“熊野筆”で模型をメイクアップ
化粧筆として有名な「熊野筆」はなんと模型シーンでも活躍しています。パステルを使ったぼかし作業(ドライブラシ)は繊細で高品質な熊野筆ならではの仕上がりになります。
トライツール 熊野筆 面相筆
トライツール 熊野筆 ぼかし筆
●発売元/ハセガワ●1540円(面)、1650円(面・極細)、各1320円(ぼかし)
熊野筆ってなに?
「筆の都」と称される広島県安芸群熊野町で生産されている筆のことを“熊野筆”と言います。化粧筆としての熊野筆はとても有名で、その穂先の質の高さは世界にも広く知られています。繊細で高品質な筆は、模型シーンとの相性も抜群です。
※面相筆 極細、ぼかし筆 小短、ぼかし筆 中、ぼかし筆 大 は現在店頭在庫のみ
トライツールの熊野筆は面相筆2種とぼかし筆4種の計6種。面相筆は通常サイズと穂先が細長い極細サイズの2種。柄も程よい太さで握りやすくなっています。ぼかし筆の中と大は穂先が扇状に広がっていて、毛の密度も柔らかさもまさに“熊野の化粧筆”と同じ作りになっています。
Impression
▲ まずはぼかし筆の性能をチェック。ぼかし筆は通常の筆としても使用できますが、名前の通りぼかしの作業にもっとも向いている筆です。プラ板にパステル色鉛筆で軽く色を載せ、ぼかし筆で擦ってみると、筆跡がぼやけ、色が広がっていきます。黒色だと煤けたような質感になりました
▲ スポンジヤスリのヤスリ面でパステルを削り、削ったものを顔料として使用します。スポンジヤスリをそのままパレットとして使うと、作業中に顔料を追加するのが簡単で手間を省くことができます
▲ ぼかし筆で作った顔料を取り、プラ板にトントンとはたくと粉が押し付けられて付着します。こちらも煤けたような仕上がりになりました。粉末をそのまま扱っているので、顔料の定着は弱く擦り落とすこともできます
▲ 作業の終了後は溶剤や筆用メンテナンス液で洗浄できますが、次の作業をするときに穂先が乾いている必要があるため、連続して数種類の色でぼかしの作業をする場合には、メラミンスポンジなどで穂先を擦るとよいです。スポンジ側に色が付かなくなれば、筆についた顔料をある程度落とすことができています
How to use
▲ ハセガワ「ちいさなメカトロメイト No.01 “みずいろ&おれんじ”」(1760円)を成型色仕上げしていきます。まずは、筆先の狙いが付けやす い面相筆 極細で目などの色分けをします
▲ 色分けが済んだらつや消しのトップコートを施し、表面にパステルが定着しやすくしておきましょう
▲ 削った青いパステルをぼかし筆に付けて、キットの水色部分に擦りつけることでグラデーションを描けます。写真ではわかりにくいですが、パステルの色が載っています。粉末状のパステルは指などで擦ると落ちてしまうので、再度トップコートを吹いて定着させます
▲ パーツのエッジ部分には白のパステル色鉛筆でハイライトを描きます。そこをぼかし筆を使ってなじませると自然な仕上がりになります
▲ フェイス部分にチークを付けてかわいさアップ! オレンジのパステル色鉛筆でほほを軽く塗り、ぼかし筆でぼかします。その際に擦りすぎるとせっかくのチークが消えてしまうので、パステル色鉛筆で描いた後、ぼかし筆で1~2回軽くたたく程度にとどめます
▲ 最後にトップコートを吹き付けて完成。ほんのりグラデーションのかかったパステル調の仕上がりになりました
How to use
▲ 同じくハセガワの「1/72 AH-64A アパッチ」(1320円)にウェザリングを施していきます。 まずは面相筆でウェザリング用の塗料を少量ずつ塗布していきます
▲ 機体の側面にはブラウン、上面にはホワイトを使用します。塗料が生乾きの状態になったら溶剤を含ませたぼかし筆で塗料をたたいてぼかしていきます。色の境界線をぼかすようにたたくのがポイント
▲ 影になる部分には青(寒色)、光の当たる部分にはイエローやオレンジ(暖色)のパステルを塗布して色味を足します
▲ 明るめのパステル色鉛筆でエッジを塗り、ぼかし筆でこすって調整するだけで簡単にエッジ部にハイライトを描けます
▲ オリーブグリーン単色だった色味が、ウェザリングを施すだけで表情豊かな仕上がりになりました。写真映えを考えるともっと大げさにウェザリングしてもよいかもしれません
まとめ
夢中になってしまうくらい楽しく作業が できました。熊野筆の性能に助けられ、味 のある作例が完成! 模型に化粧を施す感覚で使用できるぼかし筆、そして精密な塗 装作業を助けてくれる面相筆。熊野筆は模型の世界でも一級品です。
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