エデュアルド「零式艦上戦闘機 二一型」を空母「加賀」戦闘機隊の海鷲として製作
2022.04.13「トラ、トラ、トラ!」零式艦上戦闘機 二一型 デュアルコンボ リミテッド エディション【エデュアルド 1/48】 月刊ホビージャパン2022年5月号(3月25日発売)
東欧から飛来した最新最高のゼロ・ファイター
太平洋戦争の全期間において旧日本海軍の主力戦闘機であった三菱A6M零式艦上戦闘機については、もはや説明の必要はないだろう。空母航空隊と基地航空隊に配備された初期生産型の二一型は、優れた機体性能と熟練したパイロットにより、連合国軍の戦闘機を圧倒してみせた。1939年4月の初飛行から83年、チェコのエデュアルドから最新最高の1/48スケールゼロ・ファイターが到着。真珠湾攻撃をテーマとした2機入り限定版コンボキット「トラ、トラ、トラ!」、東欧からのサプライズ・アタックを果敢に迎撃し、空母「加賀」戦闘機隊の海鷲として製作!
■トラトラトラのゼロ!
エデュアルドのキットは、2機分のプラスチックパーツとカラーエッチングパーツ、塗装マスクシール、データステンシルデカールのほか、真珠湾攻撃に参加した12機分のマーキングを再現するデカールが付属します。
主翼は捩り下げが再現され、前縁のシャープさと相まって零戦らしさがよく出ています。意外に四角い断面形を持つ胴体後半部や、それに続く後端覆のくびれ方など秀逸です。増槽タンクのモールドなど一次資料を参考にしたと思われる部分が随所にあり、エデュアルドの意気込みを感じます。
■組み立て
コクピットのカラーエッチング部品は、内部色を合わせる必要がありますが、説明書の混合比にやや青みを加えるとちょうどよい色合いになります。計器盤はエッチングまたはデカールの選択式で、さらに同社から別売りの着色済みレジンパーツ「LOOK」や3Dデカール「SPACE」を含めると4通りもの再現方法を選べます。作例は着色済みレジンパーツを使用しました。このように至れり尽くせりな内容のコクピットですが、唯一気になったところがスロットルレバーで、部品番号D10のL字状突起部を切り取り、プラ材と真鍮線で作り直しました。
コクピットが完成すれば、あとはスラスラと飛行機の形になります。部品同士の合わせは非常に優秀です。風防の合いも良好ですが、第三風防は流し込み接着剤がガラス部に流れやすいので、透明部品用接着剤を使いましょう。胴体左右の接着部付近の凹リベットが浅く消えやすいので、リベットルーラーで彫り直しています。
■塗装
2017年に、映画監督の片渕須直氏が当時の色見本「航格第8609」を蛍光X線分析にかけて塗料の成分を調査し、その結果、零戦に塗られた灰色(J3)が、色味のない純粋な灰色であったことが判明しました。私にとって大変衝撃的なニュースで、まさか30年以上にわたり議論されてきた零戦の灰色問題が決着する日が来るとは思いませんでした。
この灰色はガイアカラー073ニュートラルグレーIIIに近い色です。しかし模型に塗るには少し暗いと感じたので、072ニュートラルグレーIIに近い灰色で塗装しています。
ウェザリングは緒戦期をイメージして、ごく控えめに行っています。
デカールは乾燥後にニス部分が剥がせるタイプです。GSIクレオスのMr.マークセッターと相性がよいので併用されることをお薦めします。ニス部をトリミングせずに台紙ごと切りぬき、あらかじめマークセッターを塗布した面に転写します。半日以上乾燥させたら、ニスのフチを爪楊枝で起こし、ピンセットでつまんで剥がします。胴体識別帯のデカールは胴体面に対し曲率がやや小さく皺を生じましたが、タミヤのマークフィット(スーパーハード)を上塗りすると皺がほぼなくなりました。このような状態でも乾燥すればニスは問題なく剥がれてくれます。注意点として、ニスを剥がした後のインク面はエナメル溶剤で落ちるので、スミ入れなどを行う場合は事前にラッカー系クリアーを吹き付けて保護しておきます。
以上で完成。とても楽しかったです。あぁ、また作りてぇ〜!(笑)
エデュアルド 1/48スケール プラスチックキット
「トラ、トラ、トラ!」零式艦上戦闘機 二一型 デュアルコンボ リミテッドエディション
製作・文/熊谷丈洋
「トラ、トラ、トラ!」零式艦上戦闘機 二一型 デュアルコンボ リミテッドエディション
●発売元/エデュアルド、販売元/ビーバーコーポレーション●11330円、発売中●1/48、約18.9cm●プラキット
熊谷丈洋(クマガヤタケヒロ)
小5の頃、紫電改が突如夢に現れ、以来、日本機に取りつかれています。模型のツヤは重要なポイントだと思います。