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初心者必見! 何度でもやり直しできる“ノーリスクウェザリング”を「1/100 グフ」で学ぼう!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

2022.07.07

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編 月刊ホビージャパン2022年8月号(6月24日発売)

初心者必見! 何度でもやり直しできる“ノーリスクウェザリング”を「1/100 グフ」で学ぼう!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

 休日の空いた時間、誰でもできる簡単なテクニックで、お手軽にカッコいいガンプラを楽しんで作ってみよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。当時ものキット編第5回は「ノーリスクウェザリング」。1/100のグフを使って、破損する心配がなく、失敗しても何度でもやり直しができるウェザリングを学んでみましょう。

講師/林哲平


缶スプレーで部分塗装しよう

▲1/100のグフはほとんどのパーツが色分けされていますが、胴体やシールドなど一部塗り分けが必要な部分があります。面積も大きいので、手早く塗装可能でムラになりにくい缶スプレーを使いましょう
▲胴体はインディブルーで塗装します。鮮やかなブルー系のスプレーは色が乗りにくいので、シュッ! シュッ! と少し吹いては乾かすを繰り返しながらじっくり塗ると上手くいきます
▲塗装した状態。繰り返し書きますが、鮮やかなブルーは下地が青でも発色しにくいです。「ブワ~!」と吹きつけると表面が塗料でダボダボになってしまうので、少しずつ吹きつけることを心掛けてください
▲お腹のオレンジを塗り分けます。筆だとどうしてもムラができやすいので、ここも缶スプレーを使って塗りましょう。まずはオレンジに塗る部分以外をマスキングテープで覆います。直線部分はデザインナイフでディティールに沿って切り抜いたほうがスピーディーに作業できますが、より安全性を重視するなら細切りにしたテープを貼ってマスキングしてください
▲青の上にオレンジを直接塗ると下地が透けてキレイに発色しません。ここは同じオレンジで、大きくわかりやすいヒート・サーベルで見ていきましょう。まずは下地にタミヤファインサーフェイサーピンクを吹きつけます。隠蔽力が強いので、すぐこれぐらい発色します
▲タミヤスプレーのオレンジを上掛けします。青の上からだと発色しにくいオレンジですが、ピンクの上からだとすぐに発色します。無理にオレンジだけで発色させようとしてもどんどん塗膜が厚くなるだけ。面倒でも、一度下地にピンクを塗ったほうがずっと早く、キレイに作業が進みますよ
▲刀身同様にピンク→オレンジと胸を塗装します。マスキングしたパーツを缶スプレーで塗装する際、一気に塗料を吹きつけると溜まった塗料がテープの隙間から染み込んで下地の塗膜にはみ出してしまうことがあります。他の部分以上に、乾燥や吹きつける塗料の量には注意しておきましょう
▲胸パーツを接着すれば胴体の塗り分け完了です。塗装前と比べ見映えがグ~ンとよくなりました。当時ものキットは最新のガンプラに比べ形状が大らかで、複雑なマスキングも必要ないです。実は初心者の缶スプレー塗装入門にすごく向いているのです

▲シールドも胴体同様に塗り分けてみましょう。覗き穴周りはが円形になっており、胸のオレンジよりは形状的にちょっぴり難しいですが、マスキングテープを細切りして曲げながら貼れば大丈夫です。シールドは下地が成型色なので、リカバリーも簡単です。少しのはみ出しはデザインナイフで削り取り、大きなはみ出しはMr.カラーうすめ液を染み込ませた綿棒で拭き取ればOKです。実際私が塗ったシールドも、はみ出した部分を結構リカバリーして仕上げています


ラッカー系スプレーでツヤを消そう

▲ノーリスクでガンプラをウェザリングするには下地の準備が重要になります。使用するのはラッカー系のツヤ消しスプレーであるMr.スーパークリアーつや消し。塗膜が強力で、ツヤも完全なフラットになるためウェザリング用塗料の定着も抜群です
▲腕や脚など組み上がったパーツのツヤ消しには工夫が必要です。一回吹きつけただけでは関節に隠れた部分にツヤ消し塗料が回らないのです。一度しっかりと乾燥させてから、関節を曲げてもう一度吹きつけましょう
▲ウェザリングの邪魔になるので、動力パイプはこの段階では接着せず別々にツヤ消ししましょう。割り箸の上に粘着力が強力な両面テープを4重ぐらいに折り返して厚めに貼っておくと保持できます
▲ツヤ消ししたパーツは100円ショップで購入した園芸用スポンジに突き刺して乾燥させます。当時ものキットは構造上、専用の塗装棒などで保持するのが難しいパーツが多く、割り箸+両面テープの使用頻度が高くなります。深さがあり、奥までズボッと入って保持できるので割り箸が安定しやすいのです
▲ツヤを消した状態。表面のテカりが消え、アラが目立たなくなり、シャープな仕上がりとなりました。これで下準備は完了です。なお、リカバリーができなくなるので、ノーリスクウェザリングでは水性のプレミアムトップコートつや消しは絶対に使わないでください

