HOME記事キャラクターモデル『マクロス』機首コレクション「メサイアバルキリー」を筆塗りでエイジング仕上げに!

『マクロス』機首コレクション「メサイアバルキリー」を筆塗りでエイジング仕上げに!

2022.05.18

機首コレクション VF-25F【マックスファクトリー 1/20】 月刊ホビージャパン2022年6月号(4月25日発売)

MACROSS MODELERS 6th PLAMODEL PHOTO CONTEST 応援企画!! 

機首コレクション VF-25F メサイアバルキリー アイキャッチ画像

機首コレVF-25を筆塗りでエイジング仕上げに!

 1/20スケールなのでデカイ! でも機首だけだからコンパクトだしたくさん並べると画になる! そして、パーツ数が少なくて作りやすい! そんな作り手への優しさにあふれた「機首コレクション」第1弾のVF-25Fを大森記詩が筆塗りエイジング仕上げで製作。ストレートに組み上げてもカッコいい機首ができ上がるのだから、塗装全振りで1/20というビッグスケールを活かし、筆塗りの細かなタッチで使い込まれた感を表現している。
 現在、マクロス公式プラモデルコンテスト「MACROSS MODELERS 6th PLAMODEL PHOTO CONTEST」が作品応募受付中(5月31日23時59分応募締切)なので、機首コレで参加しようと思っている方はぜひ参考にしていただきたい。

▲油圧シリンダーからのオイル漏れによる汚れが目立つであろう主脚まわりは、奥まった部分の汚れ溜まりや塗料の剥がれなど重点的にエイジング表現を加えている。後部の断面は海外の技術博物館で見たカットモデルを参考に赤で塗装した
▲コックピット内も丁寧に塗り分け。ブラックで各モールドが目立たないので、指し色として部分的に赤で塗装することで各形状を認識できるようにしている
機首コレクション VF-25F メサイアバルキリー 側面
▲模型全長は約34cm。大きいけどコンパクトという絶妙なコレクションアイテム。飛行機もの映像ではよくある格納庫内や発進シーンでの機首だけ映っている場面を切り取ったとも捉えられるし、映画でコックピットシーンを撮影するためのプロップという見え方もできる。作り手が遊び方を自由に考えられる、これこそがプラモデルと言えるアイテムだ

 POINT 

 機体色は①グレーFS36622→グレーFS36622+Ex-ホワイト→Ex-ホワイトの順に塗り重ねることでエイジングとして表現した部分を残していく。

機首コレクション VF-25F メサイアバルキリー 全体
▲エイジング表現として塗装した下地を残すように通常の機体色を塗り重ねていくという手法で時間経過とともに機体に染みついていく汚れを再現。筆塗りならではのランダムなタッチで面が単調にならず、メリハリを持たせている

 ①コックピット内の塗装 

▲コックピットは外装との質感の違いを表現するために成型色を下地色として利用し、缶スプレーのミッチャクロンで梨地を施した。Mr.カラーのジャーマングレー、ニュートラルグレーを調色したものを、それぞれの混ぜ具合を適宜変えつつ塗りながら、エッジ部分は成型色を残すようにして使用感を出している。部分的に差し色としてレッドで塗り分けた

 ②外装下地塗装 

▲Mr.カラーのシルバー、ガイアカラーのスターブライトシルバーを調色した金属色で機首の上面カバー以外の主要部分を塗っていく
▲タミヤエナメルのフラットブラック、ジャーマングレイ、フラットベースを調色し、金属色部分のトーンを調整した

 ③外装機体色塗装 

▲最初の機体色として、Mr.カラーのグレーFS36622を使用する。薄く色を重ねやすいようにMr.リターダーマイルドを添加した。使い古したものを短くカットした筆でドライブラシのようにパネルラインを中心にフレーク状のタッチを加えていくことで、仕上がり時のリタッチ跡や塗装剥がれの表現になる

