HOME記事ガンダムパテ盛り!複製!バキュームフォーム!昔ながらの力技スクラッチで1/100ドム・トローペンをバチバチに製作!(MS-09F TROP ドム・トローペン 工作編)【アクシズてんちょう】

パテ盛り!複製!バキュームフォーム!昔ながらの力技スクラッチで1/100ドム・トローペンをバチバチに製作!(MS-09F TROP ドム・トローペン 工作編)【アクシズてんちょう】

2022.08.23

8.昔ながらのストロングスタイルで作るハードスクラッチモデル/MS-09F/TROP ドム・トローペン【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2022年9月号(7月25日発売)

パテ盛り!複製!バキュームフォーム!昔ながらの力技スクラッチで1/100ドム・トローペンをバチバチに製作!(MS-09F TROP ドム・トローペン 工作編)【アクシズてんちょう】

工作解説/アクシズてんちょう

 キットにないものを作る製作法といえば、ガンダム5号機の2個イチのような「ミキシング」と「スクラッチ」が挙げられます。ミキシングは組み合わせにある程度適したパーツがあることが前提となりますが、そういったパーツがなければスクラッチで製作を行います。近年はデジタルデータと3Dプリンターによる造形を行うモデラーも増えてきていますが、まだエポパテやプラ板を使用した昔ながらの手法のほうが主流のように感じます。特集のラストを飾る作例として、リニューアルされた名作キットMG「MS-09 ドム」をベースに「MS-09F/TROP ドム・トローペン」を製作します。担当は月刊ホビージャパンでも屈指のハードスクラッチモデラー、アクシズてんちょう。エポパテ造形、複製、バキュームフォームなど、定番手法によるストロングスタイルなドム・トローペンをご堪能ください。

▲RE/100ヤクト・ドーガ(ギュネイ・ガス機)とMGギラ・ドーガのミキシングで製作したギラ・ドーガ(サイコミュ試験型)。設定も意識した構造にしています

●プロモデラーQ&A

 今回の作例製作に欠かせないツールorマテリアルを1点教えてください。
 18年くらい前に大阪で買った「トースカン」です。スクラッチしたパーツの左右対称のチェック用、もしくは基準用に使っています。たまにスジ彫りのガイド用にも使うこともあります。似たものがウェーブの直営通販店で買えますよ。

 作例製作時に意識していることは?
 塗装するときのことをやんわりと意識しつつ作っています。例えば別パーツにするより、筆塗りやマスキング塗装を選ぶ場合があります。そのほうがパーツ強度が格段にアップします。複製パーツが必要な場合は、複製しやすいように作っています。僕の場合、複製してもそのまま使えるようなパーツで複製できていない場合が多いので、複製しやすいというか修正しやすいように原型パーツを作ります。パテやキットパーツなど、複合パーツの上からのスジ彫りは苦労するので、複製後に修正程度でスジ彫りするほうが楽なのもあり、このあたりも意識しています。また、場所にもよりますが、複製するより作り起こしたほうが早い場合は、欲しいぶんだけプラ板などで作ることもあります。
 ついついやってしまうこだわりポイントを教えてください。
 作る前や作っている最中に登場作品のDVDや資料はチェックしています。作品のイメージを強く出せるようになります。一瞬しか登場しない機体を作ることもあります。何でだろ〜なと思ったところは調べたり聞いたり、あとは思い入れが一気にアップします。こんなことを毎回やっています。

❶頭部の製作

▲頭部はキットをベースにエポパテを盛って整形します。額のセンサーは彫刻刀で彫り込んで再現しました

▲モノアイレールカバーは側面でカットして上下方向に短縮。上部は楔状にプラ板をはさんでひさし部分の角度を変更しています。モノアイはウェーブ「H・アイズ」に変更しました

❷胸部の製作

▲胸部はキットの装甲パーツをエポパテで裏打ちした後に削り込んで、最終外装用の土台とします

▲土台の上にさらにエポパテで最終外装を作り、シャープペンで下書きをしてから細かなモールドを削り込んで再現していきます

▲腹部はエポパテで裏打ちしてから削り込み形状を修正します。ドムは上から下に広くなりますが、トローペンは上が広い形状になっています。立体的なコクピットハッチはエポパテで再現します

