ガンダム情景模型シリーズの楽しみ方【当時ものプラモのつくり方 機動戦士ガンダム編】
2022.05.13ガンダム情景模型 ジャブローに散る【BANDAI SPIRITS 1/250】 月刊ホビージャパン2022年6月号(4月25日発売)
40年以上の歴史の中でも異色と呼べるシリーズが存在する。当時ものキットでは「情景模型」シリーズと「メカニック・モデル」がその代表格といえるだろう。今回は「情景模型」シリーズより「ジャブローに散る」を使ったビネット作品。キットはシャア専用ズゴック、ジム、量産型ザクが付属。シャア専用ズゴックがジムの腹を貫く、あの名シーンの直前が再現できる内容となっているが、作例では1/250スケールの各モビルスーツをそれぞれ単体のビネットとして仕上げ、卓上モデルとして楽しめるようにした。
ガンプラ唯一のディオラマ模型セット
1981年7月、8月の2ヵ月にわたり4種がリリースされた「ガンダム情景模型」シリーズは、ガンプラブームの中、ファンの間で人気を集めたディオラマ作りに応えたチャレンジ精神溢れる逸品。劇中の人気エピソードである「ランバ・ラル特攻」「宇宙要塞ア・バオア・クー」「ジャブローに散る」「テキサスの攻防」の4シーンを、1/250スケールのポーズ固定のMSを主役に切り取っている。横25cm×縦16cmほどの専用ベースと紙製の背景パネル、ミニスケールのマスコット・モビルスーツが付属する。
ガンダム情景模型 ジャブローに散る
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●770円、1981年8月発売●1/250●プラキット
「ありがとう、ガンプラ!」
今から40年前。時代はまさにガンプラブームの真っ只中。次々と発売されるニューキットに、もう毎日がお祭り騒ぎでした。当時、中学生だった私も仲間達と自転車で、模型屋さん、おもちゃ屋さん、さらには駄菓子屋さんと走り回って探したのですが…。どこにもない。そもそも、私が住む田舎にはガンプラはほぼ入荷してこないんです。そこで始発電車に乗って、となり町のデパートまで。しかし、そこで目にした光景は、今まで見たことがない長い長い行列でした。とにかく、当時のガンプラブームはとてもすごいものでした。でも、そんな出来事も今となってはすべて良き思い出です。
そこで今回は、その頃を思い出しながら当時ものキットを作ることにしました。私が選んだのは「ガンダム情景模型」シリーズから「ジャブローに散る」です。それでは早速箱を開けてみましょう。うわぁ、懐かしい。そう、コレだよ、コレ! キットがアニメ設定画に似ているとかいないとか。可動部が多いとか少ないとか。そんなことはどうでもいいんです。パーツひとつひとつから今なお当時の熱い思いが伝わってくる。これぞガンプラ! これぞ当時ものキット! キット内容は、名場面がカンタンに再現できるように固定ポーズが付いた状態になっています。組み立てれば、誰にでもあの有名な場面「ジャブローに散る」を卓上に再現できるんです。もちろんHGシリーズとは違い、表面処理も塗装も必要になりますが、その手間こそがこの当時ものキット最大の魅力なのです。
さて、今回は「ジャブローに散る」に付属するシャア専用ズゴック、ジム、量産型ザクIIを使用して、個々にビネット仕上げをしました。キットのままだとどうしてもポーズが限定されてしまうので、プラ材やエポパテを多用して改造を施してあります。モノアイもH・アイズに交換しました。ビネットは100円ショップで簡単に購入できるアクリルケースを使用して再現。手を加える楽しさ。それもまた当時ものキットの魅力なんですね。
まるで久しぶりに懐かしい友人に会ったような、とても充実した時間を過ごすことができました。なんでだろう、なぜか涙が止まりません…。ありがとう、ガンダム。そして、これからもよろしくね、ガンプラ!
BANDAI SPIRITS 1/250スケール プラスチックキット
ガンダム情景模型 ジャブローに散る
ディオラマ製作・文/角田勝成
©創通・サンライズ
角田勝成(カクタカツナリ)
キャラクターメカ、怪獣などのディオラマを披露するベテランビルダー。誰にでも分かりやすい構成でシーンを切り取っていく。