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「リアルタイプ 旧型ザク」で水転写デカールを徹底攻略!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

2022.06.12

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編 月刊ホビージャパン2022年7月号(5月25日発売)

「リアルタイプ 旧型ザク」で水転写デカールを徹底攻略!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

 休日の空いた時間、誰でもできる簡単なテクニックで、お手軽にカッコいいガンプラを楽しんで作ってみよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。懐かしのキット編第4回は「デカール徹底攻略」。当時ものキットの中でも最高峰の出来映えと名高い「リアルタイプ 旧型ザク」で水転写デカールの貼り方を学んでみましょう。

講師/林哲平


仮組みしよう

▲デカールを貼る前に一度キットをマスキングテープで仮組みします。接着してしまうと貼りにくいデカールもあるので、組み上げた状態でどう貼るか説明書を見ながらシミュレーションしておきましょう

デカール貼りの基本

▲1/100のリアルタイプシリーズには水転写デカールが付属しています。ライン、数字、コーションとさまざまな種類がありますが、どれも貼り方の基本は変わりません。作業中は上に水滴を落とさないように注意してください。水滴が落ちると、その部分のデカールが固着してしまい、水につけても剥がせなくなってしまうのです
▲デカール貼りに欠かせないのがMr.マークソフターとMr.マークセッターです。マークセッターはデカール用の糊。マークソフターはデカールを柔らかくし、パーツにピッタリとフィットさせます。このふたつを使いこなすとデカール貼りがグ~ンと楽になるのです
▲デカールを貼る位置にマークセッターを塗っておきます。パーツに糊が付着するので、デカールの位置決め中に糊が水で流れてしまっても、パーツへの固着力をしっかり確保し剥がれにくくしてくれるのです
▲デカールをデザインナイフで台紙ごと切り抜きます。ハサミを使うとデカールの台紙がバラバラになってしまい、番号がわからなくなったり、なくしたりとミスが起きやすいのです。時間はかかりますが、1枚1枚切り抜いて貼るのが安全です
▲デカールをピンセットでつまみ、ぬるま湯につけて浮かせます。特に冬場だと、冷水につけてもデカールはなかなか浮いてきません。魔法瓶や電気ケトルで常にお湯を補給できる状態にしておくと作業スピードが抜群に上がりますよ
▲台紙をスライドさせてパーツの上に乗せます。このとき、デカールはできるだけ直接指で触らないようにしてください。指にくっついたり、巻きついたりして破れる原因になります

▲デカールの位置は水を染み込ませた平筆で調整します。筆の先は繊細かつ柔らかく、指のようにデカールを痛めることがありません。また、筆は水分の除去にも有効です。筆先に余分な水を染み込ませてデカールに残った水を減らしておくことで、ティッシュでデカールの水を拭き取るときに起こりやすい位置ズレを最小限に抑えることができます。筆先の水分は横にティッシュを折りたたんだものを置いておき、そこに筆先を乗せて調整すると作業しやすいですよ

