オースチン装甲車3型プロシア帝国陸軍【松本森男】
2021.12.17オースチン装甲車3型(ドイツ・オーストリア・ハンガリー・フィンランド)フルインテリア(内部再現)【ミニアート 1/35】 月刊ホビージャパン2022年1月号(11月25日発売)
東方諸国へ輸出されたイギリス製アーマード・カー
第一次大戦初期、イギリスのオースチン社はロシア帝国からの発注に応じ、乗用車を改造した装甲車を製造した。機関銃の銃塔を左右に1基ずつ搭載したこの装甲車は好評を博し、大戦後は日本陸軍を含むさまざまな国にも輸出されている。1/35スケール初インジェクションキット化となるミニアートのオースチン装甲車はトラックのシャシーを使用したシリーズ3(3型)をモデル化、同社お得意の「フルインテリア・キット」として車体内部まで克明に再現されている。4種類発売されているキットから、今回は第一次大戦時のドイツ軍鹵獲車両を製作!
■WWI装甲車のインテリアキット
第一次大戦のAFVというと、ずっとマイナーなジャンルでしたが、現在は各社がさまざまな車両を製品化していて本当にうれしいですね。ミニアートも、イギリスのトラックやバスに続いてオースチン装甲車をリリースしました。使用国別に3種のキットがあり、今回製作したのは「ドイツ、オーストリア=ハンガリー、フィンランド軍仕様」です。
同社お馴染みのインテリアキットで、エンジンや車内、銃塔などすべてがていねいに再現されています。エッチングパーツは車体のリブやフェンダーステーなど、同社の他のキットに比べると少し多い印象です。
■組み立て
特に難しいというわけではなく「粛々とていねいに作ればきちんと完成する」という同社スタンダードな感じです。注意点としては、シャシーやボディは一体成型ではなく平面パーツを貼り合わせる構成なので、接着時には平面や直角を出すよう気をつけてください。また後輪用フェンダーの固定は、ステーがエッチングのため左右で歪んだりしやすいので慎重に。
ブレーキ用などのロッド(工程15のDa25-28など)は、プラパーツで再現されていますが、金属線で置き換える選択も指示されています。ロッドのプラパーツをランナーから切り出し整形するのは難しい(折れやすい)ので、最初から金属線を使ったほうが近道かもしれません。本作例でもそうしました。しかし完成後は裏返さないとほぼ見えなくなりますから、省略するのもありかもしれません。
今回のようなインテリアキットは、製作者の完成形のイメージ(どのハッチを開けた状態にするのか、など)が大事です。イメージがないと、各部の組み立てや塗装が無駄になることもあります。本作例では全ハッチを開けるつもりで製作したので、見える部分はすべて組み立て塗装しました。一方で「見える見えないは関係なく、とにかく組み立てや塗装を楽しみたい!」という方もおられると思います。その場合なら、ほんとに力の入れ甲斐があるキットです。
■塗装
塗装例はドイツ軍が2種、オーストリア=ハンガリー軍1種、フィンランド軍2種で、それぞれにデカールが付属。今回は、鉄十字マークがかっこいいドイツ軍(プロシア帝国陸軍)の塗装例(2)を選択しました。
GSIクレオスのラッカーベースに油彩で色調に変化を付けています。外装は塗装図のGSIクレオスの対応色だと「軍艦色2」です。しかし、カラー塗装図は軍艦色よりかなり青みが強く、かつこの色調が素敵なのでそれをイメージして調色しました。軍艦色2を基本に、「ミディアムブルー」と「ジャーマングレー」を加えています。タイヤは「ホワイト」の指定ですが、明るすぎるので「灰色9号」を使いました。エンジンや車内の塗装色は組立説明書に準じています。ウェザリングはピグメントのみで仕上げています。
■おわりに
第一次大戦の車両は、戦車も装甲車もトラックもどこか素朴で温かい感じがして素敵ですね。このオースチンも完成した姿をみていると「なんかいろいろ重いものを背負わされてるけど頑張ってます!」感がよくてほっこりします(笑)。
第一次大戦の兵器は魅力的なアイテムはいくらでもあるので、今後もどんどんリリースされてほしいですね。
ミニアート 1/35スケール プラスチックキット
オースチン装甲車3型(ドイツ・オーストリア・ハンガリー・フィンランド)フルインテリア(内部再現)
製作・文/松本森男
オースチン装甲車3型(ドイツ・オーストリア・ハンガリー・フィンランド)フルインテリア(内部再現)
●発売元/ミニアート、販売元/GSIクレオス●6600円、発売中●1/35、約13.9cm●プラキット
松本森男(マツモトモリオ)
1/12くらいで、第一次大戦時のMG08やマキシム、オチキスMle 1914、三年式などの重機関銃がキットになったらいいなあ。