アクリル系塗料でウォッシングする

▲使い古された質感を再現するウォッシング。ウェザリングには欠かせない作業ですが、一般的にウォッシングに使われるエナメル系塗料や油彩塗料を使った場合、初心者だとパーツを割ってしまうリスクがあります。今回は破損する心配がない水溶性アクリル樹脂塗料の水性ホビーカラーで作業します。使用するのは専用うすめ液、ダークアース、つや消しブラックの3つです
▲うすめ液にダークアースとつや消しブラックを混ぜ、ダークブラウンのウォッシング色を作ります。溶剤に対して塗料の分量は10〜20%ぐらいが適量です。塗料が濃すぎると汚くなってしまいがちなので「ちょっと薄いかな?」ぐらいを心がけましょう
▲ウォッシング色を塗るとき、最初はシールド裏など目立たない部分から作業しましょう。目立つ部分からいきなり全体に塗ると、塗料が濃すぎたときのリカバリーが大変です。試し塗りをしつつ、少しずつ感覚を掴みましょう
▲シールドにウォッシング色を塗っていきます。平筆に塗料を多めに含ませ、塗り拡げていきます。アクリル系塗料は途中で乾燥すると染みになりやすいので、乾かないうちに一気に塗ってしまいましょう
▲塗ったら塗料が乾かないうちに、上から下へ、重力の方向を意識しながら雨だれのような縦筋を軽くつけていくような感覚で拭き取っていきます。アクリル系塗料でのウォッシングは、途中で乾くと不自然な染みができやすいです。濡れている間に一気に拭き取るのがポイント
▲ウォッシングした状態。全体がトーンダウンし、使い込まれた雰囲気となりました。一般的なエナメル系塗料やMr.ウェザリングカラーでのウォッシングに比べると少しコツは変わってきますが、パーツが破損するリスクがないのは大きなメリットなのです
▲手足など組み立てたパーツをウォッシングするときはブロックごとにウォッシングします。全体を一気に塗ると途中でウォッシング色が乾いてしまい、染みなどができて不自然な仕上がりになりやすいのです。足首→スネ→モモと下から順番に塗るのがコツです
▲アクリル系塗料でウォッシングする場合、プラを割らないのでこのように関節に塗料が流れ込んでもまったく問題ありません。エナメル系塗料や油彩塗料のように気を使う必要がないので、慣れていない人でも大丈夫です
▲おおっと! 塗料のダマが飛び散って、そのまま固まってしまいました…。このままだとちょっと不自然ですよね。でも、問題ありません。アクリル系塗料でのウォッシングではよくあることなので、さっそくリカバリーしてみましょう
▲台所用中性洗剤を染み込ませた綿棒で拭き取ります。水性ホビーカラーのようなアクリル系塗料は台所用中性洗剤で簡単に落とせるのはご存知の通り。ウォッシングも例外ではなく、さっと拭くだけでOKです
▲リカバリーした状態。下地をラッカー系塗料でツヤ消ししているため、台所用中性洗剤で拭き取って落ちるのは上掛けしたアクリル系塗料のみ。ツヤ消しの表面はそのままなので、何度失敗しても、拭き取ってもいくらでも修正可能です。パーツ割れも失敗も恐れることなく作業できる「ノーリスク」なテクニックなのです

