りします。次は新境地へ、乞うご期待!

AFVクラブ 1/35スケール プラスチックキット M728戦闘工兵車ほか使用

Mud 泥水

ディオラマ製作・文/嘉瀬 翔

M728戦闘工兵車
●発売元/AFVクラブ、発売元/GSIクレオス●9900円、発売中●1/35●プラキット

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嘉瀬翔(カセショウ)

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