▲平筆を使い、置くようにして全体にタッチを施していく

 ④主脚の塗装 

▲主脚も機首と同様の手順で塗装。タイヤ部分はMr.カラーGXのウイノーブラックにわずかにニュートラルグレーとフラットクリアーを調色して半ツヤにして塗り分けている。機体色のグレーを金属色の透過を意識しながら重ね、要所にレッドの差し色を追加。差し色はエッジやところどころを剥がれに見えるように塗り残している。ガイアカラーのEx-ホワイトを部分的に重ねてグレーとホワイトのコントラストでモールドを際立たせ、クリアーオレンジにウイノーブラックをわずかに調色してオイル染みを描き込んでいる

 ⑤ディスプレイベースの塗装 

▲飛行甲板をイメージさせるベースも、コックピットと同様に成型色を下地の色として利用。ニュートラルグレー、ジャーマングレーを適宜調色してタッチを加えていく。上面に対して斜めに走るモールドを際立たせるためにラインを塗り分け。黄色はタミヤラッカー塗料のピュアイエローを使用。塗り残しを作ることで剥がれを表現。細いモールドに沿ってレッドでアクセントを加えている

 ⑥ラインの塗り分け 

▲黒と赤のラインはキット付属のシールをガイドに下書きを行い塗り分けた。黒はウイノーブラック、赤はスーパーイタリアンレッドを使用。キャノピーのフレームはウイノーブラックにわずかにジャーマングレーを調色して半ツヤで塗り分けている。パイロットの乗降時や整備員が足をかけそうな箇所は800番のサンドペーパーを軽く当て、黒の表情を増やした
▲グレーFS36622にEx-ホワイトを調色してさらに機体色を重ねていき、部分的にタミヤコンパウドで軽く磨いて光沢のある機体色とマットな黒のコントラストを強調している。上面のカバーは成型色を下地として利用し、ウイノーブラックにわずかにスージーブルーを調色した黒で塗り分けた
▲Ex-ホワイトで最後の機体色を塗り重ね、キット付属のマーキングシールを貼りながら細かい塗り分けを施していく。側面のセンサーカバーはスーパーイタリアンレッドにクリアーオレンジを調色して塗り分け。マーキングは紙シールで厚みが目立ってしまうので、平筆の先端に機体色を含ませてリタッチ跡のようにしてシールの段差をなだらかにしている

 キットを無改造で組み立て、塗装でしっかりエイジングの入った機体を表現するというお題となりましたが、塗装は筆塗りメインでアプローチしてみることにしました。なんといっても、トムキャットにフランカーといった実在する機体を想起させるメサイアバルキリー。しかも、その機首が1/20で立体化されたとあっては、その曲線的な形状に筆塗りのタッチを重ねるなんて、楽しいこと間違いなしです。
 塗装にあたって、特にメインとなる白系の機体色は基本塗装をしてから剥がれなどの使い込まれた表現を施すのではなく、色を重ねながら最終的にエイジングとなる部分をどれだけ残すのか、これをコントロールしながら進めていきました。機首の主要部分は一層目を金属色で塗装し、薄く色を重ねることで生じる透過を利用してリタッチ跡のようにしていきます。最後の段階まで機体色の白を使わず、一見すると白のようなグレーを使うのがポイントです。劇中では激しい宇宙空間での戦闘ですから、機体外装へのダメージは毎回相当なものになっていそうだし、きっとリペイントや再コーティングを都度されることも多かったのでは、そんな想定をしてみました。パイロットや整備員が足をかけそうな場所、パネルラインは意識的に一層目の金属色を残していき、最終的には塗装剥がれとして見えるように筆跡を利用しています。
 カットモデルらしい後端の断面は赤系で塗り分けてみました。以前に海外の技術博物館で見たカットモデルの断面が赤く塗装されていたのがとても印象的だったので、参考にしています。劇中世界にもこんな展示モデルがあるかもしれない、そんな空想をしながら塗装するのも面白かったです。
 今回はキットに合わせてアルト機となっていますが、思い思いにパーソナルマークのデカールを流用してアレンジしたマイ機首コレを作るというのも楽しそうですよね。ビッグスケールの機首をキャンバスとした筆塗り、皆様もいかがでしょうか。

マックスファクトリー 1/20スケール プラスチックキット“minimum factory”

機首コレクション VF-25F

製作・文/大森記詩

©2007 BIGWEST/MACROSS F PROJECT

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大森記詩(オオモリキシ)

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