▲折り畳んだティッシュを優しく押しつけて、残った水分を拭き取ります。筆であらかじめデカールに残った水分を拭い去っておけば、ティッシュだけで拭き取るよりも断然ズレにくくなります
▲デカールを貼った状態。シールに比べて格段に薄いため、普通に貼るだけでも印刷されたような美しい仕上がりとなります。デカールの糊は位置決めの間に流れてしやすいため、初心者さんはマークセッターを優先して使ってみてください
▲よりデカールをキレイに貼りたい場合はマークソフターを使います。デカールを柔らかくし、パーツに密着させることで余白がほとんど目立たない、美しい仕上がりとなります。水を拭き取ったあと、ソフターを塗りましょう。つけすぎるとデカールが溶けてしまうので、最初は「ほんのひと塗り」ぐらいを心がけてください
▲マークソフターを塗って10秒ぐらい待つとデカールが柔らかくなってきます。水を染み込ませた綿棒を内側から外側へ。くるくる、くるくる、と優しく押しつけながらデカールを伸ばし、密着させていきましょう。100円ショップなどで売られている綿棒を使うと軟化したデカールに毛がついて汚くなってしまうので、模型用の綿棒を使いましょう
▲続いて胸上部のラインデカールを貼っていきましょう。細く、長いデカールはちぎれやすいもの。台紙の上で、水を染み込ませた筆で押してスライドさせていきますが…?
▲おおっと! ラインデカールがちぎれてしまいました…。筆を使っていても、こういうことはよくあります。作業を急ぎすぎ、部分的にまだ台紙からデカールが浮いていないのに早く貼ろうと動かしたため、そこが引っかかってちぎれてしまったのです
▲でも大丈夫! 安心してください。ここは焦らず、筆で位置を調整すればOKです。デカールが途中でちぎれたときは位置決めしやすい部分の水を拭き取って固定したあと、ちぎれた部分の位置を調整してからその部分の水分を拭き取る二段階方式にすると作業が楽になりますよ
▲機番のデカール。0~9まですべてバラバラになっています。この中から好きな番号を選んで貼っていきましょう。今回はパッケージの完成見本同様「53」で仕上げていきます。細かいので、なくさないように注意してください
▲いきなり2枚同時に貼ると位置がズレやすいので、必ず1枚ずつ貼りましょう。最初はパーツのフチを基準に、外側から番号を決めて貼っていくと位置を調整しやすいのでオススメです
▲続いて「5」のデカールを貼れば機番の完成です。旧ザクの胸は平面かつデカールを貼りやすい部分。「貼れた! カッコいい!」と貼りながらテンションを高めつつ作業を進めてください
▲続いて機番よりも難しい、胸のラインデカールを貼ってみましょう。まずは胴体のパーツをマスキングテープで貼り合わせます。接着してしまうと分解できないので、テープで仮止めしておきます
▲さあいざラインデカールを水につける…という前に! まずは紙のままパーツに巻いてみましょう。本番で貼ったときのイメージを掴むことができます。これだけで失敗を大幅に減らすことができますよ
▲筆でラインデカールをパーツに乗せていきます。このような多角形に、ぐるりと湾曲したラインをすべてまったく歪みなく貼るのはプロでも難しいもの。一番目立つ正面を最優先の基準としてください。後ろは多少歪んでも、ほとんどの人は正面からしか見ないので目立ちません
▲ラインデカールで悩むポイントはつなぎ目がどこにくるか? ということです。このデカールの場合、つなぎ目はこのように脇の下に来ます。ただ、デカールを下でピッタリ合わせることを優先しすぎると一番肝心な正面がズレることがあるので、ここが多少途切れても、正面が真っ直ぐキレイに貼れることを優先してください
▲ラインデカールは位置決めに時間がかかります。調整中に糊がすべて流れ、たとえ下にセッターを塗っていても剥がれやすくなってしまうもの。そんなときはデカールの上からセッターを塗って糊を補充しましょう。セッターは上から塗っても効果があるのです
▲セッターを塗ったら水を染み込ませた綿棒で軽く押しつけ、パーツに密着させていきます。マークセッターを綿棒で馴染ませるときは適度に綿棒を交換してください。綿棒の中に糊が溜まり、押しつけて馴染ませるときに巻き取られるように引っついてしまい、デカールが破れてしまうことがあるのです
▲ラインデカールを貼ったら、胴体を分割するため、合わせ目部分のラインにデザインナイフの刃を入れてカットします。刃を入れるときデカールが浮いてくることが多いので、セッターを使って再度密着させておきましょう
▲胴体のデカールを貼った状態。ライン、機番などそれぞれ違いがありますが、基本はセッターで糊を補填し、よりキレイに密着させたい場合はソフターを使う、がデカール貼りの基本です。まずは自分が貼りやすいと感じる部分からスタートしてみてください

曲面にデカールを馴染ませよう

▲旧ザクのヒジ丸モールドのデカールを貼ります。ここは曲面になっており、そのままだとデカールが密着しづらく浮いてしまいがちな部分です。デカールを貼ったら、まずはナイフの刃をスッ、スッ、余白のニス部分に軽く切り込みを入れておきます
▲続いてデカールにソフターを塗って綿棒で馴染ませます。ここも基本に忠実に、塗って10秒ぐらい待ってからくるくる、と優しく押しつけて密着させてください
▲曲面にデカールを馴染ませた状態。切り込みを入れておくと、デカールが出っ張りに乗って突っ張った部分がうまく重なり、ソフターを使ったときよりパーツに密着するのです。ジオン系MSは曲面が多いので、ぜひとも覚えておきたいテクニックです

