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月面を彷徨う犬の亡霊「ルフナント」をMAX渡辺と横井宏が仕上げる!【Ma.K.in SF3D】

2022.07.08

Ma.K. in SF3D 月刊ホビージャパン2022年8月号(6月24日発売)

ルナフント、それは月面を彷徨う亡霊

 今回はハセガワの新製品「ルナフント」特集! MAX渡辺が月刊ホビージャパン2021年9月号で製作し原作者・横山宏に命名された「ルナフント(月面の犬)」は飛行機能を廃した月面支援型グローサーフント“ベガ”の頭部をダックスフントのものに換装したバリエーション機だ。
 MAX渡辺、横山宏ともに犬の頭蓋骨のデカールを頭部に貼った機体を製作。飛べない月面の犬が亡霊のように彷徨う姿を彷彿させる仕上りとなった。ルナフントのキャラクター性を決定づける両者の力作を堪能していただきたい。


シュトラール軍月面用ヒューマノイド型無人邀撃機 ルナフント 製作/MAX渡辺

▲グレーの本体にイエロー、ピンクと対照的な識別色が塗られたMAX渡辺のルナフント。機体番号も上下逆になる6と9で色も異なる凝りようだ
▲月面支援型特有のロッドアンテナを赤白で塗装。視覚効果絶大で昆虫の触覚を想起させる
▲角度や長さが異なるアンテナには怪物感が
▲チンガードにも犬の骨のデカールを貼っている
▲バーニアノズル基部を塞ぐパーツや姿勢制御バーニアの代替パーツが付属
▲バーニアノズルを外したことで腰の後方アーマーの形状が顕著に
▲ビビッドな色で塗られたマニピュレーター。装甲スーツのそれと比べて大きくてゴツいため斬新な印象を与えている
▲異形感を出しつつも美しい全体のフォルム
▲左腕のレーザーは地上用と同形状のものに換装されている。なおキットはシュバルツフントとしても組めるため、宇宙用のレーザーを付けることも可能だ
▲頭部上面に塗られたビビッドカラー。流麗なラインとあいまって艶めかしさを醸し出している
▲MAX渡辺が製作したアルタイル、ベガ、ルナフントが集結!! バリエーション機の差異がわかる
▲ルナフント2体の作例を前にMAX渡辺、横山宏、KATOOOが記念撮影。


■ルナフント
 月面作戦用グローサーフント「ベガ」の発展改良型であるルナフント。拙作「シュバルツフント」から『Ma.K.』的鉄板展開ですな♪ 宇宙空間を飛び回れるアルタイルたちと比べ、地味で努力家なポジションで結構ツボです♪ この犬鼻が付いただけで全く違うキャラクターになっちゃうのって凄いですよね。無機的な機械生命体、ターミネーターイメージが強かったグローサーフント。ソレがこのワンパーツで何か感情を通わせられそうな、人懐っこそうな存在に変わったような。横山先生さすがだわ〜♥

■シンプルに、印象的に
 工作はとにかく基本に忠実、丁寧に。折れそうなところは金属に置き換えて模範的などストレート素組みです。
「Ma.K. in SF3D」では時間が許す限り同一モチーフ複数体を自らに課している模型芸人、今回も2体用意させてもらいました。全く同一カラースキームのナンバー違いも大好物なんですが、このワンちゃん達変えたくなったんですよね。同じパターンでありながら一目で個体認識が出来るのがイイかなって。ポチとシロみたいなwww こんな思いもデザインゆえかと思います。極々シンプルなグレーのブチに個体カラーとしてピンクとイエローを乗せてみました。
 ナンバーはレインボウエッグ謹製の「Ma.K.コードレターデカール」の新作レッドとイエローで♪ 兵器としては同じ色であるべきなんだろうけど、そこは自由な『Ma.K.』ワールド、見映え優先です♪ 頭部側面、正面の犬の頭骨マークがサイコー♥ 痺れます♪ チョット難儀な曲面へのフィットは「ヒートガン」であっという間♪♪ ぜひチャレンジしてほしいです♪ アンテナの赤白はアクセントが欲しくて。こういう小技の一手間はモデルをグッと引き立てるのでオススメですよん♪♪