エナメル系塗料でドライブラシ

▲ドライブラシはエッジのみに塗料を乗せ、立体感を強調させるテクニックです。今回はリカバリーを重視しつつ、伸びがよくドライブラシに向いているエナメル系塗料を使ってみましょう。ドライブラシは施す部分を明るくした色を使うのが基本です。タミヤエナメルカラーのフラットホワイトにフラットブルーを数滴垂らし、青寄りのホワイトを作ります
▲ドライブラシには平筆を使います。筆先にほんの少し。これぐらい塗料をつけておきましょう。塗料が多すぎると筆に塗料が残り、パーツに不自然な筆目がついてしまうので注意してください
▲塗料をつけたら、ティッシュで筆を拭き取ります。筆先には「ほんの少しだけ」塗料が残っている状態にしておきましょう。意外と塗料は残っているものなので「全然塗料が残ってなくて作業しにくい」ぐらいが初心者にはオススメです
▲エッジに筆先を擦りつけて塗料を乗せていきます。筆先にわずかに残った塗料がエッジだけに残るので、角が強調されて浮き出るような表現となるのです。急角度な部分のほうが効果がわかりやすいので、まずはそのあたりから作業してコツを掴みましょう
▲おおっと! 拭き取りが足りず、筆に塗料が多く残っていたため大きな筆目がついてしまいました…。ドライブラシではよくあるミスですが、簡単にリカバリーできるので心配無用です
▲エナメル溶剤を綿棒に染み込ませて拭き取ります。エナメル系塗料の溶剤は大量につけるとプラを割りますが、これぐらいの拭き取り作業であれば破損の心配はありません
▲ドライブラシした状態。下地をラッカー系、ウォッシングをアクリル系で塗っているため、溶剤成分の違うエナメル系で拭き取っても、下地への影響を抑えることができます。すべてのウェザリングを同系塗料で行うより、格段に安心感を持って作業できますよ

エナメル系塗料でハゲチョロ塗装

▲エッジにシルバーを塗り下地を露出させる「ハゲチョロ塗装」。ガンプラブーム当時の作風を再現するには欠かせない伝統的テクニックです。ここは爪楊枝を使ってみましょう。まず、先端をデザインナイフで削ります。細くしておくとより細かくリアルに描き込むことができます
▲爪楊枝の先にタミヤエナメルカラーのチタンシルバーを少しだけつけます。ごく少量でいいので、このようにビンの内蓋を塗料皿代わりに使うと楽ですよ
▲ハゲチョロを描き込んでいきます。角が擦れて内側の金属が露出している表現なので、爪楊枝の先端でエッジに少しずつ塗料を乗せていきましょう。これもドライブラシ同様「ちょっと色がつきにくいな」ぐらいのほうが失敗しにくいです
▲ハゲチョロ塗装した状態。第一次ガンプラブーム当時の雰囲気にグ~ンと近づきました。ハゲチョロのコツはとにかく「やりすぎないこと」です。「ちょっと物足りないぐらいかな?」に留めておきましょう
▲おおっと! 一気にハゲチョロしようとして、うっかり大量のシルバーをベッタリとパーツにつけてしまいました…。これもよくあるミスで、誰もが通る道です。でも、大丈夫です! ここも問題なくリカバリー可能なのです
▲エナメル溶剤を染み込ませた綿棒で拭き取ります。ハゲチョロをエナメル系塗料でしているので、ラッカー系塗料のツヤ消し層とアクリル系塗料のウォッシング層へのダメージを抑えることができます。先程のドライブラシの修正と同じ要領です
▲リカバリーした状態。ドライブラシはエナメル系でしているので落ちてしまいますが、そこからやり直すのはあっという間です。ハゲチョロはついヒートアップして派手にしてしまいがちなので、このようにリトライ可能にしておくと安心して作業できますよ

 風雨に晒され、使い込まれたような表面を再現する「ウォッシング」。エッジに塗料を乗せ、輪郭を際立たせディテールや立体感を強調する「ドライブラシ」。塗装が剥がれ、装甲の金属が剥き出しになった「ハゲチョロ塗装」。第一次ガンプラブーム当時の作風には欠かせない三大ウェザリングテクニックです。ですが、エナメル系塗料でウォッシングしたらガンプラがこなごなになり、ドライブラシをすれば筆目だらけになり、ハゲチョロをすれば全身銀色になったり…。もはやカッコよくなるどころではなく、私自身も何回失敗したか覚えていせん。そこで今回考案したのが「ノーリスクウェザリング」です。初心者にとってウェザリングで一番難しいのはサジ加減。一発勝負しなくても、何度でもやり直し可能ならば自然と力加減がわかってきます。ウェザリングはもう怖いテクニックではありません。今こそ憧れの作風を自分の手で再現してみてくださいね♪

BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット

MS-07 グフ

製作・文/林哲平

© 創通・サンライズ

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林哲平(ハヤシテッペイ)

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