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1mを超える大型ディオラマが1年半の歳月をかけて完成!「傀儡(くぐつ)の帰還」

2022.09.06

傀儡の帰還【1/35】 月刊ホビージャパン2022年10月号(8月25日発売)

 ホビージャパンが誇るベテランAFVモデラーのひとり、青木周太郎氏による恒例の大型ディオラマが多くの友人の協力のもとついに完成! その全貌と作品を彩る車両やフィギュアを製作者である青木氏の解説とともにご覧いただこう。

▲ベースサイズは約62cm×120cm×59cm(縦×横×高さ)。完成時期は未定ですが本作はさらなる拡張も予定しています
▲左のドイツ3.5トントラックAHNはタミヤ/ICMのキットを使用(製作/角田英光)。右のsdkfz 234/2 プーマはタミヤ/イタレリのキットでアベールのパーツとレジン製タイヤでディテールアップを行っています。ちなみに建物の時計はミニアート製

▲AFVクラブのWC57/WC56を使用。組みかけていたキットを野口照雄氏に完成させていただきました。積み荷やカバーはレジェンド製です。氏の塗装は見事!!

▲アスカモデルのM4A3を使用しました。本当は別の車両を使用する予定でしたが、シチュエーションに合わず、急遽月刊ホビージャパンで10年前に製作した作例を引っ張り出してリメイクしたものです。積み荷や本体のサンドバッグはレジェンド製。フィギュアはバーリンデン製を改造して使用しました

▲ミニアートのUSブルドーザーは手持ちのキットが民間用だったので、デカールでそれらしく脚色。ドーザーブレードの駆動用ワイヤーは0.2mmのハンダ線を3、4本束ねたものです

▲タミヤのM3A2パーソナルキャリヤーをベースに足周りをドラゴン製キットから流用。積み荷はレジェンド、ブラックドッグ等のパーツでそれらしく
▲こちらは後方の別車両。乗員のアメリカ兵はタミヤのM3ハーフトラックのフィギュアより改造。狭い荷台にフィットさせるのが大変でした

▲フェノーメングラニット1500 コンバットカーは以前月刊ホビージャパンで製作したSMA社のレジンキットをリメイクしたものです。なんと25年前の作品です!

▲M31 Recovery VehicleはタミヤのM3リー戦車にキャリバー35のレジンキットを組み込んで製作しました。キットを譲ってくれた友人の渡辺裕章氏に感謝!!
▲砲塔の部分はルーラルモデルのレジンキットを使用しています。ワイヤーは0.2mmのハンダ線を束ねたものです
▲M36 ジャクソンはタミヤのM10より改造です。砲塔はAFVクラブのものを流用し、エンジンはバーリンデンのレジンキットを使用しました
▲小物はミニアートのプラキットやバーリンデンのレジンキットから。建物の瓦礫はモーリンの「瓦礫ミックス」。生産休止中でしたが特別に手配していただきました。感謝!!
▲建物の壁はタミヤのプラボード(0.2mm)を5mmの角材ではさんでモナカ状にすることで厚みを出しました。窓はアスナロモデルの村山靖氏の全面協力で窓枠、手すりをレーザーカッターで大量に用意していただいたものを使用しています

青木周太郎渾身の大型ディオラマ完成!!

 一年半にわたり製作していた、大きなディオラマがどうにか完成して、日の目を見ることができました。もとはと言えば、友人黒龍雄治氏と数回お会いしたころのある大塚康生先生宅に訪問させていただくことが前提で製作していたディオラマなのです。比較的ドイツ車両のディオラマが多い筆者ですが、大塚先生はあまりドイツ車両に興味が無いことを聞き及んでいたので、当初考えていたソフトスキン中心のヴィネットサイズのディオラマを再構築して製作することにしました。
 ただ、このディオラマ、後程さらに拡張する構想があり、半年か一年後か体力次第ですが、大塚先生ゆかりの友人、数人で完成させるつもりですので、温かい目で見守っていただけますと幸いです。ディオラマは1945年、ドイツ、オーストリア国境付近での一場面をかなり妄想を膨らませて製作しています。どうですか? それらしく見えますかネー?