ハセガワ 1/20スケール プラスチックキット

シュトラール軍月面用ヒューマノイド型無人邀撃機 ルナフント

製作・文/MAX渡辺
協力/鈴木孝、堤啓介

月面用ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント “ルナフント”
●発売元/ハセガワ●5720円、8月上旬予定●1/20、約15cm(ロッドアンテナ含まず)●プラキット●ルナフントとシュバルツフントの選択式キット


シュトラール軍 月面用ヒューマノイド型無人邀撃機 ルナフント 製作/横山宏

▲『Ma.K.』40周年で機体番号が“40”の横山氏のルナフント。40の色にあわせて識別帯がオレンジイエローになっている
▲支援型のため、飛行用のスタビライザー型アンテナを廃しロッドアンテナを装備
▲︎鼻先の新型シーカーなど識別帯の入れ方にも注目
▲︎筆塗りによる大胆な折線迷彩のパターン
▲ヒートガンを使うことでデカールは複雑な曲面にも密着。炙り過ぎないよう添えた指に熱さを感じたらやめるのがポイント
▲︎背面ハッチのふたに収まるように貼った40のデカール。その下に識別帯が入っている
▲︎上面からのショット。飛行用のアンテナ兼スタビライザーがないことで、丸みを帯びたバックパックのユーモラスなフォルムが楽しめる
▲可動する足首のスパイク。飛行できないルナフントだが、月面を蹴ってジャンプするシーンなども再現できる
▲︎フントトレーナーという設定のホネミッツプロダクツ製「シュトラール女性宇宙飛行士01」
▲︎背中のメカニカルな造形や宇宙服の表現もみどころ
▲︎VRはエッジを少し丸めルナフントの造形になじむようにした

 MAXさんがベガにダックスフントの頭を付けたのがルナフントだね。飛べなくて月面限定で活動する支援型だから、どうやって月面を歩くんだろう、月のレゴリスはどう付着するんだろうって考えながら塗装するとおもしろいよ。今はウェザリングカラーが充実してるから、どう汚すか模型を作る前から考えてます。実際にウェザリングは多めにしてるんだけど、足首のあたりは暗いグレーなのでそこまで目立たなかったね。
 犬の頭蓋骨のデカールを貼ると、月面を犬の亡霊が彷徨ってるみたいで最高にカッチョいい! それぞれ角度を変えたロッドアンテナがなんだかフレミングの法則みたいだ(笑)。法則があるのかなって思わせる角度が少しミステリアスでいいでしょ。キングジョーが分離して飛ぶ時に出るアンテナを意識してますね。犬の頭蓋骨はシーボーズに通じるものがあるし、当時のスタッフに見てもらいたいですね。
 フィギュアはホネミッツプロダクツのシュトラール女性宇宙飛行士。顔に付けたVRのボックスの角が立ってたのでエッジを丸めてます。こういうものはエッジが立ってると壊れやすいので、再販する時は丸めなさいと言っておきました。女性兵士がVRを見て、ルナフントのAIとシンクロしながら調整してる設定なので、まさにドッグトレーナー(フントトレーナー)ですね。飛ばない無人兵器はこういうトレーナーが調整するので、みんなもまねするといいよ。

ハセガワ 1/20スケール プラスチックキット

シュトラール軍 月面用ヒューマノイド型無人邀撃機 ルナフント

製作・文/横山宏


[Ma.K.in SF3D]EXPLANATIONS Vol.110

シュトラール軍 月面用ヒューマノイド型無人邀撃機 ルナフント

文/KATOOO(レインボウエッグ)

