ふたりのモデラーが「スコープドッグ」を“とにかく強く見えるように、自由に”製作!
2022.05.141/35 オラバトリング対決!! スコープドッグ おれんぢえびすカスタム【ウェーブ 1/35】/スコープドッグ 小澤京介カスタム【ウェーブ 1/35】 月刊ホビージャパン2022年6月号(4月25日発売)
かつて、あの重々しき歌に送られた戦士たち。
故国を護る誇りを厚い装甲に包んだ
アーマード・トルーパーの、ここは墓場。
無数のカリギュラ達の、ギラつく欲望に晒されて
コロッセロに引き出されるウドの街の拳闘士。
魂無きボトムズたちが、
ただ己の生存を賭けて激突する。
次回「バトリング」。
回るターレットから、キリコに
熱い視線が突き刺さる。
(『装甲騎兵ボトムズ』第3話次回予告より)
モデラー陣がオラATを競作!
2014年発売のラビドリードッグ以降、順調にラインナップを拡大するウェーブ製1/35ボトムズプラキットだが、意外にもスタンダードなスコープドッグの立体化は今回の「スコープドッグ バトリングセット」が初! そのまま作るも良し、オレ改造を施しても良しな本品の発売を受けて、月刊ホビージャパンも「オラバトリング対決」を突発開催。我こそはというモデラーふたりにスコープドッグを託し、自由にカスタマイズしてもらった。それぞれの個性が際立つ2機の饗宴をご堪能いただきたい。(本作例は模型オリジナルのものであり、サンライズ公式設定とは異なります。あらかじめご了承の上ご覧ください)
1/35 スコープドッグ バトリングセット
●発売元/ウェーブ●9900円、発売中●1/35、各約12cm●プラキット
ついにスタンダードなスコタコが登場! キミはどう作る?
満を持しての登場となった、ウェーブ1/35のノーマルスコープドッグ。同梱の3体はそれぞれ成型色が異なり、標準的なグリーン、TV序盤に登場したコニン少尉機カラーのブラウン、同オリヤ大尉機カラーのブルーとなる。外伝作などで活躍するカスタムATに範を求めて凶悪な武装を搭載するもよし、百年戦争の戦場を想像しながらウェザリングするも良し。モデラーのあらゆるニーズに応える、ヘビーデューティーなセットといえる。
プラ板工作を駆使してストロングバックス風に大改修!
SCOPEDOG おれんぢえびすカスタム
モデラーの意地と工夫が火花を散らすオラバトリング対決、まずはスクラッチ工作を得意とするおれんぢえびす選手のATを紹介しよう。オレンジのパーソナルカラーが目を惹く本機は、ノーマルのスコープドッグにストロングバックスさながらの重装甲を付与するべくプラ板工作で大改修。過去のさまざまなボトムズ作品からチョイスされた全身の追加武装も見どころだ。
防御を固めて火力でゴリ押し!
数多の重火器でリアルバトル無双
激戦地やバトリングで活躍したという重装甲AT・ストロングバックスに倣い、プラ板工作で装甲を追加したおれんぢえびすカスタム。重量増による機動力低下を補うべく、右肩ミサイルポッド、左脇ガトリングガンなどの自作火器類を搭載、中距離から絶え間なく火力投射可能な、攻防に隙のないカスタマイズとなっている。
■はじめに
今回は、バトリング用のATを自由に作ろうというお題です。とはいえ、自由にと言われると却って悩んでしまうものです。ネコ耳・ネコパンチのスコタコを作ったら怒られるでしょうし。そこで、「自分がATに乗るなら?」という前提で考えてみました。私は反射神経が良くないので、防御を固め火力でゴリ押しする方針でカスタムしようと思います。
■本体工作
頭部カメラの赤いレンズ部分は、一度平らに削ってからプラパイプでフチを作り、赤いクリアーパーツに交換。胴は、100mm厚の装甲でお馴染みのストロングバックスの形状を再現してみました。スコープドッグの腹部を削って平らにしてからプラ板を貼り込んでいます。腰周りのスカートアーマーは表側に0.5mmプラ板を貼り、下方へ延長しています。
腕部は、胴体と腕とを繋ぐ軸パーツが目立ちやすいので、胴体に面する部分を1mm程度削って腕を胴体側へと寄せられるようにしています。脚部は、ヒザアーマーを基部から切除してプラ板で装甲板を追加しました。
■オプション
ヘビィマシンガンは、丸く切りぬいたプラ板を重ねて大容量ドラムマガジンに交換。左腕のハンディソリッドシューターと右肩のミサイルポッドは3Dプリンターで出力しました。
■塗装
基本色1=オレンジ70%+ホワイト28%+イエロー2%
基本色2=ホワイト50%+ガルグレー50%
関節など=ニュートラルグレー
武器など=ジャーマングレー
妄想設定を考えながら工作するのは楽しいですね! 装備もTV版、OVA版、青ベル風とあちこちからつまみ食いすることで、ボトムズワールドの広さを表現してみましたがいかがでしょうか?
