HOME記事スケールモデル1/12のビッグスケールで「ルノー RE-20 ターボ」南アフリカGP優勝車を忠実に再現! 高速タイプのリアウィングはスクラッチで製作

1/12のビッグスケールで「ルノー RE-20 ターボ」南アフリカGP優勝車を忠実に再現! 高速タイプのリアウィングはスクラッチで製作

2022.08.20

ルノーRE-20ターボ【タミヤ 1/12】 月刊ホビージャパン2022年9月号(7月25日発売)

 多くの名作キットを擁するタミヤの1/12ビッグスケールシリーズから、1980年シーズンに3勝を挙げ、ターボ時代を切り拓いた先駆的マシン、ルノー RE-20ターボがエッチングパーツとリニューアルされたカルトグラフ製デカールとともに復活。1/12スケールならではの緻密さで再現された80年代F1のマスターピースといえるそのフォルムを、この機会にじっくり楽しんでみてはいかがだろうか。今回はそんなRE-20を、月刊ホビージャパンでも多くのビッグスケールモデルを手掛けてきた畠中浩が製作。高速タイプのリアウイングを自作し、シーズン2勝目を手にした南アフリカGP仕様を再現した。

▲実車の構造を見事に再現したパーツ構成も見どころのビッグスケールシリーズだが、いかんせん初販は80年代。製作の際は充分な仮組みをお忘れなく
▲キットは初優勝を飾ったブラジルGP仕様が再現されているが、今回はリアウィングの形状とマーキングの一部を変更し、南アフリカGP仕様として製作
▲︎一体式のフロントウイングはノーズ底部を接着固定したいためウイングを左右で切り離し、プラパイプを中に仕込んで左右から差し込む構造に変更
▲全体を組んで隙間の調整をしているところ。ノーズは実車に合わせて下側をサスアーム基部にビス固定出来るようにしている

▲パーツのパーティングライン上にあるナットやボルトのモールドは地道に処理するのも良いが、市販のディテールパーツを接着してしまうほうがお手軽でシャープに仕上げられる

▲︎南アフリカGPで装着した高速リアウイングはキットのパーツをベースにプラ板で製作。翼端板は厚みが目立つため上部を削り込んだ。端面は油性マジックを塗って厚みが分かるようにし、硬いブロックに小さな両面テープで固定して削っている

▲︎不透明で用意されているテールライトはシリコーンとUVレジンで複製。塗装はシルバー→クリアーレッドの順で吹き付ける

▲︎各部の金属の質感等の違いにも注意して仕上げられたエンジン周りとコクピット

▲︎製作中にも関わらず、すでにこの見ごたえ。完成後に見えなくなってしまう部分まで再現されているビッグスケールモデルならではの眺めといえるだろう

■カウルの製作から
 まずはモノコックとアンダーパネルを含むカウル全体の仮組みから始めます。精度維持のため、ビス止めの部分はマスキングテープなどではなくきちんとビスで固定します。さすがに40年以上前のキットですから金型のズレや合いのよくない場所が多いのでそれぞれチェック、修正を加えます。特にフロントノーズの継ぎ目周辺はズレが大きいので削るだけではなくプラ板を足したりして時間をかけた修正が必要です。ちなみに作例ではキット付属のビスの他に、カウル固定用など頭が大きいと判断したビスは90年代1/12F1に付属している小さなビスに変更しています。また、今回は個人的な好みで第3戦の南アフリカGPの高速仕様リアウイングにするためキットパーツを元にプラ板やエポパテを使って作り変えています。

■モノコック
 細かいリベットが再現されているモノコックですが、角のパーティングラインや平面のヒケの処理の都合と、そのリベットももう一回り大きいほうが好みだったためすべて打ち直しました。方法は、まずパーツ全体にサフを塗装してから小さな彫刻刀などでリベットのモールドを削り取ります。そうすると削り取った場所が分かりやすくなるので針状の工具で中心を決めて0.5mmのピンバイスで開口しました。その後0.5mmのプラ棒を差し込み接着し、頭の高さを揃えてから最後にスポンジヤスリで軽く撫でて頭を丸くすれば完成です。合計600本前後だったかと思いますが数日に分けてゆっくり進めると気が滅入るのを防げます(笑)。コクピット左右とモノコック後方の側面ですが、実車は補強のためにカーボンのプレートがリベット止めされています。恐らく平織りのカーボンクロスだと思いますが資料が少なく確実なところが分からなかったので、黒塗装直後にメッシュを押し当てて薄っすら網目模様を浮き上がらせる方法で仕上げてあります。モノコック最後部の隔壁は強度確保と仕上がりを考えて事前にアッパーモノコックへ事前にガッチリ接着してから製作を進めました。塗装時の注意点ですが、サイドを塗装する指示のところでアッパーモノコック側面には指示がされていません。2mm程度の厚み部分ですがここも塗装をしなければいけませんのでお気を付けを。

■エンジン周り
 見えなくなる部分もしっかり再現されているのがこの頃のタミヤ製大スケールプラモ。心臓だからね(笑)。それはさておき、ここも古いキットのため抜き勾配やパーティングライン、バリなど気になるところはすべて処理します。これに続くギアボックスや足周りの精度にも関わるので慎重に仕上げ、組み立て時も真後ろから水平垂直を確認しながら組み立てましょう。

■塗装
 カウル類はすべてサーフェイサーで下地を整えてからホワイト、イエローの順で塗装。イエローは派手になりすぎないようタミヤのラッカーイエローにレッドとブラックを少量混ぜて微妙に濁らせています。その後マスキングをしますが、微妙なはみ出しを削り取る際、塗装を痛めないようにいったん薄くラッカークリアーを塗装しておきます。そうすれば削り取るマージンが取れますからね。デカールは安定のカルトグラフ製。厚みなど、なんとなくいつもと違う雰囲気がしたのですがとにかく貼りやすいです。ただし、今回は第3戦の南アGP仕様ですのでノーズ先端のミシュランとサイドのFERODO、リアウイングのミシュランロゴをそれぞれ自作して追加、サイドのロゴも位置を変更しています。その後、いつも通りウレタンクリアーでコート、研ぎ出して仕上げです。モノコックやウイングなど、この頃のF1はむき出しのアルミ地が魅力ですがメッキパーツだとパーティングラインの処理が出来ない問題があります。アルミテープを貼ったりメッキ塗料を使うなどいろいろと表現方法はあるのですが、今回は塗装で仕上げるお手軽な方法にしました。場所によって塗料を変えましたが、モノコックと前後ウイングはタミヤのラッカー、スパークリングシルバーを使っています。キラキラ感がちょっと目立ちますが、これはこれでアリかなと。

■最後に
 1/12スケールキットともなるとパーツ数も多くお世辞にも気軽に作ってみて!とは言えないですが、こういうキットは時間をかけてじっくり組み立てると楽しいんですよ。完成度も大切ですが積むより作るのが本来のプラモの姿ですから皆さんもぜひ少しの時間を作りながら楽しんでくださいね!

タミヤ 1/12スケール プラスチックキット

ルノー RE-20 ターボ 1980年 南アフリカGP優勝車

製作・文/畠中浩(ももふく模形舎)

1/12 ルノー RE-20ターボ(エッチングパーツ付き)
●発売元/タミヤ●14080円、発売中●1/12、約38.9cm●プラキット

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畠中浩(ハタナカヒロシ)

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