 ルナフントは月面用グローサーフント・ベガの改良機です。ルナフントは月面用なので飛べません。前身となるベガは、飛行可能な宇宙用アルタイルの推進バーニアやスタビライザー兼ロングアンテナなどをオミットした月面地表での支援戦闘に特化した簡易型です。月面での作戦上、飛ばない支援機の必要性があり、生産コストも削減できる利点がありました。そんなベガの頭部をダックスフント型高性能索敵シーカー搭載頭部に換装したものがルナフントになります。グローサーフント型バリエーションも増えてきたので進化過程を図式化してみました。
 月刊ホビージャパン2021年9月号でMAX渡辺さんがベガにダックスフント頭部を付けた作例を発表。横山先生が「ルナフント(月面の犬)」と命名しプラキット化に至りました。シンプルな名称ながらも「月面に犬がいる」状況がSF的でグッときます。
 ダックスフント頭部に換装した宇宙用シュバルツフントとルナフントの外見上の差異は、前述した宇宙空間推進用装備の除去と、左腕レーザーを地上用に換装した点です。宇宙用のアルタイルのバックパックなどは私が造形したものが基になっているのですが、今回のバーニアやスタビライザー型アンテナを外したバックパックの写真を見ていると、マシーネンらしい曲面を出そうと四苦八苦していた造形時の記憶が甦り、なんだか気恥ずかしいような嬉しいようなモジモジした気分になりました(笑)。
 横山先生やMAXさんが貼った犬の頭蓋骨のデカールはシュバルツフントのキットに入っていますが、レインボウエッグでデカールを製作する際、横山先生から「犬の頭蓋骨を入れてちょうだい」とリクエストをいただき、デザイナーの妻が作成しました。この頭蓋骨のデカールは横山先生、MAXさんにとても気に入っていただき、夫婦ともども歓喜しております。先生の「月面を彷徨う犬の亡霊」という表現にシビれますね。ルナフントにもこのデカールは収録されるので、ぜひ貼ってみてください。


1/16グスタフの40周年記念版

 各関節が可動する核誠治造1/16グスタフ塗装済み完成品の『Ma.K.』40周年記念モデルが発売! 40周年記念マークがタンポ印刷されている。

▲︎温度変化で色が変わる特殊仕様
▲頭頂部に40周年記念ロゴマークが

グスタフ【Ma.K.40周年記念限定版】

●発売元/核誠治造、販売元/ウェーブ●18480円、9月予定●1/16、約14cm●塗装済み完成モデル


モデラーズフリマレポート

 2022年5月14、15日にツインメッセ静岡北館で開催された「モデラーズフリマ」に横山氏が参加した。「ドット絵の神様」と呼ばれ、2021年に他界した小野浩氏が遺した大量のプラモデルを横山氏とチームドットマンがセレクト。複数のプラモデルを箱に詰め、“おくりばこ”として販売し遺族に還元する企画で、横山氏は初日の14日にブースで予約を受け付けた。

▲会場に駆け付けたMAX渡辺は“おくりばこ”を予約
▲小野氏は「ゼビウス」や「ギャラガ」などナムコのゲームのグラフィックを担当。横山氏とは同年代で親交があり、ウェーブがギャラガをプラキット化した際、横山デザインに大喜びしたという
▲海洋堂・宮脇修一氏も企画に賛同

スカウトフライヤー2種再販

 レインボウエッグが約6年ぶりにスカウトフライヤー、ピジョンを再販する。スカウトフライヤーは月刊ホビージャパン1985年11月号の『SF3D』に掲載された傭兵軍の無人偵察機。ピジョンは横山氏がスカウトフライヤーを有人型に改造したものだ。詳しくは(http://blog.rainbow-egg.net/)まで。

スカウトフライヤー/ピジョン

●発売元/レインボウエッグ●23100円/28600円、8月予定●1/20、約19cm/22cm●レジンキット


「レディ メイド メタル3」アフターレポート

 横浜にて7月3日(日)まで開催されていたアート展「レディ メイド メタル3」。横山氏はミノタウロ2、MAX渡辺はネイキッドエンジェルタワーをそれぞれ出展していた。

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© Kow Yokoyama 2022

MAX渡辺/横山宏/KATOOO(レインボウエッグ)

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