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難しい白のグラデ塗装をマイスター関田が伝授!MODEROID「天のゼオライマー」を重厚塗装

2022.09.02

天のゼオライマー【グッドスマイルカンパニー】 月刊ホビージャパン2022年10月号(8月25日発売)

マイスター関田流の重厚塗装で“最強の八卦ロボ”を攻略!

 月刊ホビージャパン10月号巻頭特集にてマイスター関田氏が披露した、下地を生かした白塗装術。実際にその手順を踏まえて完成した「天のゼオライマー」の作例をご覧いただこう。1988年から展開されたOVA『冥王計画ゼオライマー』の主役機であり、次々と襲い来る八卦ロボを圧倒的な力で完封してみせた作中最強のロボット・天のゼオライマー。製品は既発売のグレートゼオライマーと同様に彩色済みパーツ+成型色の色分け+シールで劇中同様のカラーリングを再現できるのだが、作例は暗い色を下地に吹いておく“黒立ち上げ”からの白塗装で重厚な白を表現。加えて肉抜き処理や胸部の電飾工作などのプラスアルファを行うことで、作例の完成度を高めている。

●カラーレシピ
特記のない項目はGSIクレオス Mr.カラーを使用
白下地=GXクールホワイト+GXウイノーブラック+色ノ源シアン+色ノ源マゼンタ
白2層目=白下地+GXクールホワイト
白3層目=GXクールホワイトでハイライトグラデーション
白4層目=GXスーパークリアーI光沢+GXスーパースムースクリアーつや消し+GXクールホワイト極少量+雲母堂本舗LGパールミルキーホワイト
赤下地=ブラウン+GXウイノーブラック
赤2層目=GXクールホワイト+オレンジでハイライトグラデーション
赤3層目=GXクリアールージュ+色ノ源マゼンタ
黒下地=GXウイノーブラック+GXクールホワイト、色ノ源マゼンタ、色ノ源シアン 各極少量
黒2層目=GXクールホワイト+GXウイノーブラック+色ノ源シアン+色ノ源マゼンタ
オレンジ下地=GXクールホワイト
オレンジ2層目=ガイアカラー 蛍光オレンジ+クリアーオレンジ
オレンジ3層目=GXクールホワイトでハイライトグラデーション
オレンジ4層目=ガイアカラー クリアーイエロー+ガイアカラー 蛍光オレンジ極少量

▲キットはヒジ関節の引き出し機構やロール機構などが非常に優秀で、両拳を頭上で激突させるパターン、拳と胸の光球を一列に並べるパターン(写真)、そのどちらの「メイオウ攻撃」も再現することができる

▲作例は胴体内部にLEDモジュールφ3mm砲弾タイプ【白】とCR1220ボタン電池を搭載することで、胸部を発光可能に。胸部パーツの内側のダボや軸受けを削り落とせば、LED回路と電池ボックスをそっくり収納できる

▲金型の抜き方向の都合か、胸部パーツ側面のT字状の凹みに沿ったモールドが途中で消えているため、彫刻刀やスジ彫りカーバイトで本来そうであっただろう形状に彫り直した

▲機体各部の発光部は4層にわたるオレンジの塗り重ね+暗い色から立ち上げて、中央部に明るい色を乗せていくグラデーション塗装によりぼんやり光っているように塗装

■白いパーツのグラデーション塗装

▲①まず下地となる暗めのグレーを塗装。重厚感演出のためなるべく暗めに調色するが、いわゆる製品名のままのブラック(黒)は、仕上がりが不自然になるため避ける。②暗いグレーに直接白のハイライトを入れてグラデーションを構築してもいいが、コントラストが強過ぎる上に吹く回数も増えるため、ここでは中間層として若干白を足して明るくしたグレーを吹く。③明るい白でハイライトグラデーションをかける。今回はエッジの利いたパーツが多いためごく一部を除きコントラストは抑えめにしている。④仕上げに少量のホワイトとLGパールミルキーホワイトを混ぜた半光沢クリアーを重ね、全体の雰囲気を落ち着ける。パールを混ぜたのは面毎の反射に変化を加えて、グラデーションとは別の意味で立体感を強調するため

▲足首関節のPOMパーツは大きな肉抜き穴があるため、プラ板で塞ぐ形で埋めた。股関節の肉抜きも同様にプラ板で側面と底面を囲い、肉抜き穴を塞ぐと同時に塗装できるようにしている
▲ハンド側面は抜き方向の関係で平面になっているため、彫り込んでギュッと握り込んだ指を再現

 ドーモ、マイスター関田でございます。今回は野心的なラインナップで話題のMODEROIDシリーズから天のゼオライマーを製作しました。
 キットはパーツ分割による色分けおよび、ランナー状態での部分塗装などの塗装しなくても設定通りの配色になるような設計がされており、組み立てるだけでも「これぞゼオライマー!」という立体を手にすることができます。また劇中のアップ時にのみ見られるディテールが各部に再現されており、精密感が高められている点も注目です。作例では幅広なプロポーションはそのままに、胸部の電飾と一部造形の見直し、そして塗装による重厚感の演出を課題として製作しました。
 光源は、胸部パーツに穴をあけてGSIクレオスのLEDモジュールφ3mm砲弾タイプ【白】を使用。電源は、胸部パーツの内側のダボや軸受けを削り落とすことでCR1220用の電池ボックスがピッタリ収まるサイズだったのでそのまま収納しています。白色LEDを選択したのは白色に含まれる低波長の光で黄色いパーツに吹き付けた蛍光塗料を励起させ、全体を「ボゥッ」と光らせるようにするためです。
 造形面での修正は肉抜き穴を埋めたり、金型の抜き方向の関係で不自然になっている部分の彫り直しがメインになります。ここで問題になるのは、股関節部のようにPOM(ポリアセタール樹脂)で成型されたパーツ。POMは接着、パテ盛り、塗装ができないため、組み立てや可動の妨げにならない厚みのプラ板で囲い、肉抜き穴を隠しつつ塗装ができるようにしています。
 塗装に関してはいつも通りのグラデーション塗装。暗い色を下地にすることで重厚感を出しつつエッジに暗い色を残すことで立体感を強調していく方向性でまとめています。また、各部の黒い部分はそのままの「ブラック」塗料を吹き付けると違和感のもとになってしまうので、ごく少量の白とシアン・マゼンタを足すことで全体の調和を取るようにしています。逆に「ブラック」をそのまま塗ることで違和感を強調しアクセントにすることもできますが、今回は調和を優先しています。
 完成後はコンパクトながら放射状に広がるデザインから迫力と存在感があります。他の八卦ロボのキット化も期待してしまいますね。

グッドスマイルカンパニー ノンスケール プラスチックキット “MODEROID”

天のゼオライマー

製作・文/マイスター関田

MODEROID 天のゼオライマー
●発売元/グッドスマイルカンパニー●5900円、発売中●約15cm●プラキット

ⓒちみもりを・AICライツ・東映エージエンシー

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マイスター関田

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