【How to】FULL MECHANICS メイレスケンブを使用して、第一部オープニング冒頭のダメージモデルを製作!
2022.05.05
YM-02 ケンブ(オープニングダメージモデル)【BANDAI SPIRITS 1/48】 月刊ホビージャパン2022年6月号(4月25日発売)
『FULL MECHANICS メイレスケンブ』をお気楽モデリングでダメージモデルに!
FULL MECHANICS 1/48 メイレスケンブを使用して、らいだ〜Joeが第一部オープニング冒頭のダメージモデルを製作。FULL MECHANICSは内部フレームがほぼ再現されているキットなので、フレームと外装を分けて作業ができる点では今回の製作内容との相性は抜群によい。なお、今回はダイジェスト版になっているので、全容は2022年4月28日発売予定のホビージャパンMOOK「作りたくなる!境界戦機プラモデル製作指南書」にてご覧いただきたい。
①フレームの基本塗装
▲まずは全体をGSIクレオスの境界戦機カラーで塗装します。水性ホビーカラーベースなので安心して使用できます。半光沢/光沢で絶妙に調色された色合いは、他のキャラクターモデルでも大活躍しそうです
▲今回はプロスプレー ベーシックによるエアブラシ塗装を行いますので、新品の瓶のフタを開け、水性ホビーカラー専用うすめ液を瓶のフチ手前くらいまでチョロチョロっと注いで希釈します。比率で言うと塗料:薄め液=1:0.4くらいです
▲ベランダに新聞紙を敷き詰めランナーごとどんどん塗装していきます。約30分、ベランダの通気口に引っ掛けて乾燥させたあと、プレミアムトップコート 半光沢で全体をコーティング。今回はツヤ消しではありません
▲私にしては珍しく、内部フレームを焼鉄色で塗っていません。メイレスケンブグレーで塗装しましたので焼鉄色は筆塗りでワンポイントの使用に留めました。股関節部分や凸モールドにワンポイント塗装を施すことで立体感とフレームの別パーツ感が表現できます
②フレームに使用感を加える
▲フレームに使用感を与えていきます。ウェザリングパステルセット2のチャコールブラックとラストオレンジ。今回はサビではなく駆動油の汚れっぽくしたかったので、チャコールブラックを多めに配合しました。少量の木工用ボンドと水で混ぜ合わせます
▲ウェザリングパステルの溶剤をフレームパーツにどんどん塗り込みます。できる限り奥まった箇所にも溶剤が届くように留意してください。塗り終われば即座にクシャクシャにしたティッシュペーパーでポンポン叩いて水分を吸収します
▲10分ほど放置しておけば自然乾燥しますので、パステルがこびり付いたり、白々しい箇所を綿棒で擦って濃度を調整します
③外装塗装
▲ここからは外装パーツに移ります。スミ入れはリアルタッチマーカー グレー3を凹モールドに書き込み、指でス〜っと拭き取ります。滲んだ箇所をメラミンスポンジで擦ってやれば凹部分にだけインクが残ります。これでスミ入れ完了です
▲外装の凹マイナスモールドには水性ホビーカラー ゴールド(金)でワンポイント塗装をしておきます
▲パーツの合わせ目にはリアルタッチマーカー グレー3を塗ってスミ入れ対策。FULL MECHANICSは装甲裏を暗い色で塗っておく箇所がほとんどない設計ですが、胸部の内側だけはツヤ消しブラックを筆塗りしました
④外装の汚し塗装
▲焼鉄色スポンジポンポンを全パーツに軽〜く施していきましょう。足元以外は、私にしては本当に軽めのポンポンです
▲いつもならリアルタッチマーカー ブラウン1と神のペンでガッツリ汚すのですが、今回はスポンジポンポンの後はウェザリングマスターのみ。使うウェザリングマスターもDセットのオイルではなく、Bセットのススを多用しています
⑤外装のダメージ加工
▲装甲にダメージを加えていきます。オープニング映像を何度も見直し、装甲の割れをシャープペンで下書きします。半分以上の箇所が映像にないのであとは想像でそれらしく…
▲ダメージ加工はリューターを使用。本体は海外製の安価なもので、先端ビットはタミヤ 電動リューター用ビット5本セットの三角錐を使用。先端が細く、細かい傷も表現することができます。リューターの刃の回転慣性があるので、左上から右下に向かって動かすほうが思い通りの軌道を描きやすいですよ
▲リューターによるダメージ表現は「描く」という意識で行いました。「彫る」意識で行ってしまうと、想像以上に深く太い線になってしまいます。何かに衝突して亀裂が入った…というイメージで、放射線をベースにどんどん描き込んでいきます
▲場所によっては弾丸などで穴が開いたような箇所もありましたので、100円ショップの精密ドライバーを熱してホットナイフ化したものをパーツに押し当てて表現してみました
