ラッカー塗料で筆塗り仕上げ!!
模型用塗料としてもっとも定番であるラッカー塗料から、Mr.カラーとガイアカラーを使った筆塗りをご紹介します! ラッカー塗料は、筆塗りすると下塗りした塗料と上塗りした塗料がやんわりと溶け合って面白い表情が生まれます。意図した塗りによる塗面と、意図していない塗面の変化による塗面の情報量の融合はラッカー塗料筆塗りの醍醐味と言えるでしょう!
Point
1/成型色立ち上げで塗る!
2/ある程度組んだ状態で筆塗りし、全体の色味を見やすくする!
3/暗い色から塗り、徐々に明るい色をエッジ以外に乗せていく!
4/筆の形が残らない「筆ムラ」にして、筆ムラを情報量にする!!
大森記詩
東京藝術大学 彫刻家を卒業。月刊ホビージャパンではラッカー塗料の筆塗りで、キャラクターモデルからスケールモデルまでさまざまな作例を披露しています。
パレットは陶器皿を使用
▲陶器のお皿の硬さが、筆先の塗料の量を調整するのにとっても良くて使っているとのこと。溶剤にも強いので、ラッカー塗料筆塗りとの相性はバッチリ!!
スーパースムースクリアーは超便利!
▲光沢塗料や半光沢塗料に、「Mr.カラーGX スーパースムースクリアー」を数滴加えて、“ちょっとだけツヤが出るくらいのツヤ消し”に調整して塗っています。ガサガサにならないツヤ消し剤なので、とっても気に入っています
リターダーを少量加えます
▲Mr.リターダー マイルドを加えると、乾燥がゆっくりめになりますが塗料の伸びが良くなって筆運びが楽になります
スミ入れはしない! 先にグレーを塗る
▲MSファントムグレーを使って、先にディテールや奥まった場所に塗ります。これを塗り残して自然な陰影にします
MSファントムグレーを影の部分に置いていきます!
スジ彫り部分や、パーツの奥まった部分にMSファントムグレーを塗っていきます。先にスミ入れを済ませてしまう塗り方です。また今回はサーフェイサーを吹かずに、成型色の色味を下地色として活かして塗っていきます。
成型色に直接塗っていきます!
▲エントリーグレードガンダムのきれいな成型色を下地の色として活用していきます。まずは薄目に希釈したMSファントムグレーをスジ彫りや奥まった部分に塗っていきます
奥まった部分にしっかりとグレーを塗ります
▲奥まった部分は塗り漏れがないようにしっかりとMSファントムグレーを塗ります。成型色を残すところ、グレーで暗くするところをしっかりと分けるとメリハリある仕上がりになります
パーツの裏にグレーを塗ります!
▲ちらりと裏側が見えた時に「黒に近いグレー」が塗られていると、模型が一気に引き締まりますよ。ぜひ真似してみてください
スジ彫りと奥まった部分にグレーを塗り終えました!
▲MSファントムグレーを塗り終えました! このグレーを完全に隠蔽しないで、これからの色を重ねていきます
赤と青の下地色
お次は赤と青の塗装に移っていきます。まずは暗めの赤と暗めの青を下地色として塗っていきます。
ブラウンが赤の下地のポイント!
▲赤の下地は、ブラウン+クリアーレッドを混色したものを使用。クリアーレッドを使うことで、ブラウンに濁りなく赤味を足すことができます。下地色の成型色やMSファントムグレーが少し透けるくらいの濃度にして塗ります
下地色だから薄く塗り広げます
▲MSファントムグレーを完全に塗りつぶさないように気を付けて塗ります。またこの色は下地色なので、全体に薄く塗る感じでよいです
2色の青を混ぜて下地色を作ります
▲Mr.カラーから「フタロシアニンブルー」+「スージーブルー」を混色した青を塗ります。1:1くらいで混ぜてOK。Mr.カラーGX スーパースムースクリアーを2滴ほど加えました
塗るというより置いていく感じ
▲エッジにMSファントムグレーを残すようにして塗っていきます。筆をポンポンと置くようにして色を付けていきます
メインカラーとなる赤と青
赤と青の2週目の色が、この作例のメインカラーになります。それぞれより明るい色をセレクトします。
スーパーイタリアンレッド登場!!
▲鮮烈な赤色の「スーパーイタリアンレッド」を2週目の赤として塗っていきます
エッジには塗りません!
▲パーツのエッジのMSファントムグレーをしっかり残すためにエッジにはスーパーイタリアンレッドは塗りません。赤いパーツの中央部に塗料を置いていく感じで塗ります
青はスカイブルーを使用!
▲スカイブルーで胴体の青を塗るのですが、スカイブルーをそのまま塗ると色の階調の差が激しくなります。そこで暗い青を作った陶器皿にスカイブルーを移し、暗い青と混ぜながらペタペタと塗っていきます
面の中央部にスカイブルーを塗っていきます
▲赤を塗った時と同じように、グレーを塗りつぶさないように面の中央部分にスカイブルーを塗っていきます
黄色の塗装
黄色はオレンジイエローを下地にします。赤味のある黄色が下地色にぴったりです。
黄色の下地にオススメです
▲赤味のある黄色のオレンジイエローを下地に塗った後、明るい黄色を塗っていきます
黄色はじっくり慎重に
▲黄色の塗料は、他の塗料よりも発色しにくいです。一度塗ったらしっかり乾かしてもう一度塗るを心掛けて発色させていきます
名前からして鮮やかなイエロー!
▲明るい黄色はガイアカラーの「サンシャインイエロー」を使用します
面の中央部に塗っていきます
▲赤と青の塗装と同じように、黄色いパーツの中央部分にサンシャンインイエローをポンポンと置くように塗っていきます
白じゃなくても白に見えれば白なんです!!
白の塗装はとっても奥深いです。周りに赤とか青しかなければ、明るいグレーでも白に見えます。この現象を活かして、明るいグレーを2色塗り重ねて「白」を表現します。
ガイアカラーのニュートラルグレー
▲白を塗る下地としてとっても良いのが「ニュートラルグレー」。この色味が白いパーツの明暗を作るのにちょうど良いです
白いパーツに塗るとグレーに見えますね
▲白いパーツに塗っていくと、グレーに見えますが、これが白の影色になります
ほぼ白のグレー代表「311」はガンダムにぴったり!
▲ちょっとグレー寄りの白でオススメなのが「311番」。これを白いパーツの中央部に塗っていくことで、下地色のニュートラルグレーと絶妙にマッチしたグラデーションに仕上がります
筆ムラをコントロールするって何?
▲大森氏が筆のタッチで気を付けているのが「筆の形がそのまま残るムラを残さない」ということ。それはまさに筆のスタンプとなり、タッチの雰囲気ではなく完全なムラと認識されます。筆のお腹を使ったり、寝かせたり、叩いてみたり……一方方向だけに筆を動かすことをやめるだけで、雰囲気あるタッチが生まれます
模型の上下でツヤを変えています!!
▲グラデーションの他に、ツヤ消し剤でのツヤ調整をしています。模型の上下でツヤを変えていて、下に向かっていくほどにツヤ消しになるようにしています
白の筆ムラを抑えるポイント
▲完成した状態を見ると、青や赤に比べて白が平滑に塗られています。ガンダムの白はできるだけピュアにしたいということで、筆ムラを抑えています。白を塗る時は筆を寝かせて塗ると、比較的筆ムラを抑えることができます
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット“エントリーグレード”
RX-78-2 ガンダム
製作・文/大森記詩
Ⓒ創通・サンライズ