【太田垣メカ特集】史上初! 巨大城郭ロボ、アイアン・オカザキをデジタルモデリング!
2022.02.18心に城を、魂に鋼を。いざ起動せん鋼鉄城。
ガガガ文庫『鋼鉄城アイアン・キャッスル』(小学館刊)の主人公ロボ、アイアン・オカザキ。生命そのものに宿る“龍氣”というエネルギーを糧に、命無き建築物である城郭に疑似的な命を与え、城全体まで城主の五感を拡張させ、肉体そのものと化さしめる超兵器だ。作例は、メカザインを担当した太田垣康男氏のイラストとCGアニメスタジオANIMAから提供いただいたCGデータを基にデジタルモデリングでスクラッチ。プラキットなどの企画・開発も手掛ける、柳生圭太による史上初の立体作品をとくとご覧あれ!
鋼鉄城アイアン・キャッスルとは?
のちに徳川家康となる松平竹千代が、ロボット化した岡崎城を操縦して戦う架空戦記ノベルが『鋼鉄城アイアン・キャッスル』だ。CGアニメスタジオANIMAが、太田垣氏をスーパーバイザーに迎え、アニメ化を目指して進めているオリジナル企画のプロジェクトで、現在では愛知県岡崎市と相互プロモーションを提携しており、市の公式観光サイト「岡崎おでかけナビ」とのコラボなど、岡崎市の観光に一役買っている。第2巻が2022年春発売予定。
ガガガ文庫 鋼鉄城アイアン・キャッスル
●発行元/小学館●803円、発売中●著/手代木正太郎、原案・原作/ANIMA、イラスト/sanorin、メカデザイン/太田垣康男
1452年築城で全長28mほどの岡崎城天守がロボットに変形した姿。通常の表情のほかに、ここでは紹介していない“お怒りモード”の顔も描かれている。
イラスト/太田垣康男
FRONT
SIDE
REAR
太田垣先生のアイアン・オカザキを製作。先生のオリジナルロボで資料として、太田垣先生のイラストと、それを基にANIMAが作成したCGデータを提供いただきました。僕の作業としては、このデータを立体として出力可能な形にすることからスタートです。
頂いたデータがあくまで画面表示用のCGデータでしたので、まずは厚みのない部分に厚みを設定していく作業となります。作例用に全高を18cmと設定し、そこから強度を考えて内側に厚みをつけていきます。内部構造がカラクリ細工のような雰囲気でしたので、それを尊重しつつ干渉等を考慮して、パーツ分割をアレンジしていきます。またCG上では重力がないため、浮いている部分や接続が弱い部分を強化します。
ヒジやヒザ、股間、足首は関節技ボールジョイントを組み込んで可動にしていますが、あくまで美しい立ちポーズを調整するための可動にしていますので、激しいアクションポーズは想定していません。また、石垣等の表面テクスチャーは画像で立体ではないので、その部分を立体として彫り込みます。
データが出来たところで3Dプリンターで出力、組み立てていきます。いろいろ設計時点で失敗して後ハメ加工とかしてますが!
塗装はラッカー塗料でベタ塗りした後、ツヤを調整してピンクやスカイブルーでフィルタリングを行い、石垣部分等のランダム加減を表現しました。石垣部分と木細工関節部分で色を変えたのですが、あんまり分からなかったなー。
天守の屋根や細かい窓モールドが多いので、そこを強調するためにドライブラシをかけています。細かい部分のスミ入れは汚くなりがちなので、仕上げにコンパウンドで汚れを削り取ってます。葵の紋はゴールドで下地を塗った後に、黒のデカールを製作して貼っています。旗部分は黒デカールをそのまま貼ってます。
製作していて戦国時代的なデザインとお城をロボにする着想にファンになってしまったので、今後このアイアン・オカザキがアニメなどの映像作品として活躍してくれたらうれしいです!
ノンスケール スクラッチビルド
アイアン・オカザキ
製作・文/柳生圭太
ⓒ手代木正太郎・sanorin/小学館 ⓒANIMA
柳生圭太(ヤギュウケイタ)
合同会社ランペイジ代表のひとり。商品開発や原型製作に携わりながら、時にはプロモデラーとして作例もこなす。