ラインデカールを貼る

▲このデカールで、一番の難所は足首のラインです。長細く、なだらかな凹凸のある曲面をグルリと囲む形状のため、位置決めが他の部分よりも難しいのです。水にたっぷりとつけて、筆でデカールを動かします。ちぎれやすいので、糊はセッターで補填するものと考え、台紙から浮かんでグラグラしてくるのをしっかり待ってから作業してください
▲筆で位置を決めます。押して調整するだけでは位置決めが難しい場合、このように筆で下からラインを引っ掛けみてください。ダイレクトに位置を変更できるので、最初におおまかに位置を決めるときとても作業がやりやすくなります
▲位置が決まったら、セッターを上から塗って馴染ませます。このとき、一気に全体にセッターを塗るとデカールがセッターの水分で浮き、位置がズレてしまうことがあるので、部分的に塗りましょう。少し塗って、押さえて、少し塗って押さえてを繰り返してデカールを固着させていくのが安全です
▲水のついた綿棒で押さえ、密着させます。セッターにはわずかにデカール軟化成分が入っている(ほんの少しなのでソフターのようにデカールが溶けたりすることはない)ので、少しだけなら曲面に馴染ませる効果もあります。長いラインはソフターを使うと慣れない場合は歪んだり破れてしまうこともあるので、ソフターが難しい! という人はセッターだけに留めておくのも間違いではありません
▲足首のラインデカールをソフターで馴染ませてみましょう。いきなりライン全体にソフターを塗ってはいけません。一気にすべてのラインが軟化してしまうので、綿棒で押しつけるとき非常に歪みやすくなってしまうのです。セッター同様、まずは部分的に塗ってください
▲部分的に軟化させたデカールを水を含ませた綿棒で馴染ませます。綿棒をラインに対して縦にくるくる押しつけると歪んでしまいやすいので、ラインに対してこのように横から。優しくくるくる、と押しつけてください。部分的な軟化ならば、他の部分は固定されているため、横からくるくるのほうが安全です

▲小さなコーションマークは台紙をピンポイントでスライドさせるのが難しく、位置決め中に糊が流れてしまいやすいデカールです。ここはいっそ筆に乗せて正しい位置にセットしてしまいましょう。糊はセッターで補填すればバッチリとパーツに密着します

▲足首のデカールを貼った状態。少し難しい場所ですが、筆、セッター、ソフターを活用すればこの通り。慣れない人は他の場所を先に貼って感覚を掴んでおき、一番最後に貼るといいでしょう
▲デカールは貼ったままだと手に持ったときに剥がれたりしやすいので、プレミアムトップコート半光沢を吹いて全体を保護します。当時ものキットの完成見本や当時の作例はツヤが残っているものが多く、ツヤ消しよりも半光沢ぐらいのほうが当時の雰囲気に近づけることができますよ

 ガンプラで初めて本格的な水転写デカールが付属したのがリアルタイプシリーズです。1/100キットの成型色を大河原邦男氏のイラストを元にしたミリタリー風の渋いカラーリングに変更し、ラインや機番、国籍やコーションなどのマーキングが付属する、兵器的な「リアル」を追求したものでした。1980年のガンプラ発売当時、月刊ホビージャパンに掲載されたガンプラ作例にはマーキングが施されたものが多く、人気を博しました。ただ、それは手描きやスケールモデルなどからの流用で初心者には敷居が高く、ガンプラそのものに純正のデカールが入ってくるのはモデラーにとってありがたいことだったのです。ですが、水転写デカール初体験となる当時の小学生にとって現実は厳しいものでした。糊が全部流れて剥がれたり、破れたり、ラインがちぎれたり…。私も初めてデカールを貼ったときはまともに貼ることもできませんでした。今回のHow toではその頃を思い出しながら、「当時の自分でもわかるように」現代最新基準でデカールの貼り方を徹底的に紹介しています。ぜひ、ガンプラデカールの原点であるリアルタイプシリーズでデカール貼りを楽しんでくださいね♪

BANDAI SPIRITS 1/100ケール プラスチックキット

MS-05 リアルタイプ 旧型ザク

製作・文/林哲平

© 創通・サンライズ

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林哲平(ハヤシテッペイ)

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