▲形状が完成した胴体。各パーツは塗装を考えて別パーツ化しつつ、外せるようにしています。最終組み上げ時に瞬間接着剤で固定します

❸ランドセルの製作

▲ランドセルはエポパテで製作。左右のスラスターユニットはエポパテで作った原型をレジンで複製して左右をそろえています。ノズルは過去に製作したものを微調整して再利用しました

▲ヒート・サーベルホルダー、ヒート・サーベルの鍔、柄尻はプラ材から製作して形状を再現しています。グリップと刃はキットのものを使用しました

❹腕部の製作

▲肩アーマーはキットパーツにエポパテを盛って整形します。100〜180番のヤスリで粗く形状を出していきます

▲別パーツ化したい部分はパテを盛る面にメンソレータムを塗っておきます

▲前面のモールドは事前に取り付け用のダボ穴を彫り込んでおきます

▲腕部はキットパーツをベースにエポパテを盛って整形し、形状を再現。ヒジ関節の丸モールドはキットの取り付け部を基部としてエポパテとプラ材で製作しています。形状完成後に複製して左右をそろえました

❺腰部の製作

▲腰部正面パーツはいったん方眼紙に下書きし、板状にしたエポパテに貼り付けて切り出します
▲リアスカートはキットパーツをベースにエポパテを盛って整形。重量があるので接続は3mmの真鍮線に変更しています
▲ウェポンラックはプラ材で製作。磁石で接続しています

❻脚部の製作

▲太モモはキットパーツをベースにエポパテを盛って整形。丸型のドムに対してトローペンは角型なので、削りながら除々に形状を出していきます

▲スネもキットパーツをベースにエパポテを盛って整形。本体部分を作ってから、それに合わせてヒザやふくらはぎ形状を出していきます

❼左右対称パーツを複製する

▲スネパーツを使用してシリコーンゴムによるレジン複製の流れを解説していきます
▲型取りブロックに土台となる粘土を敷き、複製するパーツを半分ほど埋めます。その際にレジンを流すための通路も確保しておきます
▲シリコーン型のずれを防止するダボを付けておきます。粘土の表面に離型剤を塗布しておくと、粘土がシリコーンゴムから剥がれやすくなります
▲型取りブロックにシリコーンを流していきます。シリコーンゴムの使用には商品に記載されている取り扱い説明書をよく確認してください
▲シリコーンゴムは12時間ほで硬化します。型枠ごと裏返して粘土を取り除きます
▲表面に残った粘土や油分を洗い流します
▲シリコーンゴムに離型剤を塗布して、さきほどと同様にシリコーンゴムを流していきます
▲シリコーンゴムが硬化したら型取りブロックをは外して、シリコーンゴムを分割します。パーツを外し、レジンを流す通路を調整したらシリコーン型の完成です
▲型が完成したらレジンを流していきます。こちらも細かな使用方法は商品に記載されている取り扱い説明書をよく確認してください
▲中央の注ぎ口からレジンを流していきます。左右に開けた穴は空気抜きです。空気抜きを作ることで気泡や欠けを少なくすることができます
▲1〜2分ほどで硬化が始まり、10〜20分ほどで固まります
▲シリコーン型から取り外して、ゲートから切り離したら複製完了です

❽球状パーツをバキュームフォームで製作

▲靴部側面のインテークカバーは薄さと可動が必要となりエポパテでの製作が難しいので、バキュームフォームで製作を行います
▲クリアーケースに吸引用の穴を開けて、ホースを差し込みます
▲ケースの隙間をアルミテープで埋めていきます
▲中央の丸穴を残すようにスポンジタイプの両面テープで周囲を囲います
▲ベニヤ板でプラ板固定用のジグを作ります。2枚用意して穴が同じ位置になるようにします
▲必要な機材がそろいました。右側にあるものがエポパテで製作したインテークカバーの原型になります
▲ガスコンロでプラ板を熱します。火の取り扱いには充分注意しましょう
▲熱したプラ板を原型の上に置き、吸引を行います
▲バキュームフォームで形成された半球パーツを中央で分割したらインテークカバーパーツの完成です

❾靴部の製作

▲インテークカバーパーツに可動部を取り付けたら完成です

▲カバーを閉じた状態でピタっとフィットするように可動軸の位置を調整します

完成した作例の詳細はこちら!

BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット “マスターグレード”ドム 改造

MS-09F/TROP ドム・トローペン

製作・文/アクシズてんちょう

MG ドム
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●5500円、2022年2月発売●1/100、約18.6cm●プラキット

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ⓒ創通・サンライズ

アクシズてんちょう

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