ウェーブ 1/35スケール プラスチックキット スコープドッグ バトリングセット 使用
スコープドッグ おれんぢえびすカスタム
製作・文/おれんぢえびす
クロー追加+ハードな汚しで歴戦感漂う“ヒール”AT化!
SCOPEDOG 小澤京介カスタム
オラバトリング対決企画、お次はAFVモデルを中心に活躍する小澤京介選手のカスタムATをご覧いただこう。背部から伸びる4本の大型クローアームがもたらす凶悪なシルエットが一際目を惹くが、全身に施された激しい“戦闘”を物語るようなバトルダメージ&ウェザリング表現にも注目。大型クローのケレン味と渋さ際立つ汚しが同居する、力作のカスタムとなっている。
4本のクローが敵を逃さない!
「近づいたら最期」の超接近戦仕様
3Dプリンター製の4本のクローアームは、威嚇や捕縛を狙ってのもの。左腕ワイヤーウィンチも駆使しつつ敵を搦め捕ったら、右腕パイルバンカーの一撃で葬る…という超白兵戦特化スタイルだ。反面、本体はノーマルのままなので、機動性や耐久には難が残る。総じて上級者向けのカスタムと言える。
■組み立てについて
組み立てはシンプルで説明書通りに組んでいけば完成します。合わせ目は何箇所かありますが、高切削性中粘度パワーエースCA-07を合わせ目に盛り、アルテコで硬化させて削れば簡単に消えます。シンプルな構成なので、同スケールのAFVパーツなどをミキシングして遊ぶのにはうってつけのキットです。今回はD・C小泉氏の力も借りつつ、3Dプリンター製のパーツを使って自由な見た目にしてみました。左右の腕部武装と、ミッションパックの装備は小泉氏に出力してもらったものです。感謝!
■塗装について
塗装は黒立ち上げで、ヘキサギアのダークグリーンと、グレーに少しブルーを混ぜたブルーグレーで塗装。頭のイエローラインは塗装で首周りの牙はデカールです。左胸の銃弾のマークは手書きですが上手く描けない場合は乾燥後爪楊枝で削って形を整えています。
■ウェザリングについて
ウェザリングは、私の場合まずチッピングから始めます。表面を光沢にして爪楊枝で削りやすくしておく必要があるので基本塗装を光沢か、半光沢にしておくことが大事です。まずファレホやAMMO、どちらでも構わないのでレッドブラウン系の塗料を家庭用スポンジを小さく切ったものでポンポンと、錆びつかせたい場所などに塗布(チッピング)し、乾燥したら余分を爪楊枝で削ります。
フィルタリングの工程に行く前に、先程の塗装が落ちないように一度半光沢でトップコート。乾燥後はグランドブラウンなどを全体に塗布→拭き取りすることで質感を整えます(フィルタリング)。この時、グランドブラウンでスミ入れも同時に済ませます。
最後に、ツヤ消しトップコートを吹いてしっかり乾燥させてから、埃系のピグメントを柔らかい筆で軽く叩くように馴染ませます。この時あまりピグメントをやりすぎると、真っ白になって再度スミ入れをしなければならないという羽目になるので注意が必要です。
ウェーブ 1/35スケール プラスチックキット スコープドッグ バトリングセット 使用
スコープドッグ 小澤京介カスタム
製作・文/小澤京介
©サンライズ
おれんぢえびす/小澤京介(オザワキョウスケ)
おれんぢえびす:長年月刊ホビージャパンを支えるベテラン。セミスクラッチ系作例を多数手がけ、その工作精度と製作スピードには定評がある。
小澤京介(オザワキョウスケ):AFVモデルを中心に活躍するモデラー。最近はキャラクターモデルも積極的に製作する。