▲リューターで描いた傷はこのままでは目立ちません。リアルタッチマーカー グレー3をリューターの線にたっぷり染み込ませるようになぞり、指でサッと拭き取ります
▲すぐさまメラミンスポンジで擦ってやると「傷」にのみインクが残ります。お気楽スミ入れと同じ要領ですね
▲傷が足りなかった場合は再びリューターで傷を追加して同様の処理をします。極小の傷は0.03mmのピグマで軽く描き込むのもありですよ
▲今回どうしても表現したかったのが回転駆動による動作傷。産業用ロボットを見ていると必ず付いてる傷なのです。接触しそうな箇所にリアルタッチマーカー グレー3をたっぷり塗り、すぐさま押し当てながら回転。いい感じに回転駆動傷が表現できました。あまり目立たないですが…
▲最後に頭部のダメージ表現です。同じくリューターで細かい傷を書き込んだ後、「角」を折ります。切断力の弱くなったニッパーで切断部に軽く数ヵ所切り込みを入れて「折る」。パーツを意識的に折るのは本当に心が痛いのですが…
▲各装甲のダメージ加工が終わりましたので、あとは組み立てです。組み立てが完了した状態でウェザリングパステルで全体のトーンを調整します。今回はセット1「サンド」の溶剤を赤いパーツを中心にどんどん塗り込んですぐさまティッシュで水分を吸収
▲溶剤を水でやや薄めて接地面をメインに機体全体に塗り込み、同じくティッシュで吸水。砂埃っぽいフィルタリングのようになります
▲乾燥後に全体の状態を確認します。パステルが固まっている箇所や白々しい部分は綿棒で擦ると調整できます。意外とパステルが強固に吸着しているのがご理解いただけると思います
完成! YM-02 ケンブ (オープニングダメージモデル)!!
FULL MECHANICS 1/48 メイレスケンブを使用した“お気楽モデリング”オープニングダメージモデルが完成。元のキットのハイディテールさに各部ウェザリングとダメージ加工がプラスされたことで、さらに情報密度が高められている。
▲メインの製作内容は汚しとダメージだが、FULL MECHANICSのハイディテールを活かして各部モールドを塗り分けている。ゴールドなどのメタリックカラーを使用することで汚しやダメージに負けないアクセントになった
オープニングが頭の中でリフレインしています…。はい、今回は「FULL MECHANICS 1/48 メイレスケンブ」による第一部オープニングのダメージ状態をイメージしてということで、ケンブのダメージ全体像を把握するため録画したオープニングを何度も何度も繰り返し見たためでしょう、仕事中でもお風呂や布団に入っていても脳内で流れてくるのです。■そんな破損の仕方する…? オープニング画像を見ているウチにひとつの疑問が…。「こんな装甲の割れ方する?」「爆薬で穴が開いてる?」見事なまでにケンブはボロボロの状態。腑に落ちないまま進めるのもどうかと思案していたのですが発想の転換!「第一部最終話での大爆発から生還した姿なのかも!」と妄想を膨らませて、いざ! 製作開始。■塗装もお気楽、専用水性カラー 塗装はGSIクレオスさんから同時期に発売された「境界戦機カラー」4色をメインに使用しました。私にはとっても嬉しいことに水性なのです! これなら安心してお子様たちでも使えますね。ホワイトとグレーは半光沢、レッドとイエローは光沢なのですが、良く考えられた調色設計なので他のキャラクターモデルにも多用できそうです。■いざダメージ表現! 産業用ロボットの構造を意識したメイレスの特徴を見事に落とし込んだ「FULL MECHANICS 1/48 メイレスケンブ」は驚異の可動域を誇るので、無改造でもオープニングのポーズを取ることができます。だから一切プロポーションの改修は行わない超弩素組みちゃんで製作し、ダメージ表現に注力します。今回はいったんお気楽汚しで完成させてからダメージを表現していきます。激突による装甲の割れを表現するためにいろんなツールで試行錯誤しました。その結果、リューターで「割れを描き込む」方法に落ち着きました。まっすぐ上手く描くよりもジグザクになったほうが自然なダメージ表現が醸し出されます。パーツに直接ダメージを入れるのはちょっと気が引けていたのですが、どんどん楽しくなり少しオーバー表現に…と、思ったのですが、オープニング画像のケンブを再確認すると、まだダメージが足りないくらい? 完成後、意気揚々とオープニングのポーズをとって撮影していると、頭の中でリフレインが止まらない…。これは当面の間、脳内から消えそうにないですね。
BANDAI SPIRITS 1/48スケール プラスチックキット “FULL MECHANICS”メイレスケンブ 使用
YM-02 ケンブ(オープニングダメージモデル)
製作・解説/らいだ〜Joe
©2021 SUNRISE BEYOND INC.
らいだ〜Joe
模型製作の時短と低コスト化を目指す“お気楽モデリング”を提唱するキャラクターモデラー。