■製作
 今回一番はじめにとりかかった作業は捕虜とその関係に至る車両でした。
 捕虜をテーマにしたディオラマは過去に何回も製作していましたが、二年前に他界した友人の浮田直人氏が製作した、捕虜を中心としたディオラマをどうにかリメイクして再現してみたくてその作業から始めました。この作品は大塚先生だけでなく、浮田氏へのレクイエムの作品でもあるのです。
 それでは各車両について解説していきます。AHNトラックは、タミヤ/ICM製で友人の角田英光氏に製作していただき、sdkfz234/2はタミヤ/イタレリ製です。
 フェノーメンブラニット1500はSMAのレジンキット。20年前の月刊ホビージャパンで製作したキットですが、リメイクして使用しました。目玉はMSモデルによるデジタル造型の機銃架で銃を取り外した状態と装着した状態とが2種類あり、8tハーフトラック、キューベルワーゲン等にも良いアクセントになります。この作業に伴い、バーリンデン、カスタムディオラミクス、タミヤ、アズムットADV、ドラゴン、ミニアートのものをかたっぱしから複製、かたっぱしから改造、それらしく製作してあります。
 いつも大きなディオラマを作るときは、とにかく面倒で苦痛な作業から始めるようにしています。
 次は主役の車両となる米軍の車両を製作しました。大塚先生が好きだったソフトスキン。このディオラマには肝心な車両があまり登場できませんでしたが、後程追加するディオラマにはいろいろ登場させることができると思います(有名な友人ライターが製作中です)。WC57/W56はAFVクラブ製。こちらは友人の野口照雄氏に製作していただいたものです。また、GMSの給水車はイタレリ製キットを使用しました。 
 M3A2ハーフトラック2両、また、次回作用にM21モーターキャリアーを3両用意しました。いずれもタミヤ製ですが、足周りはドラゴンより移植して製作しました。損壊した建物に臨時の道路を再現し、この後追加するディオラマとストーリー上の橋渡しをする存在として、ミニアートのU.S.ブルドーザーを製作しました。細かいパーツには少々閉口しましたが、良いアクセントになりました。
 大きなディオラマになると、さすがにソフトスキンだけでは間が持たなくなってしまうので、やむなく戦車をストーリーに入れることにしました。当初M4シャーマン“ジャンボ”を製作しましたが、終活のつもりで手持ちのバーリンデンのキットを製作して2両用意したにもかかわらず、ディオラマに仮配置したところ何かしっくりきませんでした。75mmの短砲身で製作してしまい、そのためなのか色味のせいなのか…? そんなわけで今回はボツ!! その代わりに以前製作していたアスカ製のM4A3を引っ張り出して置いてみたところ、力強さが強調され案外しっくりきたので、塗装をし直して使用しました。さらにここでも次のディオラマの橋渡し的車両として、目を惹く少し珍しい車両であるM31 Revovery Vehicleを製作しました。これはタミヤのキットをベースに改造したものです。

■ディオラマの製作
 おおまかな車両が完成したことで、次はいよいよディオラマです。今回は町並みの再現が重要になります。友人の野口照雄氏のアイデアで、ベースの周囲を囲むような建物群に仕上げて、わざと閉塞感を演出することにしました。完成に至っては、筆者は満足でしたが、カメラマンさんは苦労されたかもしれません。
 ベースはまず、横幅から算出していきます。なぜなら大きすぎると自宅のドアから搬出できなくなってしまうからです。
 以前何も考慮しないで製作したところ、窓から搬出するはめになってしまい、奥方に大目玉を喰らったことからの反省点です(笑)。でも今回もやらかしてしまいました。車に載せる際に建物の天井がオープンハッチに引っかかって、やっと斜めに傾けてどうにか引き入れました。結果カミさんブチ切れです。その後の私はただ寡黙に運転して搬送しました。だいたいいつものトラブルです。
 続いては建物の製作です。主にタミヤプラボードの2mmと3mmを使用。窓はいつも通り、アスナロモデルの村山靖氏の全面協力で窓類、建物のベランダの手すり、ドアノブ等、いろいろレーザーカッターで製作していただきました。これらが無かったらこのディオラマは完成に至らないくらいです。本当に感謝です!!
 レンガの建物はいつものようにカスタムディオラミクスのレジン製シートをシリコーンゴムで型どりして、レジンを流し込んで量産します。ポイントはいかにレジンを薄く削れるかで、少し厚めにすると、貼り付けたプラボードごと簡単に変形してしまいます。そのため、建物には1cm×1cmの角材をしっかり固定して補強しています。
 石畳はバーリンデンのレジンシートをレンガ壁同様に複製してプラボードに貼り付けて使用しています。
 歩道もやはりプラボードで製作。1cm×1cmに切り出し、比較的目につきやすい箇所には段差になるように貼り付けて劣化した状態を再現しています。歩道の外枠は5mmのプラ角材で、すべてリューターで削り劣化を再現。瓦礫はモーリンから発売されていた、瓦礫ミックスを使用しました。今は生産休止中ですが、特別に提供していただき、本当に助かりました。
 そんなわけで、多くの方々の協力を得て1年半の月日がかかってしまいましたが、どうにか完成することができました。
 感謝感謝!!

タミヤ 1/35スケール プラスチックキットほか使用

「傀儡の帰還」

ディオラマ製作・文/青木周太郎

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青木周太郎(アオキシュウタロウ)

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