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『鉄血のオルフェンズ』よりガンダムグレモリーを徹底的にシャープ化して製作(ガンダムグレモリー工作編)【Ryunz】

2022.08.08

2.真鍮線を使用したシャープ化でさらに鋭く/ASW-G-56 ガンダム・グレモリー【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2022年9月号(7月25日発売)

『鉄血のオルフェンズ』よりガンダムグレモリーを徹底的にシャープ化して製作(ガンダムグレモリー工作編)【Ryunz】

工作解説/Ryunz

 ガンプラはキットのままでは安全基準により、アンテナ先端にフラッグと呼ばれる部分があったり、尖っているはずのデザインが丸まっていたりします。これらをナイフやヤスリなどでシャープ化するのはガンプラ工作において定番の作業ではありますが、ここではさらに一歩進んで真鍮線を活用したシャープ化を伝授します。月刊ホビージャパンモデラーの中でもこのテクニックを十八番とするRyunzが製作&解説を担当し、HG ガンダムグレモリーをギンギンに尖らせ、塗装も相まってより死神らしい雰囲気に仕上げました。各所尖りすぎて、撮影中何度も手に刺さるほどのシャープさをじっくりご覧ください。

▲月刊ホビージャパン2021年1月号およびガンダムフォワードVol.4に掲載されたMGガンダムデスサイズ EW。シャープ化をテーマにギンギンに“刺さる”一作に仕上っており、後にルーセット装備を追加した作例も掲載

●プロモデラーQ&A

 今回の作例製作に欠かせないツールorマテリアルを1点教えてください。
 今回はやっぱり真鍮線になりますが、ポイントはさまざまな太さを用意することにあります。状況に応じて使い分けることで仕上がりもよくなりますし、強度も増します。初めて買うなら、1mmのドリルがあれば使える0.8mmがオススメです。

 作例製作時に意識していることは?
「平面をしっかりと出すこと」です。平面が出ていることで曲面も活きますし、エッジのラインもキレイに立つようになります。エッジのラインが立つことで全体のイメージがパリッとするので、常に意識しているところです。あとは「手癖だけでは進めず、毎回何かしら自分にとって挑戦となるようなことを入れる」です。手癖だけで進めるのは楽なのですが、こうすることで自分の引き出しを増やし技術の蓄積になりますしこのほうが楽しいから(笑)。今回はパールやメタリックのツヤ消し表現に挑戦してみました。これまではポイントでの使用だったものを全身で使ってみたのですがいかがでしょうか。
 ついついやってしまうこだわりポイントを教えてください。
 やっぱり1番は先鋭化だと思います。尖ってそうなところは片っ端から尖らせちゃいます。エッジ出しにも通ずるのですが、先端が尖っていると作品の精密感が上がるのでオススメの工作でもあります。ただ、どうしても先端が欠けたりそもそも折れてしまうなどの問題も出やすくなりますし、引っかかって作品が落ちる危険が増えたりとハンドリングが難しくなるのも事実です。そのため、尖らせる対象の位置や状況によって先鋭化の方法を使い分けています。オススメはやっぱり真鍮線を使った先鋭化になります。強度が抜群ですし、研ぎ出したその先端の細さはほかの方法の追随を許しません。ぜひ、今回の記事を読み、挑戦してみてください。

●作業の前に覚えておきたい真鍮線を使った先鋭化5つのコツ!

使う真鍮線に対して挿す穴の径は0.1〜0.2mmくらい大きな穴を開けます。接着剤を流し込むためには隙間が必要です。ピッタリだと接着剤による固定ができず加工中に抜けてしまうことがあります。

差し込む真鍮線は、事前に表面を荒らしておきましよう。下処理として表面をヤスリ掛けしておくと接着強度が上がり、抜けや剥がれといった事故が起こりにくくなります。私は180番で下処理をしています。

真鍮線の長さは狙いよりも必ず長くしておきましょう。一度短くしてしまうとリカバリーが難しいため、余裕を持った長さにしておくと安心です。特に先に作るほうはこれが重要で、ここで長さが決まってきます。

プラと真鍮線の間を繋ぐためのパテは瞬間接着パテを使いましょう。ポリパテやエポパテよりも瞬間接着パテは食いつきがよく、硬さもあるので補強材を兼ねることができます。

プラ、瞬間接着パテ、真鍮線と硬さの違う素材に跨るので、加工時は一気に削り上げましょう。ゆっくり加工しているとプラだけが削れてしまいがちです。私はペンサンダーを使い、180番で粗加工し400番で仕上げを行っています。

❶頭部アンテナの延長

▲グレモリーのアンテナは厚みがあり、真鍮線を仕込みやすい形状になっています。特に後端側は厚みがあるので工作がしやすく、開口するにも余裕があります

▲そのままのアンテナ形状では真鍮線を仕込みにくいので、基部の一部をニッパーで切り取った上で真鍮線を仕込みます。切り取る部分を予めマーカーなどでアタリをつけておくといいですよ

▲ピンバイスで穴を開け真鍮線を仕込みます。できる限り太い真鍮線をつかったほうが強度が増すので、今回はφ0.8mmを使いました

▲真鍮線の上に瞬間接着パテで肉付けし、ペンサンダーで形状を整えます

▲かなり尖った形状となりました。前側にも真鍮線を入れていますが、こちらはφ0.5mmを使いました

❷もし失敗してしまったら?

▲上が真鍮線で下が瞬着パテになっていますが、この状態は失敗となります。この状態はパテの剥がれが発生しやすく、修正が必要です

▲修正するときはいったん真鍮線を切断し、新たに真鍮線を継ぎ足してやり直します。この時使用するのは瞬着パテではなく、高強度をウリにした瞬間接着剤の使用をオススメします

❸仕上げます

▲アンテナ中央部は応用で真鍮線を差し込まず、瞬間接着パテのみで延長し形状を整えます。このような真鍮線を仕込めない細い箇所もシャープ化できます

▲瞬着パテは性質上どうしても気泡が出てしまいますが、透明なためその気泡が見つけにくいです。サーフェイサーを一度吹くと見やすくなるので、サフ前の加工で追い込むのではなく、サフ後に追い込んだほうが効率的です

▲完成した頭部を素組み(左)と比較してみました。シャープな形状になっていることがお分かりいただけたでしょう。胸部のフィンも瞬間接着パテのみでシャープ化を施しています。今回全体的にこのテクニックで形状のシャープ化を図りました

❹プラ板でシャープ化

▲腕部アーマーの先端はストンと直角に落ちたような形状だったので、プラ板を貼り端面が斜めになるようにしました。これだけでも鋭利になった印象となりました

❺バトルアンカーのシャープ化

▲バトルアンカーも上下とアンカー先端を真鍮線に置き換えて先鋭化させました。先端は余裕があったので、こちらはφ1.0mmを使用しています

▲素組み(左)との比較。アンカーの刃の部分は瞬間接着パテを使ってエッジを作っています。太い真鍮線の上、パーツ内部にも長めに入れているので、ほぼ折れることはなく破損対策にもなっています

完成した作例の詳細はこちら!

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット “ハイグレード”ガンダムグレモリー 使用

ASW-G-56 ガンダム・グレモリー

製作・文/Ryunz

HG ガンダムグレモリー
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●1980円、2021年10月発売●1/144、約13cm●プラキット

ⓒ創通・サンライズ

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Ryunz(リュンズ)

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