HOME記事スケールモデル愛らしい三輪自動車「テンポA400」を自由な発想でディオラマに! 【ミニアート 1/35スケール】

愛らしい三輪自動車「テンポA400」を自由な発想でディオラマに! 【ミニアート 1/35スケール】

2022.08.24

Tenpo A400 リーファーワーゲン ドイツ 配達用三輪バン【ミニアート 1/35】 月刊ホビージャパン2022年9月号(7月25日発売)

ヒマワリとともに去りぬ郷愁の三輪トラック

 第二次大戦直前、ドイツ国内の自動車とオートバイの生産標準化を進める「シェル計画」に基づきテンポ社が1938年に発売した三輪自動車E400は、使いやすい小型商用車としてヒットし、戦後も広く使われた。A400は屋根付きの荷台の後方にドアの付いたライトバンタイプのモデルで、日本の戦後復興期、1950年代にさかんに使われていた“オート三輪”を思わせる懐かしいデザインだ。戦闘車両のみならずトラクターやトラックなどのソフトスキン車両を多く手がけるミニアートから、1/35スケールでこの愛らしい小型車をモデル化。ディオラマ・モデリングで自由な発想を生かしたい!

▲ディオラマの壁や門などはミニアート「ジオラマベース51(公園の壁)」を利用。庭の草花は紙創り「ヒマワリ」やドライフラワーなどの素材を駆使している
▲家の門前に車両を停車し牛乳などを配達するディオラマとして製作。ミニアートからは「ミルクボトル&木枠箱」などのアクセサリーキットも豊富に発売中
▲ユーモラスな表情を見せるフロント部。天井とフロントウィンドウ上部の合わせ目は、そのままでは合わせ目が目立つのでパテなどを使いていねいに仕上げたい
▲キットには大戦中の鉄道、警察、郵便局、赤十字などのマーキングが用意されているが、作例では戦後の民間配達車をイメージし、スカイブルーで塗装した
▲姉弟は「ソビエトの村人」から服装やポーズをあれこれ改造。姉の顔はエポパテで作り直している
▲配達のおじさんは「ドイツ民間人フィギュア 5体入(1930-40年代)」より。牛乳瓶などもミニアートのキット
▲猫はエポパテ製。ヒゲは使用済みの筆の毛で再現。ポーズや柄の塗装などは近所の野良猫を参考にした
▲車体はこのレベルまで組み立ててから塗装すると効率がいい。荷台の床板は組み立て前に塗装している
▲天井部を組み立てた後に外部を塗装。エンジン部は精密に再現されており、塗り分けだけでも雰囲気が出る
▲フィギュアはタミヤエポキシパテ(速硬化タイプ)で改造。腕や手の表現がキモになるので難しいが頑張った

■楽しい1/35オート三輪キット!
 ミニアートはミリタリーモデルがメインのメーカーですが、乗用車やトラックなどの民間車両もこれまでいくつもリリースしています。今回紹介するのは、先日発売された「テンポA400」。三輪のバンという愛らしい車です。日本のオート三輪を知っている私たちにとっては、とても親近感のわく「働く車」ですね。
 同社のキット全般について「パーツが多くて組み立ても大変」という印象を持つ方も多いと思います。しかし、このキットは車体が小さいのでパーツ数は当然少なく(ランナーは8枚。たとえばフルインテリアのM3リー中戦車は61枚!)サクサクと組み上がり、ミニアートキットの入門編としてぴったりです。少し複雑なのは精密に再現されたエンジンを含む前輪部のみ、ここも組み立ては特に難しいというわけではありません。また、エッチングパーツもフロントグリルのメッシュやナンバープレートなど必要最小限となっています。このキットは特徴的な車体をきちんと再現し、ディテールはいつものミニアートらしい精密さ。作っているとほんと楽しくなってくる好キットです。

■組み立て
 1/35ですがアイテムとしてはカーモデルなので、組み立てや塗装の段取りもそれに準じて進めたほうがいいようです。内部をある程度組み立て・塗装してから外部を組み立てていく、という工程です。事前に「これはここまで組んで塗装したほうが楽かな?」とシミュレーションしておくと、とても効率がよくなると思います。
 私の場合は、まずキャビン内部は各工程①~⑤までそれぞれ組み立て、ユニット状態で塗装。車体側部(工程⑩~⑪)と天井(パーツA1)は内側のみを塗装します。キャビン、荷台ともども内側を汚し塗装まで済ませてから天井パーツを接着。全体が組み上がってから外部を塗装、という感じです。ドアは内外を一度で塗装し最後に車体に接着しています。
 ワイパーやサイドミラー、ライトは作業中に壊しやすいので最後の仕上げ段階で取り付けたほうがいいと思います。ブレーキワイヤーは、釣り用の糸鉛(0.4mm径)を使用しました。糸鉛は柔軟で使いやすいのでお薦めです。

■塗装
 キットには大戦中のドイツの公的機関(鉄道、警察、郵便局、赤十字など)の車両5種が紹介され、それぞれのデカールが付属しています。しかし、今回は私の勝手なアレンジで民間仕様にして、ディオラマにしてみました。戦後、牛乳などの飲み物を販売しているお店の配達車というイメージ。車体色はMr.カラーのスカイブルーをベースに、油彩で色調に変化を付け、ピグメントなどでウェザリングを施しました。
 ディオラマのベースは、ミニアートの「ジオラマベース51(公園の壁)」を使用。公園の門ではなく住宅の門ということにして、そこにテンポで配達に来たおじさんを住民の姉弟が迎えている、というシチュエーション。同社のこのシリーズはとても簡単にディオラマが製作できるのでお薦めです。
 フィギュアや小物も同社のキットから。フィギュアは「ソビエトの村人」と「ドイツ民間人フィギュア 5体入(1930-40年代)」をベースに、ポーズや服などをあれこれいじってます。牛乳瓶などは「ミルクボトル&木枠箱」と「ウオッカボトルセット 木箱付」を使用。ヒマワリは紙創り「ヒマワリ」から。猫はエポパテから自作しました。

■完成して
 完成したディオラマを眺めていると「こういう可愛らしい車両は、平和な風景がやっぱり似合うなあ」としみじみ。今回のように、いろいろなシチュエーションに対応できる汎用性の高いキットだと思います。民間仕様だけでなく、もちろん軍用にしてAFVと絡めるのもアリでしょう。トラック型のキット「Tempo E400 荷台付き三輪トラック」もリリースされています。「この車いいなあ!」と思った方はぜひ「おいらのテンポ」に挑戦してみてください。

ミニアート 1/35スケール プラスチックキット

Tempo A400 リーファーワーゲン ドイツ 配達用三輪バン

製作・文/松本森男

Tempo A400 リーファーワーゲン ドイツ 配達用三輪バン
●発売元/ミニアート、販売元/GSIクレオス●5830円、発売中●1/35、約11.2cm●プラスチックキット

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松本森男(マツモトモリオ)

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